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yoiyamioyado no oni no aruji no oyomesama
表紙の雰囲気といい、タイトルの感じといい、想像した通りのふんわり優しいお話でした(*´꒳`*)
不憫な生い立ちで育った健気な性格の主人公・凪が、鬼の花嫁となり幸せな結末を迎えるハートウォーミングストーリー。
設定や登場人物、ストーリー展開は細やかで凝っていまして、サラッと読めるかと思いきや見応え抜群。体感的にもボリュームたっぷりに感じました。
舞台は、『ゆわい』と呼ばれる"あやかし"と人間の世界の狭間にある場所。そこは宿屋になっていて、そこの店主である時雨は元鬼一族の頭領という経歴の持ち主です。過去に凪と関わりがあった縁で凪を保護し、『ゆわい』で共に生活していくことになります。
この『ゆわい』では、のほほん穏やかな日常だったり、人情ドタバタ劇だったり、凪が狙われたりと、色んな出来事がいっぱい起きます。そこにはもちろん時雨と凪のBL展開もあるし、彼らの秘めたる過去や複雑な人間模様も描かれていて、見どころいっぱいな印象でした。
BLに焦点を当てると、早々に時雨から凪に求婚というかアプローチされていて、恋のベクトルは最初からハッキリしています。当然凪の方はええぇ〜!?と戸惑います。
展開は早そうに見えますが、時雨的には昔から凪のことが好きで今ようやくその時が…って感じなので彼からすると時期尚早なアプローチではないんです。問題は凪の方ですね。
求婚されてどう動くのか…それがこの作品のBL注目ポイント。
凪が時雨の返事にどう答えるか、凪がどうしたいか。彼が答えを出すまでゆっくりめで少々焦ったいかも知れませんが、時雨と過ごす中で自分の本音の気持ちに向き合っていく過程を温かく見守って下さい^ ^
旅館・ホテルのような不思議な世界の宿屋を舞台とした物語は、人ならざる者たちとの関わりを描いているものの、人間の凪にとっては家族の繋がりに近いアットホームストーリーって感じでした。
人間界では親戚家族から冷遇され、唯一可愛がってくれた祖母が亡きあと孤独に苛まれていた凪の、第二の人生がスタートしたお話だと言っても良いでしょう。
『ゆわい』では、凪はとても信頼され周囲の人たちに見守られ、そして時雨には溺愛され…といったように、人間界では与えられていなかった愛情をたっぷりと得ています。
家族の情愛はそれまで祖母からのものしか知らなかった凪が、ここ『ゆわい』では自分に向けられるたくさんの愛を知りそしてたくさんの"家族"が出来た。
初めはそんなことに戸惑い、愛情へのお返しの仕方が義務感や責任感、◯◯◯すべき、こうしなきゃ…みたいな自分の感情そっちのけでいた彼が、次第に自分の意思や気持ちで選択し行動できるようになっていくのが微笑ましかったです。
本来の感情を取り戻したっていうんですかね、それまでの環境が劣悪でしたから仕方ないですが、第二のステージでは自分らしくありのままに生きて欲しいと思います。
シリアスなシーンもあるけど、基本的にはほのぼのとあったかいお宿物語です。
不憫から溺愛への道を辿るシンデレラストーリー的な要素たっぷりなので、溺愛好きな方におすすめですよ♪
囲い込み系スパダリな元鬼の頭領で現宿屋の主人と薄幸系先祖返り霊感少年
両親が亡くなってから唯一自分を愛してくれた祖母が亡くなり、身を寄せていた伯父宅を追い出されることになっている凪(受け)は、妖に操られた従兄に殺されそうになります。
そこを助けてくれたのは、幼い頃あやかしに襲われていたところを助けてくれた鬼の時雨(攻め)でした。妖のいる場所と人間のいる場所の境にある宿「ゆわい」の店主をしているという時雨は元の場所に未練がないなら伴侶にならないかと言ってくるのです。
凪は両親を事故で亡くし、母親の実家の祖母のもとで育てられました。
