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意外な事件の展開、切ない愛のサスペンス!
Holy apple
荒んだ街。街を縦横に走る道路には、頻繁な工事の跡で虫食いの林檎が横たわるよう。
そんな雑多な80年代、ニューヨークを舞台に、男前の刑事ドイル・アーデンと制服警官、気弱なハリー・ローゼンランドの事件を介しながら芽生える恋を綴った物語。
柏枝先生の書くものは、ただのBLという括りでなく、純粋にサスペンスという側面からも楽しめます。最近すごくはまっている作家さんです☆
また、槇えびし先生の描くかっこいいドイルと、脆さ加減がよく出ているハリーの挿絵もいい味出してます!!
お互い31歳ということで、恋愛の姿勢に対しても落ち着きが感じられ、両思いになるにはまだ、ハリーの前彼への未練が邪魔になっているのですが、ドイルはそんなハリーを受け止められるだけの懐深い男なので、少しづつ二人の関係は近づいていくんでしょう。
これは、是非シリーズ化してほしい作品です。
80年代NYのスラム街を舞台にした、警官が主役サスペンスドラマです。
ラブストーリーに重きを置いているかはちょっと微妙な作品でした。
というのも、主人公のハリーの大失恋から始まるストーリーなのですが、作中ずっと、ハリーは別れた恋人に未練たらたら。
結局最後まで心はまだ前の恋人にあるような感じでした。
同じ作者さんの「厄介な連中」のスピンオフらしく、ハリーとその元恋人のお話はそちらになるようで…そっちは読んでも読まなくても、みたいな感じであとがきでも特に大きく触れられてはいませんが、この内容からしてそっちを読まないとどうしても気になる!と私は思ってしまいました。
何度も何度も元恋人との回想が入るので、ちょっともやもや。
そんな失恋の痛手を引きずるハリーのお相手は新しく配属された刑事で、同じ歳ですが上司に当たります。
私は交流を経て次第に恋心が芽生える展開が好きですが、この2人は両方ゲイで、「好みだから」という理由で身体の関係から始める、どちらかというとドライな大人の恋愛というテイストでした。
身体能力が低くヘタレで警察にはとても見えないハリー(でも気が弱いわけでなく言いたいことははっきり言う)と傲慢でわが道を行く優秀な刑事ドイル。
恋まであと一歩、くらいの所で終わりますが、それでもこの2人の組み合わせが驚くくらい好みで高評価をしたくなりました。
それと、イラストもとても雰囲気に合っていて大好きです。
挿絵の回数が少ないのはちょっと残念でした。
アメリカ(特にNY)を舞台にしたお話を沢山描かれている作者さんだと記憶していますが、NYの描写はとても情景深いです。
作者さんはバブル期の平和な東京で育った分、治安が悪くほのぐらい地域であるNYに憧れていたとあります。私には縁のない土地ですが、ハリウッド映画なんかで見たような、暗いビル郡の合間のマンホールから立ち上る蒸気が目に浮かぶようで楽しかったです。
「愛している」=「死んでもいい」だと作中で解説がありましたが、そこまで深い「愛してる」にたどり着けるほどの愛がこの先この2人に芽生えればいいなぁと思います。
次回作が控えているため、期待をこめて星4です。
2009年発表、設定は1980年代NYの、刑事と警察官の物語。3巻もの。
本作は、BL的なLOVE観点は薄い。
警察官と刑事の立場の格差、世間的にゲイを隠さなければ生きづらい風潮、大都会で日常的に起こる軽犯罪・傷害事件・発砲事件に立ち向かう警察官の奮闘…
主人公の警察官と、分署を移籍してきた刑事が共に(偶然)ゲイで、これまた偶然に同じアパートの住人となって、周囲に隠れて関係するようになる、という設定があって、廃墟同然のアパートメントで死体が発見された事件を共に捜査する、という物語となっています。
居合わせたヒスパニック系の大学生(ルカ)や、その友人(アリエル)、気弱な警察官ハリー、ハリーの相棒のベテラン警察官ジェフリー、有能だが協調性のない刑事のドイル、ドイルの相棒刑事だがコケにされているミルズ、彼らの性格や行動がリアルに淡々と描かれます。
