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onsen no soko no doukutsu de emeikaishin ga omachikane
ドシリアスな作品を書かれることも多い綺月先生ですが、そんな綺月作品において異色と言って良いでしょう、多くの腐姐さまの爆笑を浚った『沼の竜宮城で、海皇様がお待ちかね』。今作品は、その神シリーズのスピンオフ、というか続編?になるのかな?
海皇神ポセイドンの兄であり、冥界の神でもあるハデスが主人公のお話です。
スピンオフものって前作が未読でも問題なく読めるものも多くありますが、今作品は前作既読の方が絶対に面白いと思うので、未読の方はそちらから読まれることをお勧めします。
前作が面白すぎて、今作品はどうかな、トーンダウンしちゃうかな?と思いつつ手に取りましたが、いやいや、そんな心配は杞憂に終わりました。今作品も面白かった…!
前作含めたネタバレがあります。苦手な方はご注意ください。
この世のすべてをつかさどる最高神ゼウス。
そしてゼウスと仲良しでキラッキラのビジュアルを誇る海皇神ポセイドン。
彼らの兄であり、長男でもあるハデスは、じめじめした性格で(ポセイドン曰く)キノコが生えてくるようなそんな男性。
と、前作『沼の竜宮城で、~』でも描写がありましたが彼が「そう」なってしまったのにはきちんと理由があって。地底で、誰が訪れてくれるわけでもなく、やってくるのは亡くなった人の魂だけ、というなんとも不憫な境遇から彼のネガティブさが爆発した、という描写からスタートするわけですが。
ポセイドンは近畿弁を操る陽気な人物でしたが、ハデスは「オネエ」。
昭和の歌唱ショーに登場する歌手並みのスパンコールのドレスを着こなし、(話す相手がいないから)一人でオネエ言葉をブツブツと話す、そんな人物です。
自分の理想の男性と恋に堕ちたいと、そう願っているなんとも可愛い男性。
そんなハデスは、夜温泉に入るのが唯一の楽しみ。その日もゆっくり温泉につかっていたところ、一人の男性が温泉に入りにやってきた。
イケメンで、綺麗な身体つき、年齢も好みドンピシャなその男性にロックオンしたハデスは、その男性・角崎と一晩を過ごすことに成功するが―?
というお話。
あらすじでは角崎視点で描かれていますが、本作はハデス視点のお話です。
で。
この角崎くん。前作の受け・来人の日和不動産の先輩くんです。イケメンで、有能で、ちょっとした勘違いからポセイドンにあれやこれや致され「神」とか「呪い」に果てしなく拒否感を感じるようになってしまった、あの先輩くんです。
彼らの濡れ場が、めっちゃエロい。
いや、エロいだけじゃない。
めっちゃ爆笑。
前作は沼、というか海?が舞台でしたので魚類がたくさん登場しましたが、今巻はずばり「キノコ」が陰の主役です。いろいろな意味で、そう何からナニまで、キノコちゃんが大活躍です。腹筋崩壊します。
座布団一枚あげてちょうだい!
と思わず言ってしまいそうな言葉遊びから、彼らのやり取りまで非常にコミカル。ハデスは寂しさのあまりケルベロスを生み出しますが、このケルベロスの姿が…、とここでも爆笑。終始爆笑しっぱなしでした。
終盤に海皇神×来人の幸せなその後の小話も収録されています。来人、ご出産です。おめでとうございます。
おもしろかったんですよ?とっても。
でも、うーん。
まず第一にページ数が少ない。
電子限定なので紙媒体で読んだわけではないのですが、紙媒体だったら思わず持った瞬間に「薄ッ!」て言ってしまいそうなページ数しかありません。
で、角崎くん×ハデスの恋の成就という点ではかなりあっさり。あれだけ見えざるものの存在を怖がっていた角崎くんなのに、ハデスのことはさっくり受け入れてしまう。恋の成就、という軸をしっかり読みたい方には若干肩透かしを食らう展開かと思われます。
そしてもう一点。
挿絵がない…!
私はhontoさんで買いましたが、他の電子書籍さんだったら挿絵があったのかなあ…。小山田さんラバーな私としてはかなりのがっかりポイントでした。
だって表紙を見てください。
この麗しい表紙を。
パリッパリのイケメン・角崎と、彼に差し出されたキノコ(しかもキノコを持ってる手はきちんとスパンコール付きの服を着てるという芸の細やかさ)。
そして下でキャッキャウフフしてる、海皇神×来人の可愛い姿を。
彼らがさー、本編でも拝めると思うじゃないですか…。
なのに無いとか。
ショボーンってなったよ…。
と、残念に思う個所もなくはないのですが、でもそれらをはるかに上回る爆笑と萌えとそしてエロがこの作品にはたっぷり詰まってました。何よりハデスの可愛さと一途さにひれ伏しました。
ということで、萌×2と神で評価は悩みましたが、ちょびっとおまけして神で。
次作はゼウスのお話かな?
