きみがいなけりゃ息もできない(新装版)

kimi ga inakerya iki mo dekinai

きみがいなけりゃ息もできない(新装版)
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神55
  • 萌×217
  • 萌11
  • 中立2
  • しゅみじゃない6

--

レビュー数
19
得点
378
評価数
91
平均
4.2 / 5
神率
60.4%
著者
榎田尤利 

作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます

イラスト
円陣闇丸 
媒体
小説
出版社
リブレ
レーベル
ビーボーイノベルズ
シリーズ
きみがいなけりゃ息もできない
発売日
価格
¥1,000(税抜)  
ISBN
9784862630674

あらすじ

ルコちゃんという愛称でごくごく一部に熱心なファンがいる(らしい)売れないマンガ家「豪徳寺薫子先生」こと二木。生活能力赤ん坊なみの彼を放っておけず、幼なじみの東海林は文字通り衣食住の面倒を見てやっている。そんな折、二木にメジャー出版社での掲載のチャンスがきた。二人の関係にも微妙な、そして大きな変化がー?運命の(!?)再会を果たす大学生編「きみがいたんじゃ転居できない」を収録した新装版。

表題作きみがいなけりゃ息もできない(新装版)

東海林達彦,27歳,美術商・二木の幼馴染兼メシスタント
二木了(豪徳寺薫子),27歳,漫画家

その他の収録作品

  • きみがいたんじゃ転居できない

レビュー投稿数19

しっかりと作られた純粋なキャラクター

私の第一の感想も前に書かれていらっしゃる、
ぐひさんと同じ感じでした。
ルコ先生は然るべきところへ行けば、それなりの診断が下るだろうなと。
そして、榎田先生はそれを踏まえて書いていらっしゃるのだろうなと。

一つ間違えば、困っただけのキャラになりそうなルコ先生は
その純粋さで嫌味なく成り立ってる。
たぶん、ルコ先生が普通の人でこの性格だと、ダメだった。

それに比べれば、東海林のキャラクターは普通の人だったのに
なぜに?と本編では思っていたその謎が、
番外編ですんなりと腑に落ちるように解決されてる。

このキャラクターたちをこんな風にまとめられる榎田先生は、
とにかく凄いなと思いつつ読破。

評価は舌を巻くいきおいで「神」!

1

蓑虫

生活遂行能力が著しく低い漫画家の二木。
片付けるのもお風呂に入るのも面倒くさくて、ほぼ大半の時間を布団にくるまって蓑虫で過ごすというつわものです。
幼馴染の東海林がいないと部屋は大変なことに。
でも二木だから許せてしまうのは何故でしょう(笑)

そんな二木を自立させようと二木から離れた東海林ですが、二人とも依存しあって生きてきたから会いたくて苦しくてしかたありません。
マンションの下からペンを落としたと嘘の電話をかけた東海林と二木のやり取りに泣けました。

きみがいないと息もできないと、東海林を刺激する殺し文句をさらっといっちゃう二木が最高です。
二人が本来の居場所にちゃんと戻れて本当に良かった~。
東海林と二木だから許せてしまう素敵なお話しでした。

1

キャラクターの透明な魅力

二木の片づけ出来ない、時間を守れない、単純な作業を覚えられない、忘れっぽい、情緒不安定というこれらの特徴、なんだかどこかで聞いたような感じがします。
それだけでなく一定の分野においてはもの凄い集中力を見せたり、独特の感性を持ち合わせていたりと、これは然るべき機関へ行けばそれなりの診断名をつけられてしまいそうだと思いました。本編に直接的な表現は無いですが、榎田先生はある程度そういった知識と見識を持った上で二木というキャラクターを生み出されたのだろうと推測します。二木は子どもの頃から他の多数の人間たちとはテンポが合わなかったという説明がありますし、おそらく先天的にちょっと変わった特性を持っているということだと思います。

