renachi
jisyou kouhuku ron
亡くなった恋人の店で定食屋を営む十弥と、恋人を捨てて結婚・出産・離婚し独りで生きる曜介のお話。曜介の元恋人が主役で曜介が脇役なら、ボコボコにぶっ叩かれていそうな設定で、このキャラをどう見せるのか興味深く読んだ。
出会いは定食屋の店主と客として。馴染み客ばかりのアットホームな店で新たな常連になるなんて、曜介は人付き合い自体は広げていきたいのかな、と意外なような安心するような。それでいて心に壁を作る様子に、十弥が追いかけたくなるのも分かる。
十弥の方は恋人との死別を受け入れる方向に進むので、十弥視点は比較的爽やか。曜介視点は罪悪感やら何やらでシリアス度が高く、十弥視点はその暗さを中和してくれる感覚。ただ、心理描写重視の内容で視点主がコロコロ変わるのは感情移入しにくかった。
一番刺さったのは元恋人・新の当時の心境が分かった場面。家庭を壊した理由が、捨てられた恨みでなく、戻ってきて欲しかったからなんて。冷静に考えたら無理であろうことをやらせてしまうほどに、曜介は新の心を壊してしまったんだな、と。
多くの人がいろんな人にたくさんの感情の矢印を出しているのが見える作品。簡単に作れる人物相関図にも、矢印の一つ一つに思いが込められていると教えてくれる気がして、温かい気持ちになれた。曜介の子供が幸せであることを願う。
kindleunlimitedでお見かけして、それ以後ポツポツと読ませて頂いてる二一先生。
やり場のない心情がありありと書かれているので気持ちが想像に難くなく、毎度読み入ってしまいます。
このお話、会計士の受け様・曜介と定食屋店主の攻め様・十弥のお話なのですが、この人たち含め周りの人もみんな、誰かに幸せになってほしいし幸せになりたいのにまぁーーうまくいかないんですね。そういうどうしようもなさがリアル感醸し出してて引き込まれるんですけど笑
曜介さんは、自分の気持ちを押し殺して誰かを幸せにしようとするから、あとから現実がその歪みに耐えられなくなったかのごとく崩壊してしまうんですよね。元奥さんのこととか。
十弥さんの方は、恩人で恋人だった男性を病で亡くしているし。
その他にも、やりきれない思いを抱えた登場人物が多すぎて、読むのになかなかエネルギーが要るのですがその分読み応えは抜群です。
曜介と十弥のお話が節々で辛いから、気持ちが通じてからの甘々展開がもっと欲しくなってしまいます……ホント今度こそ報われてくれ……!!
すみません、コメ主です。
曜介さんは税理士でした!会計士じゃない!税理士!!作中でも税理士として活躍してるのに何たるミスを…!!