嘘の欠片

uso no kakera

嘘の欠片
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神16
  • 萌×239
  • 萌17
  • 中立4
  • しゅみじゃない6

--

レビュー数
16
得点
291
評価数
82
平均
3.7 / 5
神率
19.5%
著者
栗城偲 

作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます

イラスト
一夜人見 
媒体
小説
出版社
Jパブリッシング(ジュリアンパブリッシング)
レーベル
カクテルキス文庫
発売日
価格
¥755(税抜)  
ISBN
9784866692913

あらすじ

「……最悪」寝ぼけてキスした相手が峯井だったと気づいた呉村が、そう呟いた。それ以来、親友だった呉村への片思いが苦しくなって、高校卒業後、違う進路を選び連絡を絶った峯井。看護師として勤務して十年。三十路になった今でも呉村を忘れられず、彼とキスをする夢を見続ける日々。もう諦めたいと思っていた矢先、峯井の勤める病院にやってきた看護師が呉村で…? 何もなかったかのように接してくる呉村に戸惑うが…。「今度は、逃がす気ないからな」一途に拗らせる十年愛

表題作嘘の欠片

32歳,高校3年生→看護師
32歳,高校3年生→看護師

その他の収録作品

  • 番外編
  • あとがき

レビュー投稿数16

あの頃の気持ちが甦る

昔の雑誌掲載作に加筆修正したもので、甘く切ない初恋再会ものになります。
えーと、雰囲気としては、少しほろ苦くてしっとり読ませる感じでしょうか。

これ、読み出したら面白くて面白くて、一気読みしちゃいましたよ。
こう言う、不器用な大人同士の拗らせラブって、めちゃくちゃ萌えますね。
過去作がベースのせいか、ここ最近の栗城作品とはまた雰囲気が違う所も新鮮でした。

看護師となって10年以上、32歳となった峯井。
彼が勤務している病院に、高校時代の親友・呉村が看護師としてやってきた事で再会します。
実は高校時代、呉村に密かな想いを抱いていた峯井。
しかし、寝ぼけてキスされた後の呉村の「間違えた。最悪」の言葉に深く傷付き、卒業と同時に連絡を絶った過去があってー・・・と言うお話です。

で、呉村の事が未だに忘れられず、ほろ苦い思い出として胸のうちに残り続けるままの峯井。
彼との再会に動揺して距離を置こうとしますが、何故か呉村はグイグイと近づいて来て・・・と言う流れ。

こちら、典型的な誤解による拗らせものなんですよね。
終始、受けである峯井の視点で進むんですけど、読者には手に取るように、二人の見事なスレ違いっぷりが分かる仕様になっておりまして。

こう、中性的な美人でありながら、わりとキツい峯井に、爽やかで人好きする呉村。
時系列順に丁寧に、二人の甘く切ない高校時代から始まり、現在の彼等と言う形でストーリーは進みます。

で、再会した二人の再び動き出した恋が、じっくり丁寧に綴られる。

繰り返しになりますが、二人ともすごく不器用なんですよ。
いつまでも初恋である呉村が忘れられず、心の奥底で想い続けてきた峯井。
彼の心情と言うのはとても複雑で、呉村と一緒に過ごす時間が、嬉しくもあり辛くもある。

もう忘れたい。
でも、どうしても忘れられない。

絶対に想いを悟られるワケには行かないのに、ふとした拍子に溢れだしてしまう恋しさ。

そんな峯井の心情が丁寧に綴られていて、読んでいてめちゃくちゃ萌えてしまう。
いや、過去のキス事件が深い心の傷となっていて、相当拗らせた状態なんですよ。
高校時代の彼ですが、いつからか呉村とキスする夢を見るようになり、自分の想いを自覚したんですよね。
そして、親友に恋心を抱いてしまった事に後ろめたさを持った矢先に、「最悪」と強い拒絶をされ、彼の恋と言うのは行き場を無くしてしまった。
そう、いつまでも囚われた状態と言いますか。

対して呉村ですが、彼もまた、峯井に対して特別な感情を抱いているように見えます。
こう、親友だと言う事を強調しながら、グイグイ距離を縮めてくる。
そして、ふいに強い執着心みたいなものを滲ませる。

果たして、「最悪」だと言った彼の真意とは。
また、再び親友として危ういバランスの上で付き合い出した二人の、恋の行方とはー?
と言うのが、キモであり見処だと思うんですけど。

