デコイ-迷鳥-

デコイ-迷鳥-
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神49
  • 萌×214
  • 萌7
  • 中立2
  • しゅみじゃない1

--

レビュー数
18
得点
324
評価数
73
平均
4.5 / 5
神率
67.1%
著者
英田サキ 

作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます

イラスト
奈良千春 
媒体
小説
出版社
大洋図書
レーベル
SHYノベルス
シリーズ
エス
発売日
価格
¥860(税抜)  
ISBN
9784813011774

あらすじ

「俺はお前を信じてる。お前は俺を裏切ったりしねぇよな?」 関東侠和会の那岐には誰にも言っていない過去があった。高仁会前会長の殺人犯を探す最中、過去の亡霊ともいえる男と再び顔を合わせることに… 一方、記憶を失っていた安見は、自分の上司と名乗る男と会い、思いがけない事実に戸惑っていた。自分には火野が必要だ。火野がいなくてはならない。しかし、その関係は偽りのものだった!?裏切りと真実。希望と絶望。縺れ合う憎悪と愛情。そして絆。男たちの想いの行方は!!
出版社より

表題作デコイ-迷鳥-

関東侠和会、鳩
関東侠和会、鳩

レビュー投稿数18

よく考えられたお話

シリーズ上下巻読んでの感想です。この小説は作りが凝っていて、殺し屋・火野×刑事・安見カップルと加賀谷×那岐のヤクザカップルの話が平行して進み、他にも記憶喪失設定・人身売買問題など色々なものを詰め込んでるのにゴチャゴチャせず2つの話が上手く交わり、きっちりと2冊にまとめきっています。ヤクザや警察物のスリリングBLには英田サキさんあり、と言いたくなる存在感。10年以上前の作品ですが今も全く色褪せない名作です。

英田先生のすごい所は事件のシナリオも興味深く読ませるのにBLの肝であるLOVEの部分も一切手抜き無しで楽しませてくれる所。火野×安見の愛憎渦巻く感じはBLならではのパッションで萌え滾りました。短髪の刑事受けめっちゃ好みだし!ヤクザカップルの方は逆に一途な純愛で「長年の愛、実らせました」って感じが良かったです。

14年前の事件の真相や真犯人との決着もハラハラドキドキ楽しみました。BLの枠を超え第一級のサスペンスとして面白かったです。最後に登場した篠原刑事とデコイをつくる喫茶店マスターのシーンも最高でした。カッコいいオヤジ達に全て持っていかれた感じ。こういうハードボイルドBL小説をもっと読みたいのに、最近の日本の作品ではなかなか出会えないのが寂しいです。

1

力作です

「エス」シリーズのスピンオフ、「デコイ」の完結編「迷鳥」です。
「囮鳥」で提示されてきた過去のテロ事件と今の暴力団会長射殺事件の隠されたつながり、登場人物達の絡み合った因縁と情念が解けていく巻です。
火野と安見、加賀谷と那岐、火野と那岐、篠塚と泰原の関係性が、代わる代わる視点を変えながら解明され、緊張感を高めていく構成。非常にスリリングです。
安見が記憶を取り戻していく過程も、よくあるわざとらしさはなくかなり腑に落ちる。いきなり全部思い出すわけではなく、途中のまだらな不安定さ、そして安見がどんな状態であっても何も変わらない火野の姿に逆に追い詰められて同時にどんどん依存していく安見=泰原の描写に唸ります。
BLとして火野x泰原、加賀谷x那岐は「恋人」くくりなのはお約束だけど、この2組の辿る途は全く異なっていますね…そこも読み応えの一つの理由だと思う。
終盤まで読み進めて、人間らしい感情も無い殺し屋である火野の心の真実…
『愛でも憎しみでもいい。どうせいつか死ぬのなら、まじりけのない純粋な感情の刃で、この胸を深々と貫かれたかった。』
…この言葉を読んだ時、火野がなぜ泰原を離さないのかが分かった気がした。作られた人格である安見ではなく、自分の選択で離れていった那岐でもなく、自分の相手は血の涙を流して苦しむ「泰原」でなければならない…
私には、泰原の選択は少々驚きでした。正義側に戻るのではないかと思いながら読んでいましたが。
泰原の弱さ、愛と憎しみ、火野を憎みながら火野といるしかない矛盾を描き切るこの展開に感服。
加賀谷と那岐は……ちょっと甘すぎかな。特に加賀谷がいい人すぎて、火野x泰原のドラマ性と釣り合わない感があります。(BL補給的には良いです)
ラストシーンも甘々で。
これもいいけど、火野サイドからの荒涼としたラストシーンも読んでみたかったような気もします。

