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katayoku no alpha ryu to ougon no omega
柚槙ゆみ先生の作品を読むのは「獅子王と秘密の庭」に次いで2冊目になります。
断然こちらの方が好みでした。
カミーユ(カイル)がとにかく言葉が足りないので、竜穴での再会の後は焦ったくてしょうがありませんでした。
でも前向きで愛情深いユリウスがとても良い子で、お互いに話し合って徐々に誤解が解けて行く過程が凄く良かったです。彼の忍耐力の賜物ですね。
正直言ってユリウスが竜穴に落ちてカミーユと再会してからが、一気に色んな謎が解き明かされて行くんです。それまでは多分そうなんだろうなという想像をしながら読んでて、2人が再会してからが自分との答え合わせでした。
ユリウスの最初の発情でカミーユが番にならなかった理由は知ってしまえば納得なんですが、とにかく言葉が足りない男なんですよ。後から心の内を知れば愛情深くて一途な良い男なんです。www
2人が番になってからが怒涛の展開で、一気に物語の終焉へと加速して行きます。どうやって2人が竜穴から出ることが出来たのかは、本来ならばとてもロマンチックな出来事なんです。
カミーユが竜穴に落とされてから5年で、ユリウスが竜穴に落ちて2人が王宮に行くまでがそんなに時間は経っていないんです。兄王から王位を奪還してオシアノス国を救おうとするタイミングで、オシアノス国王を倒そうとする反乱軍を率いるかつての部下との再会はとてもドラマティックでした。
読者が気になるカミーユとユリウスのその後と、オシアノス国がどうなったかまで書いてあるので私的にはスッキリするエンディングでした。でも、そこがダラダラと感じる人がいるかもと思いました。
ただもう少し萌があればと思いました。全てはカミーユの言葉不足と素っ気なさが原因だと思います。
長編向きの内容だけど、一冊でまとめているので、場面展開が早い。
いろいろあっても、ハピエン。安心して読めます。
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●ユリウス・ファン・レイン:βから生まれたΩ
妊娠中、母がタバナラ湖の水を飲んだせいか、両親と異なる容貌で生まれる。
●カイル・コリーン:β 3才年上の幼馴染
=カミーユ・デルタ・マルシェ :α オシノアス第二王子 騎士団長 龍穴で処刑
●バルバトス・デルタ・マルシェ:オシアノス国王 カミーユの父 55才で死去
●イーサム:第一王子 新国王
●ゴードン:議長から宰相に昇進
オシアノス国の王族は、竜化する。
初読みの作家さま。
タイトルやあらすじに惹かれて手に取りました。ネタバレ含んでいます。ご注意ください。
オシアノス国は竜の血を持つアルファが治める国。
この地では黒い髪に黒い瞳を持つ人たちが住まうが、ユリウスは金髪碧眼で生まれてきてしまった。両親は見た目が他の子と異なるユリウスを守るために家からでないように育てるが、まだ子どものユリウスには外に行くことが羨ましくて仕方がない。
そんなユリウスの秘密を知っているのは、家族以外では幼馴染のカイルだけ。カイルにだけは素の自分を見せることができる。優しく、強く逞しいカイルはユリウスにとって唯一無二の存在の人だった。が、そのカイルは騎士になると言って村を出て行ってしまう。
数年後、一目だけでも騎士になったカイルの姿を見たいと願ったユリウスは両親に内緒で街へ赴くが、そこで見たのはカミーユという名の騎士を束ねる隊長となったカイルだった。名を変え、昔と異なり素っ気ない態度を取るカミルに驚きつつも、自分との関わりを一切断ちたいのだと理解したユリウスは村へと帰るが―。
ユリウスは見た目が他の人と異なる、という薄幸さを持ち合わせていて、そんなユリウスがただ一人信頼したカイルに冷たくされる、というシリアスベースで始まる物語なのですが、すごくいろいろなバックボーンが混ざり合ったストーリー展開のお話でした。
カミルがなぜカミーユという名に変わったのか。
なぜ、再会したユリウスに冷たかったのか。
なぜ、18歳というまだ若い年のカミーユが大国・オシアノスの騎士団の隊長にまで上り詰めているのか。
うんうん、カミーユにはユリウスには告げていない秘密があるんだね?
とか思いつつ読み進めたのですが。
タイトルの、「片翼」、「アルファ竜」「黄金のオメガ」。
これらが端的に物語のバックボーンを表している感じ。カミーユの、ユリウスには告げていない秘密は一体…?という部分を軸に進む物語です。
カミーユって、良いところのお坊ちゃんで、アルファなんでしょ?と、単純に予想していましたが、んー、なんて言うんだろうな。バックボーンがてんこ盛り過ぎる、っていうのか…。
バックボーンのそれぞれ単品は非常に面白いんですよ。カミーユが意外に薄幸だったり、ユリウスの金髪碧眼の理由とかそれに起因した薄幸さだったり。アルファとか、竜とか、そういうファンタジー要素も面白い。面白いのですが、詰め込み過ぎていて、読んでいてちょっとお腹いっぱい、という感想が一番しっくりくる感じ。次から次へといろいろ起こりすぎて一つのことを消化する前にさらなる因子に追いかけられる、っていえばいいのかな。
沢山のバックボーンを孕みつつ、それらがきちんとつながって話に奥行きを与えるストーリー展開ではあるのですが、ちょっと多すぎたかなあ、と。完全に個人的な好みの問題ですが。
が、これだけのバックボーンを上手に生かしつつきちんとまとまったストーリー展開は秀逸でした。ベースとしてはシリアスな雰囲気が終始漂う作品ではありますが、展開としてはシリアス過ぎる事はないので痛すぎるお話が苦手な方にはお勧めな1冊かと思います。
幼い頃から容姿に悩んできたユリウス、そんなユリウスを励ましてくれたのは幼なじみのカイル。そんなカイルをユリウスは慕う。大人になりカイルは騎士団に志願し、村を離れ…というお話。
孤独を抱えたユリウスにカイルの存在が大きかったと思う。だから騎士団に入ったカイルの変心や、オメガという理由で親が囚われ逃げる生活は辛かった。竜穴でのカイル(カミーユ)との再会はびっくり。過酷な状況だけど今度はユリウスがカイルの希望になれたと思う。想いが繋がって、二人で戦い、国や家族を取り戻せて良かった。
カイルとの身分差やオメガである事で卑下しているユリウスだけど、カイルなら幸せにしてくれると思う。
SSの「二人の天使」幸せが溢れていて可愛かった。