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まず、驚いたのが文庫本の厚さ。
これまで数々のBL文庫本を手にしてきたけど、ここまでの辞書並みのものは初めてです。
お値段もおよそ2冊分と、文庫本とは思えぬハイプラスに、一瞬うっっ…となりましたが、滅多にお目にかかれないモンスター級の作品がどんなものなのかと。私のBL魂が疼いて気付いたらレジへとGOしてました^ ^
規格外の文庫本ボディに気を引かれただけじゃなく、帯の「待望の書籍化」の方がむしろ購入の後押しになりました。
ギルマスとか冒険者とか魔王とか、実はあまり得意なジャンルじゃないけど、既に箔がついているのなら読んでみたいと思ったし、受けのギルドマスターがモテモテってところが個人的にはヒットでした。
結果、はちゃめちゃ面白い!!
実際に読んでみないとこのファンタジーアドベンチャー物語の楽しさは分からないので、分厚さに恐縮しなければ私はオススメしたい作品です。
ストーリーとしては、元Sランク冒険者のギルドマスター・イオが、イオを慕う竜人族のエドヴァルドと愛し合うようになっていく主従愛の物語です。年下のクールワンコ・エドヴァルドはイオにだけに甘く、その分かりやすーい好意が清々しくて推せます(笑)
主従愛の物語だとサラッと言ったけど、こんなもんじゃないですからね。相思相愛に至るまでの2人の時間はかなり濃密です。
どんな人物なのかを見定めていく序盤、臣下としての信頼関係を築いていく中盤、愛情を自覚していく終盤と、おおまかに分けて3つ。恋愛の成長過程としては、この分厚いボリュームも納得のじっくりゆっくりペースです。
特にイオから向けられるエドヴァルドへの想いの自覚は手強い。途中イオが、自分への好意はまやかしじゃないかとエドヴァルドに娼館に行くことを勧めたときは、そのデリカシーのない発言に私の怒りが沸騰したときもあったっけ。イオの誰にでもいい顔しぃなところは、恋愛においてはネックな部分です。
それというのも。この作品、異世界転生ものなんですよね。
この物語の世界は、イオの前世の日本人が作り上げたもの。エドヴァルドももちろんイオの前世者が作り上げたキャラクターの1人で、自分の思いが詰まったキャラクターたちに対してやや冷静に見ちゃうというか、親のような目線で見てしまうことが恋愛から遠ざける原因の1つでもあります。
そんなことから、誰にも本気じゃないスタンスをとっているイオだけど、エドヴァルドに好意を向けるキャラに嫉妬するなど、徐々に自分の中に芽生えた恋心と向き合っていくようになると話が俄然面白くなっていきます。この作品がいくら冒険ものとしてすごい世界観を持っていようが、色んな展開へと進むことになろうが、イオが実は聖竜であることが判明しようが、やっぱ1番大事なのはBLなのよ(笑)
聖竜としての力を解放するべくエッチな訓練をエドヴァルドと秘密裏に行っていることも、スローな恋愛模様の中では有り難いコミュニケーションです。
イオに求愛する新人冒険者と三角関係バトルに突入したりするのも、あまり動きのない2人の関係に刺激を与える意味ではとてもいい働きをしていたと思います。当て馬冒険者に静かなライバル心を出すエドヴァルドの気持ちが、イオ視点の物語なのに手に取るように分かってしまうのがニヤけてしまう…( ̄∀ ̄)
周囲のキャラたちの個性ある存在感や、目的遂行のための旅道中のアレコレが、この分厚い本の中に詰め込まれた世界の中でしっかりと描かれていて、もんのすごい読み応えでした。BL部分も後半以降はたくさんの見せ場があり、楽しさと興奮でヒャッハー天国でしたヽ(´▽`)/
もんのすごいボリュームだったけど、それだけの面白さに浸ることが出来て大満足です。これだけのページを読み切ったぞという達成感も、いい読後感に繋がりました。