1

ひな鳥デコイが飛んだ…

今、ガッチガチのヒマ人上等でシリーズの本編4冊、デコイ2冊、計6冊続けて再読したのですが、いい!私は「デコイ」がシリーズ中1番好きだーと叫びたい\(^o^)/
(あ、でも篠塚お義兄さん主演の「最果ての空」も同じくらい好きだなぁ)




*****ここから薄めのネタバレです*****

私、あんまりサスペンス読まないので(トリックを読解出来なくて落ち込んじゃうんで)感覚違ってたらゴメンナサイですが、「デコイ」こそエスシリーズ中の最大サスペンスですよね?

エスシリーズ本編はエチ描写の過激さと鹿目さんのマオカラーが現時点でも不可能(`∇´)と思うので現実味がほぼないですが、この「デコイ」はR18で上下の映画化、もしくはWO◯OWでドラマ化なんてどうでしょう?

「デコイ 囮鳥」の最後のセリフ
「私の名前は〜」なーんて本当にドラマチック!超とぅびーこんてぃにゅーです。

ただ、BL好きの私もこのままだとチト無理があると思うので、
安見さんはガチガチの女刑事、
火野と那岐の過去シーンだけ男x男
(BLって表するには憚れる過去ですね)
那岐と加賀谷はブロマンス
とすれば成立するのではないかなー。
って妄想もはかどります。

今作で登場人物のそれぞれの思いの伏線の回収が出来ていて読後興奮さめやらず。
私のトンチンカン伏線回収でしょうが語っちゃいます。

本編の椎葉には
ずっと見守ってくれた篠塚
2冊目の永倉の教訓
そして3冊目で描かれてたけど激しいほどに時に暴力的なほど情の深い宗近が側に居た。
だからこそ今でも前に向かって飛び続けていられる。

でも「デコイ」の安見は椎葉とほぼ同じバックグラウンドなはずなのに、
見守ってくれた篠塚は居たけど片羽の蝶つまり椎葉への思いほど強くないからか?
篠塚の思いのはじまりが同情だったからか?止めることが出来なかった。
それともそばに居たのが98パーセント人非人の火野の絶妙マインドコントロールのせい?

とうとう安見デコイは迷いに迷って羽が生えて渡り鳥、怖い怖い親鳥にくっついて飛んでいっちゃいましたねー。

そう思うとイラストのヤスミンの髪型ってひな鳥チック。
でもひな鳥ではない、成人男性の安見本人の意見だものと考え直してたら、おっとと!
火野の述懐を今更ですが思い出して薄ら寒いような…。
ヤスミン!フラフラと籠に誘い込まれていない?
火野は大切にはしてくれるだろうけど、その後の就職とかさー。オバチャン心配!って私の妄想もここに極まれり!

これに火野と那岐の過去もいまの思いもグルグルと巻きついてくるからたまらない。
那岐のジェラシーもこれまでのお話が理解出来ているからストンと私の中に落ちました。
通常では考えられい、幼児体験、刷込みですかね。

とにかく登場人物の数だけ層があるのが「デコイ」の魅力です。

最後の篠塚の長セリフも古いけど"'金田一シリーズ"、"古畑任三郎"(最近の相◯とか科学捜査班とか見た事ないんてますよ)っぽくて嫌味ではないです。
下手なのだと、おいおい、最後に1人に伏線回収させんなよ!とツッコミいれたいドラマや小説ありません?

そしてそして!荒涼とした雰囲気で終わるかと思いきやらそこからのー、バチコーんと萌え萌えに雰囲気チェンジして〆てくれたのが

イブの予定と九十九里浜で周りを確認しちゃうカガヤン!

