条件付き送料無料あり!アニメイト特典付き商品も多数取扱中♪
oninoko itoshiya momo no koi
こちら、大学生の主人公と鬼による、純愛ものになります。
表紙やあらすじから可愛いお話を想像してたんですけど、実際コミカルでクスッとさせてくれるんですけど、とても切なく、また哀しいお話でもあるんですよね。
ボロボロ泣きましたよ!
純粋で健気すぎる鬼の姿に。
ラストの幸せな二人の姿には、もう胸がいっぱいですよ!
めちゃくちゃ感動的ないいお話だと思う。
ザックリした内容です。
災いをもたらす鬼を退治し、封印した伝承を持つ西園家の家系に生まれた大学生・光洋。
20歳になった彼は、一族の男子が経験しなくてはならない「鬼鎮め」の儀式を行うべく、鬼を封印した島へと訪れます。
そこには何と、本物の鬼が存在していてー・・・と言うものです。
こちら、読んでの一番の感想なんですけど、純粋すぎる鬼がとにかく切ないだったりします。
終始攻め視点で進みますが、主人公はごくごく普通の大学生なんですよね。
当然鬼なんて信じておらず、「鬼鎮め」もあくまで形式的なものだとしか思っています。
で、そんな彼が、島で本物の鬼と出逢う・・・。
出逢い時のしづるなんですけど、無邪気で人懐っこい子供のような鬼なんですよね。
いや、見た目こそ人間離れした美貌に角を持ちと、普通では無いですけど。
彼は島へとやって来た光洋を、喜び勇んで出迎える。
やっと迎えにきてくれたと。
で、ここからが、なかなか心が痛む展開。
実は鬼達ですが、人間を襲った事などなかったんですね。
それどころか、人間と仲良く暮らしたいと望んでいた。
しかし人間達から恐れられ、仕方なくこの島で隠れて暮らしていた。
そこへ偶然やってきたのが、西園家の祖先。
その話を聞いた祖先の人物は、彼等が人間と仲良く暮らせるよう、仲を取り持つ事を約束する。
そこで感動した鬼達は、彼の為に力を貸し、村を襲う災厄を退けるように。
時には力を使い果たし、命を無くす鬼さえ出しながら。
で、村に迎えられる準備が出来たら迎えに来ると言う約束を信じ、ずっと待ち続けたきた。
そうこれ、人間に騙されて利用された、哀しい鬼達の物語なのです。
また切ないのが、受けであるしづるの現在に状況。
鬼は皆死に絶え、彼が最後の一人だったりします。
そう、たった一人で仲間達の墓を守りつつ、約束を信じて待ち続けていた。
しづるですが、めちゃくちゃ純粋なんですよ。
最後の一人で鬼としての力も弱く、そのせいで角も小さい。
しかし、それを無邪気に喜んでいる。
人間に近いから、人間とも仲良く暮らせると。
まだこれ、物語の序盤なのです。
序盤なのですが、この時点でめちゃくちゃ切ない。
しづるが光洋(人間)に無邪気な信頼を見せれば見せるほど、人間の汚さが際立っちゃって。
光洋ですが、ごくごく普通の大学生で、特に正義感も強くなければ、逆に卑劣でもないんですよ。
そんな彼なので、最初こそ面倒事に巻き込まれたくらいの感覚なんですよね。
出来るなら、無かった事にしたい的な。
それが、しづるにあまりに純粋な好意を向けられ、彼を一人残して島を去れなくなってしまう。
悩み迷いつつも、しづるの好物である桃を持って島へと通うようになるんですね。
そして、東京に戻る最後の日、しづるを連れて行く事を決意する。
これな!
