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orokamono no koi
丸ごと1冊表題作です。
美久(受け)の目線でストーリーは進んでいきます。
美久は親にも捨てられた自分を救ってくれた義兄の真意(攻め)をずっと好きです。寂しい年の離れた弟の演技をして計算どおりに同居に持ち込んだものの、真意に友人との関係を疑われたことをきっかけに、思わず迫ってしまい…という話です。
一番面白かったのは、美久の友人であるエロ漫画家の本橋とのやりとりでした。作品は全体的にシリアスチックで、でも千代田をそうさせている元凶が義兄と実母というのが、読んでいてどうにも切なかったです。
最初「義兄」とあったので真意と血のつながりはないのかと思えば、「異母兄」であったのにハッキリ書かれておらずもやもやしました。ラストで血縁関係がないと分かり、そのため誤魔化したのかもしれないとも考えましたが、美久の目線という一人称で語られてるのですから、序盤に二人の世間的な関係をしっかり書いていても良かったのではと思いました。あとは実母が良い母なのか虐待親なのか…という中途半端な扱いも落ち着きませんでした。
美久は真意に気持ちが通じていないことに嘆きますが、異母兄に恋をしたという点にはそう重きを置いておらず、真意もあまりそういう発言はないので血縁関係カップル好きには物足りない展開かもしれません。
美久目線のためか、真意の気持ちが透けて見えません。実は一目惚れだったという本音がラスト付近で本人に語られるまで分からなかったのが残念でした。ただ、真意が美久を引き取った理由が、「女の子だと思って一目惚れしたけど、実際は男の子だったのだから好きにはならずに大丈夫だろう」というのは面白かったです。その辺のコミカルな部分がもう少し欲しかったです。
報われない片思いに悲しむ受け、真面目な年上攻め、友人等サブキャラが好きな方(※有馬先生のイラストでは、エロ漫画家の本橋は男前でした!)にお勧めです。
実母に捨てられ、名門旧家の父方に引き取られることになった美久。
けれど当然、美久の存在が歓迎されることもなく、そんな美久を救ってくれたのが、義兄の真意。
名門の家の次期当主の座にありながら、真意は自分が一人暮らしをする部屋で美久と一緒に生活をしてくれるというのだった。
それ以来、美久と真意の二人暮らしは始まり、次第に美久は真意のことを恋愛対象として意識し始める。
ところがそんな時、真意が仕事で美久を残して、ドイツに旅立ってしまう。そんな真意がドイツから帰国することになり、美久は再び、二人だけの生活をしようと画策する。
「それ以上は何も望まない」
そのつもりだったはずだったけれど、真意の勘違いがきっかけで、美久は「寂しくなると身体を売りに行ってしまう自分」を演じることになってしまう。
そのことがきっかけで、真意とは身体を繋げることができたけれど……という話でした。
確かに二人ともタイトルどおり、愚か者だなあ……という感じで、自分のことに一生懸命で素直に自分のことを伝えたらもっと順調に物語が進んでいくように思えたんですが、どっちもピュアラブでした。
でも素直で面白かったです。
義兄とは言っても、元々の血が繋がっているわけではないですし、籍も別々なので、若干想像と違うなというところから物語に入ります(苦笑
幼い美久は、母親に捨てられます。預けられた家で喜んで受け入れられるわけもなく。そんななか、温かい手を差し伸べてくれた唯一の存在が、真意だったんですね。
義兄っていうのは、母親が、「この家の当主に犯されて出来た子供です」といわれて、つれてこられたからであって、真意がこの家の長男なわけで。
真意は、ずっと美久を自分の手で大きくしてくれたわけです。なので、依存は大きくなり。
しかし、あるとき、真意は美久を残して、海外に転勤してしまいます。恋心に気づいた美久は一度は諦めようと思った想いが、あることをきっかけに再びもえあがり・・・・という展開。
一冊読み終わっての感想としては、イマイチ盛り上がりにかけたかなと。真意の性格もそうなんですが、常に美久中心の志向ですすむので、暗い。暗いし兄さんが至極真面目なので面白みは少ないです。とにかく淡々と物語がすすんでいくという感じ。
最初から最後まで読み終われば、どういう話が書きたかったのかは解りますが、ちょっとモッタイな~という印象もあり。
ただ、あとがきに、「真意の視点からもかけますが、これまたコメディになりそうで~」的なことをが書かれています。
これは、後半、真意の告白でうまく繋がることになっているんですが、実は一目ボレで~から~な流れが想像すると本当に面白いとおもった。本編では、一切そんなそぶりもみせず、ひたすら鈍いというか、何も気づかない感じなんですが、かげではうろたえて、海外にも逃げたというエピソードは、考えるだけでクスリときてしまいます。
出来ることならば、この本編にプラスで、真意の視点で描かれた短編でもついていたならば、もっと面白かったんじゃないかと想います。2重の意味でw