体格とポジショニングが宗近と似てる?
と思ったけどあちらはオヤジ全開100パーセント、時には変態露出狂?くらいだけど、
カガヤンは待てが出来る乙女オヤジ。
私はカガヤンが好き!誰も聞いてないかψ(`∇´)ψ

そして本作「デコイ」に続く「最果ての空」が素晴らしい!
「デコイ」の前にも読む事は出来るけど、やっぱりオススメは「デコイ」の後に読んで頂きたいんだよな〜。
その方が篠塚お義兄ちゃんの強さの構成段階がわかって良いんですよー。

英田先生の「DEADROCK」と双璧をなすエスシリーズ。
満腹です。

4

2組のカップルの新しいスタート

デコイ 完結編。

安見の記憶も戻り、14年前の事件の真相が見えてきました。
でも14年前の事件の真相以上に衝撃だったのは火野と那岐の過去でした。
お互いに信頼しあい、互いの存在をよりどころとしていた子供時代。でも強くなりきれなかった那岐が下した決別、それを手荒い扱いで責めることしかできなかった火野。
どちらも辛かったんだろうなと思います。

そんな二人も、互いに大事な存在を見つけることができ新たな一歩を踏み出そうとしています。
那岐と加賀谷が二人が海で寄り添うシーンは感無量でした(^o^)

作品自体は2組のカップルの視点、それぞれの過去と現在が行き来するので慣れるまでは若干読みにくい感じがしました。

2

事件はすっきり解決とはいかず?

囮鳥の続きです。登場人物たちの過去、事件の真相が明らかになります。そして、二組のカップルはそれぞれの生き方を選択する。

データでは、加賀谷×那岐となっていますが、上巻から続けて、火野×安見のカップルのその後も描かれます。記憶喪失になってしまった安見が、自分の過去を思い出し、火野×安見が火野×泰原へと変わっていきます。どんなに変わっても一人の男を大切にする火野、しかしその男を利用する冷徹さも持っている、そんな二面性がお話しを深くしています。
一方の加賀谷×那岐の関係も大きく変わります。自分の中で過去を清算するまでは恋愛に発展させないという那岐のこだわりがやや理解できませんが、加賀谷の抑揚が効いた中にみせる本心が魅力的です。

お話し全体を通してはとても読み応えがありました。ただし、那岐の決着の付け方だけは納得が行きませんでした。確かにお話しの中に殺人はたくさん出てきますし、火野は暗殺者、那岐も加賀谷もヤクザです。しかし、那岐視点で読ませる箇所が多いだけに、どれほど罪深い人間であっても、自分の決着の付け方として殺人に及ぶのはとても嫌な展開でした。

しかし全体としてはよく考えられたストーリーだったのでこの評価にしました。

5

肌色対策からのレビュー、安見のその後を考える

「デコイ 迷鳥」、これを開いたときの衝撃を私は忘れられません。
2008年に初版発売のこの作品を私が購入したのは昨年、2014年の秋でした。いつもは上下巻のようなものは揃えて手に入れるのですが、デコイの場合は化鳥を先に、迷鳥の方は後で書店購入したのです。
那岐と加賀谷が表紙の迷鳥はひたすらカッコいいだけで肌色要素は一ミリも無く、意気揚々とレジに持っていったものです。他にblではない本と書店のカバーをきちんと掛けてもらって帰宅し、ワクワクしながら迷鳥を開いた瞬間、うおぉ〜と悶えてしまいましたよ。
迷鳥をお持ちの方はもうお分かりでしょう、表紙を開けばそこには肌色がドーンと、乱れたベッドに那岐と加賀谷のあられもない裸が描かれ、「・・・頭の中で俺を犯す時は、こんなもんじゃないんだろう?」のキメの一文がこれまたドドン!
店員さんの態度に変化はなかったけど、カバーを掛ける間はこれを見てたはずです、まさか表紙下にこんな破壊力抜群の肌色が潜んでいようとは!
以来、私は一つの対策を打ちたてました。シンプル且つ超有効な方法です。それは、「カバーお掛けしますか」と聞かれたら「紙だけください」と言って、カバー用紙を袋に入れてもらうのです。
この方法ならば、表紙下にどれだけエロい姿が仕込まれていようが怖れることはありません。我ながら最強ですよ!
私のような体験から書店購入をためらう方は是非、紙だけというこのマジックワードをお試しください。
次の行からやっとレビューです
デコイは椎葉が主人公だったエスと世界観が共通していますが別の話です。
主要な人物は記憶喪失の青年、安見亨と得体の知れない闇を感じさせる男(カバーより)火野、関東俠和会に属する美形の那岐と補佐的立場の加賀谷。
私は那岐が一番好きではありますが、気がかりなのは安見のその後です。
少年時代にデパートの爆発事故で父親を失い、警官となってからは身体を張って真実を追った安見。
テロの実行犯は火野と那岐でした。
安見は何もかもを失い、火野と共に日本を離れますが、その後二人はどうなったのでしょう。
何といっても火野は、今度大切な人間を失うくらいならいっそ「翼を切ってしまおうか」とも考えてしまうほの暗い殿方。
安見は仇の可能性ありと分かっていて、セックスまで許した強靭な意思の持ち主ですからね、一波乱も二波乱もありそうです。
拳で語り合うというような、愛を語りながら命を狙うというような!それでどちらかが、大怪我しそうな感じがしますね。
エスの椎葉と宗近、那岐と加賀谷のように幸せな場面がなかなか浮かんでこないのが悲しいところです。
ですが、寂れた田舎町とか無人島とか、案外そういう所でなら二人で穏やかに暮らしていけそうな気もします。
火野はサバイバル能力に長けてそうですし、俗世間とは離れた環境が二人には合うような。
英田先生、安見とひ火野のその後をペーパーか何かに書かれたという情報もチラと目にしたのですが、彼らの未来に光あれと願い、レビューを終わります、読んでくださってありがとうございます。