とりあえずですね、読み終えた感想ですが、二人とも拗らせすぎだよ!ですかね。
いやもう、これはちょっと、かなり遠回りしちゃったねえしか出てこない。
こんな事で、ここまでスレ違っちゃうか?
なんて不器用なの、二人とも・・・。
そして、なんて臆病なの、二人とも!
もうこの先は、絶対幸せになってよ!!と。

こう、若干ですね、「最悪」にはイラついたりもするんですよ。
呉村もまた、いっぱいいっぱいだったであろう事は分かる。
分かるけど、そりゃないだろー?みたいな。
また、再会してからも同じ失敗を繰り返してたりするし。
この男。
その点では、納得行かないし、引っ掛かりもするのです。

まぁただ、不器用な大人二人が相当拗らせて、臆病な恋模様を繰り広げてのにめちゃくちゃ萌えちゃって。
こう、切なくほろ苦い、これぞまさに大人の恋愛なんですよね。
うん、すごく良かった。

ちなみにこちら、看護師同士になります。
看護師同士って珍しいと思うんですけど、同僚ならではの、気安いやりとりなんかも萌えましたよ。
お仕事時の。
あと、脇役である鳥谷野先生。
40代、バツイチの外科医で典型的な当て馬なんですけど、めっちゃ好き!
めっちゃいいキャラ!!
こういう、飄々としてるのに包容力のあるキャラ、めちゃくちゃいいですねぇ。
彼が峯井にチョッカイを出すたびに、萌えて萌えて仕方なかったですよ。
また、峯井がわりと鳥谷野に対しては、言いたい事を言ってるのも素敵。
当て馬好きとしては、本当に滾って仕方ないんだけど。
彼でぜひ、スピンオフをお願いしたい。

24

激萌えの幼馴染×両片想いストーリー

もう、激萌えだった…!!

幼馴染×両片想い×再会と、「好き」要素が詰まりに詰まった、こちら。

そして、受け攻めどちらも”看護師”とは珍しい!
医者じゃなくて看護師というところが、理由は自分でも分かりませんが自分には刺さりまくりでした。

病院内の様子やら採血の様子、白衣の種類に至るまで描写が細かく、作者様はひょっとして病院勤務の方なのかな…?と思っていたら、あとがきによるとお母様が看護師とのこと。なるほど、だからか!と腑に落ちました。

詳しいあらすじは他の方が書いてくださっているので、内容絡めた感想のみを。

高校時代、密かに想いを寄せていた呉村(攻)から間違ってキスをされた上に、「最悪…」と呟かれ、峯井(受)は自ら彼のそばを離れる決意をします。
もう、もうこのシーンの描写が秀逸で。

読者としては「違う違うそうじゃない!その”最悪”はそっちの意味じゃないよ峯村ー!」と叫び出したくなるぐらいだったのですが。

再会した呉村が峯井と仲の良い外科医師に嫉妬して割り込んで真ん中に座ってくる描写とか、クスリと笑え可愛いな❤︎なんて思う部分もあって、何度も言いますが萌えまくりました。。

で、この峯井と仲の良い外科医士の鳥谷野さんが、まーたいいキャラなんですよ…!好き…!(バツイチ子持ちで、現在看護師さんとお付き合い中ですけれども)
いいパパであり、後輩の良き相談相手でもあり。

登場した当初は「当て馬か…!?」と警戒していたんですが、当て馬どころかめちゃめちゃいい仕事してくれてますやん…となりました。
彼なくしては、二人の拗れた想いがきれいに解かれることはなかったでしょう。
ほんと、ナイスアシストだよー…!

鳥谷野が「あーん」と峯井にねだるシーン、個人的に身悶えしましたね。
なんて可愛い四十路なんだ٩(๑`^´๑)۶

ストーリー、キャラはもちろんのこと、看護師というお仕事ものとしても興味深く読めて、何重にも楽しめました◎

再会や初恋の再燃、幼馴染、看護師同士の恋…どれか一つでも引っかかるワードがある方に、ぜひぜひ読んでいただきたい作品です・:*+.

