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barairo no jinsei
作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます
読んでいて、高校生の頃、授業でやって全然ピンとこなかった羅生門のことを思い出して、このお話と抱き合わせて腑に落ちた感じがした
出所した頃のモモの物の考え方の卑劣で醜いこと
それが仕事で信頼を得て、恋人ができて、失いたくない居場所があることで考え方や振る舞いが別人みたいに変わる
そういう物だよな…なんで昔の私は解らなかったんだろう
そして十分に愛されていたのに、なくなるハズがない両親では失いたくない存在にはなれないってこと
人間はやっぱり段階を追って他人との絆を結ばなきゃ今一つ覚悟が決まらないとかあるのかも知れないな
兄だって、自分が弱って借金を負って病に冒された状況になったらモモのことを思い出したりして
冷静でないとしか言いようがない
自分がいない状況で良くて相続放棄の妻子に前科3犯の人間との繋がりを作るなんてあり得ないのだから、弟と縁が切れていることには安心こそすれど会いたがるなんてまともな考えじゃない
でも、モモがお金を融通することで、感謝される経験、甥達と言う未来のある存在が自分の身内にいると思える状況を得られたことは良かった
損得考えるくらいまで何も持ったことがないからこそ、毎月20万をあげてしまうなんてことができちゃうんだよな
軽率さがよく働くこともある
モモは人生の前半はなんであぁなっちゃったのかな…
恋愛は始まりはなんでも良くて、絆されてこの人って決めた相手を大切にしあえれば恋人でいられる…けど、ロンちゃん、本当に?本当に良いのか?
読んだだけなのに天国のロンのお母様に申し訳ない気持ち
ロンちゃん人付き合いダメそうだけれど前科3犯の頭も顔も良くないおじさんじゃなくてもさぁ…モモがいつまでも引け目を感じるの無理もないよね
幸せならOKですとしか言いようがないけどさ
風俗店マネージャー百田×真面目すぎる警察ロンちゃん。
痛い、辛い、切ないが多い木原作品としては、甘すぎるほど甘く、ハードルは低めです。
終わってみれば愛が溢れた優しいお話でした。
百田の過去とロンちゃんとの始まりが相当にクズ。
そんな百田がロンちゃんのために更生し、ロンちゃんのために浅慮で暴走し、ヒヤヒヤさせられます。
本当に浅慮過ぎて頭を抱えたくなるのですが、彼の人柄や優しさが溢れていていつのまにかみんなが百田を好きになる。(本人はロンちゃんに夢中、そこがいい)
ロンちゃんも、真面目過ぎて人間味がなかったお巡りさんが、百田と出会って人間的になっていく。正反対の二人が素敵な相乗効果で見事な割れ鍋に綴じ蓋!
百田が作中何度もロンちゃんとの出会いに感謝しているけど、本当にこの二人が出会えてよかった。
百田の過去に涙し、ロンちゃんの愛に涙し、本編後のロンちゃんや甚呉さん目線の短編でほっこり。
ヤマシタトモコ先生のイラストがイメージ通り。小汚くてカタギじゃなさそうな百田、真面目で精神の清楚さが見た目に出ているロンちゃん、素晴らしかったです。
また何度も読み返したい神作品です。
読後も百田が完全なる善ではないということは忘れたくないなと思う。人間は変われる、を強く信じていますけれど、百田に人生狂わされた人絶対いるだろうに。そういう人に殺されたって同情したくないなと思ってしまう。曲がらない小指のくだりを胸に刻む。
創作物の登場人物としての百田はとても好きです。涙脆くて情が深くて頭は弱いロンちゃん至上主義。
持ち金全部でクスリを買ったり、老人を襲ったり、そういう男が風俗嬢達に「愛想よくて、優しくて、話好き」って思われて頼りにされていることは良いなとは思う。すごく強運の男だよな〜死んでておかしくない場面だらけ。ロンちゃんも社会的に死んでもおかしくないところがちょこちょこ… 百田に性病がなくてよかったな。
木村(ヤクザ)もそうだけど、浅はかな登場人物が多い。
そこまでのネタバレはありませんが一応付けました。
木原さんの作品の中で沢山登場する、愛すべき底辺人間の中でも特に優しい部類の百田が主人公です。ヒリつく様な心理描写は控えめかと(かなり麻痺してるかもしれません)。
3度も薬で捕まり、家族も無くし、後々恋人になるロンちゃんとの出会いは最悪だし、顔も頭も悪いしゲイ。けれど見捨てず助けてくれた唯一の人ロンちゃん(浜渦論)の為に生きると決意し、それでもバカなことをして、泣いて、、というお話です。
百田は学生時代の行動はかなり荒暮れていたようですが、このお話の範囲ではクズ行動よりも論の前でグズグズしたり、悪い事をせず生きたい、役に立ちたいという思いを常に持っているので余り胸糞悪い展開もない…かと思います。それでも違う方向に突っ走っちゃって、読んでいるこちらも冷や汗を握りました。自分が底辺で頭悪くてetcとかなり自覚もあります。とにかく自分の否をこれでもかと自覚し、大好きな論には気弱さと確固たる愛を持って生きていく優しいお話でした。
また、論の弟、眞迩(まに)!他の漫画だったら白けそうな名前なのに登場から好きでした。浜渦家の名付けセンス好きです。歳の離れた論の意外な一面を、百田の話や関係性で知るのですが、論が受けた百田の影響がとても分かりやすく現れていました。そして論の警察なカッコよさも見せてくれます。
論視点のお話で、論も普通の警察人間ではなく欠陥人間だと気付くのですが、その視点でも百田が人としてちゃんと役に立っているのが知れて良かったですし、論から相談を受ける同僚のリアクションもまた逐一面白い!
論の気持ちを聞いて思わず両手を合わせた百田のセリフが上記タイトルです。頭が悪くて、でも憎めない愛おしいキャラ百田の素敵なシーンだと思いました。論から「大事な話がある」と前置きされ、遂に別れ話か…と早とちりして大号泣する百田も面白くて可愛くて愛おしくて大好きでした。
凄い!最初から両想い!ラブラブだ!!!
不細工でドクズな攻めこと百田が受けのロンちゃんと出会いとびっきりの幸せをもらいつつドクズ人生から足を洗って歩きはじめているお話。
百田は常にロンちゃん大好きだしそんな百田を同じくらいの気持ちで大事にしてくれているロンちゃんに終始癒されます。
口数多い方ではないしそもそもなかなか会えないけど、素直な気持ちをのせたロンちゃんの言葉は一つ一つ重みがあり本気さだったりひたむきさを感じる。
なんて幸せな両想いなんだ!!
