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omega no hatsukoi wa amai ringo no kaori
作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます
北欧が舞台で、 Ωは文明から離れた民族以外、人工授精でなければ誕生しない数の少ない貴重な存在になっている世界観。Ωは繁殖能力をなくしたαの存続のために国によって管理されている。ハルは珍しく自然妊娠で生まれたΩで、自分の両親を知らない。気づいた時には施設にいて、施設長の養子にされていた。今や珍しくなった自然妊娠で生まれたΩを観察するために。そして余計な知識を身につけないようにハルは世の中のことや文字の読み書きも教えられないで育ち、施設の中で18歳になった。自分のことを「ハルくん」と呼び、施設の人にお菓子や食事を作る仕事をしている。
そんなハルが施設の買い物に出た時に偶然出会ったのがコンラッドという医師。彼はハルの養父の実子だった。施設長親子が事故にあい、息子は死亡、父親は意識が戻らないという。コンラッドはハルと出会った短い時間で恋に落ち、ハルを救うために施設から連れ出してくれるが、逃亡先のフィンランドの北の果てでハルは初めての発情を迎え、コンラッドと結ばれる。しかしコンラッドの父親の容態が急変し、2人は離れ離れに。その後ハルの妊娠が発覚するが、コンラッドとは連絡が取れないまま、4年の歳月が経っていた。
コンラッドとの子どもユッカの教育のために、ユッカを連れてコンラッドの元へ向かうことを決意したハル。再会したコンラッドは事故の影響で視力も記憶も失っていた。
コンラッドと出会い、自分とは何か、自分の幸せとは何かを考えるようになったハル。そんなハルが下した決断に涙が出ました。
悪いのはコンラッドの父と兄、そして自分たちの繁殖のためにΩを利用し続けていたα社会なんだけど、その犠牲になったハルや不正を正そうとしたコンラッドが可哀想すぎました。タイトルにも書いたのですが、ハルにとって辛い展開が長すぎるんですよね。記憶をなくしたコンラッドのお世話をするシーンも、記憶をなくしたはずのコンラッドがハルとの思い出をぼんやりと覚えているシーン、そして何も告げないのに一目見てコンラッドを父親だと分かったユッカにも泣いてしまいました。
BL小説なのに(?)2人が致しているシーンは1回しか出てこないし、甘々な展開はなくて辛い境遇が多いんだけど、だからこそ2人が心を通わせ合うシーンがずしーんとくるんでしょうね。じんわりずっしりのお話が読みたい時にオススメです。
今回のお菓子も美味しそうでした。華藤先生のお菓子シリーズ?毎回本当に美味しそうに表現されてますよね。
今回の林檎のケーキ、めちゃくちゃ美味しそうでした。
今回のオメガもすこし可哀想な設定でしたね。オメガがなかなか産まれなくなった世界。遺伝子操作でオメガを作り出しそれをアルファと番にさせるというところから始まります。アルファはオメガとしか子供が授かりにくいそうです。
だからもっとオメガを大事にしてほしいですよね。
感情や感覚がほとんどなかった(知らなかった)2人が惹かれ合い、諸事情で離れてもまた惹かれあう素敵な話でした。
華藤えれな 先生の作品は、現地を必ず観て書いているのが常で、
この作品は、羽生君の試合の観戦で訪れた際にインスパイアされて書いた、とあとがきに有りました。
(主人公のΩは、羽生君のイメージ?とは関連ない。)
ノーベル賞授賞式がある地域が背景。
かつていたα、β、Ωのバース性のうち、Ω種だけが、自然に出産されなくなった時代。
発達障害の美少年Ω、ハル君。素直で、健気。
ハル君は、何かから逃げて、一人息子とひっそり暮らしている。
息子に「パパ」について問われて、ハル君が追想する形で過去の出来事が綴られる。
ハル君と出会った医師のコンラッドは医師、両親の離婚で別離した兄と父親が居た。
父と兄が研究していたのは「人工Ω」、島に隔離された研究所に所属していた。
「出来損ない」のハル君の養父は、別れたコンラッドの父と兄で、ハル君は研究所の施設に居住している。
兄と父が乗った車が事故を起こし、兄夫婦は即死。父は重体。何者かに暗殺されたらしい。
後ろ盾を失ったハル君の待遇が変わる。「出来損ない」として施設で虐待される。
苦労人の美少年Ωは、運命の番と出会い発情、そして父親そっくりの子を出産
しかしコンラッドにも不幸が重なって、身動き取れずにいた
・・・という展開で、
母子と父親が再会して、三人は幸せにやっとなれました。
発達障害のハル君は記憶力抜群。そして、料理上手。
林檎のお菓子がいくつか登場するのですが、凄く美味しそう。
華藤先生のいつものパターンなので、安心して読めます。
ファンタジーは、幸福感に満ちていなければ楽しめない。
華藤先生のオメガバ大好きなんです。だから毎回購入してます。
以前のレビューにも書いてますが、先生が実際に現地を訪れているので空気感や情景描写がとても秀逸なんです。
そしてオメガバと言っても趣向が毎回違っているんです。
ただ、健気なオメガと程よい当て馬と、夜中に読むと空腹を刺激される美味しそうな食べ物が毎回共通してます。
何度ネット検索してポチりそうになった事か…。
今回の作品はオメガを取り巻く環境がキツかったので、最後までハラハラさせられました。
特に法律面がキツくて閉塞感を感じさせる世界観でした。
それにコンラッドの母親の言動と行動がチグハグな感じがしました。彼女は正義感が強かったので、終盤の選択に違和感を覚えてしまいました。あれが1番キツかったかな?そこだけが引っかかって神にはなりませんでした。