ここでやっとしづるは幸せになれると、読んでて嬉しくて仕方ないんですよ。
実際、仲の良い従兄に助力は頼むものの、二人はママゴトのような可愛い生活を始めと、萌えまくりの展開なんですよ。
いや、人間社会の事を何も知らないしづるがですね、突拍子も無い言動を繰り返し、慌てふためきながら面倒を見る光洋みたいなエピソードがめちゃくちゃ可愛くて。
新婚さんかーーーい!みたいな甘酸っぱい毎日で。
ところがここからまた、胸が抉れそうな切なすぎる展開。
自分達が人間(西園家)に騙されて利用されていた事を、しづるが知ってしまい・・・と続きます。
しづるはですね、人間の事を疑う事も無く、純粋に信じてきたんですよね。
人間の為に、仲間が死んでも。
最後の一人になり、孤独の中で待ち続けても。
真実を知った時の絶望と怒りに、言葉が出ないんですよ。
また、祖先の非道な行いの罪悪感に苦しみつつも、しづるを愛してしまった光洋。
怒りのあまり暴走したしづるを止めようとした彼は・・・と続きます。
もうこのあとが、悲しくて悲しくて。
ボロボロ泣けましたよ。
これほど哀しいスレ違いってある!?と。
そして、しづるが健気すぎるよーーー!
何と言うか、野原先生はですね、人外ものがすごくお上手なんですよ。
人ではない彼等だからこその、純粋さや哀しさを真っ直ぐ綴る。
果たして二人は、この試練を乗り越え幸せを掴む事が出来るのかー?
って所でしょうか。
とりあえず、ハッピーエンドなのでご安心下さい。
余韻の残る素敵なラストなんですけど、なんだかホロリと来ちゃう感じでしょうか。
胸がいっぱいになってしまう・・・。
違う種族故のスレ違いだったり、それを越えての純愛だったり、哀しくも優しいストーリーだったり。
全てが最高と言いたくなる、とても感動的で素敵なお話でした。
とにかく泣けたわ!!
めちゃくちゃ良かったわ!!!
とても胸打たれる素敵な作品でした。
『泣いた赤鬼』を思い出しながら読んでいたのですが、
あとがきを読んで、やっぱりなという気持ちになりました^^
鬼が悪者じゃなく誰にも退治されない、愛しくて慈しむべき存在として描かれています。
昔、鬼を退治し栄えたとされる西園家。
その本家で成人した男子に行われる秘伝の儀式「鬼鎮め」
儀式を行った光洋は、選ばれし者として一人きりで「鬼住み島」へ向かうことになりーー…!
この島で出会ったのは、不思議な青年・しづる。
しづるは鬼の唯一の生き残りで、数百年もの間一人きりで畑を営み、仲間の墓を守って生きてきました。
しづるがメチャクチャ健気!
人間との共生を願い、迎えを待ちながら寂しさを堪えて、たった一人きり生きてきたのです。
実は、西園家には鬼を騙して小島に匿い、利用してきた過去があります。
何も知らないまま、里で人間と暮らすことを夢見ながら死んでいった鬼たち……
もう、この事実だけで泣けてきました。
真実を知らないしづるの無邪気さ、健気さが切なくて切なくて。
そんなしづるを放って置けず、東京にこっそり連れ帰る光洋。
現代社会に驚き、喜び、美味しいものを食べて笑顔を見せるしづるか愛しくて仕方がなかったです。
とにかく、しづるの可愛さに萌えまくります♡
しづるに楽しいことをたくさん経験させ、もっと幸せにして護りたいと思う光洋は、知らず知らずしづるに惹かれていきます。
もしかしたら、最初からずっと好きだったのかもしれないなぁ。
しかし、お世話になる親戚の孝志にしづるの正体がバレ、さらに西園家の悪行がしづるの知るところとなりーーと、展開していきます。
ここからグッと切なくて苦しい展開になっていきます。
孝志としづるが揉め、庇った光洋がしづるの爪で大怪我を負ってしまうのです。
嘆き悲しむしづるは、自分の精気を注ぎ続け、光洋を助けるために自分が瀕死の状態になってしまいます。しづるの献身的な愛に猛烈に胸を打たれ、泣きました(´°̥̥̥̥̥̥̥̥ω°̥̥̥̥̥̥̥̥`)
回復した光洋は、しづるを助けるため、一縷の望みをかけて西園の本家に向かい……という流れ。
ラストは感動とほっこりとニッコリ^^
Hは少なめですが、意外だったのが、しづるが積極的で妖艶だったところ♡
攻めのはずの光洋が完全に責められてた^^;
しづるに〝可愛い〟と連呼されながらイかされる光洋がとても良かった(゚∀゚)
個人的に攻め喘ぎ大好きなんです。少ないエロも大満足でした!
