浮世渡らば豆腐で渡れ! あなたと小さなアップデート

ukiyo wataraba toufu de watare anata to chiisana update

浮世渡らば豆腐で渡れ! あなたと小さなアップデート
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神14
  • 萌×22
  • 萌3
  • 中立0
  • しゅみじゃない0

46

レビュー数
5
得点
87
評価数
19
平均
4.6 / 5
神率
73.7%
著者
海野幸 

作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます

イラスト
逆月酒乱 
媒体
小説
出版社
Jパブリッシング(ジュリアンパブリッシング)
レーベル
カクテルキス文庫
発売日
電子発売日
価格
ISBN
9784866697789

あらすじ

揚げ物はもう胃もたれがする、営業部次長・40歳の慶一。上司の重圧も、部下とのジェネレーションギャップも、自分さえ耐えれば波風は立たない。そう諦観していた中、担当工場からクレームが!? 工場勤務の強面の青年・深見とともに体制を整えることに。内心深見に怯えていた慶一だったが、自分にない視点で物事を捉える彼に徐々に心を開き……。歳の差16歳。居酒屋のメニューから対人関係まで。価値観の違う二人が見つける、恋と小さなアップデート。


初版のみにお付けしている特典(初回特典、初回仕様特典)がある商品は、商品ページに特典の表記が掲載されている場合でも無くなり次第、終了となりますのでご了承ください。

表題作浮世渡らば豆腐で渡れ! あなたと小さなアップデート

電源装置メーカー 第二工場勤務,24歳
電源装置メーカーの営業部次長,40歳

その他の収録作品

  • あとがき

レビュー投稿数5

お仕事

先生買い。安定の海野先生のお仕事ものでした。攻め受けセットでウチの会社に来てほしい♡と思うものでしたが、めっちゃ惚れるという部分はあまり無いように思ったので萌にしました。皆さんお仕事頑張りましょうね、と思う本編270Pほど+あとがき。

中小メーカーで営業の次長を務めている渋谷。主な担当は第一工場の方だが、ある日くせもの技術者の多い第二工場の工場長が体調不良に。オンライン会議で工場長代理として出てきたのはいかつい顔をした若い深見で・・と続きます。

攻め受け以外の登場人物は
第二工場の面々、中途採用者、本社営業部の皆さん。皆さんリアルで、あーいるいるこういう人って思います。

++攻め受けについて

攻めはくせものだらけの工場のじいちゃんたちに歯を食いしばってくっついて、なんとかものにしようと頑張った方。ガタイ良くてちょっと怖い見た目な感じです。だけど懐いたらしっぽブンブン丸なワンコと感じました。

受けは40歳!自分をおじさんと自覚しているんですけど、周りからはそんな風に全く見えない美麗系。腰低いし、みんなが疲れてそうなら黒飴配って回っちゃう方。こういう人大事。職場の潤滑油。

そんな二人が第二工場のトラブル対応しつつ恋愛感情も育てていくという感じのお話でした。海野先生あるあるかと思いますが、恋愛話よりお仕事話に、シンクロしちゃいますねえ。。。

0

No Title

工場と営業っていう立場の違いのお話としてもとてもリアリティがあって面白かった!本社と工場って全然違うんですよね…。ビジネスパーソンとして刺さるエピソードもたくさんありました。慶一のようになんとか自分が我慢してやり過ごしてしまえばと思うことって中間管理職であったら幾度となくある場面で、その先に影響を受ける人たちの事が頭から抜けていないかと考えさせられることがたくさん。深見くんはそのあたりをあの若さと頭の柔らかさで慶一にいい影響を与えてくれましたよね。2人の恋の攻防戦?も慶一がぐるぐる悩んでしまうあたりが大人だからこその反応だし、そこは若さで押せてしまうのも深見くんならではだし。ついに気持ちを認める瞬間好きだったなぁ。

3

自己肯定感って大事

面白かったです。

作品タイトルにもあるように、登場人物みんなが小さなアップデートを重ねていく物語。
主人公ふたりだけでなく、この作品に登場する様々な人物が、それぞれの価値観をアップデートしていきます。

骨の髄まで染み込んだ価値観や性格って、それが他者や自分にとってマイナスであろうと、なかなかアップデートするのも簡単ではないですよね。
それでも言葉を尽くし、正面から向き合った先に、新しい景色があるのだと思います。

それにしても、慶一さんが卑屈すぎる笑
過去の出来事も語られていましたが、その出来事の結果として現在まで自分を卑下ばかりして生きてきたのだとしたら、よほど周りの人間に恵まれなかったのでは?と思います。
アラフォーにして深見と出逢うまで、自己肯定感を高めてくれるような人と出逢えなかったのでしょうか......

