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ずーっとずーっと昔から。 俺の特別は悠太だけだよ
osananajimi no kare ga idol ni narimashite
楠田先生の約2年ぶりの新刊!そしてアイドルもの!
しばらく執筆活動をお休みされていたとのことで、久しぶりに先生の作品が読めてうれしいです。
おかえりなさい!お待ちしていました!
アイドルものを書かれているイメージがなかったので、どんなお話なのかなとすごく楽しみだったんです。
業界・幼馴染設定のおいしいところを少しずつつまめて、なおかつもどかしさいっぱいの長く焦ったい両片想いの恋模様が楽しめる1冊でした。
お仕事BL的にはがっつりではないかと思いますが、受けに甘える攻め・攻め大好きな受け・2人だけの特別感あたりのワードにピンと来る方はもしかするかもしれません。
アイドルグループのメンバーとしてデビューした年上の幼馴染がいる主人公のお話…から想像していたものとはひと味違う部分のあるお話で面白かったです。
幼い頃からずっと応援して来た才能あふれる攻めに、淡い恋を抱く思春期の受けの切なさを描いたお話なのかなあと思っていたら、そんな中にどうにもほのかに香るんですよ。執着攻めの匂いが。
やや鈍感かつ自己評価が高くはない、今作の受け・悠太は気が付いていないのだけれど、2人をを知る周囲の人々と読み手には「あ〜…なるほどね〜…!」と分かってしまう。
その人、どう見てもきみのことを意識してるよー!と声をかけたくなってしまいますが、櫂は櫂でなかなか本人にガツンといけないのが焦ったいんですよねえ。
お互いにどう見ても相手のことが特別で仕方がなさそうなのに、2人とも殻から顔をちょろっと覗かせては引っ込めているカタツムリちゃんなものですから、同居までしていてもなかなかくっ付きません。
この焦ったさと微妙なすれ違いを楽しめるか、もどかしく感じるかで評価が分かれるかも。
もう少し攻めの執着が強めに香ると個人的にはうれしかったかなと思いつつ、攻めが受けの才能に焦る姿が好きでした。
わけ知り顔な人々と本人からどんどん攻めの過去の種明かしをされる受けの図も楽しい。
欲を言えば、櫂のアイドルのお仕事描写と悠太の演技シーンはもっと読んでみたかったです。特に悠太。
憑依型俳優の気がありそうなので、きっと読み応えがあると思うんですよね。
攻めに憧れる受けを読んでいたようで、受けと2人の成長記録を見ていたような、後味の良い作品でした。
気になるところがあるとすれば、櫂のマネージャーの悠太に対する名前の呼び方が1セリフの中でころころと変化していたところ。ここはチェックがほしかったかも。
引っ込み思案だった悠太(受け)は、小学一年の時の引っ越しでお隣になった二つ上の櫂(攻め)に面倒を見てもらい非常に懐きます。
櫂が所属していた児童劇団に誘われて悠太も所属するのですが、そこでも櫂は抜きん出ていてますます憧れます。
が、櫂は本番前だけは緊張で気分が悪くなってしまうのです。それを見た悠太は今までの櫂の頑張りを讃え励まします。それ以来、悠太は櫂の精神安定剤となるです。それは櫂がアイドルになっても変わらず、本番前には関係者として楽屋で櫂の安定剤を続けていたのですが、悠太が劇団の舞台で主演に抜擢されたことからギクシャクし出します。
タイトルからは幼なじみがアイドルになって主人公がいろいろある話かなと思ってましたが、どっちも業界の人になる展開とは思ってませんでした。
幼なじみはアイドルで主人公は俳優。
悠太視点なので、信用のおけない語り部状態で、悠太のスペックがわからず、一般人なのかと思ったら、劇団で主役に抜擢されるほどの逸材だったとは驚きです。
完全に両片思いなのですが、お互いヘタレなためなかなか進展しません。
それと同時進行で悠太が俳優として開花していくのですが、悠太視点なので何ともよくわからない。
デビューがうまくいき、やーっと2人はくっつき(これもお膳立てしてもらってほんとやーっと)これから俳優として大きく羽ばたくであろう悠太といつか共演しよう、時がたち映画で共演が発表されたところで終わったので、ちょっと残念。
そこからの悠太の快進撃、もっともっと読みたかったなー
そして、2人が共演した映画は何だったのかしら。BL映画かなー
私が今まで読んだこの作者様の作品とはちょっと違った比較的可愛い話だったと思いました。