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well
電子新装版を読んだのですがページが見つからなかったのでこちらに失礼します。
木原先生の作品はいくつか拝読しているのですが、今まででいちばん疲れました。
とにかく疲れました。
世界の終わりから見捨てられて、本能の赴くままに生きることを強いられた人間達の行き着く先。
このお話は世界が急に砂になるというファンタジーチックな始まり方ですが、そのあとの諸々は実際に起き得るんですよね。
例えば、アンデス山脈に墜落した飛行機で2ヶ月以上サバイバルしたのち生還した人々は、実際に作中でしたことと同じことをしています。
BL要素はね...最初から薄々わかってはいたけど。
フワッと前評判の重いとか辛いとか見て読んでみたのですが、なるほど!となりました。
元々バトロワとか絶体絶命都市とかアイアムヒーローとかデスゲーム人狼とかを非BLで嗜んでいたので、そういう方向性のエンタメとして楽しめました。
得意不得意でいうと不得意なエンタメですが(私の心が弱々)それはそれとして素晴らしい作品だなと。ドラマがありますよね。良い作品でした。
割と心を抉る系と前評判を見てたので、初登場のときからいつしのぶが死ぬだろう、どんな風に死ぬだろうと読んでいたのはここだけの秘密です。
ギリギリの追い詰められた環境で人間が何人か集まったときの揉めたり助け合ったり狂気に陥っていく感じとか、それまでの常識が通用しなくなっていく感じとか。
誰がいつ死ぬんだろうとか誰がどうなっちゃうんだろうとか。スリルとも違うのでしょうけど、怖いけど先が気になる感じ、ありますよね。
個人的にやっぱしのぶがしんどくて。
もう最初に出てきた時からこの子しんどいポジションだなと決めてかかってたんですけど、希望の「好きになってくれるかもしれない」がグッときて。
あと田村さん。
田村さん…今朝殺してしまった、あと1日生かしてたらあの犬も助かった…ってのがザックリ心にきました。
この先も人生が続いて、過去を抱えて生きていく。救われて終わり、めでたしめでたしハッピーエンドではないんだっていう。
あーいいな。ってなりましたね。
萌えとは違うと思うのですが、神ですね。
映画化しよ。そんな風に思える、緩急ついていてジェットコースターのようでドラマチックで、かつ人間をしっかり描いた素晴らしい作品でした。
【注意】これは、デストピアモノでBLでは無いです。
エゲツない話だった。ある日突然すごい衝撃と共に地上にあった物が全て白い砂に。地下に居てた人だけが助かってその中でも女性は何故か先に亡くなっていって男性だけが残される。
ゾンビや得体の知れないモンスター、病原菌で敗退するお話今まで色々読んだけど、一番エグい話でした。極限状態になった時の人間模様がゲー吐きそうな描写でした。
前半[WELL]は、幼馴染みで主人と家来の関係性の高校生の良介としのぶ。
良介視点のお話。目覚めると自宅地下のワインセラーに2人きり。足を負傷していて歩けない。現状が理解できずしのぶに苛立ち当たり散らす良介。
割とひどい言葉浴びせられるし行動もひどいのに、しのぶは受け入れて良ちゃん大好きが原動力。
暴漢者達に地下のワインセラーを奪われ白い砂の砂漠を彷徨って衰弱して死にそうになってたところを、地下街の住人グループのリーダーに助けられて仲間に迎入れて貰えるんだけど、ここでもずーーーっと良介の態度が悪くてマジ胸糞。
足を負傷してるから動けなくてしのぶの手助けなしでは生活できないのに邪険にするしひどい言葉投げつけるしでこんな奴のどこが好きなの?しのぶくんよ?良介にダメージ与える様な秘密を暴露してたけどね。しのぶくんの一途、盲目、献身的は不気味で怖い。だから、一方通行でお互いに気持ちは通わない。木原作品独りよがりなやつ多いよね。
後半[HOPE]は、地下街の住人リーダー格の田村さん視点。田村さんいい青年なんですよ。普通の大学生だったのに、みんなの期待に答えようとリーダーとして頑張ってて、とても可哀想な目にあわされる。残された食料が無くなったら、さてどうするのか。考えてみてください。否定したいけど、少し脳裏によぎった案、それを実行します。倫理観を考えさせられます。
2020年書き下ろしの[終わりのはなし]
救われるどころか極めつけにそこまで書くかー!
木原先生鬼畜やー、アンタ。(褒めてます)と思いました。
田村さん壊れちゃうよ。
Kindle Unlimitedで読みました。
しんどいし、BLでは無いけどいいもの読みました。
木原さんの作品は、こんな展開があるだろうとかいう自分の予想を、大したことないと言うかの如く早々に超えてくるので、いつも驚かせられまたやみつきになります
ディストピア・カニバリズムと前情報があったので、「あぁ、僕を食べてとかがあるのかな」と思って読み始めたら序盤30ページ目早々でありましたし、「それでも何度か身体の関係があってすぐ絆されるんだろう」と思っていればいつまで経っても絆されません。「リバーズエンド」もまさか60ページであんな展開だったし、ヒャーまだまだ先長いよ⁉︎どうするの⁉︎と興奮しながらいつも夢中になって一気読みになります
何も無くなった世界でもプライドを捨てきれない亮介
愛が行動の理由になるしのぶ
死に際の選択
人によって異なる希望の見え方
どこからが・誰からが・どの行動からが罪で犯罪者なのか
純粋さは苦悩なく楽なのか
極限の状況下で登場人物其々の行動考え方は異なり、其々に納得させられ、違う視点で見られるのは読み応えがありました
結局しのぶはあんなにも何を怖がっていたのだろう。亮介のいない世界かな。ただ本当に怖がりなだけだったのか。それが亮介の為なら手段を選ばず盗みや殺人を犯す純粋さは振り切れていて潔く、他の作品だったらヒーローだったかもしれません
自分がいなければ亮介は生きられないとしのぶは言いますが、それはしのぶにも言えるのではないでしょうか。亮介が生きていなければ、しのぶの行動も心持ちも180度違うものだったでしょう
どこまでも受け入れられない愛と生き方は、極限の世界過ぎて切なさや感傷的になる余裕もなかったです
何だか、ここまで混じり合えない人間達のドラマはなかなか無いので、圧倒されました
面白い・BLを求めて(誰も求めていないですかね)というより考えさせられる・パニックムービーな作品でした
凄かった……他に言葉が出ない。
横っ面叩かれて、深い穴の中に落とされた気分。
これは、BLですか?
ラブは?萌は?どこにも見当たらないのですが?