とにかく、作中通してしづるが可愛くて仕方がなかった!
光洋がいないと生きていけないというしづるの思いは、
依存じゃなくて共存だと思います。
種を超えてお互いを愛しく思う気持ちを教えてくれる、
とっても素敵な作品でした。
作家買い。
野原さんの書かれる健気受けって大好物なのですが、今作品の受けちゃんもナイスな健気受け。健気なのだけれど健気なだけではない。そんな魅力のいっぱい詰まった受けちゃんでした。
ネタバレ含んでいます。ご注意ください。
主人公は大学生の光洋。
彼の父方の実家は、鬼退治を機に栄えてきた。それゆえ男子は20歳になると鬼にまつわるとある儀式を行わなくてはならない。
鬼、という、現実味の欠片もないその儀式に光洋はいやいや参加するが、そこで彼は「選ばれし者」になってしまう。
鬼が住まうというその島に一人向かう光洋だが、そこで彼は本物の鬼に出会い―。
古くから伝わる伝説。
心優しき青年が鬼と出会い。
その鬼は実はめっちゃキュートで。
という、バッサリ言っちゃうとよくあるストーリーなんですよね。既視感ありあり、というか。
が、ですよ。
このストーリーに華を添えるのが、この鬼ちゃんであるしずる。
しずるがとにかく可愛いの。
世俗から離れた場所で生きてきたために、とにかくまっさらさん。
人を疑うことを知らず、まっすぐな目で光洋を見つめる。
が、彼は素直なだけではありません。
仲間の鬼たちはみんな死にゆき、かつて仲間の鬼が言い残した「いつか人間が迎えに来てくれる」という言葉をひたすら信じ、待ち続けてきた。たった一人きりで。
孤独の中、仲間を思い、人を信じ、生きてきた。
そんなしずるのなんと可愛いことか。
で、そんなしずるを可愛く思うのは読者だけに非ず。光洋もなんですね。
お供えものとして持って行った桃を喜び、全身で感情をあらわにし、そして孤独な環境にいてなお明るく素直なしずるを、一人置いていけないと苦悩する。
読者のしずるへの想いを、きっちり光洋が表現し、行動に移してくれるので一気に感情移入してしまう。鬼の子であるしずるを守り、そして人間社会で生きていけるよう教育していく彼の男気にもほれぼれします。
そんな二人を見守り、時に手を差し伸べ、サポートするのが光洋の親戚筋の孝志。彼がナイスガイなのも非常によかった。大人であるが故の分別を持ち合わせつつ、けれど四角四面に物事をとらえることなく懐の広い人物なんです。
「鬼」というバックボーンはあれど、登場人物たちは等しく優しく、温かく、野原さんらしいほのぼのさを持ち合わせた優しい物語でした。
ストーリーとしては目新しいものはなく先の先までスーッと見通せる展開ではありますが、とにかくキャラが魅力的でこの作品の持つ世界観に引き込まれました。
人の優しさ。思いやり。
そういったものが繊細に、緻密に描かれた作品で、読後非常に癒されました。
うわ~~(;///;)
鬼と人間のすれ違いが切なくて泣く…。
あらすじを読んだだけでは情報が少なすぎて迷ったけれど、作者さんがTwitterで「切ない恋」と説明されていたので期待して読んで正解でした。可愛くてほのぼのしちゃう場面もありつつ、すれ違いの痛みが切なくて萌えます(;///;)すっごい良かった。
1点だけ。本文で鬼ちゃんの容姿を「恐ろしいほどの美貌」「皆が振り返るほどの美貌」と表現される度に、すみません…どうしても挿絵を見ると、び…美貌?可愛いのはわかるけど美貌じゃないよな…と素に戻ってしまって;その度に気が削がれてしまったので☆1つ下げました。
あと小説では珍しいなと感じたんですが攻め喘ぎがガッツリと。これも個人的に嗜好に合わずその辺りは流し読みになっちゃいました;
(逆に言えば、攻め喘ぎをお求めの方は是非…!)