うまくいっている二人なのに、百田はこんなダメダメな自分は本当はロンちゃんにふさわしくない…と悩み、いつか別れを切り出されるのでは?と怯えつつも、ロンちゃんの役に立とうと無茶をします。
まるで自分がプラスを与えられるものがそれしかないように。
過去の汚点にされたとしても一つくらいはいいことあったなと思ってもらえるように。
長続きさせることだけを考えればいいのに、そうもいかないんですよね…。
その時がきたら死んじゃうくらい耐え難いいつかの別れを恐れながら、幸せいっぱいでいる百田を応援したくなりました。
そんな百田に責任をもち続けた結果、真摯に好きにもなってくれたロンちゃんからプロポーズしたのはぶわっときました。
あとヤキモチ焼きがちなところも可愛い!!
ラブラブなんだけど、胸焼けがなくてスラスラ読めました。
良かった!!!
「バラ色の人生」というタイトルの歌は、同名のシャンソンのカバーからオリジナル曲まで、古今東西、多くの歌手に歌われており、愛する人への想いを歌ったものが多いようです。愛は素晴らしいもの。だから愛の歌がたくさんある。でも一方で、ひとは皆が愛を見つけられるわけではないことも知っています。
本作品は、前科者・モモと刑事・ロンちゃんの愛の話だけではなく、愛を得られなかった人、不慮の事故や病気で命を落とした人たちも描くことで、人生の出会いの不思議さや儚さも描いているように感じました。何度読み返しても、読後は甘さと苦さ、切なさが混ざりあった、割り切れない感情が湧いてきます。
自分の放蕩のせいで親を事故死させたと知ったモモ(百田保男)は、自殺を図ろうとしますが、当時新米警官だったロンちゃん(浜渦論)に止められます。責任取れ、とモモが無理やりロンちゃんを抱いたことから、二人の関係が始まります。ロンちゃんが「初めて」を差し出したことを知り、モモは恋してしまいますが、その想いを伝えたのは一年後。さらに一年後、ロンちゃんからも好きだと言われ、なんと二人は両想いになります。
二人の出会いは偶然ですが、ロンちゃんが「自分の言葉に責任をとりたい」と思わなければ、モモが脅してロンちゃんを繋ぎ留めなければ、二人の関係は続かなかったことを考えると、出会いのその後は、まず一歩踏み出すかどうかにかかっているように思えてきます。そして、続けば「縁があった」、続かなければ「縁がなかった」、そんな風に考えるしかない。つくづく出会いは不思議だと思います。
儚さを感じたのは、モモとリナの出会い。
リナは薬物をもらうためヤクザの子飼いの男と関係を持っていました。モモがロンちゃんの役に立つ情報を得ようとヤクザと接触したことから、出会います。薬を早くやめろと諭すモモに、リナは「責任とってよ」と、遠回しに想いを伝えたのですが、モモには伝わらず、リナはその想いがきっかけで殺されてしまいます。
出会いのタイミングは思い通りにならないし、リナがモモの言葉を受け入れていれば、結果は違っていたのでしょう。愛されない悲しさがリナと相手の男を誤らせてしまったのかと思うと、出会いの儚さだけでなく苦さも感じてしまいます。
モモの両親と兄、ロンちゃんのお母さんも事故や病気で亡くなっています。悲しいことですが、これらのことがあったからモモとロンちゃんの出会いがあったのかもしれないと思うと、やはり出会いの不思議さを思わされます。
出会いとは人生の分岐点のようなものかもしれません。
そして、人生に様々な色を添えるものでもあるのでしょう。明るい色だけでなく、暗い色も。モモの店の明るい女の子たちや危ない客。ロンちゃんの頼れる先輩・甚吾、警察社会の殺伐さ。決して薔薇色だけではない世界。
だからこそ、モモとロンちゃんが互いをありのまま大切に想う描写が、胸に温かく、切なく響いてきます。
そんな二人が性格は正反対で、愛されることに自信がないのが同じだったことが、微笑ましくて。
愛する人との小さな幸せ。一つ一つを積み重ねることが、きっと心の中に薔薇の花束を作るのかな。あらためてタイトルを見て、そう思いました。
二人の置かれた状況は多難すぎるもので、しかも攻めのバックグラウンドは悲惨すぎる&最悪すぎるもの。
なのに「いいなあ、本当に『薔薇色の人生』だなあ」と思える二人でした。
愛し、愛されること、それを幸せと言うんだな、としみじみ。
受けも攻めも、とても魅力的な人間性だなと思いながら読みました。
攻め視点・受け視点とお話が続き、最後に第三者視点でお話がまとまっているのもよかったです。
この二人のお話は、いつまででも読んでいたい!もっともっと書いてほしい!!
そんな風に思ってしまうほど、素敵なお話でした。
木原作品の飴と鞭マジック!
今作も上げられドン底まで落とされ、その後上げられたと思ったらまた落とされかけて。
なんか木原さんに調教されてる気分…
いえ、それが寧ろ快感で気付けば6作目なの
ですが(笑)
*以下超ネタバレあらすじ感想です。
6年前のモモちゃん…本当にダメダメで大変でした。
「絶望的」ってこの時のモモちゃんの為に出来た言葉じゃないかってくらい。
出所して、実家帰ってみたら家が跡形も無くなっていて友人から両親が亡くなった事を聞かされ、更にその友人が過去自分のせいで酷い目に合っていた事を知るのです。
怒りの矛先が両親の死を知らせなかった兄に向き、そこで更にくらった決定打…うーツライ。
ヤクで死に切れずゲロまみれウンコまみれの上寒いし頭痛いし、今度は粗悪なヤクを売りつけた売人に殺意が芽生えるも結果失敗して再び死のうとするのですが…
いやーこの怒涛の3日間凄かったです。
その後のロンちゃんとの出会いより強烈に印象に残りました。
モモの思考が普通じゃない…犯罪ってこういう自分勝手な怒りの行き場がなくなった時に起きるんだなぁと妙に納得してしまう程のリアリティー。
勿論薬のせいでもあるけどやはりロンちゃんと出会う前のモモは超短絡的な思考。
今のモモは生まれ変わったんだとしみじみ思いますね…。
そしてロンちゃんとの6年間。
2人がどの様に本当の恋人同士になったのかが書き下ろしのロンちゃん視点とも合わせてしっかりとわかります。
あんな出会いから有り得ない!
と思ってたのにさすが木原さんでした。
読み終わる時にはこの2人はきっと60歳になったら家族になるんだろうな、と確信出来ます(^^)
いやー愛ってスゴイし百人百様だなぁ。
…それでも途中のモモちゃんのおバカさん加減にはイライラはらはらしました。
途中でいたたまれなくなって、本を閉じたりもして。
でもちるちるのレビューを薄目で読んで、ハッピーエンドだと確信したから読み進める事が出来ました。
もう!木原さんのドエス!