ただ、執愛という意味での愛なら確かにあったかもしれません。
これは、木原先生版『漂流教室』です。
これ、今だったら出版できなかったんじゃないかな?
暴力、殺人、レイプ、カリバニズムーー
まさに、この世の地獄です。
ある日、突然女が死に、男だけが残された世界。
砂になった建物、ひたすら続く白い砂漠。
これは、夢が現実かーー
生き残った高校生の亮介としのぶですが、亮介は足を怪我して動けません。
もともと主従関係だった二人ですが、こんな世界でも亮介の態度は変わらず、しのぶに我儘放題辛く当たります。
世界が崩壊しても尚、上に立とうとする亮介に腹が立ちます。
偉そうで意地悪で腹が立ちます。
それでも、しのぶが居なければ生きていけない亮介に、ザマァと思わなくもない。
しのぶは亮介の言いなり。それも腹が立つ。
しかし、しのぶは「亮ちゃんのため」と言って、殺人も厭わず、挙句、亮介を犯す。
これは愛ですか?
人が壊れていく様をまざまざと見せつけられます。
遠慮のない表現、救いのない展開、どこまでも残酷です。
たくさんの人を殺そうとした人間を殺すのは罪ですか?
それとも救いですか?
木原先生からの沢山の問いを感じました。
駅近の集団に救われた、しのぶと亮介。
若きリーダーの田村は、みんなに慕われる人格者です。
前半のWELLは亮介目線、後半のHOPEは田村目線で進みます。
このHOPEが表題作よりキツかった……
何度も打ちひしがれて本を閉じ、あまりの悲惨さに涙し、
そして希望を探しました。
でも、どこに希望が?
結局見つけられないまま読了し、本を閉じたあとは放心状態。
どこか裏があるのでは?と怪しんでいたのですが、田村は本作の良心でした。
田村が監禁され、陵辱の限りを尽くされる。
次こそ助けが来るはず……という期待はいとも簡単に裏切られます。
裏切られ続けます。
仲間の死体の隣で抱かれ、死人の切り取った性器を突っ込まれ、〝死んだらお前の性器も生で食べてやる〟と脅される。
人を殺して食べるような人間を殺しても、罪になりませんか?
生きるためなら仲間の肉も食べますか?
大切な人のためなら何人もの人を殺せますか?
次々突きつけられる問いに、答えはないと思います。
残ったのは、脱力感と虚無感。
結局、何が言いたかったのか分からない程の絶望感。
心にこれだけの存在感を残したこの作品は、ある意味名作なのでしょう。
ただ、私の趣味には合わなかったというだけのこと……
甘いBLには萌えられなくなったので、もっとこういう終末とかパンデミックとかのBL増えて欲しいです。発売から10年以上経ちましたが、今でも殆ど無いので、ネット創作で探したりしてます。
アクション映画みたいなBLが見たいです。
ただ最初の女性が滅んだ部分。
まぁ確かにこうなった世界では女は邪魔かもしれませんが、女性に対する扱いが酷というか差別された気がしました笑
男リョナ好きとしては後半の田村主人公の話がとても良かったです。
仕事前に読む本じゃないんですよね。
今までで一番読み進めるのが苦しかったです。
だけど読まなきゃ良かったとは決して思わない。
心にダメージ負ってもその傷をどことなく気にしていたくなる。
木原先生の作品ってそういう魅力が詰まっているとよく思います。
世界の終わりとも言える過酷な状況で都合のいい救済を盛り込まず地獄をきっちりと書いてくれています。
なかなか読む人を選ぶというか一般的に女の人が好みそうではない世界観でも読者を喜ばせるような描写がない…誰もがそう望むようなドラマチックな奇跡や希望を決して見せはしない。
だからこそリアリティを感じ切り離されずにお話の中に入り込ませてくれる。
「HOPE」は特にきつかったですね。
タイトルから程遠い生きるか死ぬかという極限の淵に佇んでいるような可哀想な彼らに具合が悪くなりました。
環境だけでなくBLという面でもあふれる希望がないんですよね…。
しのぶの恋心は永遠に一方通行なんだろうなー。
唯一の希望は亮に好きになってもらうこと、とそう言った彼の気持ちに最後まで…嘘でも心で答えなかった亮のこと…私は結構好きです。
木原先生の動かすキャラってしっかり立っているんですよね。
BL作品だからとあからさまだったりご都合的な愛し愛されを全面に押し出してこないどころか今作では特に縋りたいような甘みさえなく…。
彼らの行き先をぼんやり考えていたくなります。
「亮ちゃんは俺のこと嫌でも、繋がりは消えないよ。俺が地獄に行って離れ離れになっても、消えないんだよ」
このしのぶの台詞がやけに印象に残っています。
本当にそうなるんだろうな…と思います。
この作品を読み終わって数日経ちます。余韻が抜けません。
レビューというよりは、感想です。
とても好きです。ただ、腐女子の目線で好きというよりは、腐女子の目線ではないところでひっかかった好きが大きいです。
「BL」というジャンルにカテゴライズされるこの作品ですが、退廃した世界に取り残された彼らの行く末、あるいは過去の選択、世界観などに対してBLに対してではない目線で、読了後に悶々と考えさせられる作品ではないでしょうか。
いくら考えたところで、つくづくどうにもなりようのない世界なのに、それでも何度もこの作品を振り返ってしまう、そんな深みにハマった私です。
「ボーイズラブ」を求めて読むにはしんどすぎる作品ですが、心と時間に余裕があり、かつグロや胸糞表現にある程度の耐性がある方はあまり身構えず一度読んでみて欲しいです。
責任は、とりませんが(*^^*)。
……あえてBL萌え目線でのおすすめを語るなら、胸糞の悪くなるような凌辱ものが好きな方にも、刺さるシーンがあったかもしれません。私は刺さりました。
いつまで生きられるか分からない、助けが来るのかもわからない極限状態の中、家来同然だったしのぶに力関係で逆転され、慰み者にされる亮介。そこに心がない男同士でも、亮介は生きるために受け入れて、体は一週間で慣れていくのが、読んでいて悲しくて。
当の亮介はあっさりしたもの。生き残ることを選んで、体をつなげることについては心を捨てたんだなあ、と。
亮介としのぶを助けた青年グループのリーダー・田村は、人格者ゆえに、命を選ぶことに苦しんでしまう。
悪魔のような男たちに凌辱され、心を守るため命を放棄しようとするが、生きていてほしいという仲間の思いに縛られ、最後はしのぶに心を絡め捕られるように命を選ばされることに…。田村の心はきっと死んでしまうのでは。
命か心か、どちらか一つしか選べないのは、辛い。
ただ生きていくことは、それだけしかなくなってしまったら、こんなにも辛いのか。
