メスを握る大天使

scalpel wo nigiru Michael

メスを握る大天使
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神0
  • 萌×25
  • 萌3
  • 中立1
  • しゅみじゃない1

--

レビュー数
3
得点
30
評価数
10
平均
3.2 / 5
神率
0%
著者
春原いずみ 

作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます

イラスト
藤河るり 
媒体
小説
出版社
講談社
レーベル
X文庫ホワイトハート
発売日
電子発売日
価格
¥800(税抜)  
ISBN
9784065206072

あらすじ

天才的な腕をもつ外科医・小泉詩音には、重すぎる過去の秘密があった。だが、同じ外科医の芳賀行成にそれを暴かれそうになって……。

表題作メスを握る大天使

至誠会外科病院と契約したフリーの心臓外科医
至誠会外科病院勤務の心臓外科医

その他の収録作品

  • あとがき

レビュー投稿数3

新シリーズ開幕!!

今回はフリーランスの腕利き心臓外科医と
恩師の急死で大学病院から転院してきた心臓外科医のお話です。

至誠会外科病院に入局した2人の出会いから恋人になるまで。

受様は心臓外科医である父と看護師の母の間に生まれた1人息子です。父は
ドイツの大学に招かれ、医師として働きながら大学教授として教鞭をとっ
ています。父の意向で母子は日本に残り、受様は父と同じ心臓外科医と
なります。

受様は大学から医局に入り、恩師の下で心臓外科医としての腕を磨きます。
恩師は手術の腕も院内での政治力にも長けており、受様は恩師の秘蔵っ子
で後継者とみなされていましたが、恩師が半年前に事故で急逝、院内での
受様の立場が微妙になり、教授戦に敗れた事から孤立してしまいます。

そんな受様に声を掛けてきたのが、恩師の友人である至誠会外科病院の医
院長です。医院長は受様の恩師の友人でもある外科医したが、不慮の事故
で利き腕の腱を切った事から循環器内科に転科した経歴の持ち主です。

至誠会は関東を拠点とする一大医療ネットワークですが、その中でも外科
病院は手術を要する外科に特化し、内科は外来のみの特殊な病院です。
ここに赴任した外科医は手術の多さ、症例の多さで爆発的に腕を上げてい
きますが、裏を返せばそれだけの激務でもありますが、居場所をなくした
受様は至誠会に移る事となります。

そんな至誠会外科病院に受様と同じ日に着任した心臓外科医がもう1人いま
した。受様の同僚となるこの外科医こそが今回の攻様になります♪

攻様は腕1本であちこちの手術室を渡り歩くフリーランスの心臓外科医で、
就職ではなく、週4の契約で至誠会外科病院に勤務する事となったのです。
医院長は豊富な経験のある人材として攻様を求めたようでした。

至誠会外科病院は手術を前提とした紹介状持参の来院が基本のため、手術
前検査は済んでいる事が多く、検査がきちんと行われているかの確認と
患者をしっかり見る事が診察の肝となります。

受様はある事情から、他人との接触が極端に苦手で苦痛でもあった為、
検査技師や電子カルテ入力を行うクラークも断って自身で行い、辛うじて
診察介助の看護師だけをつけて診察をする事としますが

大学病院では数多くの患者を診るために最低限の説明しか来なかったため、
患者を怒らせてしまうのですが、受様には何が悪かったかもわかりません。

果たして受様は新しい病院で居場所を見つけられるのでしようか!?

春原先生のホワイトハート文庫の新作は外科に特化した病院を舞台にした
外科医同士の恋物語となります♪

受様は学生時代から性別も年齢も不詳と言われ続ける程の美貌と神業め
いたメスさばきから『メスを握る天使』と呼ばれていました。それは
受様が手術室の中でしか忘れられない秘密を抱えている事に起因してい
るのです。

受様の抱える秘密は本作の巻頭から触れられているので、読者は受様の
抱える秘密を共有して、物語を読み進められます。受様が負った傷は
誰にも打ち明けられなかったが故に、年を追う毎に深く深く受様を蝕ん
でいくのです。

攻様は『メスを握る天使』と呼ばれる受様の美貌にも外科医としての腕
にも興味新々ですが、受様は攻様と同僚以上の親しい関係を築くつもり
はありません。

そんな2人がどうやって近づいていくのか? 受様の秘密はバレるのか?
バレた後に受様はどうなるのか?