*その後読み返しました。
落ち着くと少し見方も変わり
やはり終盤の確固たる両想いぶりや、甚呉目線の2人の幸せな様子にほころんでしまったので「萌2」→「神」に変更しました(^^)
どんな話だろうなと思って読んだら普通にコメディだった。前半は救済話で、付き合っているうちに自然に好きになったというストーリー。木原作品にしてはかなりあまあまという感じかな。けれどあまりにも平和すぎて逆に消化不良感半端ない(笑)。
あ、でもそれは作品のせいではなく、ただこれが木原先生が書いた小説だと思ったら勝手に物足りなく感じただけ。
人生は薔薇色で、ちゃんとやれば見てくれる人が必ずいるし、ダメな自分を愛してくれるも必ず現してくれる。先生はこのことを伝えようとしてこのタイトルにしたんだろうね。
表紙に惹かれて買ったんだけど、イラストも可愛かった!特に最後のシーンの気まずそうな甚呉さん、慌てているモモと不機嫌を隠さずロンちゃん。この修羅場を想像してるだけで笑ってしまった(笑)。
素敵なご本ありがとうございました!
本作は評判も良く、さらっと読みやすそう!と思ったので手に取りました。しかも皆様のレビューを拝見したときに「泣」というワードを多数お見掛けし、私も泣いてみたいと思ったからです。(←泣きました~!!!)
私の好きなシチュの一つに、誕生日プレゼントに時計を贈り合うという素敵なシーンがあります。それは体の関係が1年ちょっと過ぎた春のこと。最初はモモ(攻め)が、ロン(受け)の誕生日に時計を贈り告白をするのですが、あえなく玉砕。でも2年目を過ぎた冬、今度はロン(受け)が、モモ(攻め)の誕生日に同じく時計をプレゼントしてくれます。その時のロン(受け)の告白で、やっとモモ(攻め)の想いが実を結びました…大好きなシーンです。告白シーンって、なぜこんなにも、大人になっても、中学生の時の様に胸キュンになれるのかな。何度も何度も、同じシーンを読み返してはため息 (〃´o`)=3 フゥ
あと胸を突かれたシーン。モモ(攻め)の兄、茂とは出所した日から絶縁状態。頭がよく優秀な人かも知れないけど冷酷で情のない人、というのが私の印象でした。そんなモモ(攻め)の兄が癌で亡くなり、兄嫁の口からはこんなセリフが…。
…………………………………………………………………………………………
兄嫁「最後、あなたにとても会いたがってた」
モモ(攻め)「うっ、嘘だっ」
吐き捨てる百田に、女はゆっくりと首を横に振った。
兄嫁「感情のままに絶縁なんて言ったことをとても後悔してた。たった一人の弟なのに、俺は見捨てたんだって…」
…………………………………………………………………………………………
モモ(攻め)の兄にも情があったのね、とホロリとさせられました。
ホント良かったですぅ~。特筆すべきは、モモ(攻め)の人情味あふれた温かい人柄!モモ(攻め)の「ハハッ」という笑い方や、自分を「クズ」と罵る自虐的な性格も好きだし、弱虫で、泣き虫で、ヘタレなところもめちゃくちゃ良い。あとデリヘルMGRとして店の女の子に接する態度や、みんなから慕われているところも好ましい。さすがBL界きっての大御所作家!文章力が高く、読みやすかったです。(←上から目線でスミマセン!)素敵な作品なので、未読の方がいらっしゃったなら是非とも読んで頂きたいです。自信を持ってお勧めできる良作です♪有難うございました<(_ _)>
☆…☆…☆…☆…☆…☆…以下は備忘録。ネタバレを含むのでご注意!…☆…☆…☆…☆…☆…☆
目次
・「薔薇色の人生」モモ(攻め)視点
・「年上の恋人」ロン(受け)受け視点
・「後輩の恋人」甚呉(じんご)(受けの先輩)視点
主人公人物紹介
●攻め:百田保夫(ももたやすお)ことモモちゃん(百田、モモ、モモさん)。36歳。170cm弱。男前ではない(醜男?)。ゲイ(バイ?)。6年前からロン一筋。デリヘルマネージャー。前科3犯(すべて覚醒剤)。
●受け:浜渦論(はまうずろん)ことロンちゃん。30歳。170cm弱。硬派な男前。ノンケ。目鼻立ちが整っていて頭が小さい。生真面目。刑事(6年前は警察官)。
あらすじ
6年前刑期を終えたモモ(攻め)は、出所後初めて両親が他界したことを知ります。兄が報せてくれなかったことに激怒し、問い詰めるも逆に絶縁状を叩きつけられます。絶望し自殺を決意するモモ(攻め)。薬物自殺に失敗し、今度は橋の上から川にダイブ…。とそのとき巡回中のロン(受け)に足をつかまれます。これがロン(受け)との出会いでした。
この出会いがきっかけで、いつしか二人は恋人同士に。以来、モモ(攻め)はロン(受け)一筋で、メロメロです。現在モモ(攻め)はデリヘルMG。刑事のロン(受け)とは月に数回しか会えません。ロン(受け)の仕事が多忙のあまり。でもモモ(攻め)は決して泣き言を言いません。
いつかロン(受け)の役に立って死にたいなぁ、というのがモモ(攻め)の切なる望み。それがゆえ危険な目に遭い大けがを負いますが、最後はロン(受け)の深い愛に包まれハピエン。
☆…☆…☆…☆…☆…☆…☆…☆…☆…☆…☆…☆…☆…☆…☆…☆…☆…☆…☆…☆…☆…☆
木原音瀬さん、全部読み切ったのは「美しいこと」でした。
はらはらどきどきの展開でしたが、読後もやもや感が残って。
ですが、こちらの作品も気になっていて思い切って読みました。
読後はなんともいえない暖かな気持ちになりました。
途中まで、読みとおせるか不安でした。
モモちゃんは前科者で、ロンちゃんとの最初のからみまでに
親は死んでるし、友人と思っていた人から、もう二度と顔合わせくないって言われて、たった一人の肉親、お兄さんからも絶縁されて
死のうと思って全財産はたいて覚せい剤買ったのに死にきれず
おしっこやうんこ漏らすし。これってBLなのかしらと思いました。
しかし、物語に引き込まれて、モモちゃんが泣くときに
私も、思わずもらい泣きしてしまいました。
モモちゃんはHのときは攻めだけど、ロンちゃんの嫁ですね。
いつまでも、ロンちゃん一筋でご飯作って待ってるんだろうなあ。
皆様にお勧めいただいて、本当にありがとうございました!
