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bushi to gentleman
時は令和、所は日本。
大学の美術論講師として来日した英国人のアンソニーを迎え入れてくれたのは、和装に髷姿の武士だった…
と、まるで数百年前の世界にタイムスリップしたかのような出で立ちの青年武士・隼人と、巧みに日本語を操るアンソニーが繰り広げる異文化交流同居物語。
外国人のアンソニー視点で語られる日々は、ヒューマンドラマあり、ほんのりブロマンスめいた雰囲気ありのあたたかみのあるものです。
やはり、武士や侍と書かれていれば過去を想像してしまいますが…「武士が存在する現代日本」が舞台だからこそが良い味を出している作品かなと。
いわゆる武士が使うような昔言葉で話す隼人が現代に溶けこんでいるごく普通の生活を楽しみながら、先入観がない外国人のアンソニー視点で見えてくるものを追いかけるかたちになります。
現代日本に武士制度があったら?とは、これまた奇抜で面白い設定だなあと読み進めてみると、これが想像していたよりも面白おかしい雰囲気ではなく、後半に向かうに連れて少々複雑で深みのある要素が混ざり合っていくではないですか。
後半の展開がおっとなるもので読み応えありでした。
アンソニーが隼人をはじめとした登場人物たちに、武士道とはなにか?と問いかけるシーンが度々登場するのですけれど、この問いかけと人それぞれな答えが、巡り巡ってなるほどこうきたか!な仕掛けになっていて上手いなあと。
多種多様な考えや在り方が認められつつある時世が反映されている内容だったように思います。
賑やかな周囲の人々はもちろん、13歳の年の差がある武士とジェントルマンの関係性が非常に素敵な作品でした。
隼人とアンソニーの出逢いはきっとお互いの人生を変えるものになったのではないかな。