患者との関りや手術の様子などを巧みに挟み込みながら門語りは進むの
で、受様が攻様の手を取るまで、ハラハラしつつもワクワクも止まらず
楽しく読ませて頂きました♪

攻様にもハーフの女医を持ち、スリークォーターの異父兄がいたり、
アメリカの医師免許を取得していたりと過去にはいろいろありそうなの
で、来月のに次巻もとても楽しみです。

春原先生は現役の医療従事者なので医師モノはお得意なのですが、前作の
救命救急センターを舞台としたお話はまさかスピンオフ連続でシリーズ化
したので、本作も長くなると良いなと個人的には思っています。

本作に脇役で出ている麻酔科医のお話がWEB限定で先行配信されているの
ですが、紙書籍の積本が消えないと読めなそうで手が出せません。まずは
来月刊の次巻を読んでから考えようかな。

1

シリアスで甘いお話。

まず、病院という命を扱う現場がリアルに描写されているところが良い。日々運び込まれてくる患者とそれに向き合う医師として従事する人々の姿がしっかりと描かれていることによってこの世界観がグッと締められています。
決して小泉と芳賀の二人だけの世界ではない。例えば小泉の昔馴染みも同僚として登場しますが、彼の仕事ぶりもきちんと描写されているし、そこで働く人々の描写が全編通して描かれています。大病院ならではの派閥や島流し的なやり取り、病院経営に関する一面も現実っぽくて、そこだけでも読み応えがあります。

作者の他シリーズも読んだことがあるのですが、とにかく医療現場が詳細に描写されていて読んでいると自分も手術に立ち会っているかのような錯覚に陥ります。

あと主人公の描き方も良かった。小泉は人との関係を築くことが苦手で人と目を合わせて話をすることもうまくできない。一人称も人に対しては「私」と言ってどこか距離を取ろうとしているのに、気持ちがぐらついている時に無意識に「僕」に変わっていたり。後々芳賀に対しても「僕」の一人称に変わっていくのですが、そんなちょっとした描写が可愛らしい。
主人公は天才と言われるほどの技術を持っているものの、心は未発達。そんな彼におおらかに優しく接しようと芳賀がやってきます。この芳賀もいい人物でした。
イケメンで仕事もできる。けれど完璧ではない。

主人公のあるトラウマがこの物語の根底にずっとあるのですが、そのトラウマを芳賀にカミングアウトするシーンがあるのですが、そのシーンに行くまでにもう少し期間があれば良かったと思ったことと、途中、芳賀が自棄になって主人公のトラウマを激しく刺激するシーンがあるのですが、読みながら「芳賀!それ一番やったらあかんやつ!」とツッコミを入れてしまいました。なので神評価までは行かず。
続編も出ているのでそちらも読むとよりこの世界観を味わうことが出来ます。

1

このエロはいらないから!!

心臓外科医×心臓外科医による医療ものであり、主人公救済ものでもあります。
「恋する救命救急医」も既読(全てではないです)なんですけど、そちらに比べるとかなりシリアス寄りになる作品なんですよね。
受けの身に、過去に起こった出来事と言うのが凄惨でして。

えーと、主人公である小泉ですが、その美貌と天才的な腕から「メスを握る天使」と呼ばれる心臓外科医。
ただ、極端に人と関わる事が苦手で、周囲から浮いてるんですよね。

で、そんな彼から冷たい態度をとられつつも、飄々と絡んでくるのが同じく天才外科医である芳賀。
アメリカで医師として働いた後、今度は日本であちこちで腕を乞われてはフリーランスで活躍する、なかなかの規格外れな人物になります。