作中で茜さんが二木の描く漫画を割れたビー玉のようと評しているのですが、きっと二木自身にもそのような魅力があるのだと思います。不完全で未発達、それでもキラキラと健やかに輝く生命そのものの美しさがあるのだと思います。そして、とても優しく清らかな心の持ち主である。漫画を描きながら亡くなってしまった鳩子に想いを馳せ、彼女の命を紡ぎ続ける姿に胸が締め付けられました。そんな子に甘えられて、東海林が好きになってしまう気持ちとてもよく分かる。中盤で死んでやるとゴネる二木を東海林が思い切り罵倒するシーンがありますが、それも真摯な愛情の裏返しのように思います。結構言いたい放題言ってますが。

東海林と二木との関係は共依存関係に近いと言えますし一般的な価値観で判断すればあまり良い状態ではない、不健全と評されてしまいそうなんですが、この二人に関しては必ずしも不健全とは言えないよなと思います。支配か服従という極端な関係になるのではなく、互いに何かを与え合うことが出来れば、共依存的な関係も一つの健全な愛の形として成立すると感じました。

4

閉じた世界がほほえましい

コミカライズの方を読んでから読みました。

お話は二つ。「きみがいなけりゃ息もできない」と「きみがいたんじゃ転居できない」です。
息も~の方は、漫画とはちょっと違っていました。それぞれの心情がより詳しく書かれていたり、大筋は同じでもそこに至るまでのエピソードが違います。
なので、漫画ではとことん訳の分からない悪人だった鼎にも、少しだけ救いが見えました。そうだよね、やったことは最低だけれど、それまでの努力はきっと彼も漫画が好きだったからだろうし。漫画の方での消化不良が解消されました。
二木と東海林の気持ちも、こちらの方がより納得できたので、読んでみてよかったです。

転居~の方は、大学時代の再会からずるずる生活が始まるまでのお話。スケルトンがいい味出してました(笑)気持ちはわかるよ、スケルトンw
この頃から変わってない二人の関係がほほえましかったです。何があっても結局二人の間で完結しているというのに、ちゃんとそれを感覚的に理解して受け入れている二木と、理性が勝って受け入れられない東海林と、でも結局二人の間だけでもちゃもちゃやってる。その閉じた感じが、強い結びつきに思えてなんだかいいなぁとやっぱりほほえましかったです。

3

「きみがいたんじゃ転居できない」

旧版の方で本編のレビューを書いているので、こちらでは新装版で追加された「きみがいたんじゃ転居できない」についてのレビューを書こうと思います。
「神」評価は本編と合わせての評価です。

「きみがいたんじゃ転居できない」は小説b-Boyに2005年に掲載された作品だそうです。
2人が大学で再会する時のエピソード。
本編の方で高校3年間離れていたというのは分かっていたのですが、小学校・中学校と一緒だった二人が高校時代は完璧に音信不通だったというのは意外でした。
中学の頃、「学力の差が天地ほどあったので」(笑)、2人は別の高校に行くことになり、同じ頃二木の母親が再婚して引っ越していったそうです。学力の差というのは…納得(笑)。
2人は全くの偶然で大学で再会するのですが、東海林が昔のように二木の世話係をするのは勘弁ということで避け始めます。
それでも結局は二木を放っておけない所が東海林さんらしい(笑)。
二木も完璧な男・東海林をここまで気にさせるということに関しては天才と言うべきかもしれない…(笑)。
この頃はまだ二人とも自覚できる恋愛感情はなかったようですが、潜在的なものは十分感じられるお話でした。^^

3

恋というよりたぶん愛

漫画家シリーズ1作目。
シリーズと言っても「攻受のどちらかが漫画家」という共通点があるだけで、
1作ずつ完結してますので、どれから読んでも大丈夫。
(※5作目の「きみがいるなら世界の果てでも」だけは、この作品の続編)

