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teito mangekyou
作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます
鳩かなこさんの作品を初めて読んだ時、あ、岩波文庫の文芸小説みたいだ、と思いました。BL小説というとどちらかと言うとラノベ感ありますけど、鳩さんのは古き良き時代の文芸小説です。
この小説は最初から最後まで切ないです。だって受けに死にかけの妻がいるんですよ…。妻と攻めと受けが3人で行動しちゃうんです。溺愛系の攻めにノンケ受けがほだされる…と一応王道となりますが、まあそれも間違っちゃいないのですが、くっつくまでの長さ…10年以上。受けが19歳で結婚すると告げたり、妻との仲睦まじさを見せつけられたり、妻が死んで後追い自殺未遂したり、攻めが死んじゃうんじゃないかという位、過去最高に攻めを攻めまくる受けです。
攻めに感情移入しちゃうとなかなかにしんどい思いします。
しかし私がBL全体で唯一作家買いすると誓った鳩かなこさんです。(受け目線でないと萌えにくいというしょうもないこだわりあり)何を読んでも私を裏切りません。
帝都万華鏡シリーズはこの後も続いてますが、友人の春洋の恋愛を挟みながらまたこの2人に戻って来ますのでシリーズで読まれることをお勧めします。
鳩かなこさんのあとがきの後に
解説を書かれているのが【栗本薫】氏でござい。
栗本薫氏の愛弟子が鳩かなこさん!
そうでありましたか!とても納得ある栗本薫氏の解説もさることながら
1冊丸ごとどっしりと土台のあるそれでいて細かな骨組もしっかりとした読み応えのある鳩かなこさんの小説に無我夢中となりました。
初めて鳩かなこ作品を読みましたが、読み進めても途中で話がまったくぶれていかないし最後まで飽きることなく読めました。
《アロエの欠片をぐちぐちと咀嚼→立ち上がった陰茎の根本にとろりと滴らせた》
一部抜粋しましたが、言葉エロエロの宝庫でした。
淫猥な言葉づかいも何故かしら上品な響きとなり読んでいる読者に驚きと共に美しい言葉で感情が返ってくるといった不思議な体感をしました。
アロエの汁と体液のコントラストな色彩とからみ合ったもつれ合った男二人の情景がとても素晴らしかったです。
今市子さんのイラストがこの小説をより引き立て物語と相成って活きていました。
実は表紙を見て素敵だと思いこの小説を買いました。
良い買い物をしました。自分を褒めたいです。
nnnpaさま、はじめまして。
snowblackと申します。
作品数も少なく、あまり話題にならない作家さんですが
是非皆さんに知って欲しい読んで欲しいと思っている鳩作品。
レビューを拝見して、嬉しくなってコメントさせて頂きます。
この作品がデビュー作のようなのですが
格調高くエロティックな文章は、巻を重ねる毎に磨きがかかります。
是非、番外編の「よしはら心中」まで、
そしてもう1つのシリーズ物「東景白波夜話」もお読みになって
燃え尽きるほどヒートされて、レビューなさって下さいませ。
読ませて頂けるのを楽しみにしております。
表紙に惹かれ購入したのですが、読み終わると、鳩かなこさんの世界にどっぷりとハマっていました。
鳩かなこさんの独特な文章が、洋と和が混じりあったような大正という時代の匂いを凄く感じさせてくれます。
本の内容に触れますと、十年以上、琢馬(受)を思い続ける京介(攻)。琢馬と結ばれるのが自分以外であっても、琢馬の幸せを願い続ける。その一途さに心打たれました。
おすすめです。
是非、読んでみてください。
舞台は大正のはじめ。
16の春、東北の田舎から上京してきた啄馬と、
日本橋の繊維問屋の五男坊・京介が帝都で出会う。
啄馬の詩の才能に惹かれた京介は彼の親友となり、いつしか恋慕の情も覚えます。
そして京介は大学卒業後は編集者となり、彼を公私ともに支えていきます。
啄馬への恋心を隠したままで……
啄馬は京介の気持ちに気がつかず、幼馴染のせつ子と結婚します。
病弱で心優しいせつ子は啄馬によく仕え、啄馬もそんなせつ子を大事にします。
貧しくもつつましく、仲睦まじく暮らしている夫婦の元へ、
身内同然のように出入りする京介。
この京介・啄馬・せつ子の危ういトライアングルが美しくて!