神、一択。それしか言えない。
弱く流されやすい性格の成れの果て、前科3犯でシャブ中のモモと、偶然モモの自殺を止めた真面目警官、浜渦論(ロンちゃん)。
この2人の馴れ初めはモモの酷い八つ当たりの強姦。そのまま脅して関係を続ける。そして2年、3年、4年…
モモの、自分がロンちゃんに相応しくなくて、でも別れられなくて、それなら一度でも役に立って死にたいって思う気持ち、胸に刺さる。
人と人の結びつきって何だろう…
無償の愛って本当にある?恋人でも、子供でも。
自分を好きになってくれたから。困っている時に助けてくれたから。成績の良い子だから。よく言うことを聞く子だから。
自分がいないとダメな人だから。自分の方が優位に立てるから。尽くす自分に酔えるから。
そして本当に命を賭けて、死にかけるモモ。
ロンちゃんは言う。
『役に立っても立たなくても、そんなことどうでもいい。どうでもよかったのに…』
読んでるだけで救われるんです。無償の愛を信じられる。
「年上の恋人」
ロンちゃん視点。モモに惹かれていく自分。ほだされただけなのかも知れないけど。
そばにいて安心できる。会いたいと思う。悪いことから守ってやりたい。警察の殺伐とした業務からの転換には、全身で愛される事が必要だった…
先輩刑事にキッパリ言う。『彼は僕にとって、必要な人なんです』
「後輩の恋人」
先輩刑事、甚呉の視点。
ロンちゃんの相手を知って引くんだけど、お互いが本気も本気、退職後の結婚(養子縁組)まで考えてること、モモがほっとけないオーラを出してる事、こいつとならそういう風になるか、と納得したり……などを感じ取るお話。
人の出会いの不思議。縁の有り難さ、同時に恐ろしさ。
自分のエゴ。(愛に理由を付けていないかどうかを突きつけられる)
間違いなく神作品の「薔薇色の人生」。老若腐女子、みんなに読んでいただきたいです。
この作品大好きで、付箋貼ったりよれたりと、人に貸すのが恥ずかしいくらいボロボロになってしまってます。
物語を総括して言うならば、まさにタイトルの通りです。
どんなに取り柄のない人間でも
どんなに病気や身体が不自由でも
どんなに外見不細工でも
どんなに年を取っていても
どんなに性格が悪くても
どんなに狡くて卑怯でも
どんなに強引で自己中心的でも
どんなにしょうもない人間でも
そして過去にどうしようもない罪を犯してても、それら全てを包み込んでくれる、愛してくれる人間が押しつけがましくなく、ごくごく自然な流れとタイミングで恋に落ちるという木原マジックの不思議。
主人公のモモは、前科三犯、シャブ中のゲイ。
過去に類を見ない、どうしようもない男っぷり大発揮でした。
しかも不細工。勤め先はデリヘルのマネージャー。
対するお相手は、融通も冗談もきかない真面目一辺倒な刑事です。
もう、ね……もう、もう……とにかくふたりの恋が一生懸命で、甘く切なくて。なによりも、モモが健気でいじらしい。
こんなしょぼいマダオなのに、多分実在したら私も可愛いと思ってしまう。
優しさがぎっしりと詰まったお話です。
木原さんにしては、びっくりするような糖度。
前科もちで家族も家も失った百田と百田の自殺を食い止めた刑事(論ちゃん)のちょっとアンバランスな恋のお話でした。
モモちゃんはとにかく優しい。
自分に自信がないけど論ちゃんに嫌われないように必死に更生し、論ちゃんの役に立ちたいとちょっと無茶もしちゃうくらい、論ちゃん一筋。
不器用だけど憎めないおじさんです。
一方の論ちゃんは、恋愛経験もなく、とにかく人付き合いが下手。
真面目な公務員なのに掃除が苦手でいちご牛乳が好きというギャップが可愛かったです。
しかも結構嫉妬深い(笑)
切なさもあったけど、終始ラブラブだったんじゃないでしょうか。
目が‥目が本気で溶けるかと思いました。泣きすぎて。
私の中で「神」の中でも最高峰です。
ドラマCDを聴いて原作へ。
本当に「どうしようもない」クズな人生を歩んできたモモ。
堅物で「空気が読めない」ロンちゃん。
「悪いことをしたら、とロンちゃんがいなくなる」から、
ただ、それだけに縋って生きようとするモモ。
想いが通じてからも、自分にロンちゃんは釣り合わない、
自分の幸せはロンちゃんの幸せを食い潰した結果なんじゃないかと
思いつめるモモ。
モモの自己評価の低さに胸が痛くなります。
モモにロンちゃんを出会わせてくれてありがとう。
私も神様にそういいたいです。
同時収録の「年上の恋人」はロンちゃん目線で、
出会いからロンちゃんが恋心を自覚するまで語られていて、
モモに「ラブラブじゃーん」と小突いてやりたい気がします。
やはり木原さん。刹那的な恋愛ではなく、数年後の二人の姿もきちんと想像できて、そしてその二人が一緒にいるんだろうなーと安心して想像できた。
モモがロンちゃんのこと好きで好きで、そんなモモに寄り添っていると、こっちまで泣けてきた。ロンちゃんに「話があります」と言われただけで、別れ話だと勝手に考えてぼろぼろ泣くモモ。可愛すぎる。自分がロンちゃんの足かせになっていると考えて、身を引こうとするんだけど、別れたことを想像するだけで、「だめだ。俺。別れたくない。ロンちゃんと別れたら、死ぬ」と泣く。もう、こっちまで泣ける。
真面目で冗談を言わない、そんなロンちゃんが、モモのことを好きだと自覚して、モモのことを大切にしている様子がとても良かった。「刑事は辞めません。けと、百田も手放しません。彼は、僕にとって、必要な人なんです」かっこいい。
ひたむきな思いは、人を変えていくんだなあ。さすが、木原さん。最高!!
木原作品の中でも大好きな作品です。
「痛さ」で有名な木原さんですが、どの作品にも根底には無条件の優しさが流れていると思う。
欠点ある人間を決して否定的に描かない木原さんご自身の優しさはもちろん、恋する主人公2人の関係性がそう感じさせるのだと思っています。
この作品はその特徴が顕著で、攻は元犯罪者、現在は風俗店勤務のどうしようもなく馬鹿な男。
はじめは手籠め同然に受と夜を過ごしますが、次第に情が湧き、やがて恋をします。
読んでいて愛おしい気持ちになる、とても素敵な作品です。
BL作品を購入するときは、こちらのサイトのレビューを参考にさせていただいております。けれど、総合評価、神得点数は新しいものに偏りがちで評価を鵜呑みにできない面もあると思っておりました。
名作ひしめく木原作品の中で、このお話は人気度が高く位置されていますが、解説を読むとどうにも不条理で納得できない・・・。私はこの本を手に取るのを後回しにしていました。
ところが、昨夜に読み始めると、笑い、泣かされました。
人生の中での岐路が少しずつ掛け違っていくことが重なる、違った先での人との出逢い、感情の芽生えがコミカルに描かれておもしろくて、文字を追うスピードが速くなります。
木原作品の中では「秘密」「箱の中」が好きだった私はそれまで愛読書にしていた中村文則より良いのではないかと勝手にほめたたえておりました。この「薔薇色の人生」はなんとなく向田邦子系・・・。何気に家族の情が描かれていたりして、お話の中いっぱいに人間臭さが充満しています。
自分の愚かさのために堕ちてしまった男を主人公に据えてはありますが、悲惨や悲哀、悲恋に振り回されるイタいお話ではありませんので、文字が好きならどんどん読んでいただきたい小説です。(落ち着いて考えるとバカバカしいほど相思相愛になっているカップルのイタさはありますが・・)
挿絵の話になりますが、ヤマシタトモコさんに関しては斬新なストーリーとキレキレのセリフのイメージが強かったのですが、こんなに画の上手い漫画家さんだとこの挿絵で知りました。121pの主人公のズボンの縫い目と構図にドキリとしました。
木原音瀬さんの小説を読んでいて、挿絵を描かれる漫画家さんのイメージとピタリ添うと感じてしまうのは、私がすっかり木原ファンとなっていまっているからでしょうか。
まだ木原音瀬先生の事を知らなかった頃のこと。
BLは、漫画ばかり読んでいて、小説はあまり読んだことが無くて。
食いもの処明楽、でハマったヤマシタトモコ先生の表紙に、自然と手がのびました。
まだBL超初心者だった私は、その頃は漫画や小説の淫靡な表紙が恥ずかしくて。
おとなしめな表紙のものばかりを買っていました。
小説だけど、ヤマシタトモコ先生の描いた微妙な距離感の二人。
しかも、なんとも幸せそうな二人。
その日は財布にお金があまり無くて、これを買ったら数十円しか残らない…。
なのに、買っちゃいました。
私がBL小説にハマったキッカケの一冊です。
もしもこの作品に出会わなければ、この後に読む数々の作品にも出会えなかったかも?