(エッチなシーンは少なめです)
お話は攻め視点で展開します。
あらすじにもあるように、千年前に鬼退治をしたことから一族が繁栄した西園家。今でも昔の習わしが残っており儀式を行わなければ厄災がもたらされる…ということで、光洋(攻め)はしぶしぶ儀式に参加します。
儀式では150年ぶりだという不思議な現象が起き、誰も踏み込むことがなかった鬼住み島へ向かうことに。鬼を信じていなかった光洋でしたが、島には鬼のしづる(受け)がいました。
伝承とは全く違い、鬼は人間と共存することを夢見て西園家の人間が迎えにきてくれるのをずっと待ってたと言います。待ってる間に鬼が減っていき、しづるが最後の鬼になってしまったと。話を聞けば聞くほど混乱した光洋はしづるをどうすべきか迷ってーーーと始まります。
150年以上、人間の迎えを待ち続けたしづるがいじらしくて堪りません。ニコニコと人懐っこくて疑うことをしならない清らかさがあるのですね。だからこそ、嘘をついている後ろめたさが光洋を襲う。これ、捨て犬に中途半端に餌あげてしまっているような罪悪感で砂利を噛む気持ちになるんですよ…。しづるが光洋を信じて笑えば笑うほどギューーーと痛くなって切なかった…。
しづるが1人ぼっちでどう生きてきたか…という点も、光洋視点だとしづるの言葉の端から想像するしかないのですね。しづる自身の視点を挟まない分、淋しい方向へばかり想像が膨らんでいくので余計に切なさが増します。
本人は何の気なしにニコニコと話すけれど。仲間が次々死んでいくのを1人ぼっちで弔って、人間の迎えを信じて、ひたすら待つ生活…。なんすかもう。泣くしかないやつじゃないですか。しづるが明るいから余計にギュッて抱きしめて上げたくなる(;///;)
光洋は良くも悪くもごくごく普通の現代っ子って感じかな。しづるに出会うまでは要領よく生きてきたけれど、しづるに出会ってからはしづるを守るために成長しなきゃ!がんばらなきゃ!と奮闘するのが、"男の子"から"男性"へ成長し始めてるように見えて良かったです。気負いばかりが進んで空回りする場面もありましたが、男の子が少しずつ変わり始める過程はグッとくるモノがありました。
大昔に嘘を吐き、鬼を島に置き去りにした西園家。
西園家の言葉をずっと信じて待ち続けた善良な鬼。
千年前の大きな罪を知った光洋はどう行動し、嘘を知ったしづるはどんな行動にでるのか。引き裂かれるような心の叫びはボロ泣きしました。
中盤ぐらいまでは、何も知らない赤子のようなしづると一から教えて世話する光洋の関係が保護者と庇護者で、親子みたいなところもあったんですね。けれど2人の心を引き裂く想いは恋愛的な愛に満ちていて、互いが互いに助けようと寄り添う姿はもう泣けて泣けて仕方なかった。しづるも光洋も相手を失っては生きていけない悲痛さがもう…(;///;)
個人的には光洋が涙で言葉を詰まらせるセリフが特に涙腺にきました。みっともないぐらい泣く攻めってキュンキュンするよね…(;///;)めっちゃいい。萌える。
光洋視点だからこそしづるのバックボーンに切なさを募らせたり、しづるの可愛さに癒やされるようなところがとても良かったです。しづる視点だとまた違ってただろうな。
野原滋先生の作品、多分ほとんど読んでないと思いますが、私の購入基準で、金ひかるイラスト作品は問答無用で内容ノーチェック予約。
もう、このカバーイラストの、精悍でガタイのいい攻めに、攻めよりはちょっと華奢だけど別に女っぽくはない受けってところからツボです。
小説内では鬼の子しづるは超美形とされていますが、金先生のイラストのしづるは、小島にたった一人残されて長い年月を生きてきた、その無垢さが現れている、そんな美しさです。
お話としては「それから二人はずっと仲良く暮らしましたとさ、めでたしめでたし」と、なんだか唐突に終わってしまいましたが、まあ、おとぎ話なわけだし、二人が一緒に暮らせるようになるまでに何かあったとしても、それはまた別の話という事で、これでよかったのでしょうね。
作家さん買いです。
内容については細かく書いてくださっている方がたくさんいるので割愛します。
受けのしづるが健気可愛くてとても良かったのですが、どうしても気になったので。
イラストと内容ちょっとずれてる気がします。
文章では何度か、背丈が攻めと同じくらいという表現が出てきますが、イラストではしづるが小さいです。
確かに華奢なので小さく見える的なことも書いてあった(気がする)んですが、明らかに小さいです。
背丈同じくらいって何度も強調する必要あったのかな?