惚れた弱みとはならず、慶一の良いところも悪いところもしっかり伝えてくれた深見が個人的にMVPでした。

3

自分の殻を破りたい人に勇気を与える応援作

恋愛模様とは別に、この作品の面白さはお仕事の描写にあり!
2人の出会いでもあり、仲を深めていく背景描写の一つですが、すごく深いところを攻めるてくるんですよね。私、めちゃくちゃその気持ちに共感しまして、ウルッときてしまいました。
人の良さにつけこんで好き勝手に言って自分の意見を押し付けるヤツ、社会に出ればそんなヤツらゴロゴロいますよね。従うしかない状況に腹が立ったとしても、何も出来ない自分にもイラつくというか……怒りたいのに怒れないジレンマと、また同じことの繰り返しにどうしようもなくなって落ち込むなんてこと、経験ありませんか?
そんな気持ちを抱えた世の中の人たちにぜひ読んでもらいたい一冊です。

作中、慶一が理不尽なことを言う上司たちにブチ切れて闘うシーンがあるのですが、これがすごいんです。めちゃくちゃスカッとします!
慶一が直面する理不尽な状況に共感できる方なら、この展開はスタンディングオーベーションものでしょう。これまで潰されてきた小さな声の所有者たちの反旗ともいえる心の叫びが胸アツです。
ジワっと嫌な感情をほじくり出すシーン描写はさすがの海野先生。BL以外のところの見せ場がたくさんあって、終始目が離せませんでした。


もちろんBLとしての見どころもいっぱいですし、なんといっても16の歳の差は注目ポイントでしょう。
深見の精神年齢が高いせいか違和感は皆無。むしろしっくりくる雰囲気でした。
深見と慶一が共に過ごす時間や豆腐談義に花を咲かせる穏やかな時間にホッコリ^ ^
"オジサンだろうがなんだろうが可愛ものは可愛い"。なんてったって、可愛いはボーダレスですから!

歳の差カップルだけど、そのせいですれ違ったりもしたけど、ジェネレーションギャップとか関係なくお似合いな2人でした。色んな方におすすめしたい素敵作品です。

3

「正しく怒る」ということ。胸熱な本格お仕事もの

読み終えて無性に…おぼろ豆腐が食べたくなりました(。-∀-)

海野先生による、胸熱・本格お仕事もの。
24歳×40歳という、なんと一回り以上…実に16歳(!)もの
歳の離れた相手とのラブストーリーでもあります。

感想の前にまず一点、イラストについて。

逆月酒乱先生のイラスト大好き!…なのですが、
ちょっと正直なところ今作は、受け・慶一の見た目が
若く(幼く)見えすぎる、かな...?という気のするページもありました

”年齢より若く見える”と地の文にもあるのですが、
もう少々、年齢を重ねた男の渋みというか、男前なテイストも
感じたかったな、、と思った部分も;


で、内容について話を戻して。。

つい先月、先生の「社長、〜」シリーズ最新刊を
読んだばかりなのに、こうしてまた間を置かず
新刊が拝読できるなんて、嬉しい限りです☺︎

まさかタイトルの「浮世渡らば豆腐で渡れ」がことわざであるとは
知らず、海野先生のあとがきを読んでびっくり!
本当に今作の内容にピッタリの、素敵なことわざです。

「豆腐のように外面は四角四面できっちりしていても、
内面は柔軟に対応していくのが世渡りのコツ」
という意味だそう。深い...

とある”電源装置メーカー”が舞台のお仕事ものであるこちら。

主人公は営業部次長、40歳の慶一。
上司からの重圧や無神経な部下からの一言、そんなものに
いちいち目くじらを立てず、自分さえ黙って耐えれば波風は吹かないー

と、心の中の”綻び”を長いこと無視したまま
諦観して生きてきた彼。

しかしそんな慶一の日々は、あることをきっかけに一変することに。

担当工場の工場長が過労で入院、
生産計画について初めて工場から営業部にクレームが入り、
それがきっかけで、常駐する調整役?を体よく押し付けられ…
いや、任されることになりー