助けは来るのだろうか…。
助けが来たとしても、男しか生き残っていないみたいだから、遅かれ早かれ皆大地の肥やしになってしまうのでしょうね。それがやがて地球上の生命のやり直しにつながるのだとしたら。それが続編のタイトル「HOPE」なのかも…、とは考えすぎでしょうか。
初めて読んだBL小説がこれ。未だに一番好きです
受けが割と嫌なやつでモヤっとします。攻めとの組み合わせと化学反応でイイかも? 絶望とか鬼畜にピンときた人はハマるかもしれません。とりあえず攻めが健気?で一途なのがいい。
BLで初めて鳥肌が立つという感覚を味わいました。
「胸糞悪いBLを読みたい」ということでおすすめされて読んだのですが、まさに求めた通りの作品でした。
以下ネタバレ全開でレビュー行きます。
家政婦の息子で、幼馴染みを奴隷扱いする主人公の亮介(受)。奴隷の立場に甘んじ、主人公に深く依存するしのぶ(攻)。
いつ助けが来るのかわからない、食料も尽きかけた世界で段々醜い本性を表していく登場人物たち。
その中で、高潔さを失いきれない田村さんの存在が一際映えますね。
個人的には後半の田村さん凌辱が最高でした。
特に、切り落とされて干からびた×××を突っ込まれるのはもうぐうの音も出ません。作者さんの発想に感服です。
まさに愛も人権もない、徹底した人格軽視って感じで、1人のキャラクターの精神が崩壊する様を見たい!って人にはうってつけだと思います。
好みはわかれるとは思いますが胸糞が読みたい!!!という人には文句無しにおすすめできる本だと思います。
予備知識を入れずに読みましたが寝る前に読み始め、日がある時に読めばよかったと後悔しました。
ホラーではないのですが、読み始めから不気味なお話の雰囲気に「1人でトイレに行けない・・・」と思いながら最後まで読みました(笑)
個人的に萌え要素はなくBLという括りに入るのかも・・・ニアBLのような感じもしなくはないです。
「どんなに酷い人でもその酷い人を一途に想う誰か」が出てくるのが木原さん節なのかと。
このお話の中だとしのぶなのですが、最終的にしのぶが満足すればそれはBLのLの部分が満たされているのかな。
まさか人間を食すという表現がBLにあるとは思いも寄らず。
大学生の田村の今までの日常では正しいことも異常な世界において何が正しくて罰せられることなのか、罰するなら誰が罰するのか。という自問自答シーンは印象的です。
この白い世界から誰か救ってくれる人は現れるんでしょうか。
お気軽に読めないような内容と雰囲気ですが、刺激がほしいという方にはオススメでしょうか?
刺激といってもBLな意味ではありませんが・・・。
※辛口注意※
何と言いますかね、最早地雷とかそういう問題じゃない。
絶対に読み返せないです、これはちょっと私は無理です。
BL小説としてのできあがりとしては、正直なところ中身無視した桃色だらけの小説の方が出来が良いと思います。
そのくらい、とりあえずBLではないと思いました。
じゃあ、かといってホラーだとかサスペンスカテゴリーかというと、それも何だか違う収まりの悪い話です。
人間が極限状態に追い込まれたときに、どこまで『善』とされる部分を心に持っていられるか。
死ぬかもしれない状況で本来は『悪』であることを正当化できるか。
信仰を持つ人間ならなおさらそうでしょうが、もうとにかくお話が
重い、痛い、苦しいの3連コンボです。
表題作はともかくとして、続編の『HOPE』に至っては、途中でえづきました。
そして終わりも唐突すぎて、なぜそこで切るよっっっ!?
という勢いで中途半端でした。
読後感は過去最悪……もやもやどころか何が伝えたかったのかすら私にはよく分かりませんでした。
木原さんは大好きですが、これはどこをとっても楽しくはなかったし、深くもなかったし、愛もなかったように思われます。
もの凄く人を選びます。
雑誌掲載だったという今作。
すごいな、ホーリーノベルズという感想です。
これは『萌』だとかそういう評価はまったく合わないものでして、こういう場合は何をつけるのが良いのか今までで一番わからない作品でした。
挿絵は藤田貴美さん。素敵です。
ゴチャゴチャと描き込まれないシンプルは画面が、この作品の世界観に恐ろしいほどマッチしています。
藤田さん以外では合わなかったと読後感じました。
**********************
本編の受けの亮介は、代々続く代議士家系の長男。
外面が良く自己評価の高い、高校二年生。
攻めは亮介の幼馴染みで下僕のしのぶ。
体格は良いが容量も頭も悪く、母親は亮介宅の家政婦。
**********************
突然訪れた非日常。
世界が一瞬にして消え失せ、地下にいた運の良い者だけが生き残りました。
それが幸運だったかはわかりませんが。
想像するに核とか?そういうものなのかもしれませんが、なぜかそこは女性が生き残れない世界となっております。
運命の日に生き残れても翌日には皆、死んでいきました。
今回、受け攻めと書くことにかなり違和感です。
本編の方はその行為は自分の命を守るためのもので愛ではありませんし、後半の『HOPE』の方はそれ以上に暴力以外の何物でもないので。
そして主人公がいわゆる嫌な奴という木原作品は避けておりましたので、すでに2ページ目からその香りがプンプン匂っている本作、読み終えられるかな?と心配になりました。
だって、本当にガキのヒステリーです。
ガキなんて書きたくないのですが、他に当てはまる言葉が見つかりませんでした。
少しも好きになれる要素がなく、後ろから蹴飛ばしたくなる少年です。
特に序盤で『家柄』という鎧を無くしたら何も価値のない人間だと自覚するまでは、ひどく苦痛でした。
これが木原さんの狙いならば、大成功というところでしょう(苦笑
ただしこれは、後半になって視点主が亮介でなくなるとかなり印象変わります。
後半の『HOPE』は、大学生で地下街のチームリーダーである田村へ視点主が変更。
どこが希望なのだ?と尋ねたくなるような内容ですけどね(苦笑
この作品の良心は間違いなく田村なのですが、正論が必ずしも正しいわけではないというのを如実に表したお話となっております。
自分の一番大切な物のために、何でも出来る人間が勝つ(生き残るということではなく)世界。
しのぶには亮介、亮介には自分自身、田村には仲間と、それぞれまったく異なった優先順位を持っているわけですが、普通の世の中では負け組と言われるだろうしのぶのような人間が、この世界では最も強いのではないかと思いますね。
