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溺れたいというのなら、俺を誘え。
表題作と短めの続編、2作品が収録されています。
社会人カップルの話です。
「似合わない恋人」
春弥(受け)は、8年付き合っていた彼女に手ひどくフラれたことから、カッコイイ男になろうと奮起して、見本が多そうなお洒落なバーに出かける。そこで織田(攻め)と知り合い、親しくなりますが…。
織田に抱かれる覚悟をしたときの、恋じゃないけれど失いたくないからという春弥が、嬉しそうな織田を前に罪悪感に駆られる場面が好きです。
「お似合いの恋人」
恋人同士になった二人ですが、春弥は店の片付けや引越しで忙しく、甘い雰囲気にはなかなかなれません。新しい就職先として、織田は自分の会社に来るように春弥に言うが、断られてしまい…。
感情的にならず、分かり合おうとする二人なので、落ち着いて読めます。織田が上位かと思えば、そうでもないというのが面白かったです。
「似合わない恋人」では、織田が好きだからこそ、別れを言われるのは辛いから、と先回りして逃げてしまう春弥を織田が追いかけてくるという王道パターンでした。春弥の目線で進んでいく事もあり、織田が惹かれる春弥の魅力がいまひとつだったのですが、続編の「お似合いの恋人」では、春弥の良さが織田の目線で語られていて、ぐっと好感度が上がりました。
単に自分に自信がないネガティブな男かと思えば、仕事にプライドを持ち、織田とも対等であろうとする、だけど意地を張るわけでもないという、絶妙なバランスの持ち主でした。
織田も、与えようとするのは自己満足だ、と反省をして大人の余裕も見せるものの、恋人とはベタベタしたい!と欲望も露わにする魅力あふれる男前でした。
白い花を背景とした表紙イラストも素敵なので、ぜひ手にとってみて欲しい作品です。お勧めです!
受け視点の表題作と、攻め視点のその後「お似合いの恋人」の2編構成。
「似合わない恋人」
「大人の男」になりたい、と思って身なりを整え、老舗バーに挑戦する春弥。
しかしそこでの振る舞いに慣れず、カウンターのグラスに肘をひっかけ、はずみでスツールごと倒れそうに!
そこを助けてくれた大人の織田。
こんなヒネリの無い出会い方も、だし、その後これでもか!と出てくる春弥の卑屈な性格、その原因の元カノ、等々、なんだかなぁみたいな気分で読み進めるわけですが。
とにかく、何に対しても「俺なんか」。
織田がどんなに率直に接してきても「俺なんか」。
ついに織田から直接的に「抱きたい」と請われても、春弥がまず考えるのが「断って嫌われたくない」な訳で。
そして、一度は愛し合った後書き置きと上着を残して織田の前から消える春弥…
まあね?織田は本気ですから?
本気で探し回って再会を果たし…というハッピーエンディングです。
…という本編の平凡さがあって、次に攻めの織田視点での「お似合いの恋人」が続くわけですが…
「お似合いの恋人」
こっちは面白い!
自分視点ではウジウジと自己否定している春弥だけど、織田視点では芯が強くて頑固でプライドを持っている男、として描かれます。
施しはいらない。
そんな春弥をきちんと尊重して、テイラーとしての春弥とビジネスパートナーになる事で春弥と本当の「恋人」になれる、と理解する織田の姿が描かれます。
この織田視点が無かったらとんだウジウジ野郎にしか見えない春弥ですが、両視点を読んでみたら2人のバランスがなかなか面白く感じられました。
総合「萌」で。