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itsuka afureru
数ページ読んだだけで、書き慣れた文章、細やかな心理描写、不自然さのないストーリー展開。うまいとうならされます。
主人公遊佐叶(ゆさかなえ)の付き合っている男は最低の男で、機密情報を他社に売ろうとしたことが、篠崎にばれたところ警察沙汰にしないでほしいと遊佐を篠崎に差し出して自分はさっさと逃げ出したのです。
遊佐も共犯だと疑われ、営業課から篠崎の技術開発部門にひきぬくかたちで、篠崎の監視下に置かれることになります。
平日は新しい部署で神経をすりへらし、土日は篠崎に抱かれる日々に、徐々に疲弊していく遊佐。
そして自分を篠崎に売った男が再び現れ、遊佐と篠崎の関係をばらされたくなければ機密情報を盗んでこいと脅迫されます。
いっしょに仕事をしだして、その人柄にも好意や憧れを抱くようになった篠崎の窮地をなんとか救いたいと遊佐は、とうとうデータを手に入れて。。
遊佐の追いつめられていく心理状態、新しい職場でなんとか役に立ちたいと神経をすり減らす様子が、きめ細やかで、ついつい遊佐を応援してしまいます。
篠崎に憧れていたので、篠崎と肉体関係を結ばなければ篠崎チームに入れなかったという劣等感もあります。なんとか篠崎に認められたいと頑張る遊佐がいいですねえ。。
急に部署がかわるのって大変なのねって、サラリーマンの悲哀も楽しめますし。。(笑)
クロスノベルスさんから、作者様2冊目のアダルト路線です。宮本先生のイラストってだけでテンション上がります…。作品のテイストとしては既出の『欲しい』に近いかな?受けを脅して抱く系のお話ですが、こちらの方がより切なさが出ているかも。キュン度合いでいうと、「萌×2」です!
同じシステム会社に勤務する男たち三人の、ある意味トライアングルものでしょうか。
主人公の遊佐は、大学時代に付き合っていた二年先輩の栗原と就職先で再会、一度別れたもののセフレ関係にありました。
プロローグでは、いきなりホテルで遊佐が栗原に騙されて、別部署の切れ者上司・篠崎に抱かれるシーンから始まります。
栗原は篠崎に弱味を握られているために、連帯責任として遊佐を篠崎に差し出したわけですが、栗原と篠崎の関係がそもそも謎に包まれているんですよね。
大学では理系専攻だった遊佐。就職先では技術職を希望していたものの競争率が高かったために営業採用となります。篠崎は技術部の中でも突出したやり手のチーフだったので、遊佐を自分のチームへ引き抜く替わりに寝ろと脅しますが…
脅しの理由がなんとも怪しげ。
遊佐としては願ってもない異動なので承諾し、念願の部署で挽回しようと張り切ります。しかし、新天地でのゼロスタートからくる重圧に加え、週末ごとに篠崎のマンションで抱かれる屈辱が徐々に遊佐を追い込んでいきます。
鬼畜な篠崎が時折遊佐に見せる気遣いにキュンですね、これは。遊佐は篠崎の真意を知らないので、とにかく仕事に没頭して篠崎からの理不尽な要求に従うのみなのですが、篠崎が遊佐を抱く時の様子や、遊佐の体調を優先するところからして篠崎さん、漏れてますよー、って。
篠崎執着攻め説が終盤に浮上してきますので、知らぬは受けばかりのお話として安心してキュンキュンに浸れます。個人的には種明かしにもう少し余韻があって欲しい感じがしました。
エチシーンもシチュと相まって、両者の昏い欲望と、秘めた関係と、割り切りの切なさがうまくブレンドされて、大人同士ならではのエロスが漂います。宮本先生のイラストがストレートにエロいわけではなくて、空気感だけで物憂い情感を伝えてくるところが作品イメージにぴったりです。