母親は許嫁がいたのに駆け落ちし実家から絶縁されていたたため、祖母以外の親戚は皆凪に冷たい視線を向けます。その上凪は強い霊能力を持っていたため、側から見ると不審な行動が多く、気味悪がられ、当主である伯父の息子(従兄)より成績が良いことで僻まれていました。
祖母も亡くなり、高校も卒業したため、追い出されようとした時、妖に劣等感を刺激された従兄が襲ってきて時雨に保護されるのです。
時雨は元々鬼の頭領でした。圧倒的な力で持って君臨していましたが、凪のを助けるために掟を破って力の大半を凪に渡してしまったため、罰と共に時雨を守るため妖の力の弱まる「ゆわい」の店主になったのでした。
その時に、凪の力に気がつき、力を手に入れようとする妖に狙われないよう力を成人まで封印しその後こちらに呼ぼうと小鬼を作りストーカーしていたのです。
凪は生い立ちのせいでとても自己肯定感が低いです。どんなに酷い扱いを受けても、それが全て自分なせいだと思い相手に申し訳ないと思っています。
妖が視えるから変な行動を起こすことがあるのは確かだろうけど、何故か周りから苦言を呈されることが多いらしく伯父夫婦が周りに何度も頭を下げているらしい。それが余計に伯父夫婦や叔母や従兄に憎々しげに思われています。
ただ、この辺りがよくわからなくて、なぜ伯母が周りに頭を下げているのだろうかと気になりもやもやしました。
そんな扱いをされてきたからもあって、凪は自分の命をとても軽く扱っています。
時雨が命をかけて助けてくれたのにそのことを軽く扱うような行動には少しイラッとしました。
時雨が早々に伴侶に望んだことで、簡単に答えを出せない凪。
時雨が頭領の地位を譲ったことをよく思わないブラコン弟の奏矢や時雨の身体を心配する元許嫁、力を持つことに執着する天狗の長老など面倒な人々。
凪と時雨の全面的な味方には、元店主の柊に妖狐の頭領で友人の早霧に店の従業員たち。たくさんの登場人物が話に緊張と和やかが混じった面白い話になっていると思います。
最後は大団円。
家族のいない凪に伴侶ができ、もしかしたら子供も望めるかもしれないという明るい最後になっています。
ただ、伯母たちが周りに謝ってばかりだった理由や天狗の長老が自滅したほどの凪の力とはなんだったのか、元婚約者の真意とか、宿の宝玉の力というか意志は一体どこから持ってきてるのかとかわからないままのものが多く、またブラコン弟や「ゆわい」で出会った人間の女性のその後など、気になることが多くてすんなりした読了感がなかったのが残念でした。
ちょっと尺が足りなかったですかね。
2人の子供も見たかったし。
人間界と妖界の狭間に潜む、宿屋「ゆわい」を舞台に、様々な妖怪達と交流する〝癒しの妖ファンタジーBL〟です
癒しを求めて購入しましたが、個性的な脇キャラ達がワイワイ登場して、本格和風ファンタジーとしても楽しめる一冊でした。
が、肝心の恋愛部分が終始溺愛の平坦な印象で、残念ながら好みじゃなかったです……
両親を早くに亡くし、駆け落ちで生まれた為、親戚中から疎まれて育ち、更には人ならざる〝あやかし〟が見える故に世間と馴染めず孤独に生きてきた主人公・凪。
辛い生い立ちから自尊心が異常に低く、自分を蔑ろにしがちな謙虚で大人しい幸薄系の受け様でした。
そして、そんな凪を幼い頃から陰ながら見守って来た、鬼の攻め様・時雨。
光⚫︎氏の紫の上宜しく、5歳の凪と出会い「伴侶」として見初めてから、ずーーっと見守ってきた、なかなか執着心強めな攻め様です。
「凪の気持ちを優先する」と言いつつ、手放す気配は全く無く〝囲い込み系スパダリ攻め〟の権化のような存在!笑
自尊心の低かった受け様が攻め様と出会った事で、少しずつ芯を持っていく様子は良かったのですが、残念ながら〝萌〟を見出せず……
出会った時から「超」溺愛の為、恋愛のハラハラ感や機微が少なく、BLの恋愛要素を余り楽しめずに終わりました。
また、大人しい受け様は純真無垢で可愛い反面、男子っぽさを殆ど感じず、だんだんTL小説を読んでいる気分に…笑
とは言え、攻め様の溺愛っぷりは素晴らしかったので、〝囲い込み系スパダリ攻め〟による、超絶溺愛BLを楽しみたい方に如何でしょうか!
