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eigakantoku to koi wo suru nara

今回は新進気鋭の映画監督と実力派俳優のお話です。
恩師の死で俳優業を休業した受様が
攻様のオファーで再びあるくき出す顛末を収録。
受様は13才で祖母が亡くなし
受様を俳優として見出した監督に引き取られます。
彼の養子となって俳優としても育てられた
受様に撮って監督は公私にわたって
かけがえのない人でしたが
恩師が76才で人生の幕を閉じると
大きな存在を失った受様の世界は色褪せ
無期限の休業に入ります。
そんな日々が半年も過ぎた頃
マネージャーの様子伺い電話にて社長判断で
保留にしている案件を聞かされます。
それは25才の若手監督からのオファーでしたが
監督は恩師の孫である攻様だったのです♪
受様は監督としての攻様を知りませんでしたが
攻様は美大の映像科時代から頭角を現し
2年前に少女漫画の映画化で
監督デビューを果たしていましたが
恩師の孫とは公表していないようです。
攻様の思惑はわからないものの
攻様と会う事にします。
しかし約束の日、
都内の某ホテルの前に降り立った受様は
週刊誌の記者に呼び止められます。
受様はなるべく丁寧な対応を取りますが
記者は恩師を赤裸々な言葉で侮辱してきて
受様が怒りの言葉を発しようとした時
受様と記者の間に若い男が飛び込んできて!?
受様の恩師の実孫の攻様と
恩師の養子として育てられた受様の恋物語です♪
突然の乱入者は攻様で言葉で記者を制すると
受様をエントランス前に停まったタクシーに
押し込んでその場を去り
駆け付けた整備員に取り押さえられて
地団太を踏む記者が遠ざかっていく様は
映像が早回しになったかのようでした。
落ち着いてホテルのティーラウンジで
受様へのオファーについて話をします。
攻様は祖父が映画監督と知っていても
母の前ではタブーとなっており
映画業界や芸能界に関心はなかったのですが
文化祭でビデオ係をした際に級友達の表情を
カメラに収める事を面白く思った頃
受様が主演した映画がカンヌで再交渉を受賞し
大きなニュースになった事で観に行き
帰りには人生の行き先を決めています。
受様は攻様の中に恩師と同じ情熱を感じ
撮影される事で自らが歩んできた俳優としての道つ
恩師との関係を見つめ返す事となります。
1本の映画を通して
俳優として役柄を忠実に表現しようとする受様の姿と
俳優たちの表現する世界を最高の形で
撮ろうとする攻様の様子が丁寧に描かれており
受様と攻様の縁を繋いだ恩師の存在が
受様にとってどれほどの存在だったのかが
浮き彫りにされていく過程にドキドキさせられました。
そして見えてきた受様の想いが
攻様との恋にどういう答えを出すのか
彼らの選ぶ未来がどうなるのかとハラハラ&ワクワク
2人がかけがえのないパートナーとなる幕引きまで
実に骨太な物語で大変楽しく読ませて頂きました♪
北ミチノ先鋭、初読みです☺︎
夏乃あゆみ先生によるスタイリッシュな表紙絵と、
映画好きの心をくすぐるあらすじに興味を惹かれ、拝読しました。
先生の、情景がパッと脳裏に浮かぶような文章がとても好きです。
読んでいてとても心地よいな、と感じる文章でした。
こちらの御本、手に持つとずっしり、
あとがきなしで386ページの大ボリューム!
