ハーフライン 2

粘り勝ちというか駄々こね勝ちというか

大ボリュームの本編完結巻で、大満足の内容だった。少々やりすぎに思えるキラキラ初恋エピソードもあったけど、そこが浮かないくらい全部が振り切れている。感情表現が激しめで、読んでいると強引に引き込まれていく感じ。最高だった！

2巻はハジュンが告白、ムギョンがフって、ハジュンは綺麗に心の整理を付けてしまったところから。
ハジュンの心の内など知らないムギョンは、浮かれまくって一人勝手に泥沼へ。はた迷惑な独り相撲の始まり。あまりにもアホすぎて、愛しさが止まらなかった。

恋人は作らないと決めたムギョンの背景には、酷い父親の存在がある。父親と同じ悪魔にならないように、恋を警戒して生きている。だがハジュンへの執着はすでに制御しきれないところまで来ており、ムギョンは一つのきっかけからボロボロに。

ハジュンに当たり散らしたり避けたり、逆に逃げられれば食事も睡眠も摂れなくなる始末。ムギョンの行いは最低だったけど、その後深く悩んで反省し、いろんなことに向き合っていく姿勢は良かった。成長速度がすさまじい。

そして、ただの選手とコーチに戻ろうとするハジュンに対するムギョンの縋りつき方もまたすさまじい。めちゃくちゃな理屈を並べ立てて説得したり、懲りずに上から目線で提案したり、手遅れなタイミングで告白したり。

どこまでいっても噛み合わない二人は、それぞれずっとぐるぐるしてる。話し合うと余計にズレていくムギョンの謎解釈は健在で、両想い状態なのに拗れまくり。本当に驚きの思考回路を持つキャラで、心理描写を読むのが楽しすぎた。

やっと核心を突いたのは、ハジュンの方から。ムギョンを理解するために、一つの問いを投げかけるハジュン。逃げずにぶつかるハジュンは、ムギョンを辛い過去の呪縛から解き放つ。ハジュンの清らかさがすごい。幸せな救済のお話。

付き合ってからの甘々な二人の様子もたっぷり読めて、温かい気持ちでいっぱいになりながら読み終えられる。このカップルが好きすぎて、読後すぐにもう一周してしまった。何度も読み返したいと思う。
外伝もぜひ一冊にまとめて欲しい。