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harutsugegedori ha koi o hakobu
京都が舞台の同級生の再会のお話。
思いがけない再会はちょっと苦いものでした。しかしそこからの展開がとても情感豊かで心に染み入るものとなりました。和菓子を通じ四季を感じ人の心も表現していく。
藤原家隆の和歌に込められた思いを和菓子で表す。その和菓子を差し出す気持ちが優しく愛おしくまだ気づいてはいないけど心の春が近くに訪れているよと暗に伝えているようでした。
言葉だけではなく和菓子で伝えるという表現も素敵。五感で味わう和菓子の魅力も伝わり季節のものを買いに行きたいな。
こちら、153ページと短めなんですが、とても好きなお話でした・:*+.
「京都」「和菓子」「和歌」これらのワードにアンテナがぴぴっと反応する方に、特におすすめです。
京都が舞台の、小学校時代の友人との再会愛ストーリー。
元彼に「結婚する」と酷いフラれ方をした失恋から3年。いまだに立ち直れていない主人公・社長秘書の十織(とおり・受)は、社長命令で出かけた先の和菓子屋で自分のトラウマとなっている和菓子を目にし、倒れ込んでしまいます。
そんな十織を介抱してくれたのが、和菓子店の若い男性スタッフだったのですが、後日彼がスタッフではなく社長であり、なんと小学校時代の同級生・和音(攻)だったことが判明しー
と続きます。
再会直後から既に和音に惹かれていた十織が、和音の仕事への姿勢や優しさなどに触れ、さらにどんどん惹かれていくのが手に取るように分かり、読んでいるこちらまでドキドキ、きゅーんとしてしまう。。
3年前の恋のトラウマから、ノンケの和音に対しどうしても一歩が踏み出せない十織。
そんな十織の心を決して傷つけることなく、優しく開いていく和音に、溺愛スパダリ攻めの片鱗を見ました(。-∀-)
何よりも自分が「ああ、いいなあ」「好きだなあ」と思ったのが、作中に出てくる藤原家隆の和歌。
店に取材に来た十織に和音が和菓子を出すのですが、その和菓子のイメージとなった元歌です。その意味が本当に素敵で…
「花の咲く春を待ち侘びる人がいる。だけど、雪を押し上げて芽吹く若葉の姿にも、春の訪れを知ることができるのだと教えたい」
”まだ気付いていないあなたの足元に、身近なところに恋の花が芽生えようとしてるよ” と図らずも伝えるような形となったこの描写がとても素敵で、しばらくじっと文面を見つめてしまいました。
京都の街並み、和菓子屋の店内、そして和菓子の一つ一つのイメージがさーっと広がってゆくような描写が心地よい、素敵な再会ラブストーリー。
今度ちょっと足を伸ばして、和菓子屋さんまで季節の和菓子を買いに行ってみようかな、買いに行きたいな、なんて思える、心温まるお話でした。