自分自身よりも生きて欲しいという対象がいることでギリギリ精神が守られ、更にそれのためならば手を汚すことを決断できることは、荒廃した世界で生き残るための素養なので。
ラストを読む限りですと亮介の為なら食糧がなくなり次第、『HOPE』で”悪”という存在で登場していた大津らと同じことをしのぶはするのだろうなという雰囲気ですね。
しかもそれは彼にとっては『亮介のため』であり、正義であります。
ただそうなったならもう、『自分(亮介)のためにやってる』というしのぶの思考に狂うかもしれませんね、亮介は。
食糧が圧倒的に足りない、そこにあるのは死んでいく肉体だけ。
それによって結びつけられる結果は火を見るよりも明らかで、ただそれをBLでやるのかぁと、ある意味尊敬しました。
今個人的にハマっている海外ドラマの『ウォーキン○デッ○』でもこの手の描写がありますし、そういう手の物はわたしはかなり慣れておりまして、そうだろうよねえと納得するだけでした。
ですが、駄目な方にはとことん駄目だと思います。
その辺りは良く考えてから購入することをお勧めいたします。
わたしは購入前にある程度内容を把握していましたので、萌えは求めない、一般物として読みました。
ただそうすると、残念ながら物足りなさが先に立ちます。
『HOPE』の方は、死と隣り合わせの緊迫感というものが真面目な田村を通して伝わってきます。
こちらをメインにしても良いくらい、面白かったです。
これが世紀末なんだなと感じました。
が、『WELL』の方は現実逃避し続ける亮介視点のため、まったく恐怖が迫ってきません。
己可愛さだけ。
ページ数の加減もあるとは思うのですが、一般物とすると圧倒的に現実味が薄いのです。
木原さんはリアルな男同士の作品を書かれると現実過ぎて痛いと言いますし、今作でも尿意や欲などの日常的な部分の書き方はすごいなと思います。
こういう題材を書かれたことも意欲的だとは思います。
が、あまり向かれてないのかなあと感じました。
安易な救いは書かれていないのですが、かえってそれがよけいこの感覚を助長します。
ハッキリとした救いがあった方が、この本はBLだからラブが先立っても仕方ないしねという気持ちにさせてくれたと思います。
BLと割り切るには圧倒的にLの部分が不足していますし、一般と思うにはぬるい。
どっち付かずで勿体なかったです。
評価は最後まで悩み結局『中立』にしましたが、それは食に関してのことが気持ち悪いとか怖いということでなく、物足りなさがやはり大きかったからです。
木原作品を手当たり次第に読んでいてこれにぶち当たりました。よく考えもせず読み始めたことを激しく後悔。
これはBLなのか?BLである必然性はあったのか?と頭を抱えてしまいました。
木原作品はどれも好きなんですが、これだけはいただけませんでした。
絶望的なお話(特にサバイバル系)が無理なのでまったく萌えず。早く救われてくれと祈りながら恐る恐る読むのが精一杯でした。
BL的に報われなかったり絶望があったりしてもまだ生きていくことはできるわけで、そういう意味での絶望は大丈夫なんですが、こういう出口のないサバイバルはどうしても苦手で。
「ドラゴンヘッド」が無理な方はやめておいた方がよいと思われます。(私がそうでした)
ワインセラーを出て力尽きたところまでならギリ許容範囲でした。
SFホラーとしては内容が緩く、読みごたえに欠けます。BLでこれをやったというのはすごいチャレンジなのかな?BL枠を広げるという意味で、価値のある作品だとは思います。
でも、すみません、こういうの本当に苦手なのでうなされそうです・・・。
『中立』にしましたが、萌えるかと聞かれれば、皆無なので…しかし、1つの物語として、面白くのめり込んで一気に読みました。
極限に立つと人間なんて簡単に壊れていくもんだな~と怖かったです。暴力や裏切り、挙句の果てに、生のために人肉を喰うとは、恐ろしいものです。
この先のなんにも希望や救いがないのに、生にこだわれるものでしょうか。
しかし、BLの要素がなければ、ここまでの残酷さは表現できなかったのだと思います。だから、BLのカテゴリーに入ってるんだなっと一人納得しました。
「神」評価の人の気持ちも判るし「趣味じゃない」評価の人の気持ちも判る、そんな話です。
自分の評価は中間を取って「萌評価」という面白みの無い評価ですが…
間違いなく好き嫌いが分かれる、というか拒否反応が出る人の方が多いと思います(特に後半の「HOPE」)
グロ耐性の無い人は間違いなく避けた方が良いと思います。
自分も耐性は無いですが、それ以上に心惹かれる物があったので読みました。
現実離れした世界設定のBLが読みたかったんです。
「これはBLじゃない」という意見もあるようですが、かろうじてBLだと自分は思います。
設定の関係でほぼ男しか出てきませんので「ボーイズ」分は充分すぎる程ありますが「ラブ」分はものすごく少ないです。しのぶ→亮介には愛はありますが…一方的にですけど。
前半の「WELL」は亮介視点、後半の「HOPE」は前半で亮介としのぶを助けた田村視点です。
前半の受けの亮介の性格はかなり悪いですが(後半では極限状態の中で精神的に成長したからなのか、田村視点だからなのか性格はかなりマシになっているように感じる)
後半の受けの田村はかなりいい人で「いい人が酷い目にあう話」なので精神的にきつい部分があります。
前半の伊吹の企みがもし成功していたら、後半田村は酷い目にあわなかったんだろうな、と思いましたが、そうなったらまた別の悲劇が起こりそうな感じです…
話の終盤で亮介が田村に「(しのぶの事を感謝はしてるけど怖いと思っていて)……もう死んじゃえはいいのに」と言った時に亮介酷い!と思いましたが
その後の亮介のセリフにはちょっと来る物がありました。
どういった事を言ったかは実際に読んで確かめて頂きたいです。
前半の亮介の性格だとしのぶに感謝などしないだろうから、亮介が変わってきているのは確かだと思います。
誰にでも手放しでお勧めは出来ませんが、グロ耐性のある方で変わった設定の話でどんな結末でもOKの方には是非読んで頂きたいと思います。
コノハラ作品を愛する者として この作品ははずせない。
甘ったるいのもいいけれど この作品こそがコノハラ流ではないか!
人間としての生き様が書かれている。
仏教に通じるものがここにある。
人としての弱さ・悲しみ・憎しみ・地獄の阿鼻叫喚が待っている。
表現力は世界を震撼させるであろう。
私はこの話が大好きです。
地獄の苦しみの中でもがきながらも ほんの少しの光りが差し込む。
人間として どう生きるのか?どう死ぬのか?