ここからはネタばれです。
たいがい読んでいると、二人のどちらかにより感情移入するのですが。
はじめはとにかく、モモちゃんにめろめろになりました。
でも、何度か読むうちに、ロンちゃんにもめろめろに!
不細工でダメ男などうしようもない主人公のモモちゃん。
二人の、甘さなんか欠片もないレイプに近い始まりの関係。
衝撃的でした。
これは有りなのか?!と驚くBLらしからぬワールド。
ところが、読み終えた時には不細工なダメ男が、可愛くて抱きしめたくなる存在に!
お兄さんやその妻子とのエピソードなんか、泣けて泣けて仕方なかった。
ロンちゃんにも、自分のしている事を自慢げに話したりしない男前さ。
モモちゃん、カッコいいー!
とにかく、目から鱗がポロポロ落ちまくりな主人公で。
そしてロンちゃん。
病院でのモモちゃんへの言葉、本気でわんわん泣けました。
ロンちゃんて、なんて男前なんやー!って感動しまくりで。
恋するロンちゃんの気持ちがイマイチ信用されないくらい、モモちゃんはダメ男な訳ですが。
ロンちゃんにはかけがえのない存在。
言葉少なに愛を語るロンちゃんの真面目さが、ド直球に伝わりました。
焼きもちやきなロンちゃんも、キュートで抱きしめたくなりますし!
すでに出会って6年ていうはじまりも、暴力的な話もめずらしいし。
ヤクザ、刑務所、ジャブ中、レイプ、自殺、殺人、警察、デリヘル、密造、密売…。
扱う内容は暗黒世界なのに、最終的にホンワカした気持ちになるという。
不思議な世界観。
この後に一般小説売り場で、さらに木原音瀬先生の箱の中、に衝撃的に出会うのですが。
木原音瀬先生の本は、読みはじめは?が沢山飛ぶのに。
読後感のあの染み入る感動がたまりませんね。
まだ先生の作品は三分の一も読めていない状態ですが。
これから読むのが楽しみで仕方がないです。
後に、薔薇色…はCDも買いました。
これも素晴らしかったな。
二人の声もぴったりで良かった。
おまけの小説も、お喋りCDも楽しくてお得でしたし。
ヤマシタトモコ先生のCDジャケットも素晴らしいし。
小説も、ヤマシタトモコ先生の絵に目が止まらなければ、この作品に出会えなかった事への運命を感じます。
薔薇色の人生は、私にとって、新しい扉を開いてくれた宝物な作品です。
こうまでダメダメな男を主人公にしたBLって、ないですよね。
それなのにモモが可愛くて、いらいらさせられて、どうにかして幸せになってもらいたいと願わずにいられない。
現在の話から過去へ、過去からまた現在へと、話を振り回しているようですが、そうすることによってお話が膨らみ、ただ現在に続く過去を振り返った話といった単純なものではなくしているところがすごいです。
モモ視点の本編だけでもけっこう幸せな気持ちにさせられましたが、ロン視点も用意されてあり、これが作品の深みを増しているように思えます。
チラっと出る脇役の甚呉先輩の出番も徐々に増えてきて、最後には甚呉視点のお話を載せてくださるあたりも、読み手の気持ちがおわかりだな~と嬉しくなりました。
出てくる4人の男のイメージもヤマシタさんのイラストにピッタリ。
ただ、ロンちゃんは黒髪とあったので、モモとロンの髪色が逆だったらなおよかったなあ。
表紙もね、これBLじゃないよ。でも木原さんだからどんな表紙でも売れるんだよね。
なんて思っていたのですが、読み終えてあらためて表紙絵を見て、じんわり涙ぐむほど、この二人の雰囲気が顕れている素敵な絵ということが判りました。
人を愛することって・・・ほんとに素晴らしいなあ。
木原本を読むのに毎度躊躇するのは「かなり痛いらしい」という情報に怯えることも然ることながら、読んだらしばらく他作家さんの作品を読む気にならなくなりそうだからなのです。
最近読みたくてウズウズしている木原音瀬さん小説。
それに加えて、大好きで止まないヤマシタトモコさんの挿絵と聞いて、買わない訳がない!
という事で、年末年始休みの楽しみとして購入致しましたこちら。
黄色味がかった背景に、色味の薄いシャツ。
手には白い薔薇。
決してもえるような赤ではなく、ピンクでもなく、果たして本当に2人は「薔薇色の人生」なのかと疑いたくなるような、そんな表情のいでたち。
ヤマシタトモコさんの、哀愁漂う空気感が表紙から溢れていて居ます。
どうしようもない人生を送って来たモモ。
前科がある、ヤクだってやってきたし友達だと思ってた人間も裏切った。
でもどこか軽く考えているようで、飄々としているし、責任転嫁する事が得意の様にも思える性格。
だからこそ、ロンちゃんに出会った頃、「お前がしたくてこうしてるんだろ」と軽く考える事が出来たんだと思う。
年下で警察官のロンちゃんは、やはり一風変わっている。
童貞でそういう事に疎いとはいえ、いきなり男に自分の尻を差し出すのか?