シリーズのどれも、基本的に軽いテイストでさくさくと読めるラブコメです。
ラブコメだけど、榎田さんらしく、どこかに寂しさを抱えたキャラが魅力的。
またその「隠れた寂しさ」が、
作中作の「漫画」の中に描かれるのがこのシリーズの特徴かもしれません。

どれも面白かったけど、この1作目がやっぱり一番好き。

生活能力皆無、まるで幼い子供のような、売れない漫画家・仁木。
その仁木に対し、まるで母親のように世話を焼き続けてきた友人・東海林。

どこか、共依存のようにも感じられる二人の関係。
しかし仁木の漫画が注目され始めたことがきっかけで、その関係に変化が訪れる…。

こういうストーリーだと、どうしても甘える側のキャラにイライラすることが多いのですが、
仁木にはあまりそれを感じませんでした。(勿論人によると思いますが…)
「ガキっぽい」のではなく、本当に子供のまま育ってしまった人間だからかな。
親を慕う子供のように、主人を信頼しきっている仔犬のように、
ひたむきに東海林を慕う様子に、ぎゅっと胸が締め付けられます。

一方で、長い間甘やかし自分に依存させ続けてきた仁木を
自分の腕から逃がしてやろうとする東海林も、なかなかに切ない。
読み手が仁木のダメっぷりに本気で苛つかないで済むのは、なんだかんだ言っても
東海林が仁木の世話を本心では楽しんでいたのがわかるから、じゃないかと。
だからこそ、手を離す選択のつらさも伝わってくる。

東海林が突き放した仁木の様子をこっそり見に行く場面は、もうもう…
どちらも見ていられないくらい可哀想で、いじらしくて、たまらなかった。
つらいけど、一番好きな場面です。すっごく榎田さんらしい表現だと思う。

共依存というと病的でダークなイメージがありますが、
この二人の関係については、それが自然なあるべき姿だという気がします。
もう家族でも恋人でもなんでもいいから君たちはずっと一緒にいなさい、
離れてるの見るとこっちが辛いんだから… と、
なんだか保護者のような気持ちで読んでいました。笑

気に入った方は、続編の「きみがいるなら世界の果てでも」もおすすめ。
今作は仁木のために東海林が手を離そうとしますが、続編はその逆。
仁木に手を離されると東海林はどうなるか…というのが見所です。

4

さすが榎田先生!

内容などは他の方がレビューされてる通り生活能力が壊滅的なニ木とそれを支えまくりの苦労させられてる東海林…。

『君がいなけりゃ息もできない』だけを読んだ感想としては【中立】でした。

ニ木の性格も東海林の性格も読んでて
『なんでそうなる?』
とか東海林がニ木を甘やかしすぎてるから悪いんだよ!
とかなんだこいつら…と思ってたのですが漫画家シリーズ最後の『君がいるなら世界の果てでも』を読んで感想が変わりました。

君がいるなら~でニ木が生活能力をあげるわけでも東海林が変わるわけでもないんですが,『君がいるなら~』でニ木の過去や何でそうなったのかニ木が東海林をどんなに大切か,ニ木なりに考え行動しているのが細かく書かれているので『君がいなけりゃ~』よりニ木の性格をスッと受け入れられました。

東海林も東海林でニ木を支えることで生きていける。
東海林の一方通行のギブandギブだと思ってたのが,二人の中ではギブandテイクだったんだな~と。

『君がいなけりゃ~』を読んでう~ん(-.-;)と思ってる方は是非続編の『君がいるなら~』を読んで欲しいです!!

他の漫画家シリーズの話も面白くて好きですがインパクトではやはりニ木と東海林が一番です(笑)
前はニ木と東海林のcpが一番苦手だったけど,今は漫画家シリーズの中ではニ木と東海林のcpが一番好きですwwww

2

きみってどっちのこと?