1

両片思いの幼馴染もの

やっぱり両片思いのすれ違いもの、しかも幼馴染となれば鉄板で面白いですねぇ。しかもこちらは10年越しのお話になるので、ながーいすれ違い。
だけどそこまで暗いトーンのお話ではなく、読みやすい一冊でした。

まず受けの峯井のキャラがいいですねぇ。美人で真面目で潔癖なところがあって、だけど酔ったら無防備で…。鳥谷野先生が構いたくなるのもわかります。
鳥谷野先生もいいですねぇ。当て馬か?と思いきや、今作で一番いい仕事してくれてます。まあ、呉村からしたら、ややこしい事しやがって!って感じかもしれませんが笑
特別編ショートショートの呉村と鳥谷野先生のアホさ加減には笑ってしまいましたが、確かに見たいよね、看護師姿で乱れる峯井!笑 

挿絵もキャラのイメージピッタリで良かったです。
言葉足らずな幼馴染同士の切ない両片思い、おすすめです!

1

ひとカケの嘘が雪だるま式に膨らんで 引けなくなった話

幼馴染の二人。
呉村の父親は、看護師。
峯井は、呉村の父に手当をしてもらったことから、看護師志望。
呉村も、峯井に引きずられるように看護師志望。
いつも一緒の二人は、看護師を目指して進学する学校も同じ・・はずだった。

いつものように一緒に受験勉強をした夜、呉村が寝ぼけて峯井にキス。
飛び起きた呉村は、舌打ちして「...最悪」と呟く。

その呟きを、峯井は「激しく拒絶された」と解釈。
以後、呉村から遠ざかる。学校も、黙って別を受験。
卒業式から10年音信不通。

10年後、呉村が峯井が勤務する病院に入ってきた。
「呟き」の誤解を解こうと、ひたすら逃げようとする峯井に呉村は努力する。
この部分の、追う人と逃げる人の、心理描写が面白くて良い。

呉村君が諦めない人でよかった。ハピエン。

0

萌えがいっぱい詰まってます

作家買い。
タイトル、そしてあらすじから、切ないお話かなと思いつつ手に取りました。

栗城さんと言えば、ファンタジーものだったりスパダリ攻めが登場したり、といったお話を多く書かれる作家さま、のイメージが個人的にはありますが、今作品は地に足がついた、と言えばいいでしょうか。等身大の男性二人の恋のお話です。




主人公はDKの峯井。
彼は中学校時代からの親友である呉村にひそかに想いを寄せている。
「将来は看護師になりたい」という同じ夢を抱いていることもあって、彼らはずっと親友という立ち位置にいる。この想いがばれて疎遠になるくらいなら友人というポジションはキープしたい。

そんな想いを抱え、今日も今日とて呉村の傍にいる。
例え、呉村に彼女ができても、その想いに蓋をして。

が、ある日、寝ぼけた呉村にキスをされ、峯井にキスをしたことに気づいた呉村に「最悪」と言われたことをきっかけに峯井は呉村と進路を分かつことを決意する。大学進学を期に連絡を絶ち、看護師になって10年。中堅と言われる存在になり、仕事も楽しく、やりがいを見出している日々。

けれど、峯井はいまだに呉村への想いを引きずったまま。
そんな日々を過ごしている峯井だったが、ある日同じ病院に呉村が転職してきて―。

というお話。

ストーリーとしてはよくある展開です。
両片想いという王道の設定に加え、彼らをサポートしてくれる(当て馬ともいう)存在の同僚のドクターがいたり、拗らせた片想いを抱え、再会し、想いを通じ合わせるという。

バッサリ言ってしまうと目新しさはあまり感じないお話ではあるんです。先の先までスーッと見通せてしまう。

なのですが。

中学生の時に出会い、高校生で恋心を自覚し、そして社会人になって再会する。

という、おそらく多くの腐女子の皆さんの萌えと共感をきっちり抑えた作品で、時系列としては長めのお話ですが、さすが栗城先生といっていいでしょう。コンパクトに、けれど押さえどころはきちんと押さえてある文章で、中弛みすることなく一気にこの作品の持つ世界観へといざなわれます。

さらに、とにかく登場人物たちが魅力的。
峯井は綺麗なビジュアルを持ち、線の細い男性ではあるのですが、仕事には誇りとプライドを持ち、常に患者さんに対して誠実であろうとする。
一方の呉村は不器用で、でも一途に峯井を愛し続けてきた。
そんな二人のすれ違う恋に、思わず応援せずにはいられないのです。

