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作家さんの新作発表
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第一回ホワイトハート大賞受賞作と言う冠の割には
顧みられる、又正当に評価される機会が少ない作品
ではなかったのか、と今更にして思います。
一身上の都合により戦場に出る事を一度断念した
報道カメラマンと自分の中の性志向を自覚してしまった
少年の恋。それは二人の心のひたむきさ故に軽口混じり
ながらも確実に前に進んでゆきます。
ですが。
想いをぶつけ合って赴いた戦場で訪れる非情な別れ。
そして…。
感情と感傷が静かに行間から押し寄せてきます。
波の音の様に、絶え間なく。
帯『僕が、愛する男性に出会った夏…。』
「文章の巧さと、シャープなセンスが光る(秋元康先生)」
「ゲイの息子を持った母親のセリフがよかった(内舘牧子先生)」
これは自分の持ってるBL本帯の中でもかなり異色、秋元康さんと内舘牧子さんですよ~。
ちょっとびっくりな名前ですが、この作品は「第一回ホワイトハート大賞受賞作」で上記2名が審査員だったのでその関係です。
ちなみにあとがきの後にこの2人の書評が載ってますが内舘さんが実に的確な意見を書かれてて流石だなって気はします。
そしてたけうちさんはこれがデビュー作で当時既に既婚でお子さんがいらっしゃって37歳、デビューとしてはちと遅めですがその分文章はしっかりしてます。
前置きはこれ位にして内容はというと、ゲイの高校生司[受]が偶然入った店でカメラマンのリツ[攻]と出会う話。
デビュー当時から文章はしっかりしてるんですが、内容はというと小綺麗に小さくまとめちゃったなという印象。
確かに大賞を取るだけの内容ではあるんですが、やや綺麗過ぎるきらいが。
息子がゲイだと気付いている母親、何も知らない父、自分の性癖に折り合いをつけながら傷付かない様に割に器用に生きている様に見える司。
海辺の店で出会ったりと当時のスタイリッシュっぽくて今読むとちょっと古くささは感じるものの、携帯の無い息子が電話をいちいち親に取り次いでもらうあたりは反対にこの頃でなければ書けなかった話だろうなあ。
こっから盛大なネタバレになっちゃうんですが、別にリツを殺す必要は無かったと思う。
そこが小綺麗にまとめたなって感想と繋がるんですが、そんな綺麗に終らなくてももっと混沌としていても良かった気はします。
続編のブレイスレスの方がたけうちさんらしくて自分は好き。
表紙はサングラスを掛けた男性の写真なんですが、ペーター佐藤的というかこれもいかにも90年代な香り。