双璧の守護者と呪いの宝剣

souheki no shugosha to noroi no houken

双璧の守護者と呪いの宝剣
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神3
  • 萌×22
  • 萌0
  • 中立0
  • しゅみじゃない0

--

レビュー数
3
得点
23
評価数
5
平均
4.6 / 5
神率
60%
著者
中原一也 

作家さんの新作発表
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イラスト
 
媒体
小説
出版社
徳間書店
レーベル
キャラ文庫
発売日
価格
ISBN
9784199011856

あらすじ

呪われた宝剣の守護に就いて国を守りたい――幼なじみと切磋琢磨するある日、宝剣が敵襲を受けて!? 激動の中華ファンタジー!

表題作双璧の守護者と呪いの宝剣

18歳、青虎薫風在籍の花風徒→白翼
18歳、青虎薫風在籍の花風徒→白翼

レビュー投稿数3

お互いに一途で真摯で素敵な関係

かっこいい幼なじみ同士の中華風ファンタジーBL。
黒髪長髪な2人が、同じ衣装をなびかせて戦う姿が素敵で、切磋琢磨して育ってきた彼らの友情からラブへの変遷が良かった~。

両視点でお互いの心情が読めるので、2人の過去や恋心の育つ過程、惹かれる理由がしっかりと説得力を持って描かれていたと思います。
だから2人が幼なじみという関係を踏み越えたときのドキドキや高揚感がたまらなかった~。

攻めが裏切り者の息子としてツライ目に遭ったり、
受けは偉大な父親と比較される重責に悩んだり、
それでも、真っ直ぐに目標に向かって突き進んできた2人の絆があったからこそ…

終盤の攻めの闇落ちにハラハラしました。
攻めの心情は語られず、受け目線でしか分からないから尚更。

なかなか攻めが戻ってこない上に、2人で過ごした過去や気づきを得るターンが何度かあって若干もどかしく。
攻めが正気に戻るきっかけも、ある程度読める展開ではありますが、一冊の物語として綺麗に収まって良かったです。

割と早めに2人の両想いが確定するので、もう少し甘いシーンが欲しかったかなぁ。
人生で唯一の人同士な2人、お互いに一途で真摯で素敵な関係でした。

1

真に戦いを挑むべき相手とは…!鳥の如く舞い戦う二人の姿が麗しい

中華で幼馴染で、闇落ち(攻)でバトル!
と、心たぎる設定・展開てんこ盛りの、中原先生によるファンタジー✨

先生の硬質な文章が、シリアスで静謐ながら
情熱の炎、男気を感じさせる作品の雰囲気にとてもよくマッチしている…!
読みながらワクワク、胸高鳴ってページをめくる手が止まりませんでした

個人的に大好きな、長髪×黒髪キャラ。
それが攻め受け二人…!ということで、萌えたぎる心が止まりません
杏先生による美麗なイラストが、さらに萌えを爆上げしてくれていました⤴︎
全身真っ白な装束で突きや蹴りを繰り出し、
宝剣を護るために戦う二人の美しさよ。

激しくそしてどこか美しさをも感じさせる戦闘シーン、
切ないすれ違いと、それに端を発する裏切り、闇落ち。
ドラマティックな展開、中華サスペンスお好きな方には特にたまらない
一冊ではないかと思います(←自分)


主人公は夜雪(やせつ・受)。
幼い頃から良き友・龍炎(ろうえん・攻)と共に技術を磨き、
触れた者の邪心を増幅させ、国を転覆させるという宝剣を
敵対勢力から守るため切磋琢磨してきたー

父もまた著名な剣の守護者であり、高貴な血の生まれの夜雪とは反対に、
敵の手に堕ちいまだ行方不明、”裏切り者”となったと噂の父を持つ
賎民出身の龍炎。

身分が低く、”裏切り者の息子”として見られ
正当に評価されない龍炎を自分こそが盾となり守るー

そう誓う夜雪だったけれど、やがて試練の時が訪れ…

と続きます。

どこか”おぼこ”で(笑)恋愛ごとには疎く、The・正義感の塊!である夜雪と
世の中の汚い部分もあれこれ見て知ったうえで、
柔軟にしなやかに生き抜いてゆく龍炎。

正反対の二人が、正反対であるからこそ互いに強く惹かれ、
”友”という関係を飛び越え恋情を抱いてゆく様子が
手に取るように伝わってきて、ドキドキ胸高鳴ります

静かな夜の、二人の初めてのキスシーンが美しかった…

宝剣を奪い、国を転覆させようとする敵対勢力・巳蛇(はだ)。
夜雪と龍炎が敵として戦う相手ですが、
その巳蛇を生み出す原因となっており、「真の敵」と言えるのは実は
この国にいまだ残る選民思想や差別意識、国の在り方といった部分なのだー
という真実が重い。

龍炎を心から信じるがゆえの夜雪の密告が、
結果的に二人の仲を切り裂き”龍炎の闇落ち”へと繋がってゆく皮肉に
胸が痛みました

闇落ちしてしまった龍炎を、「自らが斬り捨てる」と覚悟を決めた夜雪。
しかしそんな中、龍炎の中にいまだ悪に染まりきっていない”善”を見た夜雪が
思い出す、射られた母猪のお話が印象的。

