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shungyo
何度も読み返してる作品です。なのにレビューしてなかった!ということで今回再読したのを機にレビューしたいと思います。
本作、私の好きがすごく詰まってます。というか、本作が基準になってるかも。それぐらい好きな1冊。
攻めの隆信は受けの深を、兄を堕落させ、家を傾けさせた淫乱だと嫌い、というよりも憎んでいます。この隆信の憎しみっぷりが凄くて、商売を円滑にするために深に性接待させたり、激しく罵ったりします。ですが、ここがポイントなんですが、隆信はずっと深のことが好きなんですよね〜〜。
深は小さい頃から兄の相手をさせられていて、幼い隆信はその様子を見てしまうんですねぇ。
そこから愛しさの反動で深に辛く当たりだす隆信。
一方深の方も深の方で、幼い隆信に心を救われたこともあり、ずっと隆信の事が好きだったんですよねぇ。このすれ違いというかがもう切なくて、読み返すたびに、わかっているのに胸が締め付けられます。
深さんの境遇はとにかく胸糞悪いぐらい可哀想なのですが、そこからの隆信の溺愛がすごく好きなので、出来たら多くの人に読んでもらいたい!
おすすめです!
レビュータイトル、アキちゃんをもじってすみません。
時は大正くらい?名家の跡取り息子の慰み者として20年間囲われている美貌の使用人の受け・深(しん)と、深を僅か10歳で手籠めにして以来囲い続ける跡取り息子・秋信、そして家族が崩壊したのは深のせいだと恨み続ける秋信の弟・隆信のインモラルな三角関係。
主に逆らえるはずもなく身体を差し出さざるを得ない深。実の家族からは見捨てられ、秋信の両親からは黙認され、他の使用人からは蔑まれる。そんなつらい日々の中、唯一何も知らない子供の隆信だけは深に普通に接してくれて、心の支えになっていた。
しかしある日、秋信との情事を見られた深は「汚い、大っ嫌いだ!」と言われてしまい…
その後秋信たちの父が急死。深との行為に耽り家業を顧みない秋信を咎めた母は策略で自殺に追い込まれ家庭は崩壊。
家庭が崩壊したのは深のせいだと逆恨みする隆信。
兄をたぶらかした魔性だ淫魔だとボロクソ言ってるけど、当時僅か10歳の使用人にどうしろと?
兄が勝手に溺れているだけで好きで魔性なんかじゃないのに、あまりにも理不尽…
心を殺して抱き人形として耐え続けて20年。容姿が劣化したら手放してもらえる…と耐えてきたのに気がつけば奇跡の30歳。色気ムンムンで容姿が衰える気配もない。
そんな中、復讐に燃える隆信がついに秋信の事業を乗っ取り、実家を取り戻す。
そして深を兄から奪い、今度は自分が手籠めに…
復讐とばかりに乱暴に深を抱く隆信。うん、愛憎イイヨイイヨ‼︎と思ったら、ミイラ取りがミイラになりたくないと自分で抱くのをやめ、性接待の道具として毎日違う客に差し出すように。酷い‼︎
そしてある日の客先でのとある出来事がきっかけで心を閉ざす深。
いっそのこと精神崩壊して攻めが激しく後悔してくれたらよかったのに案外あっさり復活。そして深を奪い返そうとする秋信と対峙し…
まあハピエンなんですけど、あんなに酷い扱いをしておいて、自分の恋心に気づいた後の隆信の手のひら返しが、萌えるよりもなんだかなぁ…と思ってしまった。
自分で他の男たちに平気で差し出しておいて今更何言ってんの?みたいな。ざまぁもないし…
誤解による嫌われからの溺愛は好きだけど、あまりにも誠意がないんじゃ?
攻め的には受けに家庭を壊されたと思ってるんだろうけど、攻めの家のせいで人生の貴重な時期を台無しにされた受けに対する贖罪の気持ちがもう少しあってもいいよね?
甘々ラブラブ後日談があるけどさ、なんか洗脳共依存メリバに見えるのは私だけ?
とにかく受けがひたすら不憫で可哀想なので、もうあの家から解放されて自由に幸せになってほしかったわ(生活能力ないから無理か…)
不憫!不憫すぎる!!
