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futsugou na junai
本来なら苦手な年下攻でしたが、まったく気になりませんでした。
読み始めて三分の一を過ぎても、ラブのかけらもなかったんですが、ただラブ抜きでもストーリーは面白かったので、マイナスではないです。
ただ、裏表紙のあらすじがちょっと・・・間違ってるというわけではなく、本文の半分より以降の内容に触れるのはやめてほしかったです(こういうの、たまにありますね・・・)。
いやもう、真生(受)のキャラクターがイイんです。征永(攻)はちょっと真面目で融通聞かなさすぎですが、真生にはぴったりなんじゃないかと思いました。年下攻でも、こういう組み合わせならOKですね。
年下攻の何がダメかって言うと、受の『年上としてのプライド・こだわり』がうるさすぎて、鼻につくことが多いんですよね(必ずしもこれだけが理由ではないですし、描写にもよりますが)。これを昇華するひとつのパターンが『女王様と下僕(ヘタレ・ワンコ)』なわけで、実際私の『年下攻だけど好きな作品』はこれに分類されるものが多いんですよ。特に女王様趣味ではないんですけどね。
真生が『女王様』かどうかは読み手次第で判断が分かれるとは思うのですが、作家さんもあとがきで言われてるように、真生が実年齢だけは上だけど、精神年齢が低いんですよ。でもそれが魅力になっているんです。
黒崎さんのキャラクターは、やっぱり好きですね。とても面白かったです。
うーん、でもひとつ言うなら、最後のSSに出てきた脇CP(?)でしょうか。なんというか『さわり』だけって感じで、もちろんスピンオフの前振りならまた別ですが、半端すぎてちょっと・・・これなら、本編の裏で彼らの側面は実は、というだけで、ラブには触れないか(そうもいかないか)、完全に『過去の話』に留めた方がスッキリしたんじゃないかと思いました。
誰もがため息をもらす天使の様な外見を持っている真生は、その外見とは裏腹に本当はとんでもない乱暴者でおこりんぼう。しかし、素のままを周囲の人間に見せるとかなり失望されてしまうため、仕方無く巨大な猫をかぶって生活していた。
そんな真生はある夜、酔っ払いに絡まれて、けがをしたところを行きつけのバーのアルバイトに助けられる。
その年下に見えない青年・征永は、本業は弁護士を目指す大学生だったのだが、真生が素の自分をさらけ出しても引くことは全くなかった。
それどころか、真生のことをずっと前から好きだった、と言い出す。征永にそう言われて、嫌悪感のなかった真生は、ついでにカラダまで繋げてしまう。カラダをつなげても、全く嫌悪感がなく、それどころか気持ち良かった真生は、「もしかしてコイツ、超お買得?」と、征永と付き合い始める。
ところが付き合っているうちに、真生はこの誠実で都合のいい年下の恋人にすっかり溺れてしまう。
けれど、真生はじきに征永が自分へと向ける愛情が実はワケありの贋物だったと気づいてしまい!?
こんな年下の恋人はぜひ、欲しい! と、思ってしまう。
器が大きくて、優しくて、面倒見てくれて、でも、こっちの言うことにはちゃんと耳を傾けれる素直さも持ち合わせて……うーん……年上、冥利に尽きる恋人だね。
ただ、ちょっと潔すぎる点は問題ありなのかもしれない……本当に別れたかったらあとくされなくていいんだけどねー……本当に、別れたくなくて、あっさり納得されちゃうとちょっとショックな気持ちはよくわかる。
でも、結局は最後はちゃんと仲直りできて、ついでに征永も家族と向き合えるようになって、ハッピーエンド! でした。
優しい年下の恋人の包容力にキュンキュンしちゃってください!
黒崎あつしさんの書かれる受けの性格、タイプは違えどみんな好きです。
いい意味でアホで、前向きなのだ。
マイナス思考すぎる受けが多いBL小説のなか、私にとっては清涼剤みたい。
外面と中身の違う主人公と、まっすぐな年下受けのお話。
誤解や勘違い、説明不足が絡み合って行き違うんだけど、最終的にはハピエンです。
受けが攻めに別れを言い渡す場面が切なかった。
理路整然としたオトコマエすぎる受けの別れの言葉。それを受けて、さっと身を引く攻め。
胸が痛かった。
ぐだぐだと別れ話をしたり、引き止めたり泣いたりするよりも、あっさりした別れのほうがずっと切ないかも…と思った。
ひとつ難を言うと、いわくありげに登場した一癖もニ癖もありそうな美形の脇役たちが、活躍しきれてなかったような気がします。