三人はそれぞれ胸に複雑な思いを抱えていながらも、
静かで穏やかなバランスを保っていました。しかしこのバランスは微妙で、
いつ壊れるかもわからない。その危うさが、読んでいてハラハラドキドキします。
全体的に静かで落ち着いた、ストイックな雰囲気の作品ですが。
濡れ場になると、じっとりとした色っぽさが溢れだしてたまりません。
明治風の文体と時系列のはっきりしない描写で、慣れない読者は面食らうかもしれませんが、
軽薄短小コンパクトすぎるBLに飽き飽きでござる!という方にはぜひともおすすめしたい。
時は大正、しかし大正浪漫というよりは赤貧の詩人とその妻、その詩人を見つめる編集者。
ほかに友人の画家や、編集者の家の実質的な家令など、さまざまな人間関係がおりなす
BLというよりは人間ドラマに近い様相を呈しています。
奨学金を得て一校(東大の予科)に入った石木琢馬は、同級生の高市京介に自分の雑記帳を見られてしまう。雑記帳には自作の短歌や詩が書き連ねてあった――。
高市は裕福な家の出で成績も抜群、将来は政府の文官になるのを期待されていたにもかかわらず、琢馬に関わっていたいためだけに文芸誌の主幹となり、自分の琢馬に対する愛を打ち明けることもなくただひたすらに傍にいる。琢馬は故郷のおさななじみとアッサリ結婚してしまい、もちろん、京介の心など気づくはずもない。
なんともストイックな高市ですが、そこで友人の日本画家・横山が意味深な登場をしてくるゆえに、なんとも焦れます。
夏目漱石の「こころ」を彷彿とさせる作風。
「こころ」は友人より妻をとってしまったエゴイズムへの深い後悔、という暗ーいお話ですが、本作ではそれを「一途に思う気持ち」というポジティブな方向へ向かわせています。
あとがきで栗本薫氏が書いているように、どこからどこまでが現実で虚構なのか、トリッキーな描写は少しとっつきにくいかもしれません。くわえて、「誰が」「いつ」「どこで」そう言ったのか、主語省略の激しい文も丁寧に読んでいく必要はあります。
ですが、慣れてしまえば、独特の世界観はじゅうぶん面白い。
後半が饒舌で装飾的すぎるきらいはありますが、ゴテゴテにしていても読ませてしまう力はあります。
また登場人物があきらかに元ネタがわかりそうなあやうい名前です(笑)
石木琢馬…石川啄木ですか?夏目漱石の「こころ」でも存在が示唆されている稀代の歌人。
横山春洋…日本画家・横山大観と菱田春草か???妖艶な風貌の描写は夭折した画家・春草を思わせます。
いつもお世話になっております。
鳩かなこさんの独特の世界は、最近のBLにない味わいだと好んでおります。
この頃はまだ文章が生煮えというかかなり読みにくい感じもあるんですが、
巻が進むにつれて、随分そこも読み易くなっていくような気がします。
登場人物の名前は、あまりにも実在の人物を彷彿とさせますよね。
啄木の妻はその名も節子ですし、高市の名前は啄木の親友でもあった金田一京助と被ります。
これは、個人的にはちょっとマイナス要素なのですが…
この帝都万華鏡シリーズが5冊、東景白波夜話3冊、
既巻8冊しかまだなく知名度が低いですが、是非みなさまに読んで頂きたい作者の一人です。
大正時代の東京。
苦学生の琢馬(受け)は、進学先の学校で繊維問屋の次男・京介(攻め) と出会う。
琢馬の詩を京介が偶々読んだことで、交友関係が始まるが…。
鳩かなこさんのデビュー作。
攻めの受けへの10年越の片想いが、やや古風な文体で情感豊かに綴られます。
冒頭の学生時代から一気に10年後に飛ぶ大胆な構成も物語にドラマ性を持たせています。
学生時代から10年、琢馬を想い続ける京介。
詩人となった琢馬を編集者として支え、彼の妻に内心嫉妬しつつも決して想いは告げない。
一生友人として側に居続ける覚悟の京介が、あまりに健気で切ないです。
(禁欲生活の反動か、彼が夢に描く琢馬の痴態は尋常でなく艶かしく、早く本番が来ることを願いつつ頁を繰る…)
やがて琢馬の妻は病床に伏し、帰らぬ人に。
悲しみに暮れる琢馬を支える京介だったが、拓馬のある発言が元で箍が外れ、一線を越えてしまい…。
話としては王道かもしれませんが、美しい文章・世界観に大変引き込まれました。デビュー作とは思えぬ完成度です。
脇役としては、二人の共通の友人で遊郭育ちの画家・春洋がお気に入り。
他にも京介の兄&書生など、今後のシリーズ展開に期待せずにはおれない伏線がそこここにあります。
◆余談◆
琢馬のモデルはもしかしなくても石川啄木ですね!
