アレキサンドライト

alexandrite

アレキサンドライト
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神70
  • 萌×211
  • 萌9
  • 中立9
  • しゅみじゃない4

--

レビュー数
19
得点
430
評価数
103
平均
4.3 / 5
神率
68%
著者
山藍紫姫子 

作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます

媒体
小説
出版社
角川書店
レーベル
シリーズ
アレキサンドライト
発売日
価格
¥590(税抜)  
ISBN
9784043702039

あらすじ

隣国の軍人マクシミリアンに捕らえられたシュリル。
マクシミリアンの妹を死に追いやったシュリルは贖罪のため、マクシミリアンにその身を差し出す。想像もしたこともない屈辱に翻弄され、貶められるシュリルだったが。

表題作アレキサンドライト

マクシミリアン,隣国の軍人,元妻の兄
シュリル,美貌の貴族,聖将軍,両性具有

レビュー投稿数19

BLというよりも。女の哀しみを耽美スタイルで

耽美の女王・山藍紫姫子御大の大作。

主人公はエスドリア国の麗しい聖将軍・シュリル。
そのシュリルを激しい憎悪の眼で見つめる漆黒の男・マクシミリアン。
マクシミリアンは、シュリルの正妻だったのに離縁されて自殺した妹の復讐を誓ってシュリルを拉致するが…

痛めつけようとして初めて知るシュリルの秘密。それは…

…という感じで。
結局シュリルは両性具有者なわけなのですが、そうと知った男の取る拷問法はひとつ。
性的に嬲る。
隠された秘密をこれでもかと暴く、屈辱/恥辱系の嗜虐性。

表現もシュリルの持つ女性器への陵辱の方が主になり、読んでると「BL」を読んでいる気分がどんどん薄らいでしまう。
シュリルの方も、はじめは不感症的なんだけど次第に女性器での快感に目覚めて、女性の感じる快感に翻弄される。
一方勿論後孔も犯されるんだけど、こちらでの快感は得てないようです。
もう一人シュリルに執着して「妻」にと願う将軍からのレイプも延々。
道具、3P、二輪挿し描写もあり。

山藍先生の圧倒的に耽美な単語のチョイスと言い回しで、素晴らしく美しく哀しいロマンスである事は間違いない。
しかし、男女もの官能小説、容赦ないSM系AVの文字版にも読めてしまう。

一読した率直な感想は、シュリルが可哀想。同じ女として。みたいに思ってしまった。
つまりシュリルを「男」として読めなかった。両性具有でも女寄り過ぎたと思う。

しかし、作品としては一流だと思う。言葉の魔術にかかります。

3

女性的部分の方が印象強い…

凄い作品だったぜ…。
両性具な子は初めまして…な気がする。
が、正直そんなに萌えませんでした。
自分の中ではやはり、男の体でヤってこそのBLがいいかなぁ。

表紙は性別を有耶無耶にした美しい人形のような人間、受けのシュリルらしさがよく描かれていると思うのですが、長髪がなー…。
長髪好きじゃない自分の好みもあるのですが、余計に女性らしく見えてしまう部分ともなり、もう少しギャップを感じたい気持ちもありました。

凌辱部分はしっかり書かれていたのではないでしょうか。
酷いの好きとしてはそれなりに満たされました。
蝋燭が活躍していた。これはなかなかにドキドキしたぞ。
自殺は禁忌とされているので、どれ程傷付いても自死を選べず、命を奪うよう懇願する様にもゾクゾクしました。
スケッチもいいぞ…!!!

花を模した用語たちに、最中は色々こんがらってました。
後ろだけはピンときたけども。

終着点はそれなりにシリアスなかんじになるかと予想していましたが、そうではなかった…!
瞳の色が変わるっていいですね。
この作者にしか書けないような世界が広がっていたと思います。

3

すごかった

すごい世界を見せられた~~~
とにかくすごい世界観、お耽美満載!美しい世界!!
だけど、しんどい、しんどい…

両性具有は地雷な私に、これなら!と薦めてもらって読んだのですが、地雷ですね!!!
BLカテゴリーじゃないからか、男だけど女性器を持つのが醍醐味だからか、エロシーンも女性器中心で、ほぼほぼ男×女。
途中までtnk付いてんのかどうかも分からなかった。花芽=包茎tnkで良いんでしょうか?
本当に可哀想なくらいtnkいじってもらえない。いや、可哀想なのは私なんだけど。分かりやすい射精や前立腺への刺激の描写がないので、たっぷりなエロエロ描写も求めてる方向性が違って…官能小説としてはすごいんですけどね。tnk、女性器、孔と刺激されてんのはどひゃーーーとなりましたけども。

