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tsubasa aru touzoku to sarawareta houseki
短編ながら、ファンタジーな設定やエピソードがぎゅっと詰まっており、とても綺麗にまとまっていた。メインはもちろん、サブのキャラクターも魅力的。読後感も良かった。
体から流れ出る血液が宝石になる体質ゆえに、悪徳子爵の城に監禁され、流血させられ続けてきたラル。ある日飛行船で移動中に盗賊団の襲撃に遭い、お宝とともに盗まれる。理由は盗賊団のリーダーで鳥人のミルバが一目惚れしたかららしい。
そしてラルの日々は一変する。家族のような盗賊団の一員となり、スラムの人々にも受け入れられて、徐々に心が癒やされていくのが伝わってくる。助け合うことをルールとする彼らと過ごし、前向きな気持ちを持ち始める。
しかしそんな日々は長くは続かず――、という感じ。
悪役のポディキは終始徹底して胸糞で、あの醜悪さは本当に気持ち悪かった。悪役としては素晴らしいのかも。
ミルバのキャラもとても良い。盗賊団といっても、ダークな成金から宝を奪い、スラムの皆で分かち合っている。人望も頼りがいもあるリーダーで、まさにヒーロー。
告白はしっかりはっきり堂々と、嫉妬も独占欲も隠さず表現してて、性格が男前。
文庫一冊分で読みたかったかな、と思う充実の内容だった。ど真ん中の王道。