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kieta koibito to isekai no kurojishi hakushaku
花小蒔先生なのでマストバイ。タイトル通り異世界トリップものでした。攻め受けのキャラというより、お話がどうなるどうなると気になるものでしたので萌にしました。本編260P弱+あとがき。花小蒔先生の挿絵はやっぱり大好き。
もともと体が弱く、就職したものの体調が原因で退職していた優司。大学時代の恩師に声をかけてもらって専門書の下訳をしつつ、親戚から老朽化して入居者がいなくなったアパートの管理を依頼されて、転居することに。ある日、2階の各部屋の清掃をしようとドアを開けたら、見たこともない景色が目の前に広がり・・と続きます。
攻め受け以外の登場人物は
異世界での攻めの部下や、敵対勢力。受けの元の世界では住んでいた古いアパートの近隣の方々ぐらい。
++ 攻め受けについて
攻めは、記憶無くしていたにも関わらず、知識を生かせたもんだから領主に気に入られ養子となって後を継いだような方。領主として何とか盛り立てていかなければ、皆を守らねばと頑張っておられる印象。馬に乗って剣ぶん回してます。
受けはもともと呼吸器系よわよわな線細い男子。でも心を通わせてから1か月で姿を消した元恋人にそっくりなフーゴに惹かれて、でもいざという時に元の世界に戻ってしまったりするもんですがら、なんとかもう一度会いたいとむちゃくちゃ試行錯誤頑張る方。思いが強いんだわ、すごい。無事出会えていなかったらきっとそのまま儚くなってそうだったのに、異世界いったら体が元気になるってのは、良かったなあ。あのままヨワヨワさんだったら生き抜くのがまず無理。
大好きだった方にもう一度会いたいとリアルに頑張る受けさんと、そこに至る異世界トリップの方法(召喚されて とかじゃなくってドア開ける)が印象的だった一冊でした。
夢乃さんの新刊はファンタジーもの。
花小蒔さんの描かれた表紙も麗しく、発売日を楽しみに待っていました。
主人公は優司。
彼には忘れられない人がいる。高校生の頃から好きで、20歳の時に想いが通じ恋人になった楓伍だ。優しい彼と、これからずっと一緒にいられる。
そう思っていた矢先に、楓伍は研究のためにヨーロッパへと赴き、そして楓伍は行方不明となってしまった。優司は何度も現地に足を運び楓伍を探し回ったが、結局楓伍が見つからないまま時は過ぎ、5年。
そして身体を壊し就職もできなくなった優司は親戚が持つ古いアパートへと引っ越すことに。が、そのアパートで、優司は不思議な体験をする。扉を開けると見知らぬ世界へと繋がっているのだ。異世界に行ける条件を導き出すことに成功した優司だったが、そこで彼は現地の男たちに取り囲まれてしまう。言葉は通じない、どうすることもできないピンチに陥ってしまった優司だったが、そこに現れたのは愛してやまない楓伍とそっくりなビジュアルを持つハンス・フーゴと名乗る人物で―?
行方不明になった恋人を愛しているのは本当。
けれど、恋人と似た風貌と名前をもつフーゴに惹かれてしまう気持ちもとめられない。
そんな優司の感情を軸に、異世界へと行ったり来たりを繰り返すファンタジー要素も盛り込んだストーリーです。
序盤から優司はフーゴに惹かれていることが分かり、楓伍のことはどうした?と思ってしまってですね、ちょっとんん?と思わなくもなく。でも優司はフーゴを選ぶのか、それとも楓伍を思い続けるのか?という部分がBLとしてのベースになっているのと同時に、フーゴは楓伍なのか、という謎を追いかける展開でもあり、グイグイと惹きつけられるストーリー。
設定としては斬新ですし、面白くないわけではないのですが、初っ端から優司と楓伍は恋人同士ですし、楓伍がいなくなった後もフーゴとの関係は甘い空気が初めから漂っていて、紆余曲折を経て想いを通じ合わせるという部分に萌える性質の私にとってはいまひとつ盛り上がれず。特に楓伍とのやり取りがほぼ描かれていないので、彼に感情移入しづらい。
さらに言うと、優司があちらの世界で闘うシーンはカッコいいし面白いのですが(彼が使う武器にご注目)、優司の良さがあまり書かれていないので楓伍、フーゴ共に彼に惹かれる過程が今ひとつ分かりづらいのも萎えポイントでした。
ただそれ故に痛い展開はほぼないので安心して読めますし、フーゴはめっちゃカッコいい。花小蒔さんの描かれる挿絵は今回も麗しく眼福でした。