男×男を感じるところは、ストーリーを通しても少ない。
シェリルも両性具有だからこその運命、苦悩はあるけど、女性として扱われてる感が強い。
逆恨みで凌辱されるのがしんどい、しんどい。そこまでする?の連続。心を通わせたかと思ってたのに、なんであっさり別れてしまうんや!国に帰されたら酷い目に合うに決まってるやん!用無しになったと意気消沈なとこにラモンの凌辱シーンが長くてエグくて長くて、いつになったら救われるの…しんどい、でも先を知りたい…マクシミリアンに会うために殻を破るために雪山を駆け抜けるシーンは素晴らしくて、やっとの想いが!!!耽美!!!あーもう、すごいすごいぞ!!!となっての、あれ?終わった??ここで??という結末。

ご褒美的なあれがないのもあってか、ハピエンだけど、清々しさや満たされ感より、登場人物それぞれのキリキリした心の叫びが深く残る作品でした。手酷い凌辱からマクシミリアンを必要と思う経緯が、疎まれ何も感じてこなかった自分に向き合って痛みや感情を与えてくれたからってのも斬新で一筋縄でいかない感や何もかもがなんかすごかったのは確か。

6

男の中の女が目覚めると瞳の色が変わる

この本の美麗な表紙の作者は、小島文美さん。
実物を見たくて、電子版を讀んだあと古書を買いました。良書なら、紙本も欲しくなります。本文にあるシュリルのイメージとピッタリの表紙絵。
挿絵が無いし、表紙が綺麗、人前でも平気で開いて読める安心装丁。

美しいシュリルが、凌辱されて苦しむ場面の連投ですが、場面や世界感が御伽噺風の綺麗な描写なので、可哀そう・恥ずかしいと思いながら、惹きこまれて読めてしまう。名作として「教えて姐さん」で紹介されるまで、読みたいと思わなかった本ですが、面白くて、瞳の色の変化場面を数えながら、20回くらい読み直しています。感謝!

主人公シュリルは、周囲を圧倒する美麗な容姿の聖将軍、国王の守護12将軍。
革命が起きて王や多くの貴族が逃亡先で死亡。シュリルは、マクシミリアンとラモンの計画により隣国のマクシミリアンの城へ追い込まれ、そのまま軟禁されてしまう。シュリルの首は懸賞金をかけられ、本国へ戻れない。

「魔性性の美」シュリルは、男でも女でもない美しさを持つ人。シュリルの不思議な体と瞳を知るにつれ、魅力に惹き込まれていく二人。シュリルは地獄の凌辱を受けるのに、容色の美しさは増していく。シュリルの秘密が暴かれた後の着衣は常に女性用が用意される。・・軟禁中のシュリルは「姫」と呼ぶべきかも。

3章以降から、シュリルのトラウマをマクシミリアンが解消していく・・愛しているのに、上げた拳を下げられないマクシミリアン。

心を動かせないシェリルが人形ではなくなっていく。シュリルが意思を持たない人形のようになったのは、幼少期のトラウマが原因、自発的な意思を持てなくなった。
父に何度か殺害されかけて、「命にかえても両性具有を隠し通すから」と父に助けを懇願したシュリル。
シェリルが怖れるのは「自死しかない状況に自分が追い込まれる事」 
国教で自殺は禁止されている。マクシミリアンに「私にはお前が必要だ。自分を殺して救ってくれるから」と言った数日後、シュリルは本国に返還となり、死ぬより辛い日々を送ることになる。

シュリルが蟄居する城はラモンが管理する。
ラモンの監視下で暮らすシュリル。ぞっこん惚れたラモンは、シュリルの秘密を公にして正妻に迎える手続きを始める。
シュリルが怖れる両性具有の公開。「結婚=秘密の公開を死を以って拒否」したいシュリルは、殺して救ってもらうためにマクシミリアンの城へ逃亡する。マクシミリアンに殺されることが、シュリルの甘美な夢。

追ってきたラモンとマクシミリアンの決闘。
シュリルが身を呈して止める。ラモンに斬られたシュリルが意識を戻して目を開けるのか、心配になってしまうけれど、「目を開けたらもうひとりじゃない」で終り。
あっけない耽美風というか、簡素で余韻ない結末でした。


