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浮世離れした研究者が出会った正体不明の男は、 果たして理想通りの運命の恋人か、それとも――!?
shousetsu no toujojinbutsu to koi wa seiritsusuruka
作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます
水原先生のお話ってたまに性癖に突き刺さって来るんです。
今回のこの作品はですね、読みながらこの主人公の一彬って頭大丈夫?って思いながら読んでいました。
だって自分の創作した小説の登場人物が実在したとか思っちゃって。
まあアニメや漫画の好きなキャラクターに実在しているか如く恋している方もいるから否定はしませんけどね。
でも「ミヅチ」って自分が創り出したってのは確実なんですよ。なのに水口と会ってる時でさえ「ミヅチ」かどうかと考えている。
まるで恋する乙女状態なんです。
水原先生の上手いところは怪しい人物が3人出て来るんです。
1人は「ミヅチ」にそっくりな水口。
2人目は職場の後輩女性の愛崎エリカ。
3人目は「ミヅチ奇譚録」のファンだと自称する一彬の出身大学の後輩留学生の劉。
ただ読者には誰が1番危ない人物かが分かってしまいます。分からないで鈍感なのは一彬だけなので、かなりイライラして来ます。
自ら危険を招き入れる行為と言動に「アチャー」ってなるんです。
水口と恋仲になりながらも忠告を聞きやしない。しまいにはいくら恋人でも友人関係に口出しされたく無いと、頑な態度を取ってギクシャクしたりする。
そしてしまいには犯人の偽メールにあっさり呼び出されてしまいます。もうあまりのおバカさと間抜けさにイライラですよ。
でもそれが水原先生の狙いであったなら、まんまとわたしは乗せられてしまってる訳です。
後に明かされる真実になるほどと感心するのです。
一彬と水口は恋人になるのは早いですが、最後まで抱き合うのは事件が解決した後なので甘さは少ないです。
そして一彬が水口に惹かれる理由は数え切れない程ありますが、水口が一彬を好きになった理由がいまいち弱いです。
最後に水口から告白してましたが、何でそこまで惹かれる要素あった?って思ってしまいました。
実際水口がとても素敵に書かれているだけに、一彬を選ぶ理由が意味不明。
主人公なのにすいません。
それから特別賞を愛崎にあげたい!
読んでて1番共感出来たし、彼女のいたたまれなさに代わりに叫びたくなりました。
そして彼女には幸せになって欲しい。
男運悪すぎる。涙
エリカー‼︎‼︎‼︎
近年の作風は終始穏やかなラブストーリーに落ち着いてしまった感がありますが、過去の水原作品比とはいえ今回もそんなにハラハラすることなく読了しました。主人公のセリフ回し(心の声)も軽妙で新鮮です。でもお話としては往年の作者らしさを端々に感じて少し懐かしく、じんわりと嬉しくなりました。
タイトルからコメディや異世界ファンタジーものかな?なんて思って読むとドキドキできるかもしれません笑
小柴一彬は製薬会社の研究員として働きながら、ブログで毎週オリジナル小説をアップするのが趣味。「イチノアキラ(一の彬)」のペンネームで現在連載中の『ミズチ奇譚録』はちょっとした人気を博している。主人公のミヅチは探偵業。代々水使いの家系で、水の神から授かった特殊能力を活かし、優雅に事件を解決していくシリーズものだった。
会社帰りに常連のカフェで執筆するのが習慣の一彬。いつもの店が満席だったので場所を変えて小説を書いていると、なんと目の前に自分が生み出した「ミズチ」にそっくりな男がいる!
店を出ようとする彼の後を思わず追いかけた一彬。入れ違いになった女性のためにドアを開けて譲ったミズチ似の男と目が合った時、一彬にはビビビッとくるものが…。以来、一彬は男の正体が知りたくてミズチ探しを始める。
ある日、彼を見かけたカフェで、一彬が「イチノアキラ」ではないかとしつこく声を掛けてくる青年に詰め寄られて困っていると、再びミズチそっくりさんが現れてその場を助けてくれます。それから二人は知り合い、たびたび会うようになっていくのですが…。
冒頭からしばらくは、これはファンタジー?と現実味をあえてぼやかした「ミズチ」と一彬のやりとりが続きます。実生活の一彬も30才にしては妖精さんばりの内向的な人物として描かれ、職場の後輩女性との絡みもいかにも理系同士で色気のかけらもなく。ただ、この愛崎エリカという後輩ちゃん、ほとんど存在感を消しているんですけど、地味にかわいい奴だったりして。水原作品で女性キャラがフィーチャーされるのは珍しいかも。
後半、カフェで一彬が「イチノアキラ」だと見破り、ファンだと言って一彬を困らせた青年と本屋で再会してから、事態は怪しい展開を見せます。いよいよ「ミズチ」が現実味を帯びてきて、一彬の身辺にも不穏さが漂い始めるのですが…。
痛くない水原作品に慣れつつあるけれど、今作に感じたフィクションとリアルが常に隣り合わせの微ホラー感は、作者らしくて少しだけ安心しました。
しっくりくる文体とサマミヤアカザ先生の繊細で色っぽいイラストに身悶えることしきりでしたが、爆発しそうでしないストーリー展開や作品のトーンにもどかしさを感じたのも事実…。
でもやっぱり次作も楽しみにしています。
「小説の登場人物と恋は成立するか?」というタイトル。
見ただけで気になる吸引力の高いタイトルに見事にするっと吸い込まれて購入。
読みながら、これはファンタジーなのか現代ものなのか?
