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10年前よりも、昨日よりも、今が恋しい
作家さんの新作発表
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「帝都万華鏡」シリーズ4作目。
1作目のメインCP・京介x琢馬アゲイン。
2・3作目が、京x琢が成立する途中(せつ子さまがまだご存命の時)の春洋の物語でしたので、こちらは原点に立ち返って…というかたち。
1作目の後の時間軸で、京介と琢馬は想いを通じあわせています。
その上で、やはり運命はそう簡単に恋人たちを安らかに愛し合わせてはくれない…
琢馬は、詩が書けなくなる。
そしてそれを京介に言えない。
詩を書けない自分は京介に愛してもらえるのか?を疑う詩人は、独り悶々と悩む。
一方京介は、今までの琢馬の未発表詩作をまとめて私家本を作ろうと考え、ただ琢馬を驚かせたいと黙って奔走する。だから逢瀬も少なくなり…
あゝすれ違い…
そしてそこにひとり、搔き回す男が出てくるわけで。琢馬に向かって、京介がお見合いして相手と何度も会ってる、あなたは先輩にたかっていますとか言っちゃうんです!
当然琢馬は動揺し…
しかし。
『片恋は一人でできる。しかし恋を育てるのは一人ではできない。』
この京介の永い永い覚悟と。
『欲しいのは優しさじゃない』と言える剛さを獲得した琢馬。
長い時を経て、琢馬は妻の死も経て、今2人の愛はついに追いつく。
ラスト、「…お前に触れたいよ」と京介の腕の中で囁く琢馬が、上体を起こして京介を組み敷く時、涙しながら京介を欲しがる時。
もはや攻め受けの「役割」など無く、ただ愛し合う2人の姿だけが幸福感に包まれて、これからもっと永い時を共に過ごすのだということを示している…
…このラストの性愛シーンは、琢馬が怪我をしているという状況があるわけだけれど、京介から琢馬への挿入は無しなんです。琢馬が上になって、琢馬も挿れはしないけれど、これこそが対等性というか、精神的なリバーシブル性が感じられて、最後に感動が来た…!という感覚でした。
この「帝都万華鏡」シリーズ、第1作目は文学的な文体に戸惑いながら読みましたが、4作目になって慣れたせいもあるのか、流れるような華麗な文章に気持ち良く浸りながら読了しました。
堪能しました。
シリーズ四作目は、第一作目の京介×琢馬の続編。
スランプと亡き妻への罪悪感に苦しむ琢馬(受け)。
京介(攻め)に縁談が来たことも手伝って、何となく京介と疎遠になってしまう。
すれ違いつつも、互いのため覚悟を決める二人の姿が感動的です。
縁談関係ですれ違うというパターンは、すでに二作目と三作目で使われているため、ややマンネリ感があります。
しかし、大正時代を舞台に男同士の恋を描くとなると、これは避けて通れないテーマなのかもしれません。
このシリーズの中で最もいいなぁと思ったのは、京介と春洋の友人関係。
言いたいことを言い合って、ときに拳が出てもお互い水に流す。
気障な二人が、互いにだけ弱味を見せ、さりげなく支え合っているところも良かったです。
お前に惚れりゃあ良かったよ、なんて台詞が出てくるほど仲の良い二人は、色男同士で確かにお似合いですが、この雰囲気は友人だからこそ出せるんだろうなと思います。
そんな二人の間に割って入る紘彦を、春洋がスパッと諌める一連のシーンにも笑わせてもらいました。
最後にこんな微笑ましいやり取りが拝めるなんて、ここまで読んできた甲斐があるというものです。
思えば一作目読了後は、各巻ごとに違うカップルが登場する群像劇風のシリーズ展開を期待していたため、三作目以降の展開にはいささか拍子抜けしました。
しかし、メインとなる登場人物が限定されたことで、ミクロな視点を通したきめ細やかな心理描写が可能となっており、これはこれで読み応えあるものとなっています。
シリーズとしては番外編でもう一冊、別カップルの話がありますが、ここまでの二組のカップルの話はここで終わりです。
大正の四人の男性の半生を描いたシリーズ集大成に相応しい、地味ながら味わい深い続編でした。
シリーズ4作目だが、京介×啄馬としては続編に当たります。
おぼこい青年であった啄馬が一途攻めの京介とようやく結ばれた前作。
今作ではつきあう恋人同士ならではの葛藤を描いています。特にストーリー全体に山があるわけではないので、連ドラのような平坦な印象。京介の見合い話が持ち上がったり、啄馬が書けなくなったり、当て馬が登場したりと色々な邪魔が入るもハッピーエンドな展開。
当て馬くんは啄馬を牽制しに来るのですが、割と早い段階で誰に気持ちがあるのかは分かってしまいます。
まあ、最後の締めくくりで一応のカタルシスは得られるものの、作品としての満足度はあまり高くなく、続編だから読んだ、という感じ。
啄馬のスランプは特に解決せず終わります。物書きなら現実問題かと想像しながら読みましたが、その辺の落ちのつかなさもありちょっと辛い評価になりました。
とうとうこのシリーズも、これで一応の区切りだそうです。
『桜の頃を過ぎても』で恋人同士となった啄馬と京介のその後が描かれます。
前作では妻の死で弱っていたところを京介に絆され流されて、
彼の思いを受け入れたかのようにも見えた啄馬でしたが。
ちゃんと啄馬も京介に対しては熱い思いを持っていることが、
この作品で判りました。
啄馬が初めてのスランプに陥り、それを京介に相談できずにいる時。
京介も仕事が忙しくなり、啄馬と会えない日が続く。
そして京介の見合いの噂に、京介の帝大時代の美作が、
二人の関係に割り込もうとします。
時代は大正です。携帯電話もありません。
なかなか会えない時間は、お互いを不安にさせ、擦れ違ってゆきます。
その不安の中で、啄馬が京介に対して驚くほどの熱情を持っていた事を自覚する
展開がツボで、萌えました。
あとメインカップルではないですが。
春洋に柿を食べさせる京介が好きです。
これは今さんの挿絵も良かった!
そして最終巻でも詳しく語られることがなかった京介の兄(大介)の話……
大介の過去、伊部とどういういきさつがあったのか、とても気になります。
いつか番外編か何かで、書いて頂きたいと思いました。