とても考えさせられるのだ。
人はひとりでは生きてはいけない。
コノハラ先生がこの本を通して 一番伝えたい言葉だったのだと思う。
ぜひ!読んでください!!
ぎゃー、甘いBLばかり読んでた自分には、あまりの衝撃です。これはホラーなり。
怖いよう、とえぐえぐしつつ読み、読んだ後もえぐえぐが止まらない。
高校生の時読んだ「家畜人ヤプー」「悪徳の栄え」に衝撃を受けた時でさえ、こんなに怖いとは思わなかった・・・だってこれ、BLだと思ってたからっ。まさかのショックが大きかった・・・。もともとホラー好きな人じゃないと無理かもしれません。
文字通りの弱肉強食・・・。逃げ場なし、希望なし、男しかいないので、個体数は増えない。しのぶの強さが紙一重なのがまた、怖い。デパ地下の屠殺場に入ってからのくだりは、夢に出てきそうなほどです。
例えばそっち系の映画「悪魔のいけにえ」にしても「ハンニバル」にしても、鬼に差し迫った食欲は感じられないし、世界はまだ機能していたので逃げ切る事もできたが、今回は世界がまず消滅していて、そして実際問題「食べなきゃ死んじゃう」んである。生命を繋ぐため、究極の選択をしなければならない、そこに「萌え」はない。サイコパスが道楽でやっていた事をごく普通の人間が生きるために実行するもんだから、もう怖くてたまらない。
ヒトはヒトである前に動物であり、生き物であり、それは真理だけど。
平和な日本でぬくぬくと生きる事がどんなに幸せか、いやでも実感してしまう、そんな作品です。
亮介はしのぶがいなければ何もできない存在なら,しのぶは亮介がいなければ何かをできない
存在,そんな感じがする……行動の理由に「亮ちゃん」がいないとダメみたいというか.
お互いに,相手を依存させているつもりで相手に依存してる感じ.
伊吹が自覚してたかどうかわからないけど彼の決めたルールって,時間が経てば経つほど彼のことを追い詰めていくと思うんだよね.
だって,この状況で排除されない側であり続けるのは至難の業だし.
結局のところ,彼はある意味自分で自分をあの状況に追い詰めたんだよ.
あと,伊吹って勝手に周囲の人間を自分の味方だって判断したり,自分は選ばれた人間なんだって思ったりと,結構自惚れの強い男なんじゃないかな.
伊吹が亮介に薬屋で言ったセリフや,田村の「ノアの箱舟」発言への彼の反応からそんな印象を持った.
WELLの終わり辺りに出てくる田村のセリフから考えると,どっちかというと田村の意識は死ぬことに傾いてて,伊吹の意識は生きることに直結してた.
表に出てる態度で分かりづらいけど,あの中で最も刹那的だったのは田村だったんだろうね。
独りで「綺麗に」死ぬことを目指すんじゃなくて,ある意味駅地下の皆と一緒に死のうとしてた
(皆のためって言い訳つきでね)のは,なんだか心中みたい.
でも,そんな田村が生き残って伊吹がしぬんだから,随分と不条理だよな.
しのぶが,田村に言った片倉を殺した理由って,前に亮介が言ったこととよく似てるよね.
多分,亮ちゃんがそう言ってたからみたいな感じに彼の中では行動が正当化されてたんだと思うよ.
何度も読み返したい作品かといわれるとそうではない。
胸糞悪いです(苦笑)
BL版バトル・ロワイヤル?うーん、ドゥームズデイ?
ただ、やたらナンセンスな甘さだらけのBL界にあって、一石を投じるストーリー。
ま、文学界全体から言えば、特段、目新しさはないので、そう考えるとこの程度で賛否両論になるBLってまだまだ文芸として底が浅いなってことになるんですが。
えー、しかしあえて神評価。
何に対して神評価かっつーと、残念ながら木原音瀬先生にではない。
蒼龍社と担当編集さん。
木原先生には申し訳ないが、
こういう「バトル・ロワイヤル」的な小説で身の毛がよだつほど読者を追い詰めていく力はないなと感じた。ま、それが救いでもあるし、さすが女性作家さんだなぁというか。
登場人物はすべて男性なのにもかかわらず、どこか「雄」じゃないんだよなぁ。
一番ヒデェはずの大津ですら、どこかツメの甘さが残る。
ただ、そういうスキがあるから後編の「HOPE」の読後感に明るい未来を妄想できるのもあるから、あながちそれを「甘さ」とも言えないかな。
それにしても、実感しきれないぬるい絶望感の連続となる作品をあえて商業作品として発表した、発表させたということは評価に値すると思う。
こういう甘くもハッピーでもない話をBLから潰してはいけないし、むしろ積極的に評価すべき。
グロやカムバも一般小説やマンガ等で読み慣れてるので、そこに抵抗は殆ど無かったんですが、突然に消え去ってしまった世界というのはBLでは珍しいですがSFだと結構題材に使われてたりしますね。
そういう意味でこれをBLで書こうとした木原さんの心意気というかBLというテンプレな枠に囚われないぞというのは何となく伝わってくる気がします。
けれど先にも書いた様にSFではさして珍しくない設定なので、そう思って読むと目新しさというものはあまり感じません。
BLとしては珍しいとは思うんですけどね。
亮介としのぶの立場的位置も多少の変化はあるものの、そんなに大きく変わってないしなあ。
突然世界が変わった絶望感や、これからへの不安感。
そういった空気感というか、乾いた絶望、少しずつの狂気。
そういうモノがもっと描かれていても良かったと思う。
正直少し物足りなさを感じましたです。
むしろ短編で書いた方が化けたかもしれない、そんな気がします。
BLジャンルとしては異色作でそこは評価しますが、今まで読んできた非BLの世界崩壊モノと比べると残念ながら特色は見いだせませんでした。
うーん、個人的にはやっぱ視点が順に切り替わるオムニバス形式やいっそ短編にしてみたら化けたかもなーーと。
作品としては萌まではいかないかなあ、中立です。
ただ化ける要素は持っていたとは思います。
思春期の頃に読みあさった、昭和初期エログロナンセンスの小説を思い起こしました。
読みやすく、受け入れやすい文体に安心感はあるものの、BLでまさかのナンセンスエンド。読了の瞬間「おおっ!!」と拍手したくなりました。特に最後のしのぶの行動は締には最高のアクションだとも感じられます。カニバやネクロフィリア(人体の一部ですが)がお好みの方が、BLで萌えるにはちょうどいい作品かと思います。
2編からなるこの作品、時間は流れたまま主人公が変わります。1編目の主人公に読者が感情の深入りをする前に視点が変わってしまい、2編目からは同じ時間軸の別視点でもないので、完全に俯瞰図の話になり、それが、ストーリーが無意味とかではなく、つかみ所の無い感情の浮遊感を与え、ナンセンスさを強固にしているようにも感じられます。
そして、この手の設題には、読者が読了後、個々の頭の中でこねくりまわすのが最高に楽しく気持ちのよい時間になりえるんですよね~。数日間、楽しめそうです。
これはBLのくくりではありませんね。
萌はないけど考えさせられる話。
極限状態に置かれた時に人間はどう行動するか。
ある日突然これまでの日常世界が崩壊し「無」になった時、極限状況下の人間は理性を失わずにいられるか?