---

▶著者からのコメント:Amazonから
「冷たい緑の瞳が、紫色に変わる瞬間、男の中の女が目覚める。(略) 官能小説としてお楽しみいただければ幸いです。ブログでもご紹介しています。」ブログ: https://amba.to/326LpsN

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シュリル/shrill/Surrillとは:鋭い、甲高い

★著者のHP見たら、アレキサンドライトを身に着けて参加する会を主催してた・・あんな高額の石を?・・Σ(゚Д゚) 
アレキサンドライトは、ロシアの王子の名前を冠する輝石。緑と紫に瞳の色が変わるので、その輝石の名がtitleになったと分かりました。ダイヤモンドより価格が高い希少な輝石。

4

憎しみから生まれた愛

BLレーベルではない山藍先生の作品を読むのは初めてだったけど、思った以上に読みやすかった。陵辱シーンなど痛い場面も満載だけど、流麗な文章と決して下品にはならない言葉選びで、どんどん内容に引き込まれてしまう。
ストーリーとしては、復讐心からの陵辱に愛が芽生えていくパターンの王道。なんだけど、そこに革命やら裏切りやら、両性具有であることが原因で起こった悲劇やら、そんなシュリルに異常な執着を見せる将軍ラモンなどが次々絡んできて飽きさせない。官能シーン以外の部分も読みごたえがあって、波瀾万丈の展開で面白かった。

いつ二人の感情が愛に変わったのかというところも丁寧に描かれており、キャラクターの心情の変化にも無理がない。BLを読んでいてたまーにある、いつの間にそんなに好きになったの?というのがまったくなかったので、ずっと耽美な世界観に浸っていられた。

中盤あたりで一度、マクシミリアンとシュリルに、蜜月と言ってもいいようなシーンがあるんだけど、そのあたりの描写が本当にエロティックで素敵。
雪の中、湖への乗馬デート、からの馬上エッチなんだけど、小道具の水晶のディルドを攻め様が懐に入れて温めてくれていたとか、後の回想では攻め様の指を噛んでしまった受け様の頭を攻め様が撫で、噛ませたままにしてくれていたとか……優しさと甘さにうっとり。
前後が痛かったり辛かったりするので、そこの場面の甘さが引き立てられ、余計に心に残る。

ただ、陵辱シーン含め、濡れ場はBL的ではない。そもそもこのお話はちるちるに登録されてはいても、BLではないと思う。シュリル自身の認識としては自分は男性のつもりではあるんだろうけど、二人の攻め様はそうは思っていないんじゃないか。濡れ場での女性的な表現もたくさんあるので、BLとして読むのは個人的にはおすすめはしない。
今回は耽美小説、ロマンス小説としての評価としておく。

7

イマイチ

山藍さんの小説にはすごく好きなものもあるんですけど、
この作品は個人的にダメでした。。
受けが女性的すぎる気が。
あと監禁、凌辱から愛に発展って、どうしても無理があると思ってしまいます。
そういう設定多いけど。憎み合ってたのに急に何で?って。
あと延々と調教されてるので、エロいとか通り越して読んでて辟易としてきました。かなり暴力的だし。

ただまあBLというより耽美小説として、山藍さんらしいといえばらしい気も。

4

耽美の教科書的な

山藍さんの独特な文体と世界観が存分に楽しめました。

BLというよりも、もっと耽美色の強い、古典のコスチュームプレイを観るような感覚で読むと大変面白い作品だと思います。
言葉選びや語尾の言い回しなど、乱歩くらいの時代の妖しさといかめしさがあって、アンティークの重厚さと退廃的なロマンティシズムに酔わされました。
手を変え品を変えの濡れ場はもちろん素晴らしいのですが、なにより闇雲に煽るだけの描写ではなくシュリクの熱量を感覚として伝えてきてくれることに感嘆しました。

そして全編通して、美しい。
人物や背景、舞台はもちろん、言葉が美しかったです。独特の単語もそうですが、音の響き、並び、言葉のテンポも非常に滑らかで美しい。

耽美主義ってこういうことだよね、と感じました。
読む人を選ぶ部分もあるのかもしれませんが、もともと耽美ってそういうものなので、これをBLとして同じくくりで語るのは違う気がします。

