ぱるりろん
kyuuketsuki to yukai na nakamatachi
「吸血鬼と愉快な仲間たち」、集英社文庫で大団円を迎えてコミコミ特典SSで余韻に浸り、あとは羅川先生のコミックに癒やされるのみ、と思っていたところに転がり込んできた、この同人誌。忽滑谷編です!!! ありがとうございます。本当にありがとうございます。
しかも高校時代のお話なのです。
ページをめくると次のように書いてありました。
「没原稿なので設定が少しパラレル気味になっています。ファンタジーとしてお読みいただけたらと思います」
なるほど、なるほど、と思うそばから、そのすぐ下にあった登場人物紹介に、頭がくらくらしました。
・主人公 ナイーブでまだ人間のできていない少年忽滑谷
・おともだち とげとげ美人の高塚暁
・嫌なおともだち 少年時代から不変の酒入
もうこれだけで期待値マックス、世に出してくださって本当にありがとうございます。
視点は高校二年の忽滑谷さん。クラスに溶け込んでいる風を装いつつ全てが面倒くさくなっている様子が、それはそれは丁寧に描かれています。頭が良すぎて立ち回りがうまいのは本編の30代の忽滑谷と同じですが、その器がまだ高校生なので精神的に幼くてすごく不安定。自意識が高いので安定して当たり前だと自分では思っているから平静を装う、その外側と内側の隔たりや機微にとても痺れます。
暁は本編よりももっととげとげしていますが、「bitterness of youth」でどんな子ども~学生だったか知っているので、納得のキャラ立ちです。
No.1はまだ序といったところなのですが、シリーズがお好きな皆様はきっと満足すると思います!
この二人がどうやって仲良くなっていくのか、駒は出揃ったという感じがしますので、いつか出るNo.2をわくわく待っています。
それと、そうとは書いていませんが、冒頭に登場するバーのママ、イングリットさんとかだったら嬉しいなあ。