もう杉原朱紀先生の作品は読むのを止めようと思ってたところ、忘れて購入した「神官騎士は黒翼の忌み子を寵愛する」が凄く良かったので今作も購入してみました。
ところがです、凪の性格が好きになれずに困りました。謙虚さも度を越すとマイナスになりますね。特に自分の命を軽視するのに嫌悪感を感じてしまいました。健気受け大好きでもこれはいただけませんでした。
作中でも凪のこの考え方が時雨にとても失礼で、彼の気持ちを蔑ろにしていると指摘されてましたがまさにその通りだと思いました。後にこの点を凪は反省して変わってはいましたがこの印象が残ってしまって…。
生死に関する病気を体験するとどうも作品の好みも変わるようで、不憫ながらも前向きでキラキラした生命力に溢れた登場人物に惹かれるようになるので、凪はそこからは外れたキャラでした。
それと《ゆわい》の宝珠の力が中途半端なようでモヤ付きました。あの天狗の長老がどうして宿泊を許されていたのかだとかが理解出来なかったです。そして凪の力の秘密も中途半端だったように感じました。《ゆわい》で凪が出会った人間の女性の婚約者のその後とか、もっとお話の奥行きが深められたのではと思うと残念でした。
これからは予約にはしないで評価が終わった時点で購入するか考えようと思います。
鈴倉先生挿絵だったので購入。読んではみたものの、攻め受けともシンクロできず、盛り上がらなかったので中立にしました。清らか健気受けがお好きな方でしたら良いのかも。本編290P弱+後日談20P+あとがき。
幼い頃に両親を事故で亡くし、自らも足に少し障害がある凪。なんとか高校を卒業し、世話になった伯父の家を出て一人で生活しようとしていたのですが、様子のおかしくなった従兄弟から襲われ・・と続きます。
攻め受け以外の登場人物は
雪葉(妖狐の子、表紙左)、乙・丙(受けに従う小鬼)、総二郎、夏乃(攻めに従い宿で働く)、奏矢(攻め弟)、鈴波(奏矢の婚約者)、早霧(妖狐の頭領)、柊(宿の前女将)、悪党少々ぐらいかな。ちょっと多いんだよな。
++攻め受けについて
受けはとても清らか、幼い頃に攻めの力を分けてもらったのもあり、妖たちにとっては甘い香りのする極上の餌に見えるらしい。もともと力あったし、餌と思って妖から寄ってくるので、あれこれ見えてお困り中。小さい頃助けてもらった攻めに、約束通り伴侶にと言われて、ちゃんと好きになってから・・・などと考えたりもする、押しは弱い子。後ろ向きとまでは感じませんでしたが、自己肯定感少ない印象です。清らかさは極上というのがアピールポイントか。
攻めは受けに力渡しちゃった関係で、頭領を弟に譲り宿の主人となった方。力ある優秀な方のようですが、きゃあ♡とめっちゃ惚れるシーン(力使って敵をなぎ倒すとか)が今一つ思い当たらず。受けを大切にし溺愛しているのは良く分かるんですけど、私が惚れられなかったので盛り上がりませんでした。
あとサブキャラが多くてですね。ヒール役とか、説明役とか、こじらせた状態を打破するためのトリガー役とか可愛い役とか、そういうのをもうちょっと集約したらもう少しお話短くなったんじゃないかなあ?盛り上がりを感じないままこの長さだったので、ちょっと長いなあと思い辛かったでした。先生すいません。