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Charade新人小説賞期待賞!
itsudemo kimi no soba ni iru
富樫朔矢(救命救急医)×望月智(小児科医)
行きつけのバーで男から酒を一緒に飲もうと誘われますが、望月はそれをナンパと勘違いし、しつこく迫って来る男に回し蹴りを喰らわしてしまいます。翌日勤務先の病院でナンパ男と再会しますが、それは救急救命医の富樫だと判明します。その後も何かとちょっかいをかけてくる富樫に対し望月は苛立ちをつのらせますが、バーでの最悪な出会い以前に富樫は望月に出会っていると知らされます。
新人作家さんの作品ということで、あまり過剰な期待はせず読み始めたのですが、なかなかどうして結構楽しませてもらいました。人気投票(電子書店パピレス共同企画・BL無料人気投票だそうです)みたいなもので1位になったみたいですが、投票したくなる気持ちが分かりました。
最悪な出会いをした二人が再会し、富樫が望月にちょっかいをかけ、望月は嫌々ながらもなぜか断れず振り回されてしまう…みたいなやり取りが続くのですが、正直前半はそれほど面白いと思って読んでいた訳ではありませんでした。
でも中盤になり医者という設定が名前だけのものではなく、ストーリーとも上手く絡み出すと一気に面白くなってきたのには驚きました。それに伏線の様な出来事が上手く他のエピソードにつながっているのも良かったですし、二人が出会った時の何気ない描写(望月の忘れもの、富樫が何故多量の酒を飲んでいたか)もちゃんと拾われていて、なかでも富樫のラストでぽろっと明かされるエピソードに関しては、「ここで何気なくそれを入れてくるか…」と思わず感心してしまいました。
描き下ろしの短編は富樫視点の話になっているのですが(長編は望月視点)、傍若無人といった感じに思えた富樫のキャラが一転、ネガティブでヘタレな思考に陥ってグルグルしちゃうところがものすごく良かったです。本編も充分楽しめましたが、この書き下ろしはまた違ったツボ(ヘタレ好き)を刺激され、かなり萌えました。
評価[神]はちょっと甘いかも…という気もしないでもないですが、新人作家さんの作品とは思えないほど楽しめましたし、色々とツボを刺激されて充分満足させてもらえたので、次作も期待しています!という意味も併せてこの評価にしました。
安曇さんの本が面白かったので、他の本はどうかな?
と思いつつ、手にとったんですが、面白かった!
Charade新人小説賞期待賞をとってらっしゃったんですね。
そりゃ面白いわ!!
医者ものです。
私は医者ものはあまり読まないようにしているのですが、
結構スムーズに入り込むことができました。
小児科医の望月は、年の離れた医者西倉と愛人関係を続けていました。
そこに現れたのは、救命救急医の富樫。
富樫は、望月のことをからかったりしてくるけれど、
望月のことを救う存在になっていきます。
そもそも、望月が西倉と関係を持ってしまっていることには、
望月の過去が関係しており、
そのストーリー展開には、感動させられました。
若干、「ドクターの恋文」と重なる展開があったのですが、
楽しめました。
豪快な外科医と繊細な小児科医。
出会いの印象は最悪・・・という始まり方です。
小児科医である智は父親に対する負い目や父親を思う気持ちが強く、父親似た男性と不倫をしています。
同じ病院に勤める富樫にナンパされるような形で知り合い、反発するような態度を取る半面、彼の豪快さに次第に惹かれていきます。
富樫は何て言うか、台詞が豪快で飛んでいて変態ぽくて、印象としてはデリカシーがない、というか、ちょっと下品なこともスラスラ口にするというか・・・。正直私は最初この富樫が苦手かも、て思いました。
でも読んでるうちにだんだん富樫の男らしい面に気持ちが傾いでいきます。
智はクールに見えて危なかしく、車にひかれそうになったり階段から落ちたり不倫相手に監禁されたり熱を出して倒れたり…でも必ず富樫が駆けつけてくれます。
細かいことは気にしなさそうな富樫だって、外科医と言う仕事柄、人の死にふれたときには人知れず落ち込みますが人間だも~んなんて台詞で前を向きいて、落ち込んでいるところだって誰にも悟らせない。
世界中どこをさがしても俺くらいいい男はいないぜ?とか、お前は金輪際他の男のことは考えんでよし!とか豪快で、強引ですがそこがいいんですよ!
人の死と生を描いた医者としては避けられない重苦しいシーンもあり、感動的な場面も何度もあります。なのにベッドシーンは軽いノリでしかもすごくえろいというギャップがすてき。
智が普段クールなのに何故かベッドでは口調が子供ぽくなり、舌足らずです。そのギャップがめちゃくちゃいい。
このお話は投稿作だったらしく、正直本編のストーリー自体はそこまでおもしろい!とはならなかったのですが、おまけの「なぜなら君のものだから」は富樫視点です。こちらは、毒素がとても強いお話で、正直本編よりも楽しめました。
付き合ってから2ヶ月、些細なことからすれ違う2人ですが、智視点より富樫視点のほうがもしかしたらこのお話は面白く読めるかも。
富樫の大胆で豪快な台詞も、富樫が主人公視点なら楽しいし、智の普段はクールだけど気を抜くと舌足らずになるのころは別視点で見るととてもドキドキします。
熱を出した智に富樫は座薬を入れようとするんだけど、何と勘違いしたのか嫌がる智。医療行為だと自分に言い聞かせながらもいけないごっこをしている気分になる富樫。
この座薬のシーンがベッドシーンより数段えろくて、よかった~。
ラストのほうで、智が自分に飽きたのではとひっそり悩む富樫の「こんっなに、こんっなにお前が好きなのに、お前のいない人生なんて、あたりのついてないアイスバーだ、全然わくわくしねえ」って台詞がもうすごくかわいです。
最初、デリカシーかなくて苦手かも、なんて思ったストレート過ぎる性格がそのままかわいい魅力になって心臓をわしづかみにされた気分でした。
最初はそこまでおもしろい!ておもわなかったのに 読み終わると十分満足なお話でした。