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作家さんの新作発表
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「帝都万華鏡」シリーズ2作目。
本作の主人公は、前作の高市京介や石木琢馬の一高の同級生で、今は日本画家の横山春洋(はるみ)。
スピンオフ的な展開とも言えるけれど、前作「桜の頃を過ぎても」と同じ時間軸での横山サイドとしての物語です。
生家は吉原の廓である春洋は、ある晩贔屓筋の息子が座敷で一人になってしまったので座持ちを、と言われて挨拶に出向くが、廓付きの色子かと間違われたのか、その後その若者・岡野紘彦が春洋目当てに通ってくる事になってしまう。
本当の事を言わぬまま春洋も紘彦に惹かれるが、彼の婚約が整ったと知り逃げるように京都に発つ…
そして4年後。
京都での恩師との不倫騒動もあって帝都に戻り、京介の文芸誌での挿絵などで名も知れるようになってきた春洋は紘彦と再会する…
ザ・すれ違い。
ザ・誤解。
一言で言えばそんな内容の、遠回りしてしまった恋のはなし。
それが鳩かなこ先生の、非常に美しくきらびやかで優雅な文体で描かれると、耽美というか凄艶さが他の追随を許さない。唯一無二の文学世界を構築します。
そして今市子先生のイラストがまた最高に美しい。
2人がすれ違う誤解のわけがすぐ分かってしまった事、その誤解のために4年も⁉︎と思ってしまった事は「萌」ですが、書物としての圧倒的な美しさへの敬意で「萌x2」です。
前作『桜の頃を過ぎても』にて、
主人公達の共通の友人として登場した横山春洋が主人公です。
前作では妙に艶めかしく、
一筋縄ではいかなさそうな雰囲気を醸し出していた春洋。
そんな彼の恋のお相手は、年下の世間知らずの坊ちゃん・紘彦です。
初心な紘彦のストレートな求愛。
お子様だと紘彦を侮り、余裕を持って付き合ってきた春洋も、
だんだんと彼に本気になってしまいます。
酸いも甘いも噛み分けてきた、何でも器用にやっていけると思っていた春洋が、
紘彦との恋で実はとても脆く、精神的にも不安定なのが露呈します。
あの飄々とした彼の内側が、こんなにも揺れる乙女なのかと思うと。
魅力的で萌えました。
筆者の文章は淡々として、どちらかと言えば硬質な感じを受けますが。
濡れ場の表現がとても色っぽいです。
直接的な言葉は書かれていないのですが、なんと言うのでしょうか。
行間から匂いたつような艶っぽさでした。
とても満足した作品なのですが。
春洋と紘彦のすれ違いの原因が弱い事と、予想通り過ぎる展開がややマイナス。
「神」よりの「萌」評価です。
吉原遊郭で生まれ育った春洋(受け)は、馴染み客の息子・紘彦(攻め)の相手をすることに。
春洋を陰間と勘違いする紘彦をからかうつもりが、彼のまっすぐな求愛に心惑わされ…。
シリーズ二作目の主役は、前作攻の友人として良い味を出していた画家・春洋。
酸いも甘いも噛み分けた、婀娜っぽい色気のある人物、という印象を抱いていましたが、本作の春洋は意外とおぼこい乙女。
年下の坊っちゃんに身も心も翻弄され、身分違いの恋に苦しむ春洋。
それはそれで色っぽいですが、心の内が見えたことで、前作のような憑逸とした魅力はやや半減してしまった気がします。
青年から逞しい大人の男性へ成長を遂げる紘彦は、年下攻めらしい可愛らしさとカッコよさがあり良かったと思います。
春洋視点ではなく紘彦視点で、つれない大人の男性に恋慕する純情青年の話が読んでみたかったかも。
春洋の誤解があまりにベタすぎるのと、再会後の展開があまりにあっさりしている点が物足りず、評価は萌。
しかし前作同様、大正時代にトリップしたかのような臨場感ある文章、色気ムンムン濡れ場描写などは素晴らしく、本作も楽しめました。
今回は、前作攻・京介が春洋の友人として登場。
鷹揚として包容力のある彼は脇でも魅力的でした。
帝都万華鏡は5作で1シリーズだが、1,4作が京介×啄馬で、この第2作と3作は、彼らの友人である春洋のお話。
お相手は、材木問屋の跡取り息子、紘彦。吉原の跡取り息子(経営は男性ということになっている)が春洋の兄。春洋は実家とは無関係に画家としてひとりだちする。
最初の出会いは吉原。たしなみとして訪れた純情な紘彦は、陰間と勘違いして春洋を抱く。一途で純情な紘彦にほだされる春洋。
しかし、自分のようなものが、といういわゆる健気受け精神ですれ違う二人。この辺がBLあるあるでやや凡庸。
京介×啄馬の方が本シリーズメインといっていいと思うが、そちらでは悲しみをかかえつつも飄々としたキャラだった春洋が、典型的健気受けになっていて残念。
川辺のホタルや、春洋のアトリエなど雰囲気は良いのにストーリーに目新しさがなく、攻めの魅力も今ひとつといったところ。