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ashita suki ni naru hito
高校時代、主人公の高瀬の「推し」だった同級生で写真家の羽鳥に対して、高瀬が「好き」だと伝えるも、その言葉をきっかけに縁が途切れてしまうところが主役ふたりの複雑な関係の出発点です。
大人になってパパラッチになった羽鳥と、アイドルのマネージャーをしている高瀬が偶然の再会を果たして、こじれた過去のこと、以前とは様子の違う羽鳥の事情、すれ違っていたふたりの気持ちについてだんだんと分かり合っていく過程にどきどきしました。
全部分かってみると、羽鳥のことを推したいから推して、好きだと伝えたいから伝えて逃げた高瀬はなかなかに自分勝手な人のようにも感じますし、羽鳥に同情してしまうところもかなり大きかったです。それでも中高生の時期はそういう視野の狭いところもあるものかなあと思いますし、社会人になってから再会したふたりがじりじり距離を詰めていく過程にときめきました。
性描写はなくキスまでなので、外でも安心して読めます。
ピュアなBL、初恋をやり直す甘酸っぱい物語がお好きな方におすすめです!
一つの救済のお話、かな。高校時代に何とも言えないすれ違いで決別した二人が再会し、初恋のやり直しをしているような。過去と今を一枚で表現する表紙イラストが素晴らしいと思う。読後にタイトルを見ると泣けた。
才能ある写真家になっていたはずの羽鳥が、下衆なパパラッチとなって高瀬の元に現れるとこから始まる物語。過去に思いを馳せる高瀬の記憶から見えてくるものは、ひたすらに羽鳥への同情を禁じ得ない。
大人になった羽鳥は、かつて純粋に撮影を楽しんでいた羽鳥ではなくなっており、スレてるというか明らかに訳アリな気配を漂わせていた。対する高瀬は、変わっていないと言われてしまう有様で、推しを応援することを仕事にしていた。
再会後の二人は、特に羽鳥の方が良い方向に向かっているようで、見守りたくなった。ストレートに気持ちを伝えながらそばにいて、高瀬を揺さぶる(たぶん無意識の)駆け引きが面白い。高瀬の中に恋愛感情が芽生える描写も分かりやすかった。
別れは唐突で一方的で予想通りの展開。その後の流れにも意外性は無かったが、BLと写真と過去とが綺麗に絡まり合っており、このややこしい二人がやっと……!という感動があった。
モヤったのは高瀬を他人のことばかり、と美化して評する点。高校時代の告白にしても、言いたいことが伝わってないと自分のことばかりで羽鳥の気持ちを考えないし、“推し”に理想を押し付ける発言をしたりと、自己中に見える。
他にも各キャラの意見に同意できない場面が多く、引っかかりながら読んだ。
全部がスッキリ、というわけでなくとも、ストーリーはとても良かった。高校生、初恋、再会、などの萌えポイントを押さえたBL。非BLレーベルの角川文庫だけど、BLとして萌え度★4。