7

絡み合う

先に“最果ての空”を読んでしまっていて、そちらで泰原(安見)がどうなったのか数行語られていたので読んでいて切なかったです。
潜入捜査も、火野に気持ちを寄せてしまったことも、とった行動もすべて自ら選んだことといえ、泰原が悲しい。あまりにも悲しすぎます。
喫茶デコイのマスターは最初から何かありそうで、火野の最終的なブローカーかと思っていましたが違う人物でした。
そして篠塚兄さんはどうあっても孤独になってしまう人なのでした。
ウザいぐらいにまとわりついてくれる人が現れればいいのに。
囮鳥、迷鳥とも、表紙に鳥の羽でさりげなくSと描かれているように見えます。

2

シブイ人

丸ごと一冊全部がひとつのストーリーでした。

1巻からどんどん展開していって、
更に面白くなる一冊です。

昔の親玉サンがこんなとこに出てくるのかーっという
楽しみなんかもありw

「エス」のスピンオフという位置づけですが
「エス」を読んでいなくても、十分たのしめると思います。
もちろん読んでいると、「この文章はアノ事ねっ!」と
関連が解りますが、読んでいなくても
ちゃぁぁんと解るように説明がされているので大丈夫かと^^

満足感いっぱいの作品でした~。

0

素晴らしい!!!

面白かったです。!非常に、重みと、深さがある作品でした。火野、の妖しい感じが魅力的です。安見、の切なセクシーぽいところが、いいね。加賀谷、の懐の深さ。いい味出してマスネ。那岐、が、カッコ可愛い。一目惚れしました。顕司、愛してるよ。自分は、中坊か?笑)

2

「デコイ」というタイトルの素晴らしさがわかります

「囮鳥」に続きこっちはヤクザ組の2人が大変美味しいです!!!特に那岐の活躍というか、行動が。モラルは置いといて、苦しみつつ過去から目をそらさず、自分の為すべきことをやるという信念を貫いて動いているのがとても格好良かったです。支える加賀谷が「迷鳥」からより一層人間くさい面を晒してくれ、本当に良い男でした。「迷鳥」ではこの2人のお話に救われました。一方の火野×安見はなかなか救いどころが難しいところで、お互い「堕ちた」者同士で、読んでいて終始心を締め付けられるような思いでした。
また、火野と那岐との関係にも決着が着き、それに伴い「囮鳥」でのさりげない伏線が「迷鳥」で実は・・・!となる様々に事実に、「っ・・・・!!!」となんとも声にならない声が湧いてきました。
全く人間らしくなかった火野が、ある回想シーンの一部と、最後那岐の前で人間らしい一面が伺えたところはすごく救いでした。安見を自分で選んだことで気持ちは嘘ではないと思いたいけど、やはり最後はどうしても火野×安見に関してはモヤっとさせたままなので、火野×安見に関しては頭で補完をする必要があるかもしれません。

2

過去の償い、そして旅立ち!