出会ったなら何度でもハルに恋をするであろうコンラッドが、いつになく情熱的な攻めだと思いました。
金髪攻めは好きなので購入してみましたが、攻め受けとも不憫すぎてしんどかったので中立にしました。最近シリアスがダメだなあ。華藤先生がお好きな方でしたら安心してご購入いただけると思います。白夜だのオーロラだのが出てくる北欧舞台のお話、本編260Pほど+あとがき。
医療研究施設の所長のもとで育てられ、そこの社員食堂で働くハル。数字の計算は得意だけど、他のことは今一つで、発情も迎えられない「残念なオメガ」と虐げられています。ある日、仕入れに出かけた市場からの帰りに、ある男性とぶつかって・・と続きます。
攻め受け以外の登場人物は
ユッカ(受けの子)、医療研究施設の方々、攻め母、マーヤ(攻めに絡む♀)ぐらいかな。
++ 以下 より内容に触れる感想
受けが不憫なのは華藤先生デフォルトだと思うのですが。当作は攻めの方も試練たっぷり目でした。事故にあって失明するわ、ケガするわ、記憶飛ぶわ、踏んだり蹴ったり。そこから、受けさんが「なんとかしたい」と頑張って攻めのところに行って状況改善したし、最後の最後は攻めも頑張って受けをゲットしにいったという感じなので、攻め受けとも頑張る!というタイプのお話が好きな方でしたら、嬉しいかもしれません。
お子様は可愛いっちゃ可愛いし、良い子ですが、めちゃくちゃご活躍か?と言われると?です。攻め受けの波乱万丈話という感じかな。最後はハピエンなのでどうぞご安心ください。
攻め受けともキャラ的にはめっちゃ萌えるポイントを感じられず、お話は一気に読んでしまうタイプのお話で「きゅーん」を感じる箇所があんまり無かったでした。攻め受けの不憫設定がてんこもり過ぎたからだろうか?
夏河さんの絵柄が大好きでして。
夏河さんの描かれた表紙を拝見してつい手に取り、あらすじを読んで速攻でお買い上げしました。
華藤先生ってヨーロッパとか北欧が舞台のお話を書かれるイメージが個人的に強いのですが、今作品もそのイメージを損なうことのないお話でした。今巻はタイトルからもわかるようにオメガバースもの。オメガバースものは作家さまによって、あるいは作品によって若干雰囲気が変わりますが、今巻のオメガちゃんはかなり劣悪な環境に置かれています。初っ端から切なさMAXで、一気にストーリーに引き込まれました。
ネタバレ含んでいます。苦手な方はご注意ください。
主人公はオメガのハル。
彼は実の両親はなく、「おとーさん」と彼が呼んでいる人物に育てられています。18歳になった今も発情期が訪れず、数字の計算には強いもののほかのことに関しては記憶力も低く通常の生活を送るのも苦労している青年。「おとーさん」には残念な不良品と言われ怒られることもよくあるが、彼自身、それを仕方のないことと受け止めている。
そんな日々を過ごす彼だったが、ある日一人の男性と出会う。どことなく「おとーさん」に似ているコンラッドと名乗る青年は、ハルは欠陥品ではない、素敵だよと言ってくれる。ハルはコンラッドにいろいろなことを教えてもらい、知らなかった世界を知り、その過程で少しずつ惹かれていくが―。
というお話。
ハルが住んでいる場所。
ハルのおとーさんの存在。
そして、コンラッドがおとーさんと似ている理由。
伏線がそこかしこに撒かれていて、それらを少しずつ回収しながら進むストーリーです。
序盤、ハルがユッカという名の男の子と暮らしている描写からスタートしますが、そこからハルの過去の回想に入っていく。その流れが実に秀逸です。ユッカとハルの関係は、ユッカの父親は誰なのか、ハルとユッカはなぜそこに二人きりで暮らしているのか。
そして、そこから過去の回想に進んでいきますが、序盤でハルの健気さとかユッカの可愛さに心鷲掴みにされているので、彼らの抱えるものが何なのか気になって気になってページを捲る手が止められない。
薄幸なオメガが、スパダリのアルファに愛され幸せになるお話。
そんな王道のストーリーを思い描きつつ読み進めましたが、いやいや、その予想を遥かに上回る複雑で切ないお話でした。
ハルという青年は、いうなれば子どもの様。
幼い時からとある理由から外の世界を知らずに育っていて、それ故に何も知らない。その理由が非常に胸糞ですが、そこから彼はコンラッドの手を借りて、自身の意思で飛び出していく。そこに、コンラッドへの愛があるからですね。けれど彼は自分だけよければいいという思考を持つ青年ではなく、思慮深い青年。守られるだけではなく、愛を知った、そして守るべきものを得た彼の強さがカッコいい。その彼の気高さにも萌えが滾りました。
そしてコンラッドも。
彼がね、スパダリなんですよ。スパダリなんですが、ハルを守るためにとあるアクシデントに巻き込まれます。そのアクシデントに巻き込まれたがゆえに王道のスパダリではありません。ありませんが、彼のカッコよさにも悶絶しました。
しいて言うのであれば、彼らを取り巻く周囲のお話をもう少し書き込んでくれていたらな、と少し思いました。すごく根深いオメガへの差別がバックボーンになっているのですが、そこがさらりと描かれてたのが残念。あえて書かないことでシリアス過ぎないお話にしたかったのかなとも思いましたが、個人的にはそこをもう少し掘り下げてくれていたなら、奥深い作品になったような気がしました。
が、シリアスさと、二人の相手を思う愛情と、そしてユッカの可愛さのバランスが秀逸で、そこに夏河さんの描かれた麗しい絵柄がぴったり合っていて、めちゃめちゃ萌えました。