「即座に斬り捨てる」ということ以外の選択肢を見出し、
それまでの”堅物夜雪”からは考えられない作戦を考え出した夜雪。
辛い経験を経ての大きな成長と変化が見られ、胸が熱くなる瞬間でした

一点、不思議というか、一読した時やや腑に落ちなかったのは…
やはりあの”永仁”の手のひら返し、
”急にいい奴になりすぎ〜!”な展開でしょうか。

夜雪が、闇落ちから無事戻った龍炎の恩赦を求めるシーン。
あれだけ散々嫌味を言い、龍炎を貶めた永仁が
コロッと態度を変えて共に恩赦を求めてきたのにはビックリだったかな...

でもよくよくその前を読んでみると、闇落ちした龍炎を目の前にして戦い、
見事食い止めた夜雪の働きをその目でしっかり見ているのですよね。

命をかけて友を救おうとした夜雪の姿、
二人の絆を目の前にして永仁の中で何かが大きく変わったのだろうな、と
納得です。

二人の情事は少なめだけれど、しっとりとした情感たっぷりな描写に
酔いしれました
墨の乾かぬ筆を置いて二人が唇を重ね、そのまま…
衣摺れの音が聞こえてきそうなドキドキ感。

強く、美しい幼馴染の二人が舞い戦う姿に惚れ惚れする中華ファンタジー。

夜雪の進言によって少しずつ変わりゆく
国の未来の片鱗も見え、希望の光の見える結末に、
たまらなくグッときたお話でした✨

1

真の敵は誰なのか、戦うべき相手は何かを見定めながら読んで欲しい

幼馴染同士、共に国を守ろうと誓い合った親友2人が織りなす中華ファンタジー。国を守護するため、切磋琢磨しながら敵と対峙していくバトルものです。

その過程で想いを交わし合い、幼馴染以上の距離にグッと近づく恋愛ターンは意外と早い段階で訪れるので、焦れったさとかはナシ。関係性がある程度できている2人だったせいか、恋愛事モードに進むタイミングもスピード感もちょうど良かったです。
早いうちに両思いとなるからには、そのあとに色々あるんだろうな…と予測できちゃうのが如何ともし難い。国の不穏な情勢と相まって予想が確信に変わっていく中盤付近に訪れる2人のすれ違いが、まさか攻めの龍炎の闇堕ちルートの引き金になろうとは……。愛し合う2人が敵対勢力となっていく事件ターンの読み応えは抜群でした。


一見すると戦う相手は敵の抵抗勢力ですが、実はそうではない社会の闇構造がこのストーリーの大きな核。確かに、国を滅ぼそうとする者たちとのバトルが最大の見せ場であり、最高のクライマックスシーンではあるんですけど、真に戦うべき相手は目の前の敵ではなく、この国自身っていうメッセージ性が深い終幕でした。
正すべきは国内の社会構造にあって、これまで払ってきた多くの犠牲は、結局のところこの国が自らが招いた結果に過ぎませんでした。

国に蔓延る選民意識、特権ヒエラルキーや差別……身分によって不平等や不公平が生じている国内の歪みこそが本当に倒さなければならない諸悪の根源そのもの。そこに呪いの宝剣アイテムがうまくマッチングし、胸に巣食う悪の感情を増幅させ、遂には瘴気を生み出すエネルギー源となっていくカラクリがなんともやるせません。
父を裏切り者だと罵られるばかりか、身分の低さまでをも馬鹿にされてきた龍炎は、これまでどんな気持ちで耐えて頑張ってきたのか……。あれだけ気丈だった男が夜雪とのすれ違いから一気に闇堕ちしていく展開は目も当てられないほどでした。

国賊化した龍炎の目を覚ますことが出来るのは後にも先にも夜雪のみ。愛する人と敵対関係になってしまった中盤以降はハラハラの連続です。
恋愛的には割とすんなり進んでいただけに、龍炎との対立は歯痒さいっぱいでしたが、夜雪の龍炎への信頼や絆の強さが試されたと思えば、切ないストーリーも乗り越えられました。

登場人物の中で1人、毎回すんごい嫌味を言ってくる差別野郎がいるのですが、奴が最後に龍炎の擁護に回ったのがあまりにも急すぎて、一体何がどうして考えが改まったのかとそこだけが気になりました。
あんだけ龍炎に酷いことを言っていたし、密告もしたくらいの性悪男だったので最後にギャフン展開があれば良いなと願っていたところに、突然の良い人モード。龍炎と夜雪が許しても私は許しません。(とりあえず龍炎に謝んなさいよ)
最後は普通に味方サイドに位置取りしていたこの男のことだけが少々不完全燃焼でした。

社会体制がこれから大きく変わっていく中で、2人がどう国に貢献し、また愛を育み合っていくのか大いに期待していきたいなと思います^ ^

3

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