なんて、日常との境目が分からなくなるような面白さと、ちょっとミステリーものっぽい要素もあったりして。
ストーリーが面白かったです。
水を操る特殊能力を持った主人公が奇々怪々な事件の数々を華麗に解決していく。
そんな、自身が趣味でブログに執筆している小説「ミヅチ奇譚録」の主人公・ミヅチとそっくりな美丈夫と出逢ってしまった一彬。
「ミヅチ」ではなく「水口」だと名乗るその男と、ひょんなきっかけから親しくなっていきますが…
ミヅチとは、対人関係が苦手な一彬が、自分とは真逆の「理想とする男」として作り出した小説上に登場するキャラクター。
そんな、頭の中で想像して小説に書いていた理想のキャラクターが、そっくりそのまま現実世界に飛び出して来たような感覚に陥り、一彬がどんどんと混乱していく様子が面白いです。
容姿も発言も、あまりにもミヅチとの共通点が多い水口。
これは現実?彼は自分が書いたミヅチなのか?それとも?
一彬視点で描かれていくので、意味深な発言を繰り返す水口に惹かれながら、読み手も一彬と共にそわそわする。水原先生の話運びが上手い。
だって、ここまで「理想」に似ていたら気になって仕方がないじゃないですか。
小説の読者だと言って近付いて来た、気さくで憎めない外国人留学生の劉。
彼には気を付けろと言う、謎だらけの水口。
誰が敵で味方なのかが分からなくなる面白さ。
謎めいた部分が明かされていくところは非常に楽しめました。
と、面白いなと感じる部分も沢山あったのですが、BL的に萌えたかと言われると正直分からない。
設定はすごく面白かったんですけど。
ちょっと、読み進める手がなかなか進まなかったんですね。
辛口めになります。すみません。
なぜかと言うと、一彬のキャラクターが鈍感すぎるのが気になってしまって。
これで、登場人物達の恋愛模様がグッと来るものだったりしたら気にならなかったのかもしれない。
しかしながら、そこまでグッとも来ない。
なぜ水口は一彬が良かったのかが分からないですし。
人生悪いことばかりだった自分が、理想の人と出逢って以来、まるで小説のように上手くいっている今が信じられない!という事を表現するためなのは分かるのですが、過去に付き合っていた女性への誕生日プレゼントの件に引いてしまって。
同僚の愛崎さんへの対応が終始無神経だったことも気になりますし、この受けの良さはどこなの?と、分からなくなりました。
女性とのエピソードは不幸でもなんでもないし、黒歴史扱いをした後に水口との出逢いは運命だと言われても…
可愛気よりも鈍感さのほうが目立つ度に受けのお尻を引っ叩きたくなっちゃう。
うーん、あくまでも個人の感想なので、気にならない方は気にならないと思います。
ストーリーと謎の部分、ミステリアスなヒーローのようなかっこよさがある水口は好みだっただけにちょっと残念。
もっと萌えのある鈍感さだったら良かったなあ。
同僚の愛崎さんはすごく可愛らしい人でしたね。
優秀な研究者でビジュアルも麗しく、ファッションや日常生活も丁寧系で
文才もあって、陶芸にも手を出しちゃう趣味人で、だけど友達少なめって、むしろ孤高じゃん?
単4電池とか陶芸展の件とか、全て鈍感で片付けるんじゃない、お前はもっと出来る子のはずだ、と思ってしまう。
性格はともかく表面上は出来る男のカズと、これまた嫌味なくらいの釣り書きができそうな攻め様で、むしろ萌えは生まれなかった。
そして、大手企業なのに研究データ社外持ち出し可の会社って、まだあるの?