その大半が作中で受け・秌(あき)が出演し、攻め・光嶋(みつしま)が
監督を務める映画制作の描写となっています。
”撮られる”側である俳優の、演技への取り組み方や心構え、
覚悟といったものが詳細に描かれ、まるでドキュメンタリー映像を
見ているような心地に。
緻密で本格的な、制作現場の描写でした。
受けにとって敬愛の対象である偉大な映画監督であり、
愛を惜しみなく注いでくれた養父であり、
そして仕事や家族関係を超えた想いの対象でもありー
という”全て”だった人物の死。
失意のもと、無期限休業状態にあった俳優・秌(あき・受)のもとに、
ある日映画出演の依頼が舞い込みます。
オファーしてきた若手監督・光嶋(みつしま・攻)は
なんと亡き養父の孫だったー
という出会いから始まる再生ストーリーです。
秌と養父の運命的とも言えるような出会い、
そこから押しも押されぬ実力派若手俳優となるまでの軌跡、
切ない恋の結末とマスコミ・世間からの揶揄…
秌がいかに努力して今の地位を築き上げたのか、
どのような思いで養父を見てきて、
秘めておこうとした想いが爆発してしまった時、
それが受け入れられなかった時、何を感じたのか。
そういったことが、秌視点で丁寧にじっくりと語られていきます。
読み進めるうちに自然と秌という人物の解像度が上がり、
感情移入していました。
50歳ほども歳の離れた養父への一途で健気な恋心と、
その切ない結末に胸が痛みます( ; ; )
並行して描かれる映画制作のお話の中で
少しずつ変わっていく秌の他者との関わり方、その意識も印象的。
光嶋や俳優仲間、制作現場の人々とのやりとりが
秌の心を柔らかく、明るく包んでいく様子が素敵でした。
そんな「受けの内面」「映画制作」の二本立てが丁寧に綴られている分、
攻め受け二人のラブ、BL面に関してはちょっと正直駆け足...というのか、
ボリュームが少ないように感じました;
養父への想いに”囚われている”と言ってもいい秌が
新たな恋に踏み出すには、相当の勇気と覚悟が必要だったと思うのです。
しかもその相手は想い人の孫。
一本の映画を通して互いへの理解と信頼を深めた二人が、
「同志」以上の「恋愛」関係へと進んでいく、
その部分がちょっと自分の中でするっとスムーズに受け取れず、
引っかかるところがありました;
レビュータイトルにも書いたのですが、
攻め・光嶋視点で彼の「恋する気持ち」が深く知れたら良かったなあ…と思います。
”俳優としての秌”の大ファンであった光嶋は、
どんな思いで秌のことを見つめてきて、恋を自覚するようになったのか。
(一方的に秌を知っている時から好きだった...?)
書いていて、これは自分が文章中から受け取れていないだけかもしれない…
とだんだん不安になってきましたが;
二人の恋の軌跡、気持ちの変化についても両サイドから
じっくりと読みたかった気がします。
そして、これは完全に自分の好みの問題ではありますが...
光嶋が監督を務めるドキュメンタリーで、秌が養父との関係について
言及する必要、あったんだろうか…
この部分、考え込んでしまいました。
グレーにしておくことが良いとは決して思わないけれど、
そして明らかにすることで亡くなった監督(養父)の名誉は
守られたわけだけれど、、
(秌の中での、一つのけじめにもなったのだろうと理解しています)
そこまで曝け出さなければいけないものだったのかな...と、
個人的には疑問と、切ない気持ちが先に立ってしまうシーンでした;
と、つらつら書いてしまいましたが。。
大きなものを失った受けの、失意からの再生・再出発の物語。
繊細で緻密な心理描写や映画制作描写で、
お話自体が一つのドキュメンタリー映画のようでした。
「好きだ」と思う人を、初めて自分から抱きしめることができた
秌の喜びを思うと、心が震えます。良かったなあ...涙
この先ずっと二人で、穏やかに愛を育む日常を過ごしていってほしい。
2年後の二人の姿に心が温かくなるラスト、素敵でした(*´◒`*)
※途中、受けが別の人物と関係を持ったことを示唆する描写があります
(詳細な描写はなし)苦手な方、ご注意ください。
名監督とコンビを組む名女優、という組み合わせは幾つも思い付きます。主人公アキも、俳優としての育ての親で、文字通り養父でもあった巨匠・大瀧監督と恋仲だったのかな…?と薄々思いながら読み始めました。
大瀧亡き後、アキにラブコールを送ってきたのは何と大瀧の孫の光嶋。「祖父の愛人を寝取る孫」…。いいねアツイね、とワクワクして読み続けましたが、光嶋との作品や、代役で立つ舞台に賭けるアキの想いの熱さに、恋情はもちろん、何より魂で分かり合える関係性なんだなとじわじわ感動しました。
「祖父が輝かせたアキを、自分はもっと魅力的に撮りたい!」という嫉妬めいた気持ちも、スパイスとして大変萌えました。映画が観たくなる小説でした。