 漫画家の豪徳寺薫子先生は、実は男で、しかもこれまた生活能力がほぼないという二木なのです。そんな二木を小学生のときから支え、そして社会人になった今も、保護者のように面倒を見ているのは幼なじみの東海林です。

 まんがを書くにも、部屋を掃除するにも、ご飯を食べるにも、何でも東海林にやってもらう二木は、普通だったらいらっとするキャラクターなのに、どこか憎めないのが不思議です。二木の描く漫画は元はそんなに有名ではなかったのですが、偶然の雑誌掲載がきっかけで飛ぶように売れ出します。そして、二木にもアシスタントの鼎がつくのです。

 この鼎をめぐり、事件が起きるのですが、東海林は自分が二木のことが好きなのだとあっさり気づくのです。二木のそばから離れる東海林、そして離れてどうしても東海林でないと駄目だと気づく二木…。

 後半はすれ違いをメインに書いていて、読んでいてほろりとしますが、最後にはちゃんと幸せになれてよかったです。

1

好きなんですよね・・・この作品

もう何回再読しているか解らないほど好きな作品です。
新装版ではない方から読んだのでやっとこちらでしか読めない「きみがいたんじゃ転居できない」
を読むことができました。
大学生の頃の二木と東海林のお話ですが、東海林って大学生の頃とかは二木に対する
気持ちとかをしっかりj認識していたわけではなかったんですね~
もう小学生の頃から筋金入りで二木の事を大好きなのかと思いきや無意識に大好きだったとは。
無意識といえば二木もですが結局この2人ってスッゴイラブラブなんですよね~
魂ごと好きというか。いろいろ超越したカップルだと思います。
この作品には沢山好きな言い回しがありまして一つは
二木の「いやだ、東海林、おれから離れちゃだめだ」
と、題名にもなってますこれまた二木の
「おっ、おれは・・・いいか、おれはな、おまえがいなけりゃ息もできないんだよッ!」
あと東海林の。
まずい、溺れそうだなと思い、ああ溺れていいんだっけと思い直す。もうこの男を離す気などないのだから。
榎田先生の言葉のセンスに感服します。この2人のお互いの愛情の深さというか、2人でひとつなんだっていうのが凄く伝わってきて、只の依存に成り下がらない関係っていうのが凄く良くて。
こういう作品を生み出せる榎田先生は凄いな。そして、円陣先生!円陣先生のイラストでこの2人は更に生きてくるですよね。絵師さんは大事だ~

1

茜お姉さま!!!

この作品の中で一番好きなキャラは?と聞かれたら、即座に「茜お姉さま!!!」と答えます(笑)
ルコちゃんの大ファンのマンガヲタク(?)という脇役ですが、
ルコちゃん目線でも東海林目線でも、話をきちんとみて、東海林に向かってガツンと言える唯一の人だと思うので東海林にとっては、今後も良い友達になれると思います。
本当に素敵なキャラです。

ルコちゃんの汚い部屋っぷりは、もう腹を抱えて笑い転げました。黒いインセクトって(爆笑)
涙が出るほど笑えるBL小説ってなかなか無いと思います!!!
こんなに笑えるのは、私自身が汚部屋に住んでいるからです・・(インセクトはいませんよ!)
見に覚えが有る汚さっぷりに、東海林が欲しいと思いました。

後半、ルコちゃんが引っ越してしまった東海林の部屋のドアを、カリカリ掻いているところや、存在しない万年筆を有った!という所は、切なくて涙が出ました。
ルコちゃん可愛いよ~切ないよ~とボロボロ涙が。。。

一人前になれば、東海林が万年筆を取りに戻って来てくれる・・会える・・。と思って頑張るのを見てると、東海林早く帰って来て!!!!となりました。

その後、怒涛の展開に驚きましたが、誰一人として嫌になるキャラはいなかったです。
ルコちゃんの描く「少女の棺」のラストシーンは文章で書かれているのに、自分の頭の中でその世界が見えてきそうでした!綺麗で感動しました。そうか、ルコちゃんは前を向いて歩くのだなぁ・・と。