そして二人を取り持つのが、同じ病院で働く医師の鳥谷野先生。
飄々としていて、けれど人の感情の機微に聡く、何より優しい。看護師の恋人がいるらしいですが、うん、彼のことじゃない?と思う登場人物もいて、思わず妄想してしまった…。

あー、彼メインのスピンオフ書いてほしいなあ…。
栗城先生、正座してお待ちしております。

そして一夜さんの描く挿絵も良かった。
表紙が素晴らしい。

青く、若かったDKの時。
そして、成長し、大人になり再会した二人。

そんな二人の内面だったり関係性をきっちり描き切った素晴らしい表紙でした。

本編は峯井視点で描かれていますが、終盤に番外編が収録されています。こちらは呉村視点。呉村視点で描いたことによって、本編の補足もあって、非常に読みやすかった。

切ない恋心を描いた作品ですが、その切なさと、彼ら二人の間に流れる愛情とのバランスが素晴らしく、読後ほっこり優しい気持ちになりました。

17

当て馬(?)の気持ちがわかるわぁ…

本作は昔に他社で雑誌掲載されたものを加筆修正した作品だそうです。

『一途に拗らせる十年愛』
と書かれているとおり長年拗らせた初恋が楽しめました。

表紙がとても好きです。
この絵だけで2人の心距離感がよくわかります。
(目線とか手の位置とか絶妙で良き…(;///;))

本編は受け視点・巻末の番外編は攻め視点と
両側の想いが知れたのも良かったです(﹡´◡`﹡ )


さてさて。
峯井(受け)は中学時代からの友人・呉村(攻め)に片想いをしていました。呉村とは将来看護師になる目標が同じで切磋琢磨しながら共に歩み、呉村宅では家族同然のニコイチ状態。この関係を壊すことが怖く、呉村に彼女が出来る度に心を痛め、彼女への嫉妬感情を心の奥底に沈めて。"一緒にいられればそれでいい"と思っていたのですね。

けれどある日を境に一緒にいればいるほど苦痛が増し、怖くなってしまって…。小さな嘘を重ねて少しずつ距離を置き、高校卒業式の日に友人関係が壊れてしまいました。

呉村を忘れられないまま10年以上が過ぎた頃、勤務先の病院で呉村と再会します。動揺した峯井はさりげなく距離を置いて最初は接しないよう心がけていましたが、昔と同じ親しみやすさ・一緒にいて楽しかった時間を思い出してしまうとズルズル会う機会が増えていってーーーーと展開します。


個人的には高校時代の回想が萌えMAXでした。
峯井がドキドキ片想いしている様子が切なくてキュンとくるのですよ…!そんで小さな嘘を重ね出すのも切ないんですが、嘘の欠片に気付いた呉村がめちゃくちゃショックをうけているのがもうッ!もうッッッ!!!傷つき萌え属性持ちにはホント堪らなかった…(;///;)このシーンは挿絵もあって更に感情が伝わり、めっっっちゃ切なキュンキュンしました。

と同時に、峯井の身勝手さも感じたかな…。多感な10代、自分の心を守るのに必死だったのかもしれない。けれど裏切りに近い形で呉村を傷つける必要があったのかな…と。(その段階で峯井視点だと)多少の落ち度はあれど呉村が特に悪いわけではないですからね~。

けれど番外編で呉村視点を読んで峯井がネガティブに誤解しても仕方ないぐらい追い詰めた呉村も呉村だったな…と思い直しました;ぶっちゃけ2人ともすごく面倒くさい!そんなだから10年以上も長い間、遠回りするハメになるんだよ~~~(;´Д`)ーーというのが読み終えた時の率直な感想です。

当て馬のようなキューピットのような立ち位置で登場する外科医がいるんですが、面白そうだから煽って楽しんだものの10年以上分拗らせまくった呉村&峯井の両片想いに巻き込まれ、結果的に面倒くさい状況に陥ったのは笑えたけれど同情したい気持ちにもなりました。(再会後の様子は互いの気持ちがミエミエなだけにホントにホンットに峯井と呉村が面倒くさいんですよw)

