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bukiyou n kuchibiru First love
作家買い。
高岡さん作品は時々すごく痛いお話があって、今作品もあらすじを拝見して痛い系のお話かなーと思いつつ手に取りました。
高岡先生の書かれたあとがきを拝見して、今作品が2002年に刊行された作品の新装版だと知りました。旧版は未読なのでそちらとの比較はできません。ネタバレ含んでいます。ご注意ください。
主人公は吉岡。
彼は偏差値の高い高校に通っていましたが、とある事情により違う高校に編入してきた転校生。「とある事情」から、彼は心を閉ざし一人でいることを好み誰とも慣れ合わない日々を過ごしています。
が、ある日不良と名高い人物たちがたむろっているのを見てしまう。彼らは吉岡に因縁をつけ、部屋に引きずりこんで強姦しようとするが、そこを隣のクラスの小田切という青年に助けれらる。が、当のその小田切に、吉岡はレイプされてしまって―。
というお話。
あらすじを拝見したとき、吉岡という青年を薄幸な青年だと思っていましたが、その予想を裏切り、吉岡という男の子はちょっと荒んでいます。普通の薄幸・健気受けちゃんではありません。
で、攻めの小田切くん。
高校生でありながら一人暮らしをしていて、2年ダブっていて、誰それを妊娠させたことがあるとか、顔にケガがあるとか。一昔前の「不良」と呼ばれていた、そんな輩をイメージさせる男の子です。
その二人が、小田切くんからの「レイプ」という形で繋がるようになっていくのですが。
吉岡くんが転校することになった理由とか、小田切くんの良くない噂とか、その「中身」が、彼らのやりとりを通して読者にも見えてくる。そしてそこから二人の、身体だけではない、心の交流も始まっていくけれど。
んー。
あとがきでこの作品が2002年に書かれたものの新装版と分かりますが、読んでいても、ごめんなさいバッサリ言ってしまうと、古めかしいんですよ。登場人物たちの言動とかストーリ展開が。ヤンキーではなく、不良、っていう感じっていうのかな。
小田切くんも、周囲から張られたレッテルや勘違いが少しずつ解明されていきますが、ああ、うん、そういう感じだよね…、っていう。
でもまあいい。
2002年に書かれた作品、ということを鑑みたときに、ある程度の古めかしさは仕方ないと思えるのです。思えるのですが、うーん、吉岡くんがなあ…。今一つ好きになれんかった、というか。
薄幸なのか、したたかなのか、強情なのか、なかなか捉えどころがない青年、と感じました。で、めちゃめちゃ性的な意味で襲われます。その展開の仕方も、若干時代を感じるというか。
小田切くんと吉岡くんは、小田切くんの過去の出来事(この出来事が、また時代を感じる展開)に振り回される感じでストーリー展開していきます。そこを軸に、二人は心を通わせ、愛情を育て、信頼関係を築いていく。
この流れは非常にお上手で、ストーリー自体は面白くないわけではないんですよ。何度か「時代を感じる」というワードを使ってしまいましたが、こういうCPにこういうストーリーは当時は人気で王道ではありましたし。
個人的には受けちゃんが今一つツボに突き刺さらなかった、という。完全に好みの問題だと思われます。はい。
攻めくんは、一匹狼的な男子でカッコよかった。
とにかく受けちゃん大好き。でもそれを前面に出すことなく隠しているのも良い。
序盤、やや無理やりな描写があるので、苦手な方は注意が必要かもですが、彼の不器用さに萌えました。