10歳から20年近く囲われ、ほんのひと時の安らぐ時間も奪われて、辛くない、自分は抱き人形と思って過ごし、さらなる追い打ち追い打ちで…
最初は秋信の執着が通じないのがもどかしかったけど、島崎との画策で不器用だから優しくできなかったというか性根の問題だな…と。深の失望を思うと痛すぎました。(木馬には乗って欲しかったところですが!!)伽藍洞になってしまった深が辛くて辛くて…壊れる前に心の奥に閉じこもって、でも隆信への想いが溢れ、虚ろいながらも光を求めるところはめちゃくちゃ耽美!!!壊れかけた時の美しさってたまらないものあります…
深は中性的なところが強いけど、男だから秋信に与えられ、隆信も深も葛藤が強く、男だからより妖艶に感じられ、秋信も隆信も魅入られてしまったのかな。恋心がねじ曲がった隆信に対して、冷静に幼い深が本位だったはずがないことを諭す高梨がいて良かった…
どこにも逃げ場がない深にそのままの心で居させてくれた隆信との幼少期のひと時は唯一の光で支えだったことが切なく、これまでの辛いことも思い違いも熱い想いで、心のままに庇い合う姿の美しいこと!!時代背景も相まって狂おしさに惹きこまれました。
暗い展開の健気受。
前半の込み入った人間関係のメモ。
紗内 深 :代々広瀬家に仕える奉公人の息子。美貌が災いして10歳から秋信に囲われ幽閉される。自死もできず、所有物として心を殺して生きる。
広瀬秋信 :大店の跡取り息子 秋信の母が、男妾として深を宛がう。
母 :父の死後、本宅で溢死。
隆信 :秋信より八歳年下の弟。母の死後、深と兄を恨み失踪。自力で企業し、秋信から家督と深を奪う。
高梨 :孝信の友人、共同経営者。物語中、唯一のまとも。
島崎 :銀行取締役。秋信の逃亡を助け、深を隆信から買う。
自分で生き方を選べない深の、数奇な運命。
ただ深だけ居たらいい、他は不要の秋信。執着が過ぎて、深を苦しめ、深から愛されない哀れな人。
孝信が深と初めて出会った時の紋白蝶の思い出。深への苛立ちが憎しみなのか愛なのか、自分の気持ちがわからない。
最後にやっと高梨に言われて、孝信は自分の気持ちに従って行動する、そして深を救う。
深が、ひたすら耐えてやっと掴めた、あの日のモンシロチョウの夢。
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★『春暁』 有名な孟浩然の漢詩。
幽閉されて、高窓から覗く外の景色を眺めていた深の心境を当てたんだと思います。
春眠不覚暁 しゅんみんあかつきをおぼえず
処処聞啼鳥 鳥のさえずりが聞こえる
夜来風雨声 夕べは風雨の音がひどかった
花落知多少 花はどれほど散ってしまっただろうか
いとうさんお得意のこれでもかと虐げられる不幸でかわいそうな受けが最後にやっと好きな人と結ばれるお話しです。
もともと同人として発表された作品を加筆訂正したものだそうでコピー本らしい設定や展開でした。
大店の跡取り息子である秋信が下男の子で世話係として付いた10歳の少年 深を手篭めにして毎夜行為を強要して壊れていく様が、大雑把に描かれていますがショタとか幼い子へのあれやこれやはあまり好きなシチュエーションではないので入り口のところで萎えてしまいました。
それが弟に見つかり独占欲のあまり15年にわたり鎖で縛り付けられる監禁生活が続きます。
恐るべき秋信の狂気は、深を遠ざけ結婚を強要する実の母を邪魔に思い追い詰め自害すさせてしまうという悲惨な結末を迎えました。
もともと性のはけ口にと深を与えた母親ですから因果応報と言えなくもないのですが、秋信がそこまでするかと気の毒にはなりました。
母親の死後、隆信は家を出て苦労し一から立ち上げた事業を成功させ実家を凌ぐ勢いで大きくさせ、秋信はもともと能力もなく深に溺れて事業をおざなりにした結果傾かせることとなりました。
隆信は秋信から次々を事業を奪い残された家屋敷と深を借金の形として貰い受けることを突き付けた時、秋信は深を道連れに心中を企てるが隆信に止められ欧州に放逐されました。
深はこれでやっと好きな人と結ばれるのか…と思いきや隆信の方もまたけっこう歪んでるんですね。
幼い頃に見た美しい紋白蝶のような人が兄に犯されれている姿に欲情した自分自身が許せなくてそうさせた深を逆恨みしてしまったのです。
兄だけでなく自分までも誘惑するかと毎夜陵辱し挙句に商売相手への接待に男娼として差し出す人形扱いをしてしまうのですから歪み具合は相当なものです。