飢餓状態になった時、人は人として犯してはならない殺人、食人をしてまで生き延びようとするか、人間性を失うくらいなら死を選ぶか…。
私なら死を選びたい…けど仲間の為に生きて欲しいと言われた時、やはり田村と同じ選択をするのか…。
でもこの小説の設定では今生き延びても先は絶望しか見えないのが辛い。
最初の感想はBLじゃないです、この作品は文学賞を受けた方がいい。深すぎて自分みたいの者が軽々しく評論できない。前編のWELLで亮介を最後まで好きになれなかったが、こんな性格じゃなかったら、自宅のワインセラーでとっくに二人で死んでった、と読みながら納得していた。皆さんがグロいとおっしゃったが、実際この状況になったらあり得る現実に成りかねない。それより次は誰を喰うだろう?って心配する、犬の次は仲間しか残っていないから…しのぶがいる限り、亮介は最期まで残れるかな?何か最終兵器彼女を思い出した、食糧難はなかったが…
オススメされて、借りて読んだ本ということもあり、ある程度表現や内容がBLというには異質に過激であることは知っていたし、端からBLという概念は捨てて読んでいたので、違和感はありませんでした。
第一印象はやはり「漂流教室」です。
ずーっとあの情景を頭に浮かべて読んでいました。
しかし、BLを期待して読むにはあまりに異質で、カニバリもあるし、愛の無い全く報われないレイプもありで・・・本当に読んでいて胸が苦しくなりました。
前編「WELL」の方はBL要素を盛り込みつつ、絶望の中で小さな希望を頼りに生きていく、二人の関係の変化が描かれていたり。人類滅亡(?)の背景と状況の中でありつつも、二人を中心に話が進み、主に攻めことしのぶの真っ直ぐすぎる亮介への「愛」が、読んでいて唯一の救いでした。
後編「HOPE」はタイトルがあまりに皮肉すぎる・・・
ここで読者の好き嫌いははっきり分かれるのではないでしょうか。もうBLなんてものでくくれません。人間が境地に立たされた時に下す判断、行動、心は一体どんなものなのかを作者なりに描き、つい最近まで非現実なものであった「死」が今目の前に突きつけられており、「生」か「死」かの選択ではなく「もうすぐ死ぬ状況でいかに長く生きるか」を模索しつつ生きなければならない世界。先に希望が見いだせない状況はまさに生き地獄。田村の責任者として仲間を守りたい、最後まで「人間」としてあり続けたいという思いからの葛藤が非常に鬼気迫る印象で、萌えという感情を抱く余地はどこにもありませんでした。最後の最後まで報われない思いで終わるお話です。どこに救いをもったらいいのでしょうか・・・私は現実逃避の為に読むのが「BL」ですが、むしろ現実を思い知らされたような思いでした。これ読むと多分、いや、確実に食べ物は大切にしようと思えます。
評価として王道なBLに飽きてきたからちょっと脱線してみようかなというにはあまりに、逸脱し過ぎた内容ではありますが、作品の展開や印象、キャラクターの動かし方などどれをとっても安定感のあり、難しい題材なのに違和感をほとんど持たずに読めたのでこのような評価つけさせて頂きました。
木原さんの作品はどれも好きなのですが、今回はちょっと……苦手でした。
勿論、ガツンと来ることは間違いないんですが。
こちらでグロいと書かれていましたし、私自身グロい系は苦手ではないので、別段平気だと思っていたのですが、さすがに読み終わった後気持ち悪くなってしまいました。
人肉食の食べ方とか、やたらリアルで……
話自体、『漂流教室』のような感じなんですが、やっぱりこういう世界の終わりを描くような作品に、答えはあまりないんですよね。
何故こうなったのか、この後どうなるのか。
BLではない分野なら、「えー?」となるところも、BL小説として見てしまえばそこまで、その答えにこだわりは持ちませんでした。
ただ、この世界はもう終わるしかないんだろうなというのは、ひしひしと伝わってくるので、やり切れなかったです。
『HOPE』の方でも、結局亮介はしのぶを受け入れきれず……というのも悲しかったです。
でもああいう状況ならば、不審になるのかなぁとか、とにかく読み終わった後心がモヤモヤに包まれました。
一つも救いの光が見えないまま終わりますが、そういう末期の世界の心理描写はやはりさすがだなと思います。
ある意味これも凄く、面白いのだと思います。
でも、ハッピーエンド好きとしては、今作はちょっと趣味じゃなかったです……。
購入前にレビューなどを見ていたので「相当グロイのかな?」
と腹をくくって読み始めたのですが、そんなに「グロイ!」
とは思いませんでした。昔読んだ「羊たちの沈黙」シリーズなどのサイコ系小説にくらべたら描写的な恐ろしさ、酷さは印象に残るほどではありませんでした。
SF的な世界観だったからでしょうか、現実味がなさすぎて・・・「グロ」く
感じられなかったのかもしれません。
BL小説を読んだというより、・・微妙なサイコものを読んだ気分です。
最後はやっぱり救われない・・という所が木原さんらしいといえばらしいのですが、「BL」の「L」の部分の心情部分が少なすぎるのでなんというか
もの足りない感じでした。
「しのぶ」サイドのストーリーがあれば大分「L」な部分がでてきそうな
気がするんですけど。ちょっと残念でしたが、やっぱり木原さんは好きです
(笑)最後まで退屈はせず読めました(^^)
読者として我侭を言えば、できればSF的な説明が欲しかったです。
けれどそれが無いことで、この小説は「不条理小説」として成り立っています。
ごくごく私的な印象で言えば、(※ある意味ネタバレです)
「砂の女」「漂流教室」「ひかりごけ」(あるいは蝿の王)これらを足して割って、BL要素(内訳は暴力的性描写9割:萌え1割かな)を少しだけふりかけたような感じでした。
正直萌えはほとんど無いです。しのぶの亮介に対する絶対的な「愛情」も、彼のアイデンティティの確立のため、とも思えます。自己の確立という意味で、これほど真に「受け」が生きていないと生きて行けない「攻め」は初めて読んだかもしれません。(あえて受け攻めと書きますが、BLを読んだ気がしません…本気で。)
表題作の方では周囲の状況変化はあれど、二人の関係性にしぼって描かれますが、「HOPE」ではコミュニティのリーダー的存在である田村に視点は移ります。
この続編が全く、タイトルが皮肉としか言いようがない内容で、こうなることは解りきってはいたけどやっぱりそうなるのか、という展開です。
レイプに関しては予想していなかったのですが(そんな余裕があるのかな?と最初思ったのですが、食が特殊だから暴力的になるのかなと思いました)、デパ地下の方がそういう状況になっていたのだろうな、というのは少し読んで気付きましたし、もう書きましたがそうなるしかないだろうから「そちら」に関しては意外性はありませんでした。
この話の支柱は、そういった状況下では法律が変わるということと、変わった法律を遵守して生きるしかないということ…でしょうか?