センシティブでリリカルでシュールな、心に少女を飼っている(茜さんより)ルコちゃんの作品を、読んで見たいな~!!!と思いました。きっときめ細かいイラストで、独特の世界を描かれるのだろうな~と漫画ヲタクの一人として思いました。

続編の小説も有るようなので、そちらも、ものっそい楽しみにしています♪

4

きみがなけりゃ

読みました!とうとう読みましたww
東海林のヘタレ!根性なし!
(`Д´) ムキャーーーーっ!!
な中盤でしたが、最後の最後。ラストのルコちゃんに号泣させていただきました。
さすが榎田先生たい。小説が俄然読みたくなってきた。
お話は、ダメダメなルコちゃん(受/漫画家)と世話焼き体質な東海林(攻/美術商)な幼馴染もの。
漫画を先に呼んでしまったがために、ストーリーだの展開だのなんだのが頭にあって、実質最後のほうまで楽しめなかったのが実際でした。
やっぱり先に原作読むべきだった。
漫画のほうが、絵として見れるぶん、印象が強かったといいますか
全体的な流れがわかりすぎていたために、文章読むのが億劫になってしまっていたというべきか(笑

中盤、自分の気持ちに気づく東海林。
ここがですね、やっぱりヘタレだなぁと思ってしまいました。
触れられないから逃げるとか・・・・どんだけ・・・
そこでガツンと行けば堕ちるのに!!!東海林のバカチン!
思わず突っ込みを入れてしまう。
それに対して、少しでも大人になって東海林に認めてもらおうとするルコちゃん・・・健気で可愛かった。
普段、本当にダメダメな子なんだけど、すがってくる姿ってのはかわいいよね。
無条件に甘えてくるしぐさがすごく可愛かった。
フワッフワのホットケーキ・・・・食べたいなぁ・゚(●´∀`●)ジュル

お前が居ないと~な告白シーン。
好きでつw
なんちゅーかラブラブv
軽く依存しあってるカップルって良い。
あ、そうそう、漫画では描かれていなかった棺の少女~のルコちゃんが描いたラスト~なお話が練りこまれていたのが良かったですね。
あそこは気になってたんだな。

>>君が居たんじゃ移転できない
番外編w
大学時代に二人が再開した~お話ですね。
私の中では、ずっと一緒に居て、ずっと東海林が世話してたんだとおもってたんですが、一時は離れてたんですねぇ。
しかも、世話焼きをうんざりしてたとか。
意外(゚ω゚)←ドンダケ
結局お世話やいちゃう東海林も東海林だけど
自然とそれが当たり前って思っちゃうルコちゃん。
かわいいと思います。ん

>>追伸
「寝て起きてしかしないのに部屋が埋まる」
解かります。
なんだろう、この親近感ww
寝に帰るだけの部屋なのにいつの間にか散らかって足の踏み場も・・・
なんでなんでしょう。
東海林さ~ん、ウチもついでにお願いしますww

3

温められていたのはどちらかな

よくぞ今まで人としての体を成してきたと、その存在が奇跡としか
思えない。そして、恐らくBL史上最もばっちい男なのではないか?
彼は仁木、マンガ家としての愛称はルコちゃん。
自己管理などという高尚な言葉は持ち合わせず、
誰が見ても幼稚園児と相違ない生態はちょっとした衝撃です。

3日でゴミまみれ、1か月で虫が湧き、半年で畳が腐り
1年後には死体の出来上がりと溜め息をつくのは、
そんな仁木の腐れ縁で隣人の東海林。
献身なんてもんじゃない、徹底した仁木の生活管理が
染み付いてしまった受難の人物です。
ちょと距離を置こうものなら周囲から人非人呼ばわりされ、
程なく自責の念に駆られる始末。誰よりも同情されるべきなのに
なぜか、遠回しに避難される事の方が多いのでは(笑)

