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yuta to honehoneman
小田島と江田の人生を淡々と切り取った作品。起承転結等はなく、それぞれの人生が流れるように綴られている。二人の道が交差するまでは、別の相手と付き合ったり別れたりする様子も描かれていた。
詳細な背景を知りながら出会ってからの二人を追っていけるため、感情移入しやすくなっていて良かった。
アニメの影のヒーロー“ほねほねマン”に憧れる5歳の小田島は、道で見かけた江田をほねほねマンと思い込む。その後何度か偶然の関わりがあり、無自覚に江田にストーカーもどきの執着を持つ。江田を目指して進路を決め、同じ大学の研修医となってから、やっと江田に存在を認識される。
一方江田は、3歳年上の四方木と大学時代からずっと真剣に付き合っていた。二人が本当に相手を想い合う描写がとても良い。共にエイズチェックを受けたりと、真面目さが伝わるエピソードもじんわりくる。終わりはあっけなく訪れたが、愛が消えたわけでない別れが切なくも温かい。
小田島と江田が出会ってからは、小田島は江田に一直線でも江田は心に四方木を残したままで、当然すんなり上手くはいかない。さらに一回り以上の年齢差や、医師としての能力・経験値の差は歴然で、誤解やすれ違いが生まれる。
ラストは安心して読み終われるハピエン。特別何が起こるでもない話だが、ごく自然に描かれる彼らを見守る気分で読めて心地良い。商業っぽさがなく書き手との相性がダイレクトに影響しそうな作風。私は好き。
気になるのは読み辛い神視点。書き手の都合に見える視点変更で、一瞬物語の世界から弾かれた感覚に陥る。場面の移り変わりも頻繁にあるため、視点主は二人までにしてくれると分かりやすいと思った。