私だったら自殺するかなあ。でも出来ないかな。
女性はすぐに死んでしまった世界だそうなので、良かったなあと思いました(笑)
できればそこの説明も欲しかったですが…真面目に言うと女性の方が遺伝子的に強そうだけどなと読んでいて思いました。(それ言っちゃうとこの話が成立しませんが)
どう行動するのが一番正しいのかを考えさせる、という機能のある物語としての評価が出来ると思います。ただ読後感があまりにも寂寞としているのでこの評価と致します…。懐が狭い自分が悔しいですが。
グロい。いろんなレビュー見てグロいことは知ってましたが甘く見てました。
とにかくグロかった。
ある日すべての建物が突然崩壊し、多くの人間や動物が死んだ。地下は灼熱の太陽と白い砂漠だけになった―。
結論から言うと、なぜ地下以外の建物がなくなり多くの人が死んだかなどは最後まで解明されません。また普通の生活に戻ることもありません。
最初はしのぶと亮介の二人だけだったのですが、途中から生き残っていた人に出会い、その人達のグループに入ります。
でもただでさえ食料が少ないのにしのぶと亮介がグループに入ることに賛成しない人物がいます。
それが伊吹。彼は亮介に残酷な言葉をあびせます。伊吹最低と思ったんですが、彼は食料を管理しているから焦りもあったんだろうなあと。ていうか人間ってきっと誰しもこういう部分を持っているんだろうなと思いました。
そのせいで最悪な結果を招いてしまいます。
しのぶが怖い。亮介のためなら死ねると思ってるとことか犯罪を犯すことも平気なとことか。
あらすじに切ない愛って書いてあるけどこれは愛と言うのだろうか…。
でもちゃんと萌える部分もありました。
しのぶは亮介の家政婦の息子で、いつもへらへらしていることから亮介はしのぶを家来のように扱います。
しのぶか可愛かった(*´д`*)亮介大好きでいつも「亮ちゃん亮ちゃん」言っててwこれはいいヘタレわんこ攻めw
しかし亮介はそんなしのぶをうざったく思っています。亮介はかなりツンツン。
あと二人が異母兄弟だったってことには萌えましたね。
『WELL』はまだ読めたんですが、そのあとの『HOPE』これは最高にグロかった(´;∀;`)
HOPEはしのぶと亮介がいるグループのリーダー的存在・田村視点の話。田村はとでも良い人でした。グループをちゃんとまとめてるし、何より平和主義。
しかしその田村が酷い目にあわされます。
もう痛いし酷い・・・。食料もなくなり、人間としてやってはいけないことを平気でする人物も出てきます。
なんかもうすごい。「殺」と「死」という単語がたくさんでてくる時点でもうねwこれBL小説?と一瞬疑いましたw一応性描写はあるんですけどね・・・。
そしてグロい。苦手な人は読まない方がいいと思います(^ω^;)というか死体がしょっちゅうでてくるんでね\(^0;)/
最後はこれ、バッドエンドですね。
もうしのぶが怖くて。ヘタレで弱そうだと思ってたのに、感覚がおかしくなってるのか亮介のためとか田村のためとか平気で罪を犯すとことか。
ていうかもうなにが罪なのかわからなくなってきます。
生と死について考えさせる部分もあったし、木原さんすごすぎるwww
初「しゅみじゃない」評価です。
作品としては、力強い、ある意味意欲作です。
木原さんですし、作品的にできが悪いと言うことは全くありません。
これはもう、本当に言葉通り
「しゅみじゃない」
グロい!
この手のグロいレイプや人肉食が、私には耐えられなかった。
後々まで、心に引っかかる、印象的な作品であるのは間違いありませんが、
「グロいのは、しゅみじゃない」
それだけです。
目が覚めたら、世界が砂漠になっていた。
女は、いない。
代々の代議士一家の息子と、家政婦の息子。
我儘な亮介に、媚びへつらうわけではなく
“好き”という感情で従うしのぶ。
ふたりは、ずっと友達ではなく暴君と家来だった。
貧乏で頭の悪いしのぶを、庇護してやってきた亮介。
でも、世界が無くなると立場は変る。
亮介は、暴君から“守られる者”へ
しのぶは、庇護される者から“守る者”へ変る。
守られる者は、守る者の愛を受け入れなければ生きていけない・・・。
と、いった話でふたりの愛についてというよりも
人間としての生き方みたいなものが綴られていたような気がする。
生きるために“愛”を手放さないしのぶ。
生きるために“愛”を受け入れる亮介。
生きるために“秩序”や“理性”を捨てない者。
生きるために“食べ物”を選ぶ者。
生きるために自分は何を選ぶのか?
何が正解かなんて話は、木原さんが教えてくれるはずもないw
あえて、文語体を使用しますので、苦手な方はご了承を。
この作品にどのような評価を下せばいいのか?
つねづね評者はそれに戸惑う。とりわけ、本書のような作品に対して「フェティシズムを介在させた欲望の投影行為」(いわゆる萌え)という評価を下すのはいささか困難を伴うだろうし、それはヘタをすれば木原にとってはいい迷惑になりかねないかもしれまい。
本書をたとえるならば、『家畜人ヤプー』のような虚無感とナンセンスが終始展開されており、その流れの一方で展開される「取り残された男の子たち」によるもがきと言ったほうが妥当である。むろん、これをボーイズラブとしてみる目線がないとまでは言えないが、“木原音瀬”という色眼鏡で見るととんだ代償を支払うハメになるのは言うまでも無いだろう。
評者としては、読みやすく「ああ、こういう作品も木原は書けるのか」と言ったような爽快な読後感さえ覚えるだけに、「BLじゃない」といった声には違和感さえ覚えてしまう。
この調子ならば、BL界の沼正三という二つ名が木原に与えられる日もそう遠くあるまい。
まず誰もが思う、これBLか?