呉村視点・峯井視点、両側から見る高校時代のすれ違い過程はとってもよかったです。言葉が足りなかったし、臆病さ、意地、思い込んだら柔軟性が追いつかない感じ…どちらもちょっとずつ足りなくて誤解を招く。それで10年以上もすれ違うハメになるのは随分遠回りしてるな(苦笑)感もありましたが、今後は話し合いを大切にして空白の時間を埋められるといいなと思いました(﹡´◡`﹡ )

13

王道で直球

「手練れの作家さんが書く王道って実に面白いなぁ」と思ったのは、2020年5月現在の世界がいつもと違ってザワザワしている所為かもしれません。
今、私が読んでいて楽しいと思うのは『日常もの』だと気づきまして。
「ああ、この感染症流行の中でそれほど被害を被っていない私ですら、何らかの日常を失っているのだなぁ……」と感じたりしました。

お話の詳細は書きませんが、もう、絵に描いた様な『誤解・思い込み』で『すれ違い』の『両片思い』です。
「いつかどこかで読んだような気がする」とか「予想したとおりに話が進んで行く」とか、こんな風に書いてしまうと不満の様に見えるそのことこそが、この物語を読む快楽なんだと思うのですよね。

そんな楽しみ方が出来るのは栗城さんの筆が上手だから。
あとがきによれば『だいぶ昔に他社の雑誌に掲載されたものを加筆修正した』とのことです。
なるほどねぇ……こういう言い方もなんですが、リメイクなんだ。
知っている類の話、しかもリメイクをここまで楽しく読ませてくれるっていうのも凄いことだと思うんです。
その力に感激しました。

13

同じくケーシー萌え♡

十年愛ですよ。すごく一途。
だけど、とってもとっても焦ったい。
焦ったさに悶えてしまうほど遠回りした二人の、切なくも素敵なラブロマンスです♡


峯井と呉村は高校の同級生。
ともに看護師を目指す二人ですが、峯井は呉村にずっと片想いしていてーー…

峯井が一途で、だけどとても臆病。
〝辛いけど好きだから、親友としてでも傍に居たい〟と思っています。
しかしある日、寝ている呉村にキスされた峯井は、「最悪」と言われてしまうのですーー

ショックを受けた峯井の気持ちはガラガラと崩れていき、
少しずつ呉村と距離を取るようになり、呉村を騙す形で進路も分かちます。
その呉村と十年後に職場で再会することから恋心を再燃させるという、言わば再会ラブです。

峯井視点で進んでいくストーリーなので、呉村の気持ちが分からなくてモヤモヤします。
勘違いとすれ違いを繰り返す二人の関係に、とってもジレジレします。
思い込みで行動するとこうなるんだ……の見本のような二人^^;
呉村の言った、「最悪」の本当の意味も分かりますが、
これは誤解されても仕方ない。呉村が悪いよ。

とにかく焦ったいんだけど、作品としてきちんと起承転結があるので読みやすいです。
読者が峯井の気持ちを知り、別れからの再会、すれ違った末に結ばれるーーという、分かりやすい展開を遠回りしながら描いている。
まさかの両片想いだったとは……そこには驚かされました!

そこに、鳥谷野というドクターがいい意味で起爆剤というかクッションというか、二人の刺激剤になってくれる。
恋のライバルかと思えばそうでないし、よき相談役といえばそれも違う。
この鳥谷野が魅力的で、物語を面白くしてくれました^^

すれ違った末、鳥谷野にお膳立てされて結ばれた二人。
ずっと呉村だけを思って生きてきた峯井にとっては、はじめてのセックス♡
長かった、やっとここまで来たかと、読んでいる私にも極まるものがありました。

呉村の下で、自分だけ全裸にされて恥ずかしがる峯井にキュンとした!
とても好きなシチュエーションです(゚∀゚)
優しく抱き潰す呉村も、抑えられない感が良きでした。

まぁ、なんて遠回りの恋ーー焦ったいの極み!
でも一途な想いが、読後は幸せな気持ちにさせてくれます。
何度も繰り返される、おにぎりと卵と味噌汁の朝食風景。
同じ朝食場面でも、その時々の気持ちの変化で違う色がつくのが分かります。
そんなところもとても楽しかったし、お上手だなと感じました。

看護師としてもしっかり仕事している場面が見られ、
お仕事BLとしても受け取れる作品です。
呉村目線の番外編も、あとがき後のショートストーリーもとても面白く、最後まで楽しませていただきました!
SSは、呉村と鳥谷野のHな悪巧み(笑)

