薔薇色の人生

barairo no jinsei

薔薇色の人生
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神136
  • 萌×234
  • 萌8
  • 中立2
  • しゅみじゃない6

248

レビュー数
37
得点
842
評価数
186
平均
4.6 / 5
神率
73.1%
著者
木原音瀬 

作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます

イラスト
ヤマシタトモコ 
媒体
小説
出版社
リブレ
レーベル
ビーボーイノベルズ
発売日
価格
¥1,100(税抜)  
ISBN
9784862634221

あらすじ

愚かな生き方のせいで、家も家族もなくしてしまった百田。生きていても仕方がないと自棄になりかけた時、偶然通りかかった警官に制止される。生真面目な正論に腹を立て、その警官・浜渦に「抱かせろ」と無理難題をふっかけるが、彼はすべてをなげうち、百田を救ってくれた。彼のために生きることを誓う百田だったが…。ひたむきな恋がすべてを変えていく。大人気のモモ×ロンちゃんシリーズ!
 書き下ろしショートつきv
出版社より

表題作薔薇色の人生

36歳,前科持ちの風俗店のマネージャー
30歳,刑事

その他の収録作品

  • 年上の恋人
  • 後輩の恋人

レビュー投稿数37

No Title

木原先生の作品は読むのに心の準備がいるというか…なので、少ししか作品読んでないのですが。
こちらは比較的甘め(?)というか、ロンちゃん大好きモモのお話。モモの少年期十代のダメっぷり、絵に描いたような落ちていく様は読んでいてけっこうしんどいです。
なんで同じようなことを繰り返して繰り返していくの?!でもそうゆう全てが今のモモを形成していて、今幸せで本当に良かった。
両親のくだりも兄の死も、涙無くしては読めなかったです。ロンちゃんがロンちゃんで良かった、本当にお似合いの二人です。
ヤマシタ先生の挿絵も素敵で、自分でもイメージしたりして、とても好きな作品の一つになりました。

0

クズと堅物の行き先は…

木原先生の作品は2冊目です。
1冊目の「箱の中」の文庫本で心を鷲掴みにされたので、次はどれを読もう、と調べてました。
ヤマシタトモコ先生の漫画が好きで、挿絵と表紙がヤマシタ先生ということで、あらすじを読んだらなんか重そうだけど、読んでみたいぞ!とビビりつつ読み進めました。
いや、こんなに満たされるお話とは思わず!

攻めのモモはすごくクズでだらしないです。
読み始めからおいおい、と呆れながら読みました。
なんというか、考えが足りないんですよね。
ちゃんとしようって薬で捕まって3回目で思うあたりが本当にどうしようもない。
当たり前のように実家を手伝おうと思っていたところも、かつての友人に何も考えず会いに行くところも。
だけど、読み進めるうち、モモが魅力的に見えてくるから不思議です。

受けのロンちゃんは、空気が読めない堅物で警察官です。
だけど、モモを救ったのは紛れもなくロンちゃんです。
どうしようもないクズのモモを励まし、責任をとる、と彼は言います。
突き放してもいいのに、それをせず、モモの要求を受け入れるロンちゃん。
そのままラブホテルに入り、好き勝手に言われてセックスを求められます。2人がはじめてしたセックスは、甘さとは程遠いです。
だけどロンちゃんの事後の反応に、モモは驚き焦ります。
ここで、ロンちゃんがとにかく可愛い、と気付かされるんですね。

モモとロンちゃんの関係はセックスと金からセックス、そして恋愛へと変わっていきます。
いや、これが本当にですね、過程がとても良いんです。ふたりともかわいい。

だけど、それまで自分のやってきた罪、家族との別れによって、モモの自己肯定感は最低となっています。優秀な兄と比べられていたコンプレックスもあると思います。
どうにか警察官であるロンちゃんに有益な情報を教えて役に立ちたい!と考えます。
薬のバイヤーになったり、ヤクザと親しくして話を聞き出したり、自分を雑に扱います。
マジでヒヤヒヤしました。

ロンちゃんがやめろと言ってもモモがやめないのは、ロンちゃんがずっと自分といてくれるわけない、と思うから。そんな未来あるわけないって思っています。
ロンちゃんに捨てられる前提なのが、悲しくて、悲しくて。
ロンちゃんも言葉を尽くすタイプではないし、モモが初めてな相手だからどうにもうまく大切なことが伝わらない。