と続く本格お仕事ものです。


この、出向先の工場に勤務しており、
倒れた工場長の代わりに24歳にして”工場長代理”を務めていたのが、
今回の攻め・深見です。

で、自分、この深見がもう途中から可愛くて可愛くて
仕方なくなっっちゃったのです。。
笑うと犬歯の見える大型ワンコ(U・ᴥ・)

実は初対面(オンラインですが)の彼らの出会いというのは
最悪で。
一方的に、高圧的に、本社の大分年上のオジサマ達の揶揄にも
怯まず「無理なものは無理です!」と伝える深見。

会議終了後、営業部の面々からは深見への
悪口が次々とこぼれます。

それを聞いて、本音では嫌だ、卑怯だ、ひどい…と思っていつつも、
ついつい周りに合わせてしまう自分、そんな自分への自己嫌悪。。

なんかなんだか、そんな場面って自分も身に覚えがあるかも...?と
思い、ひやひやしながら展開を見守りました。

で、戦々恐々としながら工場へと赴いた時の、
深見の爽やかな笑顔!
慶一と一緒に、私も呆気に取られたー!
そしてこの場面、この瞬間から深見に惹きつけられ、
大好きになってしまいました。

オンライン会議でのあの姿は、上司・杉本から
”あえて”指示されてのことだったのかー..なるほど!
とはいえ、実際に思ってもいないことを発言したわけではなく、
まさに彼はあの場面で「正しく怒った」のですよね。

この”正しく”と、”怒る”という言葉の意外な結びつき。
意外だな、と思うのに、心にストンとちゃんと落ちてくるところ。
海野幸先生、やっぱりすごい。。(語彙力ーーー!!)

この言葉がまた、後半になって出てきて
慶一自身の行動を変える原動力となるシーンがあります。
もう、鳥肌が立つというか、身体中の細胞がたぎる感じというか…!

実際に自分がその場にいるわけではないのに、
血がふつふつ沸き立ち、いけー!慶一!と声を出したくなりました。

何に関しても一歩引いた態度だったり、
”波風立てない”ことが主義だった慶一。

そんな彼が、深見との出会いや
工場への出向で学んだ実態、経験を通し
少しずつ少しずつ変わっていく様子、成長過程が、鮮やかに描かれていました。

その中で特にハッとさせられたのが、
”悩んでいるのは自分一人ではない”という、シンプルな言葉です。

慶一が思い悩んでいるのと同じように、
杉本やあの溌剌とした深見でさえ、隠れて涙を流したり、
思い悩んで眠れぬ夜を過ごしたりもする。

人は決して、見える部分だけがその人ではないー
というごく当たり前の事実、だけれど見過ごされてしまいそうな事実に
気付き、感謝や共感を抱き、理解を示すようになっていく慶一。

これって、自分も忘れちゃいけないことだよね、、と
深く心に刺さる言葉でした。

そして一方、恋愛面。

ちょっとこの部分、もだもだ感は強めかもしれません。
焦ったさを感じる部分も若干あり。
だからこそ、終盤のグググっと甘さの増す展開が、
たまらなく良かったー…!

ノンケ同士で、16歳も年下で、社内恋愛で。
慶一の戸惑い、迷い、悩む過程、心理描写が
これでもか!!というほど詳細に綴られています。

うじうじだなあ〜なんて思って苦笑しちゃう部分もあったんですが、
いやよく考えたらそりゃそうか、と納得です。

もしも、社内の同性の、16歳年下の後輩に告白なんぞされたら!?

そんなの脳内大混乱でしょ、
意識しちゃうでしょ、避けちゃうでしょ…と
煮え切らない態度の慶一のことも理解でき。

で、そこを、慶一のことが好きで好きでたまらないのに、
無理して押せ押せ押せーーー!

とはしてこない健気な大型犬・深見の態度もまたグッとくる…

だって、SNS?のアイコンを、
密かにあの二人の思い出の”豆腐”写真にしてるんですよ。。

慶一が完全に”見限られた”と誤解している中で
間接的に知った、その事実。

まさか生きてきてこんなに、
”豆腐の写真”に心打たれる時が来るなんて!

「正しく怒る」ということ、そしてお豆腐が伝える恋心。
そんな二つの要素に、おおいに心揺さぶられた一冊。

情熱的に慶一を抱く深見、甘える慶一の姿も甘くて甘くて甘くて、
ほろほろと豆腐のように?蕩けましたよー✨

9

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