そこへ、欧州へ放逐された秋信が、知人の銀行家と組んで隆信を破滅させようと密かに帰国します。
いつものように深が接待に出向いた先に銀行家は秋信を同伴し二人から陵辱されとうとう心を壊すことになります。それでも隆信のためにならなんでもしたいからと熱のある体で接待に行こうとする姿には涙を誘われます。
なんという鬼畜な兄弟なんでしょうね。
銀行家に身を差し出すことで隆信を嵌める計画を止めてくれるならと手紙を出すのですが、秋信に軟禁されていた幼少期から学校に行っていなかったせいで拙いひらがなしか書けないところや郵便の発送方法も知らないのが哀れで健気です。
でも、郵便には切手が必要で切手を買うためのお金がいることやそのために着物を担保に質屋でお金を借りるというような知識があったのは驚きでした。
そこでいい仕事するのは隆信の友人で事業の片腕的存在の高梨のです。
隆信を嵌めようとする秋信と銀行家を逆に嵌めて財産も信用も失墜させ今度こそ完全に成功を収めました。
その高梨が冷静に分析して隆信に初恋を自覚させ今もなお思い続けている気持ちを理解させるのです。
10歳の子供がいかに辛い仕打ちを受け、何も分からぬまま監禁生活を強いられていたかを説明するまでそんなことにすら思い至らなかった坊ちゃん育ちの隆信を皮肉る場面は気持ちよかったです。
『清夏』
甘さのない本編に続くの甘い後日談。
深を連れて別荘でのんびり過ごしたいと思った隆信。
別荘で深窓の令嬢のごとくなにもできない深に料理を教えたり普通の暮らしをおしえます。
それからも、失われた年月を取り戻すようにいろんなことを隆信に教えてもらいながら幸せに暮らしていくのでしょうと思わせる素敵な終わり方でした。
お幸せに。
受けの薄幸さはなかなか良かったのですが、どうしても納得いかなかったのは、秋信でした。
あれほど執着してすべてをすてても、というのがあったからこそ、深の扱いも納得できたのに、隆信にやり返されてからの秋信は納得いきませんでした。それも、再び深を手に入れるためにやむなく、だといいなと期待してたのに、そうでもなかったみたいで。…愛憎渦巻いてはいたんだと思いますが、その辺の詰めの甘さのせいで振られちゃったんでしょうね。
20年も執着してたはずなのに、ちょっとあっけない。ドロドロ腹黒く執着してほしかったです。
もっと秋信が活躍してくれると、面白いお話になったと思うんだけどなぁ。最初の無理心中を遂行したが、命を救われて二人ともに後遺症、とか。秋信が自分で頑張って深を取り戻すべく画策するとか。深に振られた後、あてつけでトラウマ刻み付けて死ぬ、とか。
せっかく現実離れした設定・キャラなので、これでもか!なドラマが欲しかったです。
あと、秋信を振った後の幸せそうな二人にも、ちょっと納得いかず。秋信が不憫すぎる。作者様に、もう少し秋信を可愛がってあげてほしかったです。
正直なところ、薄幸の美人が、金持ちに手籠めにされて座敷牢につながれて…
な話って、たぶん、10冊以上は読んでいると思われ。
ちょっと変化球な点は、
兄と弟で魔性の美人を取り合うってあたりか?
展開としては読者裏切りがないので、安心して読めます!
エロスに翻弄されつつも、受けの清らかさが最後まで失われないでいる
というロマンスがよろしいですねえ。
同じ魔性の美人でも、和泉桂先生の「清澗寺家」シリーズに出てくる冬貴とは
真逆のタイプです。
従いまして、兄弟の確執や、ねっとりした人間ドラマとしての迫力は欠きますが、
想い人と最後は一緒になる、というわかりやすさはあるかと。
となると、ディテールそしてベッドシーンの作りこみが気になるわけですが。
濡れ場は、いとうセンセイにしては控えめかなぁ。
手数はそれなりに多いんだが、濃度はそれほど強烈でもなく。
受けの深(しん)に、男性らしさを思わせる描写はほとんどないので、
中性的ないしはやや男の娘よりのキャラ描写に抵抗がない人におすすめです。
久しぶりに大号泣してました。
ここまで泣いたのは「桜の園の囚人」、「是」以来ですね。
受けの深の可哀想さと言ったら…
隆信との思い出だけで生きてきて秋信に閉じ込められて…
ダメダァァァァ°・(ノД`)・°・
また読んできます≡≡≡ヘ(*--)ノ