なにか大きなこわいことが起きない限り、気づけないんです。
こわいですね。
途中の薬に関する描写や、モモが自棄になってる場面は苦しくて辛かったです。

始まりこそ甘くない2人ですが、育んだものはお互いを思うが故の痛みを伴った愛です。

読後はほっこり。早く読めばよかったです。

0

終盤の一文に大笑い

長らく積んでいたのですが読んだらやっぱり良かった。

モモの過酷な状況に、小説ならばここらで救いがあるはず!と願うところで救いの手は入らずズルズルと堕とされていく木原作品。(他の作品に比べたらそこまで痛くない)

受けのモモが本当にどうしようもなくダメな人で…でもロンちゃんとの出会いで救われ彼と一緒にいたいからもう悪いことはしないと決めている。
そうして真面目に落ち着いた生活を送るモモから彼の良いところが沢山見えてきて、デリヘルで働いている前科アリ不細工ホモの彼に愛着が湧いてくる不思議。
ロンちゃんのために…と突っ走るその行動は明らかに間違っていて、あぁもう…っ!と思うんだけど、彼のひたむきさに何だかこちらまで放っておけない気持ちになる。

ロンちゃんも真面目堅物で不器用な刑事なんだけど、同僚から見た彼とモモから見た彼が違うのがまた良い。しかも本当にモモを愛していて大切にしているところが攻め視点から十分に感じられて甘い!

そして、描き下ろし「後輩の恋人」の終盤の一文に大笑いしてしまいました。
パ○ズリってなんですか?と詰め寄るロンちゃんに「どういうモンかなんとなく語感と雰囲気で察してくれればいいのに」って…!ロンちゃんの堅物鈍感さとモモと甚呉の気まずさが面白すぎました。

色々大変だったけど(2人が)、モモとロンの幸せにほっこりする読後感でした。読んだ良かった!

0

状況が人を変える

読んでいて、高校生の頃、授業でやって全然ピンとこなかった羅生門のことを思い出して、このお話と抱き合わせて腑に落ちた感じがした

出所した頃のモモの物の考え方の卑劣で醜いこと
それが仕事で信頼を得て、恋人ができて、失いたくない居場所があることで考え方や振る舞いが別人みたいに変わる
そういう物だよな…なんで昔の私は解らなかったんだろう
そして十分に愛されていたのに、なくなるハズがない両親では失いたくない存在にはなれないってこと
人間はやっぱり段階を追って他人との絆を結ばなきゃ今一つ覚悟が決まらないとかあるのかも知れないな

兄だって、自分が弱って借金を負って病に冒された状況になったらモモのことを思い出したりして
冷静でないとしか言いようがない
自分がいない状況で良くて相続放棄の妻子に前科3犯の人間との繋がりを作るなんてあり得ないのだから、弟と縁が切れていることには安心こそすれど会いたがるなんてまともな考えじゃない

でも、モモがお金を融通することで、感謝される経験、甥達と言う未来のある存在が自分の身内にいると思える状況を得られたことは良かった
損得考えるくらいまで何も持ったことがないからこそ、毎月20万をあげてしまうなんてことができちゃうんだよな
軽率さがよく働くこともある

モモは人生の前半はなんであぁなっちゃったのかな…

恋愛は始まりはなんでも良くて、絆されてこの人って決めた相手を大切にしあえれば恋人でいられる…けど、ロンちゃん、本当に?本当に良いのか?
読んだだけなのに天国のロンのお母様に申し訳ない気持ち
ロンちゃん人付き合いダメそうだけれど前科3犯の頭も顔も良くないおじさんじゃなくてもさぁ…モモがいつまでも引け目を感じるの無理もないよね

幸せならOKですとしか言いようがないけどさ

0

甘い木原作品

風俗店マネージャー百田×真面目すぎる警察ロンちゃん。

痛い、辛い、切ないが多い木原作品としては、甘すぎるほど甘く、ハードルは低めです。

終わってみれば愛が溢れた優しいお話でした。

百田の過去とロンちゃんとの始まりが相当にクズ。
そんな百田がロンちゃんのために更生し、ロンちゃんのために浅慮で暴走し、ヒヤヒヤさせられます。
本当に浅慮過ぎて頭を抱えたくなるのですが、彼の人柄や優しさが溢れていていつのまにかみんなが百田を好きになる。(本人はロンちゃんに夢中、そこがいい)
ロンちゃんも、真面目過ぎて人間味がなかったお巡りさんが、百田と出会って人間的になっていく。正反対の二人が素敵な相乗効果で見事な割れ鍋に綴じ蓋!
百田が作中何度もロンちゃんとの出会いに感謝しているけど、本当にこの二人が出会えてよかった。