非常に上質で濃厚な名作です。

7

凌辱調教の果てに芽生える愛

美貌の受けが拉致監禁され強引に体を奪われ凌辱・調教、ありとあらゆるプレイをされたにもかかわらずいつしか憎んでいたはずの攻めを愛してしまう…というパターンの原点のようでした。
そして、受けの抱える秘密がこの作者のお得意の分野ということで、耽美の女王様の小説を初めて読ませていただく作品としてこれを選びました。

ひとことで感想を言いますと、心身ともに痛くてエロエロでもうおなかいっぱいでした。調教ものには萌えより苦痛を感じてしまうので評価は低くなりましたが、BL歴が浅く読んだのがここ数年の作品ばかりなので、20年以上前の作品は大変新鮮ではありました。
また、バラエティーに富んだ凌辱方法や痛みの与え方で飽きさせません。他の貴族と二人で犯したり性器を縛ったり下僕に性器をスケッチさせたり場所もいろいろで…。

深い理由があっても強姦はあまり好きなシチュエーションでないうえ、延々と調教され続ける愛のないエッチは読んでいて楽しくなかったです。

木原音瀬の『箱の中』でも思いましたが、BLレーベルではなく一般の文庫本のため残念なのはイラストがないという点です。
カバー絵のシュリルはとても素敵に描かれていたので、煌びやかな夜会服や軍服やドレス姿を見たかったです。
うっかり、フランス革命を舞台に描かれた少女マンガの男装の麗人の姿が浮かんで仕方がなかったです。

シュリルはかわいそうな身の上や生い立ちで、信用していた従者や主君にも裏切られその上まだ降りかかる不幸に最後まで不憫でした。

隣国の貴族マクシミリアンの狭量な八つ当たり的な復讐に書き込まれたようなシュリルは不運としか言いようがありません。
時代背景から政略結婚は当たり前で結婚相手との幸せは求めないはずで、国家間の都合で結婚が決まって王の命令で受け入れたシュリルが、今度は王の手筈で離縁することになっても世情からしても文句はいえないことは他国でも貴族であればマクシミリアンにもわかっているはず。
結果的に妹が自殺する羽目になるのはシュリルのあずかり知らぬことで理解できませんでした。言いなりで何もしなかったのがシュリルの罪だというのならあまりにも偏執的で執念深いと思いました。
その復讐のためにシュリルを同じ目に合わせるというのも幼稚な言い訳で理解できませんでした。

好きな場面は、二人がかりでシュリルを犯し身も心もボロボロにして放置するのですが、翌朝の食事に執事の采配でマクシミリアンが子供の頃辛い時に癒した優しい献立で、シュリルは、ん?とは思ってもよくわかなかったというところです。マクシミリアンにも甘いお菓子で和んだり癒してほしかった幼い日があったんだなと思うとちょっとだけかわいそうになりました。

憎んでいた相手を愛していく過程がまた王道でこの手法の元祖という感じで興味深かったです。
相手の孤独や生い立ちの不幸具合に絆され共感していき、時折見せる優しさに戸惑いつついつしかお互いが必要なのだと自覚して過去の悲劇を乗り越えて寄り添って行くという流れが綺麗に描かれていました。

格式のある三ツ星レストランでフルコースをいただいた感じです。
まだまだ山藍先生の作品を理解するには未熟すぎたようなので、もうしばらく保管しておいて修行の上いつか再読してみたいと思います。

3

大層不器用な男

 私がこの世界に足を踏み入れるきっかけになった作品です。(もはや古典の域?) 先日、かわい有美子さんの両性具有もの「微睡の月の皇子」を読んでてまた読みたくなってしまいました。かわい作品の方は、両性具有といっても当人が別段苦にしてないので(なんてったって神様なので。恋人も神様だし)エッチのバリエーションが増えてラッキー、くらいなライトさでしたが、地上に生きる普通の人間、それも封建貴族の嫡男という立場ではあまりにつらい。まして本作の主人公シュリルは、そのことで実父に忌み嫌われ、殺されかけてもいる。彼にとってはすべての不幸の発端で、それこそ命がけで守るべき秘密だった。

 でもその秘密は、彼を妹のかたきと狙う隣国の貴族マクシミリアンの手で暴かれる。革命に乗じてシュリルを自分の城に拉致監禁し、凌辱の限りを尽くす。最初は激しく抵抗するシュリルだが、マクシミリアンの復讐の意味を知り、甘んじて受け入れる。不本意にも自分が死に追いやってしまった可憐な乙女への贖罪として(それも彼の肉体の秘密と無縁ではないのに・・・)。