くだらないプライドや正義感がそうさせたのだとしても、普通ではないと思えて仕方ない。
そんな2人が、今では互いになくてはならない存在で、愛して止まない。
でもどこか不安定に思って居るのはいつもモモ。
自分に自信がないからそう思うのだけれど、だからこそ、自分が役に立つならと無茶が出来てしまう怖さがある。
モモのそういう部分に気付いてからのロンちゃんは、彼を尚愛しく思うのと同時に、きっと神経を擦り減らしていたのかなと思う。
確かにヤクの密売人だとか、前科者と警察官と言う恋人同士だとか、いつも何か天秤に掛けられているような足元が覚束無い感覚はあれど、どうしても甘い雰囲気も拭えなくて、結局はほっこりしちゃうんだよなぁと感じました。
ダメダメ人生を繰り返し送って来たモモが、ロンちゃんによって更生された上に、今では彼にメロメロで仕方なかったり。
真っ直ぐ純朴に育ってきたロンちゃんが、モモと出会う事によって、彼からの愛と自分の愛が重なり合う瞬間に目覚めてしまったり。
二人が致すシーンも甘くて(出会った当時は抜きにして)、こっちがメロメロになるかと思いました。
又、描き下ろしの甚呉目線の「後輩の恋人」も面白かった!
可哀相だね、先輩が後輩に自身のパイズリ好き知られて…しかも「それ楽しいのか」みたいなこと言われて…不憫に思います(笑)
それまでは恋愛の事からセックスの事から色々と相談されて、唯一の先輩面が出来る所だったのに、そこすら脆くも崩れ去ってしまった甚呉さんに同情する私(笑)
幸せな結末は大好きです。
退職したら結婚して欲しいと伝えるロンちゃん。
泣き崩れるモモ。
出会った頃の主従関係が見事に逆転している今は、本当にモモがワンコみたいで可愛いし、
「モモ、返事は?」
と、まるで主の様に強い眼差しを与えるロンちゃんが可愛くて良かった!
ただ、もう少しイタくても良かったなぁと思う私は鬼でしょうか。
モモがヤクザとの裏取引的場面等々、こちらが生唾を飲んでしまうような展開がもうちょっとあったら、もっともっと2人の甘さを嫌と言う程感じられたかな、なんて。
又、大好きなヤマシタトモコさんの挿絵ですが、背景の白さが目立った気がした事、あとモモの不細工加減があまり伝わらなかった事、それが残念でした。
(そもそもヤマシタさんの描くオヤジが好物なので全部素敵に見えてしまう私が悪いのか(笑) 最後の最後で出てきた3人の構図はやっぱヤマシタさんという感じで好きでした)
寂しい、切ない、苦しい。
そんな感覚を味わいながらも、2人の絶対的な絆と甘さがそれらを溶かしてくれて、きゅんとしました。
自分が木原作品を初めて読んだのは「吸血鬼と〜1」でした。
好き嫌いの別れる作家さんだと聞いていて、いつもは置いていない木原作品を本屋でたまたま見かけ手にとってあらすじを読んだ(ちなみに「HOME」でした)限りではなんか嫌な話だわーと買わずに棚に戻しました。初めての作家さんは古本屋で試すことにしていたので、100円コーナーで「吸血鬼と〜1」を見つけた時は即買いでした。感想は・・・なにこれ、続くんじゃん。まだお話が始まったばかり・・・。しかも萌えも濡れ場も全くなく、かといって続きが読みたいと思うほど面白いと思えず(すみません)、それきり木原作品から遠ざかっていました。
・・・数々のBLを読み続けているうち、お気楽ハッピー設定に飽きがきて、このままBLを卒業してしまうんだろうかと寂寥感を覚えていたある日、そうだ!と思い出した木原作品。今度は代表作を読もう、さすがに面白いはずだ(失礼ですみません)と思い、こちらのレビューを参考にして、「箱の中」「檻の外」「美しいこと」を定価で(ここ大事)入手。・・・うわーん、なにこれ、涙で文字が見えない・・・。速攻で手に入る木原作品の大人買い(もちろん定価で)をしたのはいうまでもありません。部屋に積み上がった本を見て興奮したのは子供の時に買ってもらった横溝正史の角川文庫以来でした(笑)。
この作品は、読んでる途中から怖くて怖くて、だって百田にフラグ立ってんだもの。
BLでしにネタは苦手でして・・・。
やだよ、怖いよとびくびくしながら読み進んで、百田が助かった時はほんとに安堵で気が抜けました。
そして百田の人生が不憫すぎてあまり感情移入できなかったのに、ロン視点の「年上の恋人」で、
「好きだと言ってもらえて嬉しいと、一生分の運を使い果たしたと、自分の前でしゃがみ込んで泣きだしたいい大人を、浜渦は心の底から好きだと思った」の部分でぶわっと感動の涙が。この二人が幸せになってほんとに良かったともう心の底から。
ラストの三人揃った挿絵も和やか?で完璧!です。こんな作品に出会えるなんて、生きてて良かった。
前科持ちデリヘルマネージャー・モモ×警察官のロンちゃん、という対照的なふたりの恋愛を突き詰めた、シンプルな物語。
読み終わった後には、格別な幸福感をもたらしてくれます。
カッコイイ素敵キャラもいいですが、みっともなかったり、不器用だったり…欠点があるキャラ造形でしか生まれないドラマや説得力ってあると思います。
人間クサイ体温が感じられるからこそ、フィクションの枠を越えて読み手に響いてくるんじゃないかなと。
箸にも棒にも掛からない、この冴えないロクデナシ主人公・モモが、それを証明してくれています。
BL攻めとしてはありえない程、駄目ツボを詰め込みまくったモモ。
甘ったれで、考え無しの30男。楽な方へと流れるうちに、気が付けば家族もお金も仕事も友人もなくし、残ったのは前科三犯だけという、人生に行き詰まったヤク中です。おまけに顔も頭も悪いときたもんだ。
何がびっくりって、このどーしようもなく惨めなモモが、とても魅力的な人物に思えてくるところ。その変化が素晴らしいんです。
なーんにも無いモモにも、一つだけ胸を張れることがあります。
それはロンちゃんへ捧げるモモの愛情。
ひたすら健気でとにかく一途です。でもお馬鹿だから、求愛行動は空回りのピエロ。だけどそこには、掛け値無しの愛情が溢れている。
『捨てられたくない、足枷になりたくない、役に立ちたい――』
ひたむきにロンちゃんのことを想い続け、その恋慕はいつしかモモ自身と人生に意味を持たせ、やがてロンちゃんの人生をも変えてゆく力となります。
初めて人に感謝され、これでクズを一個でも返上できたかと、モモが泣きながらロンちゃんに会いたい、会いたいと願うシーンでの、
『胸の中が温かくて、嬉しい。嬉しいのに涙が出る。悲しくもないのに涙が出る』
このフレーズは、まさにこの本の印象そのまま。
読みながらわたしの胸も温かくなって、嬉しくなって、でも悲しくもないのになんでか無性に泣けてくる。