貧乏歌人で、妹がいて、妻の名前がせつ子だなんて、ここまで似せられると二次創作のようでちょっといただけませんが、他の登場人物の名前も含め、元ネタ探しゲームのような読み方が出来るのは一興かと思います。
大正浪漫BL、堪能させて頂きました。
桜の頃、一目見た御曹司の京介。あまりにまぶしく憧れを頂く琢馬。そのときに借りた絹のハンカチを大事にとっておくのだが、後日他人のように振る舞われる。しかし、詩の秀作を書き付けた帳面を教室に忘れ、偶然京介に読まれたときから2人の運命が重なり始める。
美しい桜のイメージを通奏低音にして、2人の恋と執着の行き着く先を描いています。当て馬は琢馬の妻せつ子。いったんは結婚し妻を愛した琢馬。しかし結核でなくなってしまいます。当て馬の消し方が死だったのが残念。
京介は10年も片思いし続ける一途で執着した愛を持ちますが、いざ濡れ場になるとオラオラ精神を発揮。どうやってテクを磨いたのか。。
折に触れ2人の恋をバックアップするよき友人が、天才画家の横山春洋。京介に片恋か?と思いきや実は篤い友情の模様。
石木琢馬に横山春洋、うーんと思うもじりですが、まあ、慣れます。
続編がありますが、1冊でお話しとしてはまとまっているのですっきりします。
トピ内にて匿名のお姐さまにおすすめいただき、手に取りました。
タイトルの「帝都万華鏡」、そしてイラストは今市子先生、すでに「文藝」の高貴な薫りが…
そして読んでみれば、時代は大正。
正に大正浪漫。
少し(いや、かなり)堅く上品な文体でありながら、選ばれる語彙は耽美的でもあり、そこが非常に硬質な官能性を醸し出しています。
今どき文体の読みやすいBL小説に慣れていた身には、ガツンと鉄槌を喰らった気分。はじめ非常にとっつきにくく、ハラを据えて読み出して初めて、この小説の世界観が私の中に沁み入ってくるような錯覚にとらわれました。
大きな商家の4男で優秀な京介と、東北からやってきた秀才・琢馬は、一高で出会う。
家族からは官僚を期待されていた京介は実は文学青年で、琢馬が密かに詩を書き溜めていた雑記帳を見て琢馬に運命的な衝撃を感じる…
しかし、琢馬はそれ以前に土手で転んだ時に京介が絹のハンカチを差し出してくれた鮮烈な思い出があったのです。だがそのことを京介は覚えていない。
京介の琢馬に対する秘密の10年愛。しかし物語のはじめから、2人の愛はすれ違いながらも確かに成就の芽があったのでしょう。
貧乏で、胸を病む妻を慈しむ琢馬にひたすら献身する京介。しかし、琢馬は自分を見もしない高貴で優雅で、返したハンカチを捨てるような傲慢な京介をずっと心に棲まわせていた…
私にはこのことがどこか象徴的に思えました。
一高での友人で今は日本画家の春洋(はるみ)、京介の長兄・大介と家令の伊部との関係性なども思わせぶりで興味がわきます。
解説は栗本薫さんです。ここで栗本さんの文章を読めたことがまた嬉しくも懐かしかった。