そして終盤。
わざとかな?と思って何度か確認しましたが、どうしても内容と合わないイラストが多分二点。
わざとだとしたらごめんなさい。
私が汲み取れてないです。
でも見た目に変化があったことが文中で描かれている以上イラストで元のままというのに違和感を感じました。
先生買い。鬼ちゃん可愛かったし、一人になる絶望というものに泣きそうになったので、萌2より萌にしました。野原先生のファンの方でしたら安心してお読みいただけるのではと思います。桃太郎に発想を得たとのお話、本編220Pほど+あとがき。
お盆前の平日、西日本の瀬戸内海近くにある父方実家に出かけた光洋(こうよう)。20歳になるとやらなければならない祭事に参加するべく、6年ぶりに訪れたのですが、「何もない、30分ほどで終わる」と聞いていたはずのその祭事、予想外の事が起こって、無人島へ鬼鎮めに行かなくてはならなくなり・・と続きます。
攻め受け以外の登場人物は
孝志(攻めの親戚、兄のような存在)、西園の当主ぐらいかな。孝志がナイスフォローです。二人は一生頭が上がらないと思う。
**心に残ったところ
鬼を鎮めたといわれていた西園家ですが、「異能を持つ鬼たちを、話し合って島に隔離した」というのが真実で、鬼たちはずっと人間に受け入れてもらえるのを待っていたという、「なんてことするんだー」と叫びたくなるお話。その真実を、しずるが知った時の絶望感には、胸かきむしられる思いでした。
そもそも独りぼっちでずっと待っていた ってところがもう駄目。皆を看取ってお墓に入れて、独りで寝て・・・そしてその事を、もう人間側の方は伝承されていないという悲しさ。あまりに重たい事は言い出せないというのは、とっても良く分かるし、あまりに時間が経つと「実は夢だったんじゃないか」と都合よく思い込んでしまう、人間の嫌な部を突きつけられたようで、この部分が最もキツかったでした。
そんな重いお話になりそうなところを救ってくれるのが、受けのキャラ。とにかく桃好きで、桃缶に「きゃー」と大喜びし、感情をストレートに表し、本当にストレスを感じさせない良い子でした。最後の幸せそうな様子を見て、こちらも幸せ感満点です。
攻めはスパダリという感じもあまりなく、一生懸命頑張った大学生という印象どまりですが、受けの明るい元気あふれたキャラが好きだったお話でした。
桃と桃缶って違う食べ物の様な気がするんですよねぇ。
無人島に閉じ込められて過ごしてきた鬼のしづるは(多分)砂糖の味付けに慣れていなかったと思うんですよ。
でね、強烈な甘さというのは、割と苦痛だったりすることもある。
でも、桃よりも桃缶の方が「甘くて美味しい」と言うのよね。
本当に美味しいと言うよりは、光洋と一緒に暮らすことを選んだからそんな風に言うのかなとも思ったりしました。
ただ、物語の運びが劇的すぎて、こまごまとした気持ちの部分がちょっと駆け足っぽいかな、と。
鬼退治をしたといういわれの家に生まれたと思っていたら、先祖は本当は鬼をだましていた……これ、気づいた時結構ショックだったと思うんですね。
何と言っても大ショックなのは、延々とだまし続けていたこと。
だって「何とかしなくちゃ」と思ったのは、光洋が初めてだったわけですものね。
ここの部分の光洋の気持ちは結構よく理解できたんですけれど。
「ちょっと物足りないなぁ」と思ったのはLOVE展開なんです。