東海林がいなければ生存さえ危うい仁木ですが、
よく読むと立場的な優劣はほとんどないように思えるのです。
東海林が仁木の面倒を見るのは、封印していた下心もありますが、
同情や憐みといったものでもないんです。
仁木の純慎さ、繊細でことマンガに関しての矜持を
口にはしなくとも認めているんですね。
目には見えない部分で仁木を分かっている東海林は
仁木の生活にとことん深入りしても、彼が大事にしている部分へは
決して土足で踏み込まない。
一見相互依存のようですが、東海林との仲に亀裂が入っても
筆を置かなかった仁木のタフさは、ここまで歩んできた彼を
支えていたものの1つなんでしょう。

脇役の魅力も榎田先生の特徴ですが、今回は画家の娘で
大のルコちゃんファンである茜の存在がいいスパイスでした。
ルコちゃんと作品を熱く語り、陰から応援しつつ
ピンチにあっては全力で助太刀する、正にファンの鑑。
作中唯一の女性キャラですが、弱気になった東海林の
ケツをひっぱたくような男前な性格です。

その人にとって本当に大事な事は、その人自身が乗り越える。
榎田先生の書く人物達が現実を生きている様なリアルさを
まとっているのは、そうした悲喜交々に向かい合う姿勢がある
からかもしれません。

5

これはよいアホの子

アホの子、天然ボケ、さらにダメな子な受けが好きなので、とてもツボでした。
攻めもかっこいいけど、ダメな子に入れ込むダメな人でよかったです。

2

こんな受けは大嫌いっなのに涙涙

漫画家シリーズ1冊目。
家事生活能力ゼロ。
漫画を描くことしかできないくせに
その唯一の漫画を描くことですらひとりでままならないという
どうしようもない二木。

正直、私は二木には萌えないです。
自分のことを自分で出来ない人をかわいいとは思えないので
こんな受けは大嫌いっ。

二木を支えるのは有名な美術商の次男坊の東海林。
中学まで一緒で、大学で再会し
二木の世話係りを大学卒業後4年間も続けているという奇特な攻め。
お金持ちで仕事もできて男前なのに、ダメダメな二木の面倒を
四六時中みてるんですよね。
東海林は、二木への感情が恋愛感情だと気付いた時点で
二木から手を引いて、二木の自立を促すんですよね
そして二木が一人前になるまで会わないと言う。
二木は二木で東海林に会いたくてがんばってがんばって
自立しようとする・・・
自立するということと、ひとりでも寂しくないということは
まったくの別物で・・・東海林が世話を焼かなくても仕事はすすむけど
心の隙間は埋まらないんですよね(`;ω;´)ウッ
くそぅ、こんな受けは大嫌いなのにっ
「しょ、うじぃ」と嗚咽する二木には、涙涙・・・でした。

東海林は東海林で、また特異な束縛体質のようなので
二木にはまったくもってぴったりだったんだなぁと読後思いましたw

7

BL史上最も汚い生き物

冒頭、すさまじく汚い部屋の描写からはじまります。
ハエのたかる生ゴミ、満ちた臭気。その中に生息するルコちゃん(受け)。
少女漫画家、豪徳寺薫子こと、ルコちゃんは漫画を描く以外、全く生活能力がありません。
そのルコちゃんを小学生のころから世話をしていたのが、東海林(攻め)。

東海林は、二木(ルコちゃんの本名)のことは自分が管理するしかないかのだ…と、腐れ縁的なものだと、そう思ってきたのですが。
ルコちゃんの漫画がメジャー誌に掲載が決まり、状況がかわってきます。
東海林の役目だった世話焼きも、一部をアシスタントに取って代わられてしまって。

東海林はルコちゃんとの関係に疑問を抱き始めます。
兄貴役や母親役だけでは足りない自分の想いに気づいてしまう!でもルコちゃんはそれ以上の関係を考えていない…。
だから、東海林は離れてゆこうとします。
---そうして、さてどうなるのか、というお話なのですが---。