百田の過去に涙し、ロンちゃんの愛に涙し、本編後のロンちゃんや甚呉さん目線の短編でほっこり。

ヤマシタトモコ先生のイラストがイメージ通り。小汚くてカタギじゃなさそうな百田、真面目で精神の清楚さが見た目に出ているロンちゃん、素晴らしかったです。

また何度も読み返したい神作品です。

1

ゾッコンなんです

読後も百田が完全なる善ではないということは忘れたくないなと思う。人間は変われる、を強く信じていますけれど、百田に人生狂わされた人絶対いるだろうに。そういう人に殺されたって同情したくないなと思ってしまう。曲がらない小指のくだりを胸に刻む。

創作物の登場人物としての百田はとても好きです。涙脆くて情が深くて頭は弱いロンちゃん至上主義。

持ち金全部でクスリを買ったり、老人を襲ったり、そういう男が風俗嬢達に「愛想よくて、優しくて、話好き」って思われて頼りにされていることは良いなとは思う。すごく強運の男だよな〜死んでておかしくない場面だらけ。ロンちゃんも社会的に死んでもおかしくないところがちょこちょこ… 百田に性病がなくてよかったな。

木村(ヤクザ)もそうだけど、浅はかな登場人物が多い。

1

神様、イエス様、仏様、キリスト様…

そこまでのネタバレはありませんが一応付けました。
木原さんの作品の中で沢山登場する、愛すべき底辺人間の中でも特に優しい部類の百田が主人公です。ヒリつく様な心理描写は控えめかと(かなり麻痺してるかもしれません)。

3度も薬で捕まり、家族も無くし、後々恋人になるロンちゃんとの出会いは最悪だし、顔も頭も悪いしゲイ。けれど見捨てず助けてくれた唯一の人ロンちゃん(浜渦論)の為に生きると決意し、それでもバカなことをして、泣いて、、というお話です。

百田は学生時代の行動はかなり荒暮れていたようですが、このお話の範囲ではクズ行動よりも論の前でグズグズしたり、悪い事をせず生きたい、役に立ちたいという思いを常に持っているので余り胸糞悪い展開もない…かと思います。それでも違う方向に突っ走っちゃって、読んでいるこちらも冷や汗を握りました。自分が底辺で頭悪くてetcとかなり自覚もあります。とにかく自分の否をこれでもかと自覚し、大好きな論には気弱さと確固たる愛を持って生きていく優しいお話でした。

また、論の弟、眞迩(まに)!他の漫画だったら白けそうな名前なのに登場から好きでした。浜渦家の名付けセンス好きです。歳の離れた論の意外な一面を、百田の話や関係性で知るのですが、論が受けた百田の影響がとても分かりやすく現れていました。そして論の警察なカッコよさも見せてくれます。
論視点のお話で、論も普通の警察人間ではなく欠陥人間だと気付くのですが、その視点でも百田が人としてちゃんと役に立っているのが知れて良かったですし、論から相談を受ける同僚のリアクションもまた逐一面白い!

論の気持ちを聞いて思わず両手を合わせた百田のセリフが上記タイトルです。頭が悪くて、でも憎めない愛おしいキャラ百田の素敵なシーンだと思いました。論から「大事な話がある」と前置きされ、遂に別れ話か…と早とちりして大号泣する百田も面白くて可愛くて愛おしくて大好きでした。

0

前科者と刑事の大真面目な恋愛


凄い!最初から両想い!ラブラブだ!!!


不細工でドクズな攻めこと百田が受けのロンちゃんと出会いとびっきりの幸せをもらいつつドクズ人生から足を洗って歩きはじめているお話。

百田は常にロンちゃん大好きだしそんな百田を同じくらいの気持ちで大事にしてくれているロンちゃんに終始癒されます。
口数多い方ではないしそもそもなかなか会えないけど、素直な気持ちをのせたロンちゃんの言葉は一つ一つ重みがあり本気さだったりひたむきさを感じる。
なんて幸せな両想いなんだ!!

うまくいっている二人なのに、百田はこんなダメダメな自分は本当はロンちゃんにふさわしくない…と悩み、いつか別れを切り出されるのでは?と怯えつつも、ロンちゃんの役に立とうと無茶をします。
まるで自分がプラスを与えられるものがそれしかないように。
過去の汚点にされたとしても一つくらいはいいことあったなと思ってもらえるように。
長続きさせることだけを考えればいいのに、そうもいかないんですよね…。

その時がきたら死んじゃうくらい耐え難いいつかの別れを恐れながら、幸せいっぱいでいる百田を応援したくなりました。

そんな百田に責任をもち続けた結果、真摯に好きにもなってくれたロンちゃんからプロポーズしたのはぶわっときました。
あとヤキモチ焼きがちなところも可愛い!!