人ならざる美しさを持つしづるですが、その言動がとても幼子っぽい。庇護欲は激しくくすぐられるのですが「恋、するかなぁ?」という感じがするの。
懐いたり懐かれたりというのと、肉体的接触を伴う『恋』というものには境目があると思うのです。
「あれ?いつ恋した?」って、少しばかり置いてきぼりになりました。
野原さん、お得意の『無垢で素直な受けさん』はとても可愛らしいです。
その辺は堪能しつつ、さらっと読めました。
今回は一族必須の儀式を受ける大学生と島に封じられた鬼のお話です。
鬼伝説で繁栄した一族の攻様が最後の鬼となった受様と出会い、
2人が伝説の真実と種族をのり超えて互いの手を取るまで。
攻様の一族は瀬戸内海近くに位置する鬼留乃に本家があります。攻様は
親の仕事の都合で東京に住んでいますが、家同士の結束が強く、年に
何度も本家に集まっては顔合わせする一族です。
攻様も幼い頃はたまに訪れる田舎の風景が珍しく楽しんだものでしたが、
年があがるほどに地主として未だに力を持つ一族の者として扱われる居
心地の悪さから次第に距離を置くようになります。
一族は代々20才を迎えた者が必ず受ける儀式があります。攻様は忙しさ
と面倒くささでやり過ごそうとしますが、次の誕生日が近づいてきた夏
なると毎日のように督促が来るようになり、仕方なく本家に向かいます。
6年ぶりに訪れた本家は記憶と変わらず、当主からは来訪遅れの小言と共
に耳タコな祖先と儀式について聞かされます。一族の祖先は災いをもた
らす鬼を成敗して捕えた鬼を島に封印します。鬼達が再び悪さをしない様、
監視のために島に行き、鬼を鎮める役を担っていた事が「鬼鎮め」の儀式
として連綿と継承されているのです。
攻様はそれを天災か人災の不幸な出来事に対峙した祖先が解決したものが
御伽噺的伝承になったのだろうと思っています。島へ渡れる者は「鬼削り
の石」に水を湧かせられた者だけで、ここ150年程は誰も島に渡った者は
いないのです。
しかしながら攻様が「鬼削りの石」に手をかざすと水が湧き、慌てた当主
が蔵の古めかしい文献からようよう読み取った内容に則り、島の社祠へ
赴くことになります。
攻様は150年間も何事もなかったのになぜ自分がと思いつつ島に向かいま
すが、島の桟橋は人工的なもので胸を撫でおろします。そして上陸すると
滅多に人が来る事が無いと聞いていたのに、そこかしこに人がいた形跡が
あり、安心すると共に首を傾げつつ社祠に向かいます。
そしてそこで桃をお供えと石段に置いて祝詞を唱え始めると、突然何者か
に声を掛けられる事になるのです!!
思わず逃げ出した攻様に声をかけたのは額に2本の角を持つ青年で、攻様
の一族が島に封しだ鬼の末裔でした。この鬼こそが今回の受様です♪
鬼たちは自然をあやつる神通力を持っていますが、受様は攻様の祖先は
鬼が悪さをするという人間の誤解を解くためにここに匿ってくれたと言い、
人間と暮らせる準備ができたら迎えに来るからと言い残したと言います。
しかし500年ほどの寿命があるものの繁殖力の低い鬼は徐々に数が減り、
受様は最後の1人であり、攻様が島から連れ出してくれるのだと疑いもし
ません。
攻様は本家に留まる間、受様に会いに何度も島に渡りますが、受様とい
う鬼がいる事を当主に告げる事ができず、かといって鬼である受様を島
の外に連れ出す事などできそうもありません。
果たして攻様に鬼である受様の願いを叶えね事ができるのでしょうか!?