「なんてバカなんだろう」と上から目線で見ていたハズのロクデナシ男に感情移入しまくって、モモが泣くたんび、何度も一緒に鼻水を垂らしました。
自己変革を高らかに掲げた美談として装飾せず、あくまで単なる恋愛話として投影していることにこそ、この物語の意味があるんだと思います。
そして、一見立派にみえるロンちゃんも、不器用人間という点ではモモと変わりないところがいいな。一匹狼なんて聞こえがいいけど、真面目だけが取り柄の、社交性ゼロな面白味がない性格。
だけど、他人に疎まれがちなその生真面目さを、モモは心から愛している。
そしてロンちゃんもまた、モモのどうしようもなく馬鹿なところを愛している。
欠点でありながら、同時に何にも勝る魅力としても成り立たせているところが、ものすごーーーく好きです。
不格好で滑稽な人間が持つ物哀しさを滲ませつつ、だからこそ、逆説的にこれほどまでに愛おしく思える物語に仕立て上げてしまえる筆力が見事。
不器用極まりない彼らが、愛しくて愛しくてたまりませんでした。
モモの人生は、客観的に見れば殆どの人がパスしたい生き方なのは間違いない。
よりにもよって前科持ち男を恋人にしているロンちゃんにだって、「なんで?」と聞く人はいても、羨む人はあんまいないだろうな。
でもそんなものは、ふたりの幸せには関係ないわけです。
「俺って、サイコー幸せモンじゃん」
「彼は僕にとって、必要な人なんです」
たくさんの人に読んでみてほしいと思います。
木原流、人生礼讃。
薔薇色の人生のお裾分けを貰えますよ。
木原マジック全開でキュンキュンする一冊だった。
自業自得で何もかもを失った百田と、すべてをなげうっても彼を救おうとした浜渦ことロンちゃん。
初めサイテー男の百田がどんどんロンちゃんのことを好きになって、彼のために何かしたい。何ができるだろうと考えていくのは可愛くて、切ない。
それで幸せになるのではなく、一番まずい方向に進んでいってしまう彼の愚かさも含めて。
ロンちゃんの告白には思わず涙が出そうになった。
木原作品、たまにものすごいバッドエンドがあるだけにハッピーエンドになった時の感動が他の作家さんの何倍も大きいんだよなあ。
結構厚めなうえに値段もそれなりなので、萌えなかったらどうしよう…と思いながら購入したのですが、いらぬ心配でした。
モモこと百田は、薬で前科持ち、親はない、兄には絶縁、自殺も失敗。
もう本当どん底状態。そんなモモの前に現れたのが警察官のロンちゃん。
ロンちゃんがモモの生命線となっていきます。
モモは顔も微妙だし、前科あるし、家もないし、ホモだし。
そんな彼をを生かすために体を差し出すロンちゃん。ロンちゃんの気持ちがモモに追いついた時が本当にたまらん!
薬が絡んでたり、ヤクザが登場したり、生々しいというか殺伐とした場面も結構あるのですが、変に綺麗に書いてあるよりずっといい。
ロンちゃんは性的な事に無知で、協調性がないけど男前。モモは経歴は複雑だが明るくて、人懐っこくて、意外とモテるのに自分への好意には鈍感。
モモはロンちゃんに依存気味だけど、ロンちゃんもロンちゃんで嫉妬深くて、独占欲強めでモモを失いたくないというのが要所要所から伝わってくるのですごくグッときました。
本当素敵なカップルです。
木原さん初心者の私です。(読んだことがあるのは「美しいこと」のみです。)
お名前はよくお見かけし、レビューも高評価。
でも、切ない系が多いということで、二の足を踏んでいました…
この作品も、ヤマシタトモコさんの絵に惹かれて何となく購入したはいいけれど、
二、三日積んでいました…。でも!ありがとう!読んでよかった!!
数日前の私を張り倒したい。(←積んでいたこと)
と、同時にほめてやりたい。(←購入したこと)
前置きがだらだらと長くてすいませんが、それほどよかったです!
「美しいこと」も良かったけど、この「薔薇色の人生」最高でした!
読後、こんなに幸せな気分になるなんて。
ダメ男通り越してクズ男が、こんなに愛しく思うなんて。
読む前には、想像もしていませんでした。
ヤク中、前科三犯、暴走族上がりのチンピラ、親の死に目にも会えず、兄からも絶縁され…なんか、どうしようもないほどのクズ男(百田)が、警官の浜渦に出会ってから変わっていく…。百田のすべてを受け入れてくれた浜渦。そんな浜渦をひたむきに一途に思う百田。その二人の関係、揺るぎない思いを目の当たりにして、癒されました。
そして、百田の(いい意味での)豹変ぷりに、勇気をもらいました。
「ラブイズパワー!」大声で叫びたい…。
読むのが勿体なくて大事に取っていた(笑)1作。
あとがきにも書いてあるが、珍しくすでにできあがった恋人同士の2人を、出会いまでさかのぼって描いてある。
出来上がった2人だから最初からアマアマな雰囲気。でも木原さんだし、どこかで痛い展開が待っていると身構えていたら、これまた最後までほとんど痛い展開がなしで、ある意味肩すかしをくらった(笑)でも、ほっと心温まるイイ作品。
刑務所行きを食らった前科まで持つ攻は脅迫まがいの体の関係から始まった警察官の受と、今は心までつながった恋人同士。
が、過去のあまりにひどすぎる自分の行為で周りを傷つけてきた罪悪感から自分をクズだと言ってはばからない攻は、デキスギタ男に見える受の愛情をいまひとつ信じ切れない。
けれど受も周りから煙たがられるような人付き合いの下手な不器用人間だった。
そのへんのことは本当に詳しく書いてあってせつなくなる。攻ももちろん描写があったが、こちらの過去話は読めば読むほどむかついてくるから困った(笑)
それぞれに不器用な2人が自分の気持ちをウマク伝えられなくて、伝わらなくてじれじれするところは涙が止まらなかった。
攻は今まで読んだ中で史上最強のヘタレ。見た目がよくないと何度も文中にあるのが笑えた。それに加えて受が好きだと言ってよく泣く。やることなすこと空回りで、でもそれが愛しい。
馬鹿がかわいいとはこのことだなと実感(笑)
同時収録は受視点のもの。地味に攻にヤキモチやいているのがかわいい。
で、その話によく出てきた受の先輩からの視点で2人のことを語られるのが書き下ろしである「後輩の恋人」。
この話の終わりかたが最高に萌え。
まず、表紙のヤマシタ先生の絵に惹かれました。
優しいイエローグリーンの背景とロンちゃんとモモの表情がとてもいい。
最初から主人公二人は恋人同士で、物語を遡っていくような形です。
モモの過去は木原先生らしい悲惨な人生で、最初は暗い気持ちになりましたし、ストーリーにも陰惨な描写はありますが、全体的にはモモとロンちゃんの真っ直ぐな純愛モノです。
お堅くて初心なロンちゃんがとっても可愛かったです。
人間臭くて憎めないモモも凄くいい。