ドラマの始まりが、火野と那岐の子どものころに起こした、
事件が発端だった、ビルの爆破事件。

それのせいで、運命を狂わせた、人々がまた事件を起こす。
二組の愛情が、せつなくも狂おしく、読む者の心にせまってくる。

火野と那岐の幼いころの、人身売買から、売春そして、人殺しへと、
変わる事情の悲しいこと、世の中の理不尽を感じさせる、
奥深いお話、これはいくら、レビューで、語っても、
理解できない、是非実際にこの本をてにとって、
読んでもらいたい、BL文庫で、かたずかない、ドラマが見える。

ちょっと、難しい語りになったけれど、イラストの癒される、
どのシーンも、最高にカッコイイ、どの人も個性が有って、
誰が好きとは言えないが、本当は私は,加賀谷が一番好き・・・!





2

那岐のカッコよさに死にそう

レビュー書きたくないような書きたいような微妙な気分です。
これで、今現在刊行されてる英田サキさんの商業作品のすべてのレビューをしたことになるので、寂しいのですよw
ちまちま書いてたんですが、追いついちゃったな。

デコイシリーズの下巻です。
登場人物の壮絶な過去がまるごと明らかになって、物語は幕を閉じる。

最後はまんまとやられちゃいました。篠塚が見抜いた真相に。
読み返すと分かるんですが、これ、ちゃんと伏線貼ってるんですよね。あからさまな伏線が。
篠塚は寂しい男だね。
この後の物語となる『最果ての空』を読んだあと、この作品を読み返してみて、篠塚に対してまた違った思いが生まれました。

で、なんといっても今作は、那岐です。那岐のカッコよさが半端なかったです。
誘い受けっぷりが、私の趣味ど真ん中でした。
加賀谷と那岐の初エッチの場面、何度読みかえしたことか。しかもエッチの最中より誘うところが好きで、そこばかり…w
彼のけじめの付け方も好きでした。儀式みたいだなと思いました。

 あれは裁きでも罰でもない。ましてや自分が正義だとも思っていない。

まさしく過去を乗り越えるためだけにした儀式だったんだろうな、と。
ラストシーンでの加賀谷と那岐の明るさに救われました。

対する火野と安見は…。
もうこれ安見が可哀想…w惚れたらいけない男に惚れたんだなと改めて思いました。
火野はたぶん根本的には変わらないし、変わって欲しくないとも思う。
ラスト近くにある火野視点の数ページ、なんか悲しかった。なんだろうね、この男は。
彼のイビツな庇護欲に、鳥かごの中の安見が壊れてしまいませんように。

3

木で作られ羽ばたくことのない『デコイ』が ボロボロになりながらも ようやく自分の羽で空へ羽ばたいていったラストに涙したー。

火野、安見、那岐、加賀谷・・・4人の想いが交錯するお話。
-囮鳥-の続編になります。

記憶喪失の男 安見の記憶が戻り
火野と那岐の閉ざされた過去が語られます。

めまぐるしく明らかになる過去、過去、過去・・・
壮絶な過去が語られ
いつしか読者である私は、加賀谷視点になってました。
加賀谷が、壮絶な過去を持つ登場人物と読者を繋ぐ架け橋になってる気がしました。

火野と那岐が、欲しかったモノ・・・
かつて火野が那岐に求めたモノを安見が与え
那岐が火野の求めたモノをを加賀谷が与えた
のかなぁと思いました。

BLのお話に中国マフィアが登場すると
急に陳腐になってしまうことが多いと思うのですが
『デコイ』にいたっては陳腐さは微塵も感じませんでした。
非現実的な世界であるのに、どこか本当に存在しているような
そんな錯覚が消えませんでした。

途中からは涙涙涙・・・

火野と那岐は“共犯者”という言葉を使うのですが
“被害者”でもあったんじゃないかと思います。

誰が『デコイ』だったのか・・・
人形のように作り変えられ、狩猟のための道具とされた2体の『デコイ』
木で作られ羽ばたくことのない『デコイ』が
ボロボロになりながらも
ようやく自分の羽で別別の空へ羽ばたいていったラストに涙したー。