基本的には二人の外科医としての日常を通して、彼等の距離が縮んで行く様が語られって形になるんですね。
小泉は完全に他人を拒絶してますが、持ち前の人懐こさと朗らかさでグイグイ近づいて行く芳賀と、二人のやりとりなんかが萌えのです。
また、芳賀がとても包容力があって、とにかく格好いい。
過去のトラウマや罪悪感から、常に張り詰めた精神状態である小泉。
そんな彼を、深い愛情とあたたかい物腰で包み込んでって感じで。


実は小泉ですが、親に連れられてアメリカに行った際、通りすがりの男達にレイプされたと言う過去がありまして。
しかも反撃したはずみで、相手を殺してしまった。
まだ15歳だった彼はその事を親にも言えず、一人でレイプされた心の傷と自分が殺人者だと言う罪悪感に耐えてきたんですよね。
医者として一人でも多く患者を救う事で、生きる事をなんとか自分に許してると言いますか。
このレイプシーンだの、主人公の苦悩だのがかなりしっかり描写されてます。
その為、読んでてしんどいんですよ。

だからこそ、そんな彼が攻めによって心の重荷から解放されると言う、主人公救済部分に感動するのです。
まぁ、オチは予想がつくんですけど、とりあえず良かったと。
とても優しくてあたたかいお話でもあるんですよ。

ただ、こちら、そんな感動的なお話ではありながら、個人的にどうにも許せない所もあってと、なんだか評価が難しくて。

いや、う~ん・・・。
芳賀ですが、わりと早い段階で、酔って寝てしまった小泉に手を出してるんですよね。
最後まではやってないけど、身体を触ってと際どい所まで。
別に、これ自体は良いのです。
受けに惚れてる攻めが、相手の無防備な姿に欲情して手を出しちゃうって、個人的な萌えパターンですし。
この時点では、ニマニマしてた。
が、終盤で、実は再会ものだったと明かされるんですよ。
そう、芳賀ですが、小泉のレイプされた過去を知っていた!

いやさあ、現在の小泉の様子を見てれば、レイプが強いトラウマになってるの分かるじゃん?
なのに、酔って動けないのを良い事に手を出したの?と。
あり得ないわ~
終盤で、酔った勢いとトラウマの凄まじさを理解してなかったから~みたいな事を言ってますが、酔った勢いって!
より嫌だわ!!
そして、理解してなかったって!
どう見たって、トラウマでガチガチじゃないの・・・。
お前、優秀な医師じゃないんかい!と。

これね、自分でもこんな細かい部分でやたら引っ掛かって許せないって、心が狭すぎると分かってるんですよ。
でも、レイプで心に傷を抱えてる相手で、自分もその過去を知ってて、その上で手を出すってあり得ない!と。
百歩譲って、相手が普通の状態なら許せるけど、酔って動けない状態だし。
こいつ、卑劣なレイプ犯達と変わらぬ!と。

や、個人的にエロは大好きですが、この場合はいらないから!
いらないから!!
抱き締めて眠るとかなら、深い愛を感じて萌え転がったから!!!
これほど包容力があって人の気持ちにも聡い攻めが、何故こんな暴挙に出たのか・・・。
これが読者サービスとしてのエロなら、完全に外してると思うんですけど。

う~ん。
まぁそんな感じで、すごく素敵なお話だとは思うんですけど、どうにも個人的に引っ掛かって許せない部分もある。
いや、こんな所で青筋を立ててキーキー言ってるの、私ぐらいの気も大いにするんですけど。
本当、すみません。

最後になっちゃいましたが、藤河るり先生のイラストがめちゃくちゃ美しいです。
攻めは格好いいし、受けはただただキレイ。
スクラブ最高だー!
手術着も最高だーーーー!!

10

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