と楽しみに待っていようと思います。
何が『臨場感』なのかと言いますと、このお話の語り口なんですよ。
講談師みたい。またはスタンドアップ・コメディアン。
綺月さんが講談してくれたんですよ、あたしの目の前で。
笑いありキュンありの冒険譚を、立て板に水の名調子で。
なんて贅沢!
『沼の竜宮城で、魁皇様がお待ちかね』のスピンオフです。
世界観を同じくするお話ですし登場人物も被っていますので、前作は「読むべし」と思います。なにせ、今作の途中でお話の世界観に触れる部分がありますが『詳しく解説したいのは山々だが、そこへ至るまでの経緯がややこしいため、ストーリーの進行重視で話を先に進めてしまおう。」という説明でぶっ飛ばしちゃっている(ここ、私はかなり笑った)んですもの。
三人兄弟の長兄なのに、天界は優秀な三男に、海は愛され体質の次男に取られてしまい、暗く湿った黄泉の国で魂の振るい分けをしているハデスが今作の主役です。
私は長女なもので、このハデスの恨み節がなかなか身に沁みました。
いや、そうなのよ。最初に生まれた者ってなかなか素直になれないのよね。
そんで『なんとなく損してる感』を抱きつつも「あたしだって恋もしたいし」とかって言いづらいのよね。そのくせ、恨みつらみの毒吐きをしちゃう。
そんなハデスに幸せが来て、私も嬉しかったです。
このシリーズは登場する神々の強烈なキャラを愛せるかで好き嫌いが決まっちゃう様に思います。
私はドンピシャリなんですよ。
更にシリーズ化されないかなぁ……
ゼウスさんは天照大御神(女性だよね?)狙いだそうだから、次回はアポロンが主人公とかでどうですか?
ギリシア神話の神様シリーズの続巻です。
綺月先生もこんなコメディ書かはるんやっていうのが、まず驚き。
これ、電子で2冊同時に購入して、ついうっかりこっちから先に読んじゃったのですが、前作の設定をしらないままでも、ちゃんと問題なく楽しかった。
ひがみっぽいハデスの脳内妄想と、絶妙にすれ違いながらも成立しちゃってる角崎のオヤジギャグ感性。
そして大いに盛り上がる二人の夜!
もう、この前半で心をガッツリ掴まれちゃう。
後半、兄弟間のわだかまりも溶けて、みんな幸せになって終わるのも良かったです。
かなり神寄りの萌2です。
前作「沼の竜宮城で、海皇様がお待ちかね」では、作品のトーンに大いに驚かされたのでした。確かに今までの綺月先生の作品でも、軽妙な掛け合いなどに秀逸な笑いをチラチラ拝見することはありましたが、綺月先生の作品まるまる一冊がコメディってことが驚きだったのです。
そんな楽しく笑えた作品の続編。
今作もとても楽しかったです。
前作で、来人の職場の先輩として登場し、来人との噛み合っていない会話がめちゃくちゃ笑えたあの角崎さんが今作の攻めさま。
その角崎さんに、それはもう自分でも驚くほどに萌えました。
私の中で角崎さんって、ただただ面白いってだけの人だったから。
今作では、角崎さんの男前っぷりが半端なかったのです。
角崎さん、怖がりの聴き違い名人ってだけの人じゃぁなかったのね!!笑
驚きとしては、ハデス様に対しても。
キャラクターが、いわゆる「冥府の神ハデス」のイメージとして想像もつかないもので、存在自体が可愛く楽しかった(*´◒`*)
小山田先生の美しい表紙にも、きのこが描かれていますが、私、これ見た時に、なぜにきのこ?って思ったのですが———
作中にも、怒涛の勢いできのこが登場しまして、それがまぁ本当、妙に笑いを誘ってくるのです。
出てきたきのこの名前でピンとこないものは検索して…そして吹き出すっていう(#^.^#)
前作の主人公、海皇様×来人もたくさん登場。
変わらずの溺愛っぷり。
海皇様は来人が可愛くて可愛くて仕方なくって。それは、海皇様の心の広さに直結していて、普段はあんなに広く優しい心を持っているのに、来人に角崎さんが近づけば、心も猫のひたいほどに。
巻き貝になって拗ねたり、鉄砲魚になって攻撃したり、海皇様ってばいちいち可愛いんですよねーー♡
角崎さんがとても萌えさせてくれる人だったこともあって、角崎×ハデス様のお話をもっと読みたかった気持ち半分、海皇様と来人のその後を知れて嬉しかった気持ち半分。
登場人物に丁寧な説明いれてくださってるので、この一冊でも読めるかな。
でも、「沼の竜宮城で〜」から読むのをおすすめします。笑えて萌えての楽しい作品でしたので(#^.^#)