『エス』シリーズの篠塚の語りがまた本当によかった。
篠塚の過去、篠塚の人となりがわかる『エス』シリーズを読んだ後だと
本当に篠塚の言葉が重く感じて本当にグっとくる。
篠塚は『エス』シリーズでも脇として登場してましたが
ちゃんと過去のある脇。
英田さんのお話は、登場人物がそれぞれ生きてきた過去を
ちゃんと抱えていてそれが紡ぎ合ってお話が出来てる。
だから深みがある・・・。

うーん、本当に素晴らしい。

また、ここまで人間ドラマで魅せちゃうと
エロが少なめっていうパターンもあるかと思うんだけど
『デコイ』は、ちゃんとエロいんです。
胸が締め付けられるようなせつないエロ・・・
そして甘くて蕩けそうなエロ・・・
ちゃんと詰まってる!BL本だもん、基本もちゃんと忘れてない。
そこがまた素晴らしいのです。

本当に素晴らしい。
素晴らしいのです。

7

那岐に完敗!

超面白かったです。
というか、最初のカラーイラストでもう撃沈だったんですけども。
那岐のセリフにもやられてしまいました。
やっぱ那岐だよ…。

今回のお話でデコイ完結でして前回からの事件も終息していきました。
最後の最後に篠塚の推理?が出てきて「おおっ」てなりましたが。
そこまでは思い至らなかったのでね。
那岐の過去についてもわかったし、火野がどんな思いで那岐にあんなことをしたのかもわかったし。

火野Sideとしては安見が全てを思い出して。
それでも自分の気持ちや在り方に悩んで。
そんな安見が可愛くて仕方ない火野。
先日の事件の時に自分でも驚くほど安見に執着していることに気付いてお気に入りの言葉を囁き続けて。
いつかそれがただの遊びでも言い続けたら本当になればいいと思う火野の心のままに本当になればいいのになぁと思いました。

那岐Sideとしては自分なりに過去への道を見つけて加賀谷と向き合うことになるんですが。
もう、うわーうわーうわーって。
那岐さん、それ、誘い受!
今の今まで茶化したような関係だったのにすっきりしたというか素直になった那岐さんてば…。
甘いですよ、あまーーーーい(笑)
いや、加賀谷の方も大概な気がしないでもないんですが。
なんかイチャラブでびっくりしました。
もっとドライな関係なままなのかと思ったんですが違いました。
お互いホントに好きだったんだなーと思いました。

2

納得のラスト

事件の捜査を進める中で那岐は誰にも言えない過去の、亡霊と再会する。
一方の安見は自分の上司と名乗る男から”真実”を聞かされる。
それは今まで信じてきた自分と火野の関係を真っ正面から否定するものだった。
絡み合う過去と現在、愛情、憎しみ。
そして……

ただの愛情だけで決着しない人間関係にときめきでした。
火野と那岐の関係性が好き。
この二人の別れのシーンがすごく印象に残っている。
彼らだけではなくて、物語は終わってもすべて人たちは続いていくっていうのを感じさせてくれるお話でした。

途中まで色々なBADエンドが頭をよぎって、ほんとびくびくしながら読みました。
特に火野と安見のカップル。
この二人の行き着いた関係が好きだ。

エスの時みたいに無理矢理大団円とかじゃなくて、キレイにまとまっているなという印象です。
そういえば、今回も佐藤さん(仮)が置いてきぼりですね。
いつか佐藤さん(仮)が幸せになれる日が来ますように。

1

籠の鳥

『デコイ囮鳥』の続き。
なので囮鳥から読まないと意味がわからないと思います。
囮鳥~迷鳥と読んですごくおもしろかったし読み応えありました。

迷鳥では過去がわかります。
那岐と火野の過去にはびっくりですね。2人はどういう関係なのかずっと気になっていたので知れてよかったですが。
過去や謎や爆破事件の真相がわかって、全てパズルにピースがはまった感覚でした。
今までもやもやしたものが全てわかってすっきり!笑
安見も記憶が戻りますしね。