ラブラブなんだけど、胸焼けがなくてスラスラ読めました。
良かった!!!

1

出会いの不思議さと儚さに思いをはせる

「バラ色の人生」というタイトルの歌は、同名のシャンソンのカバーからオリジナル曲まで、古今東西、多くの歌手に歌われており、愛する人への想いを歌ったものが多いようです。愛は素晴らしいもの。だから愛の歌がたくさんある。でも一方で、ひとは皆が愛を見つけられるわけではないことも知っています。
本作品は、前科者・モモと刑事・ロンちゃんの愛の話だけではなく、愛を得られなかった人、不慮の事故や病気で命を落とした人たちも描くことで、人生の出会いの不思議さや儚さも描いているように感じました。何度読み返しても、読後は甘さと苦さ、切なさが混ざりあった、割り切れない感情が湧いてきます。

自分の放蕩のせいで親を事故死させたと知ったモモ(百田保男)は、自殺を図ろうとしますが、当時新米警官だったロンちゃん(浜渦論)に止められます。責任取れ、とモモが無理やりロンちゃんを抱いたことから、二人の関係が始まります。ロンちゃんが「初めて」を差し出したことを知り、モモは恋してしまいますが、その想いを伝えたのは一年後。さらに一年後、ロンちゃんからも好きだと言われ、なんと二人は両想いになります。
二人の出会いは偶然ですが、ロンちゃんが「自分の言葉に責任をとりたい」と思わなければ、モモが脅してロンちゃんを繋ぎ留めなければ、二人の関係は続かなかったことを考えると、出会いのその後は、まず一歩踏み出すかどうかにかかっているように思えてきます。そして、続けば「縁があった」、続かなければ「縁がなかった」、そんな風に考えるしかない。つくづく出会いは不思議だと思います。

儚さを感じたのは、モモとリナの出会い。
リナは薬物をもらうためヤクザの子飼いの男と関係を持っていました。モモがロンちゃんの役に立つ情報を得ようとヤクザと接触したことから、出会います。薬を早くやめろと諭すモモに、リナは「責任とってよ」と、遠回しに想いを伝えたのですが、モモには伝わらず、リナはその想いがきっかけで殺されてしまいます。
出会いのタイミングは思い通りにならないし、リナがモモの言葉を受け入れていれば、結果は違っていたのでしょう。愛されない悲しさがリナと相手の男を誤らせてしまったのかと思うと、出会いの儚さだけでなく苦さも感じてしまいます。

モモの両親と兄、ロンちゃんのお母さんも事故や病気で亡くなっています。悲しいことですが、これらのことがあったからモモとロンちゃんの出会いがあったのかもしれないと思うと、やはり出会いの不思議さを思わされます。

出会いとは人生の分岐点のようなものかもしれません。
そして、人生に様々な色を添えるものでもあるのでしょう。明るい色だけでなく、暗い色も。モモの店の明るい女の子たちや危ない客。ロンちゃんの頼れる先輩・甚吾、警察社会の殺伐さ。決して薔薇色だけではない世界。
だからこそ、モモとロンちゃんが互いをありのまま大切に想う描写が、胸に温かく、切なく響いてきます。
そんな二人が性格は正反対で、愛されることに自信がないのが同じだったことが、微笑ましくて。

愛する人との小さな幸せ。一つ一つを積み重ねることが、きっと心の中に薔薇の花束を作るのかな。あらためてタイトルを見て、そう思いました。

2

メチャクチャ可愛い話でした

二人の置かれた状況は多難すぎるもので、しかも攻めのバックグラウンドは悲惨すぎる&最悪すぎるもの。
なのに「いいなあ、本当に『薔薇色の人生』だなあ」と思える二人でした。
愛し、愛されること、それを幸せと言うんだな、としみじみ。
受けも攻めも、とても魅力的な人間性だなと思いながら読みました。

攻め視点・受け視点とお話が続き、最後に第三者視点でお話がまとまっているのもよかったです。
この二人のお話は、いつまででも読んでいたい!もっともっと書いてほしい!!
そんな風に思ってしまうほど、素敵なお話でした。

3

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