 日ごと夜ごと繰り返される行為が、やがて暴力から愛に変容する過程を、山藍さんの筆は丹念に、かつドラマティックに描く。重すぎる秘密を独り抱えて誰にも心許せず、親にすら抱き締められたことのなかったシュリルに、初めて人肌の温もりを教えたのはマクシミリアンだった。

 2人の関係が動きだす矢先、周囲もにわかに騒がしくなる。マクシミリアンには王女との縁談が舞いこみ、シュリルは母国へ呼び戻される。優秀な軍人でもあり、日頃は怖いもの知らずに己の意志を貫くマクシミリアンだけど、この時だけはシュリルを引き留める勇気が持てない。(今更どの面下げて好きだなんて言えるかよって感じですね)
 一度は国境を越えて引き裂かれる2人。かねてよりシュリルに執着していたラモン将軍は、彼を完全にわがものにするため「女として洗礼を受け直して妻になれ」と迫る。身体の秘密を公表するくらいならいっそ・・・死を覚悟したシュリルは生まれて初めて周囲に流されず自分自身で選ぶ。雪の中馬を駆り、再び国境を越える。最後にいちばん会いたい人に、ひとめ、と。

 旧版の後書きで山藍さんもおっしゃってましたが、マクシミリアンは本当に不器用な男です。なかなか本音を口にしないから、深い想いはその行動から汲み取るしかない。かたやシュリルは恋愛面では生まれたての雛鳥同然。いきなりそんな難易度の高い技を要求されても無理というもの。おまけに自分に自信がないから自ら「獲りに行く」という発想もない。命がけで会いに来たのにマクシミリアンの「奥方」の存在を思い出してドアで立ちすくむ。奥方が誤解してはいけないと女物の着替えを断るシュリル。なんていぢらしい・・・不器用なのはよくわかったから、早く何とかしてやれよ、と思わずにいられませんでした。

 ラモンと2人がかりで凌辱してシュリルを立ち直れないほど痛めつけた翌朝、マクシミリアンがシュリルに出した食事がいかにもでした。激甘のお菓子とかクリームたっぷりの苺とか、一見???なメニューでシュリルも困惑してましたが、実は「泣いている子どもをあやすための特効薬」で、その効能は昔彼自身が身を以て知っていたんです。そんな分かりにくいやさしさが、彼のいちばんの魅力だと思う。ラモンもなあ・・・。シュリルにマジなのは解るけど、相手の一番嫌がることを強要する時点でアウトでしょ。エッチの時も若さゆえの持久力とかモノの立派さだけ誇られても…脳みそ総筋肉の体育会系馬鹿って感じで、ラストは「お呼びでない」感満載でした。そこらへん不器用でもマクシミリアンはちゃんとシュリルの望むものを見抜いて与えてあげてたと思うよ。

 エロシーンは回数といい濃さといいたっぷり詰め込まれてますが、山藍さんのはどれ一つとっても他と同じものがなく、安易な読み飛ばしを許しません。そしてどんなに淫猥な表現を連ねようと格調高さを損なわない。
 わたしの「原点」であり、記念碑的作品なのですが、今なお色あせるどころか、輝きは増すばかり。うっかり読み返すと、最近のBL作品があまりにお手軽に思えてしばらく読みたくなくなるのが難点といえるかも。

18

驚愕したほど

大袈裟かも知れないが、驚愕しましたよね。BLでここまでの作品があるとは思わなかった。

山藍紫姫子先生の世界を知ったのもこの作品。
本屋でこのシュリルが表紙じゃなかったら目にも止めてなかったと思う。
BLコーナーじゃなくて、一般の小説コーナーにありましたから。

性器に蝋燭の蝋をたらすシーンは本気で嫌がってるし、これは残酷だなと思った。マクシミリアンは良いけどラモンは私も嫌だ。
ちょっと精神的に参ってしまったシュリルには可哀想で、誰にも愛されない、愛してもらえない、殺して欲しいと懇願するシーンには涙も出そうになりました。

でも、あれだわ。こういう受けが酷い仕打ちされてるのとか好きなんだ。

シュリルって妊娠出来るのか?いつの間にか妊娠していて病気かも知れないって悩んでるシュリルとかみたい。
生まれたら、双子で一人は両性具有っていう妄想。

15

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