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LOST
仲間を失い、後悔の念や喪失感の中でもがき続けてきた男の心の闇に迫る後半戦。素晴らしい読み応えでした。
このII巻は、I巻のネイサン視点とは変わってクレイ視点で話が進みます。
ヒュプノス島で戦死したとされるネイサンのことを想いながら、島の謎に迫っていくストーリー展開です。
あの島には何が隠されているのか、かつての仲間たちなはなぜ死ななければならなかったのか、そしてネイサンはクレイに何を伝えようとしていたのか……1つの小さな島に翻弄された男たちの戦いの物語。世界の国々の陰謀や思惑も絡み合い、ドンパチも肉弾戦も何でもござれのバトルシーンは臨場感がすごいものがありました。
混沌とした戦いの場面はもちろんのこと、人間模様や心情の掘り下げはクライマックスならではの見せ場感。世界を混乱に陥れないためのイデオロギーでもって島を侵入者たちから守る者たち側の背景も丁寧に描かれており、謎のベールに包まれていた島の全貌と島の資源を巡る対立構造が露わになっていきます。
仲間の死から始まったストーリーが、世界全土を巻き込む壮大なストーリーへと発展していくと、単なるBL枠では収まりきらないレベルにまで盛り上がりを見せていきます。
普通にアクションストーリーとしてのクオリティも高い作品だけど、BLを置き去りにしていないところは見事だなと思いました。
2人は恋人同士でもなんでもない、ウマの合わない元同僚……何度かセックスはしたけどセフレのような身体だけの関係でもありません。そんな状況の中、ネイサンは島へと任務に趣き、戻らぬままとなっていましたが、会えない時間にもネイサンはクレイを想い、クレイはネイサンを想い続ける双方向のやり場のない思いが切なくグッときます。
この島がなければネイサンは多くを失うことはなかった…確かにそう言えますが、クレイの温かさや肌の温もりは、失ったからこそ得たものだと思います。
引き取った子どものダスティとの時間もそう、不名誉な"英雄"のシンボルだけがネイサンが得たものではないし、死に急ぎヤロウの喪失願望に振り回される周囲の身にもなってみろってんだ。
屈強な男のくせにどこかヘタレなネイサンの逃げの姿勢にはモヤモヤしましたが、ダスティやクレイにボコられてちょっとスッキリ。血の気が多い軍人2人からの、愛あるお仕置きが激しくてちょっと笑ってしまいました^ ^
話の回収も見事でしたし、納得の終焉でした。
ただ……1点。
なぜ、最後にリバなのだ……
別にリバに抵抗があるわけじゃないけど、話の流れ的にリバである必要性を全く感じなかったです。クレイが攻めに回った理由も分からんでもないけど、にしてもリバはわたし的にはないなぁ…でした。
右手がないネイサンを下にして、クレイが跨ってケツ抱き。これっきゃないでしょ。
最後の一番いいところでっていうションボリ感もあり、中立にしました。読者によって好みが分かれるかもしれません。
リバじゃければ、神でした。ストーリーはハリウッドレベルの良作です。