「泣いた赤鬼」をベースにしたファンタジックな現代版御伽草子です♪
多くのおとぎ話で鬼は人間よりも力強く、人間に悪さをする存在として
一般的には怖い印象を持たれています。攻様の一族の伝承でも鬼は悪者
として伝えられていますが、受様が語る鬼たちは人間と仲良くなりたい
と考えていた優しい種族でした。
野原先生のお話は受様が健気過ぎて優しすぎてもうそれだけで萌え萌え
なのですが、本作も人間の常識にとらわれないだけに向けられる想いは
純粋で真っ直ぐです。
攻様は自分達の祖先が優しい鬼達を欺いて島に封じていた事の罪悪感と
最後に残された受様がこのまま孤独に生きていく事に耐えられず、受様
を島から連れ出すのです。
帰東した攻様は兄のように慕う居合術の師匠に助力を求めます。受様は
攻様が思うよりも早く人間世界の暮らしに馴染みますが、攻様が受様の
正体に気づいた師匠に受様との付き合いを考え直すように諭された事で、
受様が鬼伝説の隠された真実を知ってしまうのです!!
異種族である2人は理解し合えないのか? 共に生きる未来はないのか?
2人が選ぶ未来にハラハラ&ドキドキ、キュンキュンしながら楽しく
読ませて頂きました♪
残された記録や口伝が全ての真実ではなく様々な側面があるにしても、
優しい鬼達が人間のために尽くした事は間違いなく、人間達と仲良く
暮らす未来を夢見ながら亡くなっていった仲間達の想いは受様へと受
継がれていったのかと思うとグッときてウルウルでした (>_<)
受様が鬼である故に言動ズレが時にコミカルになる事でふっとした
軽さを醸していて、シリアスな展開に偏らず読めたのも良かったです。
読む前に想像していたのは、鬼の子が人間と出会って恋に落ちるような、ほのぼのした物語でした。
でも実際に読んでみたら、もっとずっとヘビーな背景が描かれていました。
主人公は東京に住む大学生の光洋。西園家の男子は二十歳になったら鬼鎮めの儀式をしなければいけないという家訓に則り、夏休みに瀬戸内の本家に呼ばれます。何を時代錯誤なと全く気乗りしない様子で出掛け儀式に臨んだところ、形ばかりのはずが対面した「鬼削りの石」に水が湧き、光洋は150年振りに鬼住み島へとわたって更なる儀式を行う羽目になります。
その鬼住み島という伝説の島で、光洋は、しずるという名前の鬼に会うのですが、しずるは人間が迎えにくるのをずっと待っていたと言うのです。
かつて人間と交わした約束を信じ、島を出て人間と共存することを夢に見て迎えを待っている鬼たち。待てど暮らせど人間は現れず、それでも信じているうちに一人死に二人死に、とうとうしずるという鬼だけが一人生き残る。150年待ってやっと現れた大学生(主人公)は、まったく異なる言い伝えを聞かされている。
ひどい話です。なんてひどい。
島に一人残されたしずるが孤独に150年も待っている間に、日本の社会は大きく変わっていますし、そもそもちゃんと引き継がれていないし、と読みながら結構なテンションで憤ってしまいました。
中盤、光洋と光洋の居合術の師匠である孝志が、鬼と伝承を巡って対峙する場面が迫力があってどきどきしました。
大学生だから仕方ないけれど誰にも相談しないで行動に移す光洋にひやひやしたり、どういう結末になるのかわくわくしたり、楽しみました。
気になったのは、「鬼の子」というタイトルで実際イラストも小柄な少年が描かれていたのに、本文では「(光洋と)身長が同じくらい」とか「誰もが振り返るほどの美貌」とか、印象の違う描写がところどころ出てくるので若干混乱しました。