加賀谷×那岐、火野×安見と2カップルでてきましたが、私は加賀谷と那岐のカプが好きかもしれませんw
那岐が誘い受けだったとは…w「もっと激しく動け」とか「俺の中に出して…」とか萌え死ぬかとwよかったね加賀谷!笑
2カップルとも結ばれるし、これからも一緒にいるみたいですが、火野×安見のカプは見方によっちゃあバッドエンドかもなあと。
火野と安見の場合「愛しさ」のほかに「憎悪」という感情も混じった感じですしね。安見は火野の籠の中の鳥だと思いました。奈良さんの挿絵が印象的です。

最後は予想外でした。まさかあの人が…。思わず「え!?」って言っちゃいましたよw
2カップルでてきても話はちゃんとしてますし、むしろ1ストーリーに2度も萌えられるようでとても満足です*

3

Alice

*エレニ様
始めまして!コメありがとうございます♪
那岐の誘いっぷりにはかなり萌えましたよ~
加賀谷には祝福の気持ちでいっぱいです(笑)

火野と安見はちょっと影がありましたよね。ハッピーエンドと聞かれればそうとも言い切れないし。でも2人は一緒にいる運命なのかなあと。
火野は安見に殺されてもきっと幸せなんでしょうね…。

エレニ

Aliceさま
こんにちは。はじめまして。エレニと申します。
ホント、那岐の誘いっぷりには萌えましたよね~。
あんなに色っぽいとは…!加賀谷も長く待った甲斐がありましたね。

火野と安見は幸せな終わり方じゃなかったですよね。この二人、今後どうなるんでしょうね。安見が愛と憎悪の狭間で壊れてしまわないかと心配です…。

スピード感に陶酔

息を詰めるように読んで、しばし放心。
前編で広がったものが、一気に収束。スピード感があって、苦くて、最後は甘かった。

前編は主に火野と安見の出会いとやりとりがゆっくり語られ、二人の関係も何かねっとりとした不安感があるものの甘やかで優しい。
後編で安見が記憶を取り戻してからは、火野が一気に覚醒・・・
やはり只ものではなかったね。火野。
まさしくLOVE and HATE。そして束縛と執着って感じで、歪みが一気に露わに。
その歪みっぷりがどっか淋しく悲しくて、やはりノワールでした。

ラブの方は前編でハードな顔を見せていた、加賀谷と那岐がどちらかというと比重高い。
那岐はともかく、加賀谷を受け入れる理由ときっかけが欲しかったんやね。
後半はもう二人ともふっきれたように愛の告白合戦になっとります。

後編の方が一気に進むので、スピード感は気持ち良かったけど、安見にしても、那岐と加賀谷にしても、火野と那岐にしても、それぞれ一冊書けちゃうくらい濃いいので、もったいない気も。
もうちょっとじっくりで、上中下でもよかったんではないだろうか。

加賀谷の強く厳しく優しい愛が最後に残ってラストは特に甘いです。

3

闇>光

念のため、作者もおっしゃっていますが、前巻「囮鳥」を読まないと、お話は判らないかと思います。

主軸となる事件は、表面的には時効が成立しますが、お話的には解決します。
そんな裏があったんですね? む・息子? えっ?そこでやっちゃうの? なんと・そこに大物が!っていう感じの展開があります。

事件によって人生が変わってしまった3人(火野・安見・那岐)が主役な訳ですが、英田氏が言うところのAカップル(火野×安見)が結局どんな最後を迎えるのかと色々考えながら読んだところが大きかったかなと思います。
実はこのカップルの本当の結末までは書かれていないので、ちょっと欲求不満気味でもありますが、そこまで書いたら小説じゃない気もします。
安見は結局、火野に落ちた感じがありますが、火野が那岐に別れを告げるシーンがあることによって、火野も安見を選んだんだなと、納得できます。人という字は支えあって・・・な関係に思えました。

Bカップル(加賀谷×那岐)は那岐が過去を昇華して、人間らしくなっていくにつれ、いい関係に発展してくれます。全体を通して『闇』の部分が多いお話ですが、加賀谷の那岐を思う姿に癒されます。この巻は、表紙がこの二人ですが、中のイラストもこの二人のものは顔がにやけます。Aの二人のものは、どうしても「痛い」んだ。

で、一番かわいそうなのは佐藤さん(仮名)かなっと。エスでも救われていないし、今回も置いてきぼり、次回作とかで幸せにしてあげて欲しくなっちゃう。

9

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