全てをただ受け入れることしかできない境遇であった深が、隆信を救わんと、仮名ばかりの手紙を一生懸命したためて郵便局へ向かう姿に萌えました。世間を知らない深は宛名が必要であることもわかっておらず、窓口の職員に助けてもらいます。この一連のシーンがこの作品の中でわたしいちばんの萌えでした。手紙は無事相手へ届くのですが、深の頼みは聞き入れられず、逆に呼び出されてあれこれ無体な目に合わされそして、天狗の鼻のような突起が中央から突き出ている木馬に跨がされそうになります。その危機一髪のところで隆信がやってきて助かるのですが…木馬には跨がってしまって欲しかった!ぜひ見たかった!!です…
不幸受、薄幸受というのが好きなのですが。
この本の主人公・深は、まさに「THE・不幸受」と言いますか…。
10歳の時手篭めにされ(本当あれは手篭めだ)、以来20年囲われて愛人生活を余儀なく送らされた深。
しかし彼の心には、唯一支えとなる存在が。
それが、自分を苦しめている男の弟。
無自覚に、恋とは何かを知らずに恋していく深。
幼年期を越えて再会したその愛しい相手が、兄以上に酷な事を強いて来ても、深は従うしかなかった。
何て言うかもう、深は子供の心のまま時を止めたかのような存在で。
無垢で、純真な分余計に可哀相と言うか。
攻である弟君が、また不器用で、身の内に根付いてる執着心を見過ごそうとする。
追い詰められ、壊れかけた深を見て、ようやく自分の過ちに気付いた弟君。
そこにまた現れる、諸悪の根源の兄(最低男)
兄弟が、一人の男に惑わされる話…とも取れますが、深の可哀相さを、しみじみ味わってほしいなと思います。
だからこそ、最後想いが通じ合った時の感動が倍になります。
涙腺・感情移入激しい方は、ハンカチよりタオルをご用意して読まれたら…と思う一冊です。
私は鼻が詰まって、息苦しくなりました。
上の粗筋が総てな、時代がかったロマンティックなラブストーリー。
美しく生まれついてしまったばっかりに、
自分の人生も、他人の人生も狂わせてしまう、
「薄幸の魔性の受け」深
設定といい、鬼畜でハードな展開や、文中のいろんな言い回しとかも、創生期の耽美小説を思い出させて懐かしかった。
創生期のジュネに書いていたような作家さん達
お名前は誰一人として覚えていないけど、
今になって読むと、どんな感じだろうと、たまに思ったりする。
いとうさんの本の中でもハードな方ですが、それだけではなくストーリーも切なくて奥深いです。
俺様傲慢攻・隆信×健気受け・深 年下攻め
受けが10歳の頃からの愛人生活、秋信と島崎と3P、鬼畜なH、接待で身体を使うなど、ハード&鬼畜エロが殆どなので、苦手な方はご注意。
表紙では髪が長くて女性のように見えますが、長年の愛人をさせられていた秋信に伸ばすように強制されていた為です。
つまりは髪の毛さえも、自分の自由意思でどうしようも出来なかったという環境にあったということなんです。
10歳の頃から深には自由がなく部屋に囚われて愛人をさせられていて、14歳になってからは、足を鎖に繋がれての生活でした。
深が14歳で隆信が12歳の時のほんの一瞬の、無邪気で微笑ましいふれあい。
それさえも、秋信によって無残にも閉ざされて汚されてしまう。
兄としている所を目撃した隆信に大嫌いと罵られて、ガードが更に厳しくなり会う事も出来なくなった。
でも、深はそんな些細なことを心の宝物として、いまでも胸に抱いて大事にして暮らしている。
愛人暮らしには光もなく、そんなにも辛いことばかりだったのかと、ささやかすぎる思いを出を大事にしている深が泣きたくなるぐらい切なかったです。
隆信は兄への復讐の為に、いやらしい深を罰する為利用する為に、他の男に接待で抱かせたり、自分自身で激しく苛む。
徐々に心をなくして、壊れてゆく深。
それでも、あの時の思い出の隆信の為になるのならと、身をなげうって報います。
一途さと健気さで、痛切ないです。救いの手が間に合って欲しいと、心底思いました。
忌憚なく意見を言える友人が、傲慢攻には必要なことをこの話でつくづく痛感しました。
当時10歳で、使用人の子だった深に秋信との行為を拒否出来る訳もない。
悦んでいたと言っても、大人の手管でいいようにやられていただけで、深には罪がない。
親友の高梨さんが言ってくれて、とてもすっきりしました。
こんな当たり前のことに気がついてくれない攻めが、いかに多いことか。
最後は、ハッピーエンドになるので、それだけは安心して下さい。
清夏
二人のそれからで、本編が鬼畜まみれなだけに、穏やかな様子が見られてほっとしました。
甘い話です。