これは本当に難しい。
男同士が相手ということでは広い意味で範疇なんだろうけど、BLと言うジャンルが出来てからのテンプレからは大きく外れる作品だと思う。
昔のJUNEジャンルなら少々(だいぶ?)きつい展開という意味でOKかも知れないが……
ただ作品という意味では良くできていると思うし、正直言ってあまり読み返したくはない作品なのだけれどインパクトというか、心に残る……という意味では強烈だ。
作者の意図がイマイチ読み取れないのだけれど(結末を含め)あとになって様々な作品が頭の中でごちゃ混ぜになりがちなBL作品の中で、良くも悪くも読者の中に忘れない印象を残す数少ない作品ではあると思う。
王道を好む読者には全くお勧めできない。
かといって(作品として)駄作ではないので、ひとつの読み物として受け入れる覚悟のある人にはお勧め。
判断は個人にお勧めしたい(萌えは求めないでください)
人間って生きる為には何しでかすか解らない。
そんな人間の偽善や残酷さや儚さなど、生と死の狭間で揺れ動く感情が描かれていると思う。
一般的にはグロい。死体がうようよ出て来ます。この時点で駄目な方は読まない方がいいです。その後更に救いようのない事になるから。でもグロどんと来いな人にはこの作品は全然okだと思う(笑)
読みごたえは十分ある。先が気になってしょうがないし飽きさせない。なかなか忘れられないストーリーでした。
でもこれをBLかと問われると正直『???』な感じになる。一応、男同士の絡みはあるけど、一方通行の半ば執着のような愛であったり、愛や恋愛のへったくれもないただの拷姦であったり。。。そういう意味での愛は全くないです。仲間との絆とかはあるけど。
読後思ったことは、この後やっぱり残された人らは死ぬんだろうな。と言う事です。助けが来るとは思えないし…そう思うと何だか胸が閑散とするというか…虚無感かな。
何にしても色々考えさせられる作品ではあるし、BL作家にこう言うお話を書ける方がいるのは私としては嬉しいです。
壮絶です。
とにかくグロい。
ハリウッド映画なんかではよくある設定ですが、「なんらかの災害により世界が死に絶え、生き残った人でサバイバル生活がはじまる」みたいの。
木原節で書くとこうなるのか…さすがやな…と、半分引きながら読みました。
王道BLばかり読んで食傷気味だったときにこの作品を読んだもんで、衝撃も大きかった。
単純なBLではないです。木原さんは、生きることの醜さを、真正面からがっぷりと書かれていた。
或る時突然、自分の住む周囲が砂漠と化してしまった。
そこに取り残された高校生の幼なじみ2人の運命は・・・・・!?
というところでしょうか。
ハジメに、このあらすじを読んだ時には、世界に2人だけが取り残された!?
と思っていたので、生き残っている人たちがいるとうことにまずは驚きました。
まぁ、良く考えてみれば、二人しか居ない世界で、話が展開するわけないんだけどね。
展開どうのこうのというまえに、何も広がらないわけだし(笑
読み終えての感想。
感想というか・・・妙に喪失感しか残っていません。
なんなんだろうな。
これってBL・・・・?
男同士がまぐわっているというイミではBLかなとは思いますが。
テンポもあります。
読みやすいです。
考えさせられる部分も多くありました。
そんな深いイミはないんだよ~っていうのも有りかもしれませんが、考え方ではもっといろんな方向での見方をしても面白いかなとおもったり。
夜が明けるのも忘れて読みすすめたくらいなので、次はどうなるんだろう。
助けは来るんだろうか・・・・・という読み応えはあります。
最後をよんで完全に真っ白になりましたが。
ただひとつ。
次に読む作品はかぎりなく愛に溢れた作品にしよう。
そう思いました。
その反面、もういちど読み返したい。と自分がいたりもして
この作品を語る時、多くの評者はまずそこに着目している。
個人的な意見を言わせてもらうのならば、本作はBLではないと思う。
だからBLとしての評価というか萌え度は、私の中では最低ランク。
理由の一つとしては、やはりあまりに「ラブ」がない。
と言ってラブレスを描いているわけでもなく、別のものをこの人は書きたかったんじゃないのかしら・・・と、思わせるようなストーリー展開だった。
しかしボーイズ・ラブなんだから「ラブ」が軸にならないと、やはりそのつもりで読んでいる読者は衝撃を受けてしまう。
精神的・肉体的に痛いのも辛いのもアリだとは思うのだが、それも愛ありきであって、この作品では亮はもちろんのことしのぶにすら愛情ではなくむき出しの「欲」しか感じなくて、とても息苦しいものを始終感じていた。
食欲・睡眠欲・性欲の三大欲しかない中での性欲は、果たしてラブなんだろうか・・・と私の中ではいささか疑問である。
人が人として自我を保っていられるのは闇を持っていながらも、それを押さえ込む人としての自尊心を持っているからこそで、たいていの物語は苦境に立たされながらも、その闇の暴走を必死で食い留めようと懸命に生きる主人公たちにスポットが当たる。
しかしながらこの物語は闇の暴走を止められず、希望を見出すことにも疲れ果て、それを象徴するかのような『明るい日が差しているのに、どんどん暗闇に引き摺り込まれるな感覚』に田村が恐怖するところで、ブッツリお話が閉じられている。
息が出来ないような閉塞感とやるせなさ感が胸を渦巻く中、仕方なく本を閉じたのだが・・・読了後のどうしようもない感は当然拭えなかった。
総括すると木原作品としては認められるけど、BL作品としてはどうなのかな?というのが正直なところだ。
この人の語り部としてのセンスには、私はとても惹かれているので、どんなものを書いてくれても多分読み続けるんだとは思うのだが、やはり希望としては痛くても辛くてもいいからBLを書いて欲しいというのが、いちファンとしての強い希望かもしれない。
こういうお話なら別ジャンルの別の作家さんで、いくらでも読めるので、やはり木原音瀬にはあくまで「BL作家」の看板を下ろさないでいてほしいなあと思ってみたり。
ぬるいBL界に対しての挑戦的な気持ちはもう充分に受け止めたので、そろそろ初期のようなあまーいものに回帰してみてはいかがだろうか・・・。
余計な素人意見かもしれないけども。