AmazonKindleで購入。SSは電子版かもしれません。

12

親友だから、伝えられない恋心。

BLの王道のひとつですよね。

本編:峯井(受)視点
番外編:呉村(攻)視点
特別編SS:鳥谷野視点

親友である呉村(攻)に片思いしている主人公・峯井(受)。
片思いの辛さに耐えきれず、同じ大学へ進学すると信じ込んでいる呉村を裏切り、別の学校を受験することに。
こうして別々の進路に進んで疎遠になったふたりが、再び職場で再会するストーリーです。

親友を装いながらも恋をしていたこと。
内緒で進路を変えたこと。
呉村に嘘をついていた罪悪感から、今も昔も自責の念が強い峯井が切ないんです。
めちゃくちゃ庇護欲そそられました。
「傷つくなんてお門違いだと、わかっている」
とかね。
我慢しすぎだよ。
痛い時は痛いって言っていいんだよTT(涙)

早く幸せになってくれ〜!と願いつつ、本編はずっと受け視点なので、呉村の気持ちがはっきりするまですごく焦れ焦れさせられました。

実はあの時こうだったよ、という呉村のお話は番外編でたっぷり聞けます。
もうさ、ダミーで彼女作るのやめよう。ほんとに。
良いことひとつもないから!!
感想はこれに尽きる。

特別編SSは、本編で大大大活躍してくれた鳥谷野ドクター視点。
遊び心と包容力を兼ね備えた最強ドクター♡
SSでもまた見れて嬉しかったです♡
「天才外科医は、外科病棟の看護主任のシフトを把握していた」
っていう文章すごく好き。
硬い感じなのに、しょーもない内容なのが面白くて笑っちゃいました。

4

両片想いにも程がある

呉村が新任看護師として登場した時から峯井と外科医の鳥谷野への態度で、これは呉村も好きなんだろうというのは丸分かりでした。

峯井はずっと進路について嘘を付いてて、それがバレて気まずいまま高校を卒業してからの再会でした。
だから普通に接してくる呉村に最初は戸惑うのです。 
一方で呉村は今までの空白を埋めるべく、積極的に以前のような親友のポジションまで接近して来ます。

10年掛けて忘れようとしていたのに、以前と変わらずに呉村を好きだと再確認した峯井はストレスから体調を崩してしまいます。

休憩室で点滴を受けていた峯井の元にいた鳥谷野に嫉妬した呉村にマンションまで送られて、噛み合わない会話のままに呉村にキスをされて峯井はイカされてしまいます。

このシーンがとても焦ったいのです。呉村は自分の事を言っているのに、峯井は自分の気持ちが昔からバレていたとショックを受けているから何とか繕おうとするから余計にややこしくなっています。お互いに自分の気持ちを言いさえすればあっという間に解決するのに。
こういうモダモダしたすれ違いは大好物です。

鳥谷野に飲みに誘われて、峯井が盛大に酔い潰れて自宅に連れて帰られます。
酔いから醒めると鳥谷野に聞き出されて、峯井は片想い中の人に失恋した話をするのです。
目にタオルを乗せられたままに、誘導されて今までの気持ちを語ります。

そして違和感に気が付いた時には傍らには呉村がいるのです。お互いの気持ちを知っていた鳥谷野による策略で、峯井の本音を呉村に聞かせていたのでした。

中学時代に峯井が呉村とキスをした夢を見ていたのは、実は寝ている峯井にこっそりと呉村がキスをしていたからという事が判明しました。
峯井にバレないように軽蔑されたくないために、呉村は好きでもない女の子と付き合いました。呉村に彼女が出来たと告白された事によって、峯井は失恋に気が付いたのだから複雑です。

そんな昔からお互いに好きだったのに、長い長い両片想いです。
でも10年会わない間もお互いにずっと好きだったのだから、気持ちは本物だったし再会してから恋人になって良かったと思いました。

呉村に嫉妬された鳥谷野が飄々としてて良い味出してて、読んでいてもこの人は当て馬なのかそうで無いのかととても気になる存在でした。

先生のお母様が看護師さんということで、細かい点にリアリティがあってとても面白かったです。

攻めの呉村に昔彼女が居たくらいで特に当て馬も居なくて、お互いが好きすぎて失うのが怖くて気持ちを口に出来ない盛大なる両片想いのお話しでした。

3

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