読んでいて、東海林、そんなに長期間自分の心をだませるものだろうか、と疑問を抱きました。また、東海林がルコちゃんを組み伏せてしまう展開はいくらか唐突なようにも感じました。

でもでも、それでも!このお話は魅力的です、あまりにダメで、あまりに一途なルコちゃんから目がはなせない。子供のような必死さに涙しちゃうのですっ。
(引っ越してしまった東海林の部屋のドアを、カリカリ掻いているところ…!東海林とつながっていたくて、万年筆を捜すフリをするシーン!ホロリとこないヒトがいるでしょうかー?)

また、亡くなった従姉妹のエピソードがこのお話に深みを与えています。
少女を描きつづけけるルコちゃんの、漫画家としての在り方を納得させてくれますし、家族縁の薄いルコちゃんの内面には、埋めきれない寂しさがあるのじゃないか、
東海林はそういうルコちゃんの寂しさを、必死で埋めてやろうとしてきたのじゃないのか…。そう思うと東海林の「無理強い」してしまう行為も、不器用にも痛々しくも思えてきます。

読んでいて楽しくて。せつなくて。欠点だらけの主人公たちが、ずっと幸せであってくれるように、と願ってしまうようなお話でしたw

カバーイラストはルコちゃんが足の爪を切ってもらうの図ですが、本編にはそういうシーンは出てきません。この作品をコミカライズされた円陣先生の、思い入れのある画ではないかと思いますw

6

かわいすぎるっ…!!

ルコちゃんがかわいすぎます。
生活能力が無い奴ってあんまり好きになれないパターンが多いんですが、ここまでくるとあいくるしい(>д<*)Vv

私は絶対、鼎はルコちゃん狙いだと思ったんですが…
んーそっちかぁー。

マンガ家シリーズ制覇したくなるぐらい面白かったです!!てゆーかします!!

3

ダメ人間も榎田さんにかかると可愛い生き物にみえた

隣人で世話焼き幼馴染み・東海林×超マイナー漫画家生活能力皆無・二木。
漫画を描くこと意外まともにできることがない驚異的なダメダメを誇る二木ことルコちゃん。
隣人で幼馴染みという縁で定期的に掃除をしてやり身だしなみを整えさせ、やる気がでるように発破をかけ…と丸々面倒をみる東海林。
ルコちゃんに大きな仕事が舞い込んだことから、二人のこの「ちょっと依存させすぎなんじゃないの?」という奇妙なカンケイに大きな変化が訪れます。

話の運びが非常に上手く(いつもですけど)、しゅるしゅる読めました。榎田さんのコメディ物は絶妙!
クスクス笑わせてくれた後はキュンとくる切なさを、そして娯楽だけでは終わらせない何かがあります。

このお話は、不思議な依存関係にある二人に改めてこの関係を問わせているのですが…途端に逃亡体勢に入った東海林さん。なるほどヘタレ属性かキミ………!嬉
でもです!東海林さん正直ずるいと思うのです。(ぼやきタイム)
自分に寄りかからせていた状態で突然体を離せば、そりゃ体重を預けていたルコちゃんは当然すっ転ぶしかないわけで。
飼い始めたペットに責任が生まれるように(例えのつもりが、まんますぎて例えになってない)東海林にはルコちゃんに責任があるのに、自分でそうさせたのに、今さら一抜けってずるいんだぞ、と言いたい。
それでも東海林の「一人前に~」という言葉を信じて、痛いのを我慢して立ち上がろうとする幼子…もといルコちゃんの姿にうるるん。

最初から最後まで東海林はあくまでも東海林で、大事な大事なたった一人で必要な人。読み返してみると、ルコちゃんのその思いは最初から一貫してました。
となると、このお話は東海林のためのお話だったのかもなあと思ったりもしました。
てゆうか相手はルコちゃんなんだし(…)もっと早く告白でもなんでもしてりゃ、さっさと恋人になれたと思う!>東海林
続編「きみがいるなら世界の果てでも」も合わせてどうぞ。

「きみがいなけりゃ息もできない」
考えてみると、口説き文句ってより脅し文句のコレ。
果たして誰の台詞かは、読んで確かめて下さい。

~独り言~
最後まで鼎は「か、なんとか」で読了。ごめん。

5

ともふみ

ミドリさん~!こんにちは~!

