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強引なベストセラー作家×天然美人な喫茶店マスターのスイート・ラブ!
koi no yokan wa amaku kaoru
美人で天然な喫茶店のマスター・香留は、常連の男に襲われそうになっていた。助けを呼ぶために、象の置き物を店の扉に投げつけた。
そこに入ってきた男はベストセラー作家・安堂聖志。
聖志は香留を組み敷いていた男をあっさり追い払うと、香留が喫茶店に来る前の常連だったようで、そのまま毎日来るようになる。
実は香留は前のマスターに片想いをしていて、マスターが亡くなった今もそのマスターを想っていて、なるべくバーをそのままの状態に止めておきたいと考えている。
けれど、聖志がきたことで、少しずつ止まっていた時間が動き出して……
という話でした。
割と黒崎あつしさんの小説ってバタバタイチャラブコメディっていう印象がすごくあったんですが、これは少し穏やかな話。
コメディっていう感じではないので、そういうのを期待すると期待はずれ。
少し大人な話です。
表紙イラストの華やかさに反して、なんとも地味なストーリーでした。
香留(受)のキャラクターがあまりにも天然というか、おとぼけというかなので、全体に単調な印象でしたね。実際には事件も起きてるし、わりと起伏もあるんですけどね。
聖志(攻)は、停滞を壊す役割です。香留は亡くなった前マスターの遺志を継ぐように、7年も自分のことは後回しで(給料すら出ないような状況で、店のバックヤードに住み込んで)、まるで時間を止めたかのように、片思いしていたマスターのことだけを考えて日々を過ごしています。そこに聖志が入り込んで来て、止まっていた香留の時間を動かして行くんですよ。
香留が、マスターへの片思いは『恋する自分』のことしか考えていなかった、あまりにも幼いものだったと気づいて、新たな恋を受け入れられるようになっていく様子が、自然に描かれていました。
それに、喫茶店の常連のおじいちゃん2人もいいキャラクターでしたね。聖志の担当編集者の三ツ谷もなかなか食えない感じでよかったです。この三ツ矢は、スピンオフの『運命の恋は甘く囁く』でメイン(受)になっていますが。
うん、結構よかったです。