モモが気持ちを自覚して初めてロンちゃんに誕生日プレゼントを渡すシーンで泣きました。
上手く気持ちが伝わらないもどかしさと切なさで。
モモの悲惨な人生に、最初はタイトルが「薔薇色の人生」だなんて、何て皮肉めいているんだろうと思った。けど全部読み終えて、ロンちゃんに出逢って愛し愛されているモモの人生は紛れもなく「薔薇色の人生」なんだと感じました。
何度も読み返して幸せな気持ちになる、大満足の1冊でした。
そんなに号泣できるような作品ではないと思うんですが、なぜかボロボロに泣きじゃくりながら読んでしまいました。
木原音瀬さんがデリヘル業界にやたら詳しいのにも驚きました。知りあいにデリヘルのオーナーやってる人がいて、たま~に事務所に遊びに行ってたんですが、登場するデリヘル嬢について、『こーゆう娘、いるいるw』とか思っちゃいましたよ。彼女たちはたいがいわがままでルーズなんだけど、あっけらかんと明るくて、人なつこいのだ。意外と貞操観念が固かったり。(ゆきずりのエッチなんてあり得ない!痴漢はシネ!アタシに触りたいなら金を出せ!みたいな話を聞いて、何度笑ったかw)
前置き長くなっちゃった。
攻めのモモは、本当に可愛い男だなァと思いました。
刑務所に何度も入り、社会の底辺を這いずるように生きてきた、本当にバカな男だ。堕ちる人間の、ひとつの典型的な転落コースを辿っていたモモ。
そんなバカな男が、ロンちゃんに出会ったことで、人生のすべてが変わるのだ。
ロンちゃんただ一人に捧げられるモモの人生。
モモの愛は究極だ。
最初はロンちゃんを貶めたいだけのために、半分レイプのようなかたちでカラダを奪ったわけだけど、関係が続くにつれて少しずつ気持ちが変質していく。
彼はロンちゃんのためなら死ねる。←こう書いてるだけの作品ならよくあるけど、この作品は説得力が違うのだ。モモがそうするだろうことは、説明がなくても分かるのだ。
美辞麗句の限りを尽くしたイケメンや金持ち攻めの多いこのBLというジャンルのなか、『不細工で、社会の底辺を歩む男』であるモモを、あまたのイケメン攻めよりも魅力的に描きあげることができる木原音瀬さんの筆力には、つくづく脱帽します。
で、そこまで愛されてる受けのロンちゃん。
後半で、『実はロンちゃんこそ、モモが必要』っていうのが分かるのがいいですねw
そうそう、そうじゃなきゃ!っていうツボを、ギューッと押されました。
ロンちゃんの同僚刑事のキャラも良かったなァ~。
人間くさいのがイイ。
イビツな男たちがイビツな世界で、ある意味イビツな愛を育むこのお話。
イケメン同士が美しい愛を育むお話よりも惹かれてしまいます。
「箱の中」の脇にでてきたゲイの囚人をモデルにした・・・
とかなんとか(ですよね?)
優秀な兄への劣等感から不良になり
あとはずるずると堕ちるところまで堕ちていったモモ。
二度の服役。
出所したら誰ひとり自分のまわりにはいなくなっていた。
自暴自棄のモモに真剣に関わってくれたのが6歳年下のロンちゃん。
モモは、どーしょーもない経歴に不細工な顔w
ロンちゃんは、まっとうすぎる道を歩く端正な顔の持ち主。
ふたりは、まったく違う人生の道を歩いてきて
ばったりと出会ってしまったのです。
優柔不断でやさしいモモ。
四角四面でやさしいロンちゃん。
ふたりはまさに、割れ鍋に綴じ蓋v
どこか社会になじめず
ぴったりと自分の隙間を埋めてくれる相手がいなかったふたりのお話。
モモ視点、ロンちゃん視点、二人の共通の知人視点。
3つの視点のお話が入ってます。
いかがわしさの漂う舞台で、こうも純粋に一人の人を愛せる。そうなるまでに大変な人生があった訳ですが、自分の欠けた部分を埋めてくれる人に巡りあえてよかったね。というお話だと思います。じわじわと泣けます。
前科持ちのダメ男と堅物警官。
題名通り、薔薇色の幸せに浸れるBL小説。
思いっきり愛すること。
思いっきり愛されること。
両方の幸せが、ギュウギュウに詰まってます。
340ページ、値段も高めなんだけど、一気に読めます。
ラブラブ幸せ満タンです。
モモもロンちゃんも末永くお幸せに!
面白かった!
大満足!
好きと告白して相手も合意して晴れて恋人同士。そこから始まる物語。
好きという気持ちだけじゃ、いつか満ち足りなくなって相手は居なくなってしまうかもしれないという不安から起こる葛藤がリアルで良い。
…モモが可愛い。ロンちゃんカッコいい。
私はロンちゃんと感情がダブりっ放し。危なっかしいぜモモ……。母親の気分でモモを心配しましたよ、めちゃくちゃ年上なのに(笑)
木原先生が書く女性が好きなんですよね、今回は一番好きだったなぁ。
ああいう子大好き。最後のロンちゃん視点の話で泣けた……。
「すすきのはら」の小冊子の、あとがきで、この作品の事言ってましたね。
元ネタが柿崎なのだとか(笑)
ただちょっと物足りないのは、木原作品特有の痛さがあまりないから。
モモがもうちょっと最悪な奴だと思ってたけど、割合いい人だし乙女思考の可愛い人だったので。周囲の人間もいい人ばかりだし。
モモは人に愛されるタイプなのね。本人が気付いてないだけで(笑)
それにハラハラしているロンが可愛い。
こんな可愛い話だとは思わなかった…もっと重いものかと思ってた。
初心者様にも十分おススメ出来るぞ☆
私は木原さんを読むには気合が必要なので、買ったまま「未読箱」に入れっぱなしになってました。
意を決して今頃読んでみたら、なんだ、可愛いラブラブな話じゃないか!
もっと早く読めば良かったです。
すごく好き。
面白かった。
なんだか冒頭からラブラブ感が漂ってます。
そこから二人の過去に遡ってなれそめが語られるので、モモ(百田)が「元ヤク中、前科三犯」で絵に描いたような転落のレールを転げていき、ロン(論)への最初の仕打ちが最低でも、不安にならずにすみました(笑)
ロンに出会い最低な自分の何もかもを受け止めてもらったモモは、ロンがそばにいてくれるならもう悪いことはしない、ちゃんと生きていくと決意し、それを貫いているのですね。
そして「ロンちゃんのために」と考えた挙句、危険なことをしてしまうのですが。
モモは確かにダメ男だけど、とてもいじらしく可愛げがありロンへの愛情に曇りがなく一途で、とても愛すべき人物でした。
あまりに生真面目で堅物なロンは、最初はモモの気持ちを量りかねていましたが、出会いから6年経つとモモの保護者みたいな感じ。
全身で愛情を表現しているモモのようにはできなくても、ロンがモモを大事に、将来のこともきちんと見据えて(その生真面目な性格で)いるのがよくわかります。
ロンの先輩視点の「後輩の恋人」も面白かったです。
きっとこのラブラブバカップルにこの先散々当てられることになるでしょうね(笑)