警察ものとしての事件、そして事件の謎解きが主としてあって、その根底の設定として、人種のるつぼとしてのNY、ハリー、ドイル、ルカ、そして事件の関係者・ニールがゲイ(全員一応クローゼット)、ハリーの隣人・マリアがトランスジェンダー。
80年代のNYのエイズの蔓延、エイズはゲイへの天罰、という一般の空気感。
それらが絡み合ってかなり読み応えがあります。
BLとしては正直物足りない気も。というのもいわゆるHシーンは無く、朝チュン描写のみ。
主人公のハリーは、前の恋人(日本人男性)との別れに未だ傷ついたままで、今恋が始まった刑事のドイルとの間にまだ壁がある。この辺のモダモダはまどろっこしいけれど、だからこそリアル。
汚くて、危なくて、いつも道路工事中で道がデコボコのニューヨーク。
そんな80年代の「穴だらけの林檎」の姿の、スタイリッシュ感と両立する泥臭さ。そこが面白い。
積み箱から発掘。
お話は80年代のニューヨークが舞台の警察官物。
翻訳ものっぽいような、なんか冷淡な感じが好ましかった。
80年代ってもう30年以上前なのかぁ、、、
この本自体が、いつから積まれていたのかわからないレベルの積み本箱から発掘したので、ほんとに古い本かと思いきや、出版されてまだ10年経っていないのね。
時代設定は、もう、なんだか、ほとんど時代劇っていうか歴史物の域だけど、その当時の空気感が結構生々しくて、2000年代に出版されているのが意外な感じ。
これ、シリーズの続きも読みたいけど、残りの本って家にあるのかな。
家の中を探すのと、古書店探すのと、どっちが手っ取り早いかな。
あちこちから水蒸気が立ち上る道路は工事の穴だらけ・・・すなわち「穴だらけの林檎」。
治安も景気も悪く、どことなく荒廃した空気の漂う時代と街で生活する警官たちがちょっと素敵だ。
高給取りではないのでそれなりのアパートに住み、交代制勤務に合わせて寝起きして、仕事帰りに買い物してちょっと料理したりスーパーの開店時間に間に合わなければテイクアウトで簡単に済ませたり、仕事の合間に安いランチを食べ、パトロール中に穴に落ち、恋をして失恋もし、そんなありふれた何気ない日常でも、突然男にキスされるという胸躍る事件も起こる(笑)。
31歳で、気が弱くどことなく冴えないヘタレ気味の制服警官ハリーは、日本人の恋人(男)にフラれたばかり。
消沈のある日、勤務帰りのハリーは強盗に出くわし財布まで奪われてしまう。
それを目撃していた男がいたのだが、後日、それが同じ分署に異動してきた刑事で、ハリーの住むアパート、しかもハリーをフった日本人が住んでいた部屋に越してきたドイル・アーデンだと知る。
そんな二人は所轄内で起きた殺人事件で一緒に仕事をする機会を持つが、ちょっと皮肉っぽく先輩同僚にも合わせようとしないドイルの単独行動にハリーは驚かされる。
学生時代に好きだった同級生にちょっと似ていて、警官になったその同級生が殉職したことにショックを受けたはずみで警官に転職してしまったハリーには気になる存在だ。
しかしゲイであることを隠していて、それに関する話題が出るだけでドキドキし、誰彼構わず手を出すほどオープンでもないハリーはだからどうしたいわけでもない。
ところが、ハリーがゲイであることを初対面から見抜いていたドイルからキスをしかけられ、すぐに二人はそういう関係に。
ドイルもそうだったわけだ。
しかしこっから先、二人が愛に盛り上がる・・・というわけではなく、ハリーは日本に去ってしまった恋人にまだ未練たっぷりでドイルもそのことを知っている。
ドイルはハリーに合鍵を渡したりそれなりに気に入っていそうだけれど、「気は長い」というようにゆったり待つ構えのよう。
ハリーは物事を割り切ってテキパキ考えられるタイプではなく、どことなくおっとりさんなのですが、そういうちょっと頼りなさそうな部分が却ってドイルには可愛らしく映るのかもしれない。
殺伐とした街にあって、なんとなく「癒し系」な感じがしますよね、ハリーって。
しかし寝たからといって、これでは「ラブストーリー」とは言えないでしょう。
そういう点を期待するとハズしますが、しかし作者の愛する荒廃したニューヨークの雰囲気は心地良く、好感を持つかたも多いかと思います。
どうやら続きがありそうらしいので、次回も楽しみです。