>ルコちゃんは結局ルコちゃんで、
>そんなルコちゃんに対する気持ちを認めて
>ルコちゃんとどうやって関係を続けていくかっていう。
まさにまさにその通りだと思います!
ぐるぐるしてるのは結局東海林の方ですもんね。
そして天然には勝てない、これBL法則。笑
そして要約すると東海林はヘタレということだと…アレ?笑

>世界の果てでも、のほうは春あたりCD
ひぃ~っ、赤貧腐女子になんという誘惑を……!笑

あ、そうだ。
気になりつつ漫画の方は読んでないんですが、確かミドリさん神評価でしたよね。
ここにもまた誘惑が……泣

ミドリ

ともふみさん、こんにちはー
私にとってはこの作品が榎田さん初読み作品だったりします。
大好きな作品なんです♪…といいながら、何故かまだレビュー書いてないことに気づきました。

改めて考えると、この作品は東海林による東海林のためのお話なんですよね(笑)
ルコちゃんは結局ルコちゃんで、
そんなルコちゃんに対する気持ちを認めて
ルコちゃんとどうやって関係を続けていくかっていう。
まぁルコちゃんも頑張ってたけど!

ともふみさんのレビュー見てまた読みたくなっちゃいました。
世界の果てでも、のほうは春あたりCDになるみたいだし楽しみですね♪

「もう限界」

幼馴染みモノです。
私、「もう限界です」みたいなセリフが大好きみたい。
ずっと隣にいて、ずっと好きで。ずっと友達というラインをはみ出さずに過ごしてきて。
でもある日、好きな感情が飽和状態を超えてしまう。
健全な男としての欲望が頭をもたげ、「限界」というセリフに繋がっていく。
くー!シビレル!
完璧人間東海林と生活能力のないリコちゃん。
キャラもいいし、エピソードもいいし、切なさとコミカルさがバランスよく配分されたストーリー。
幼馴染みモノの名作でした。

8

ホットケーキ食いたくなる。

まったく生活能力皆無の漫画家・二木(ルコちゃん)の世話を逐一してあげる美術商の東海林。下心っぽいものは感じさせず、まるでお母さんのように二木の世話をしてあげる東海林が可愛いッスw二木は東海林が居ないと何にも出来ない…。彼に物凄い依存してる。
けれど、無意識の中で二木に恋していた事に東海林が気付いてしまい、それまでの穏やかな関係が崩れてしまって、東海林は二木から離れてしまうのですが。。
二木は大パニックになりながら、漫画家として頑張っていこうと思った矢先に事件が発生します。この事件がなければ離れ離れのままだったのかな?
いや多分、二木が我慢出来なくて襲いかかってたと思う…(笑)

タイトルがすっげぇ気障だなぁと思って引っ掛かってたんですが、いやー……これはかなりの口説き文句ですよ。言われた相手は重く感じてしまうのかしら?

東海林が作るホットケーキ(二木が大好物)が美味しそうで、自分でも作ってしまいました~♪
「ムラのない焼き色で、フッカフカで…半分溶けたバターがてろりん…メープルシロップがたっぷりふわふわのケーキ生地にジュッって染み込んで~」

榎田尤利先生の描写力に脱帽です。美味しそう!って絶対思う…!!
ドラマCDも出るようですね♪じゅんじゅんと小西さんかー。そちらも楽しみです。

6

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