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kanbi na yoru ni torawarete
借金のカタのようなかたちで、ある金持ちの男の家に引き取られ、そこでセックスの相手をさせられることになった高校生の主人公。
イヤなのにカラダは感じて。カラダからはじまった関係なのに、男がたまに見せる優しさや孤独に触れ、いつしか恋心が芽生えて――。
まあ、ありがちといえばありがちなストーリーなんですが、私はかなり好きでした。
面白かったです。
とくに、線香花火のシーンがめちゃくちゃ印象的でした。
ひとり線香花火をしている受け。背後で自分のことを見つめているはずの攻めを、振り向いて確かめたいけど確かめられない。ピーンと張りつめた緊張感。ゾクゾクしました。
そのあとすぐに場面が切り替わって、セックスシーンになる。静から動への180度変化にはガツンとやられました。
作者のさじ加減一つで、ありふれたベタなシーンも、切なくてドキドキするようなシーンへと変わるんだよね。
あと、本編以上に切なかったのが『館の番人』という巻末のSS。
小粒なのにぴりりと切ない、山椒のようなSSでした。
高校一年生の大江和紗は、和菓子の老舗『大江屋』の息子。和服の似合うお茶の立てられる美青年だった。そんな和紗は漠然と、自分の将来をいつか、実家の和菓子屋を継ぐのだろう……そんな風に考えていた。
ところが、ある日、実家が突然の経営危機に見舞われた。昨今の和菓子を取り巻く状況から、両親が和菓子のテーマパークに出店しようとしたのだが、その話が詐欺だったことが判明したのだった。家族そろって途方に暮れていたところへ、救いの手をさしのべる大富豪が現れた。
その男の名は、飛鳥井翔一。
自分の屋敷の執事候補として和紗を迎え入れたという翔一の言葉に、借金肩代りの恩義から、その申し出を受け入れてしまう。まったく執事を経験したこともない和紗は多少の違和感を覚えながらも、飛鳥井の屋敷に辿り着くと、そこはまるで宮殿の様なお屋敷であった。
ところが、そこで上総に求められたのは、飛鳥井の屋敷に囲われて、夜な夜な正一に身体を開くことだった。例えようのない理不尽さを覚えながらも、借金の肩代わりの恩義から、和紗は拒否できずにいた――
やっぱり心を閉ざしちゃってた男の人が、手に入れた人によってちょっとずつ変わっていく話。
この話で違うのは、最初から翔一が和紗のことを狙っていて、和紗を手に入れるためにちょっと画策したけど、最初から普通に手に入れようとは思ってなかったし、多分きっと、普通に手に入れる方法を知らなかったんだと思うんだ。
でもって、びっくりしたのが、せっかく和紗が徐々に歩み寄ってくれてたのに、まるっと翔一の記憶が飛んでしまったこと。
あぁ、せっかく和紗の元に幸せが飛んできそうだったのに、更にどん底に……と、ちょっと和紗がかわいそうになりましたが、結局は、ちゃんと記憶が戻ってきてくれてハッピーエンドになってくれました。
周り道をしたけど。
ちゃんと、「好き」っていう感情を知って、ラブラブいちゃいちゃして、和紗が今までの不幸を取り戻せばいいと思うな!
全編通して意外に楽しめましたが、それでも攻めのキャラが、最後まで”こんな人いないよね”という印象がぬぐえず乗り切れなかった。
こうなったらエロを単純に楽しもう、と思ったけど、描写自体はあっさりで個人的には萌えず。
陵辱されてたらいつのまにか、というパターン。邸宅に囲われて陵辱される毎日から一転、別荘でのなごやかな休暇などよいシーンはあるものの、冷徹な執事や気の良い別荘管理人など、設定はいいけどもっと動かして活かせるのにと思うキャラが多い。
全体にあっさりとした流れ、描写であまり入り込めない作品でした。