条件付き送料無料あり!アニメイト特典付き商品も多数取扱中♪
ryuzochou sanchoume mada yonenme no natsumatsuri
作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます
以前出ていた単行本に、掌編が追加されてでてますね。
今回の中心CPは元ヤン龍×奥手で真面目な明信と、元ヤン職人勇太×末っ子真弓、かな。
竜頭町では大掛かりな夏祭りの準備に余念がありません。
やんちゃしていた龍は祭囃子の音を聞けば血が沸き立つけれど、大人しい明信は人知れず憂鬱そう。
空気を読んでばかりの明信はその憂鬱さを長年誰にも見せないようにしてきたけれど、それに気づくのが、価値観が全く違う龍というのがまず愛だよな、と。気がついた上でとった龍の振る舞いも、かつて暴れまくっていた男とは思えない優しさで、この二人が静かに互いを気遣い合う姿がまずは見所です。
末っ子カップルの方はもっとややこしいです。
地元っ子だらけの商店街で、高校時代、親に連れられてやってきた勇太は言ってみれば異邦人。そんな彼が地元で職人の道を選び、いつも一緒にいたはずの真弓が知らない交友関係を地元で築いている。そしてその姿を真弓に見られたくなさそうにしている。
それに対して真弓はどうして良いかわからなくなります。
さらに真弓自身、子供の頃は女官として参加し、中学で女官を辞めてからは男衆として参加する事から遠ざけられていた祭にどう向かい合うべきか悩み中。
女になりたいわけじゃないけど、女姿を愛してくれていた人の愛情や自分の過去を踏みにじりたいわけでもないから、単純に男として参加したいわけでもない。というかそもそもいつも周りが喜ぶように行動していたから何がしたいかわからない…というわけで悩んでドツボにハマってます。
そんな真弓に周りはどうして良いか分からずにいて…という。
こうやって言葉でまとめると簡単だけど、それを表す具体的なエピソードの積み重ねがとても繊細なのがこの作品の魅力だなと思います。
心にちくっと刺さる痛みをとても丁寧に掬い上げて書かれるので、もどかしさもあるのだけど、そのもどかしさに登場人物たち互いに対する愛と登場人物への作者の愛を感じます。
トラウマエピソードが良くあるテンプレではなく、この登場人物だからこそ、のものになっている事、それに対してのパートナーの悩み方も通りいっぺんのテンプレじゃなく、その二人だからこそ、の悩み方をしているなあと。
歩み寄りかたがシリーズ序盤と比べて少しずつ成長していっているのも魅力的でした。
楽しそうな夏祭りを背景にひっそりと進む物語でした。
単行本にはなかったおまけ?の掌編は秀と大河の高校時代の思い出話。帯肩家3カップルの中で一番奥手な二人の淡ーい淡ーい恋の話とそれを聞かされる家族の、家族だからこその居た堪れないむず痒さが味わえます。
最近の帯刀家の物語は、ある意味、延々と続く繰り返しの様な気もするのですが。
ただですね、巻を重ねる為にただ繰り返しているのではないと思うのですよ。
って言うか、一度頭で理解したり、もしくは誰かに抱き留められて、その時は昇華したと思った傷は消えてなくなる訳じゃない。
ちゃんとあるんです。
なくならないだけじゃなく、時折、痛んだりもする。
だから何度でも、考えたり、言葉に出したりして、彼らは慰め合わなければならないんだと思うんですね。
この外伝は、大学2年生の真弓が祭りで神輿を引くか引かないか、浴衣は女物を着るのか男物を着るのかについてぐるぐると悩む話です。こう書くとホントにコメディなんだけど、でも、悩む理由はそこはかとなく悲しい所がある。
同じ様に明信が祭りをどう思ってお囃子隊に入って来たのか、龍が気づくお話でもある。この龍は本当にかっこいい。だけどそのかっこよさは、彼の悪行とその反省の結果得たものなんだよね……。
『毎日晴天!』という帯刀家のシリーズの主役たちは、本来であれば、子ども時代に充分与えられて育つべきものがきちんと与えられないまま、大きくなってきた人たちです。
シリーズが始まった頃は、子ども組も大人組も、おまけに歳の差組も、みんな今より若かったですからね。自分の今に一生懸命で、なかなか過去の自分を振り返ることが出来なかった様な気がします。
子ども組まで20歳を超えた今、『本当の大人』がいない中で、彼らが互いに大切にしようと思っているのに取りこぼしてしまった様々なことを思い出すという最近のお話の形は、ちょっとばかり私の鼻の奥をツンとさせます。
多分これは、年寄になったからなのでしょう。
『ほっこりとした寂しさ』なんていう、矛盾した感情が同時に巻き起こる帯刀家のお話。菅野さんは一体いつまで書いてくださるのでしょうか?
真弓と勇太が別所帯を持った後も、時々書き続けていただければ嬉しいです。
あ、エンドって志麻姉の帰宅か?
龍のデスエンドか?(笑)