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unmei no ouji to kouhuku no suger pan
食いしん坊ゆえに、ついに食べ物を扱う設定がコミックスよりも格段に多い小説にも手を出してみました。
パン屋さんですよ。ワクワクします。
関東地方だけれど、東京への通勤圏内としては少し厳しい。
そんな地方都市で祖父と一緒にパン屋を営む恵(めぐむ)は、真冬の寒空の下、途方に暮れていた。
車の運転の練習に出たはいいけれど、思いがけない故障で身動きは取れず、携帯の充電も切れて、凍死を覚悟したところに現れた一台の車に助けを求め…。
という出だし。
助けてくれた大岸に一目惚れしてからの、2人の交流と恵の心理描写がメインの作品です。
1章目から地の文が「説明文」状態なのと、不自然な話し方が気になってしまって、途中まで「小論文チェック」目線で読むはめに。
いろいろ気になるところはあるものの、1番気になったのは視点の混在。
恵目線と第三者目線が入り混じっていて、恵の心理描写を客観視した表現のあとに、なぜか第三者の意見まで入ってくるという不思議な文章が多くて。
作者さんの意図が透けて見える第三者の見解のせいで、物語に没頭できないという問題が発生してしまいました。
「ぴいっと怒る」「運転を必要とする期間」などの聞いたことのない表現も気になる。
そういう技術的な引っ掛かりを乗り越えても、人物設定もちょっと受け付けない部分が。
主人公の恵はゲイです。
恋人といるところを目撃されて、祖父バレもしてます。
この子が「思っていることをすぐ口にしてしまう」キャラなのですが、それはいいとしても、ゲイとしての逡巡ゼロなんです。
保守的な祖父に対して、申し訳ないという気持ちはある。
だけどいざ好きな人ができたら、「同性同士」という点で悩まない。
「好き!好きー!好きー!」って感じで、攻めることしか考えない。
地方都市でこれだけあっけらかんとゲイな子っているのかな?って違和感ばかりが募ります。
最初から「気持ちを伝えたい!」ばっかりで、「好きって言ったら引くかな」とか「気持ち悪がられるかな」っていうのが全然なくて、相手がノンケかどうかも気にしない。
ここがどうにも「うーむ…」な部分でした。
あと気遣いのひとっぽく書かれてるけど、ごつい体育会系の大岸を女性ばかりのおしゃれカフェに連れて行く時点で相当無神経。
だけど。
後半から萌えた。
大岸の不器用だけど大きな愛情に萌えた。
すごくご都合主義な展開はあるし、現実的に考えてどうなの?という部分はあります。
だんだん変な文体にも慣れてきた辺りから大岸スパークに突入するので、読み終わった瞬間は「何かいいもの読んだな」っていう気持ちになってました。
中盤まで乗り切れれば、そこから萌えます。
スパダリ好きの方にはいいかも。
試し読みで冒頭、脚本みたいな文章だなという感想ですが、読みやすそうなので購入。
キャラクターや設定は好きなタイプのものでした。それぞれの仕事に対する姿勢も好感が持てましたし。そこらの描写は問題なし。
でも心情や展開があっさりすぎますね。コクとか深みとかが無いのが残念です。文章は確かに読みやすかったのですが、物足りないと感じなくもない。
あとは…主人公が対人の感情の機微を、ほんの少しの表情の変化や空気感だけで分かり過ぎるというか…いっそもう何かの能力なのでは?ってくらいイチイチ全部分かっちゃうのが何だかね。そのくせ自分に対する好意に関して”だけ”鈍くなるしw
ポジティブ思考なキャラクターというのは分かるのですが、それにしても考え方が上っ面というか、本音と建前の建前だけで物語が進んでいるというか。しかし偽善っぽくすら感じてしまったのは私が受け取り手としてヒドイんだと思います。
中立と迷ったのですが、それはさすがに評価が厳しすぎるかな?と思い萌で。
作者さんの「やさしくそっと、近づいて」が好みだったので、こちらも読んでみました。
主人公は、田舎と郊外の中間といった感じの街の、祖父が営む昔ながらの親しみやすい、街のパン屋さんの後継ぎ。
そんな彼が恋するのが、車の故障時に、親切にも色々助けてくれた自動車メーカーのエンジニア。
ちょっと無骨で、女性関係に疎い、いわゆる理系男子と呼ばれるタイプのいい人です。
実は超高スペックという設定で、地味にスパダリなのですが、スパダリなのに描写が地味という。
ゲイの主人公は出会った時から彼が好みで、お礼を口実に友人付き合いをはじめます。
主人公は、パン屋さんの後継ぎとして新しい試みに一生懸命チャレンジし、時にトラブルにあうのですが、攻はその一つ一つに親切に手助けしてくれ、二人は段々と交流を深めます。
二人の距離の詰め方や、主人公に起きるトラブル、それに対する想い人の手助けの仕方、などの一つ一つが、ぶっ飛び過ぎず、地に足がついている感じで描かれています。
物語に悪意があるキャラが出てこないので、安心して読めます。
主人公のパン屋さんが大事に作ってきた、親しみやすい菓子パンのような程よい甘さの物語でした。
ピュアでひたむきなラブストーリーのようだけれど、なんとなく受け攻め両者掴みどころがない印象が残りました。
祖父が営むパン屋を継ぐべく、一人で必死にお店を守る恵。車の運転が苦手で、練習がてらのドライブ中に車が故障してしまいます。そこにたまたま通りかかった大手自動車会社のエンジニアをしている大岸が助けてくれて……
ノンケの大岸とゲイの恵が、恵に生じたトラブルを解消してくれたり、そのお礼をしたりと繰り返していくうちに両思いになっていく…というとても自然な流れ。隠れエリートエンジニアと素朴なパン屋さんの優しいお話でした。
以前に拝読した作品にも感じたことですが、時々文章がすんなり入ってこないことがあって、これは相性なのかな?と、ちょっと不安になりました。感覚的に文章が堅苦しく読みづらいというか、肩に力が入っているというか…。特に大岸が真面目で実直過ぎるタイプなのもあって、読んでいるこちらもカッチコチに。BLに癒されたいのになんだか疲れちゃって…笑
恵も、ふんわり系男子を装いつつ意外に一時期流行った肉食系?と思ったのはわたしだけでしょうか。大岸に一目惚れして以降の恋心は、謙虚ぶりつつ、自分イケるよね的な女子っぽいのです。
だけど、恵はゲイでネコなのだから、恋をしてしまったら性別によらず同じように対象にときめいてしまうはず。そうか、やっぱり性的指向について真っ向から取り組んでいらっしゃる作家様なのだな、と本作で再確認した次第です。
本作は意外と確信的な誘い受けと、初心で真面目過ぎる攻めのお似合いカプなのかしら…?大岸の方はわかりませんが、家族からも理解を得て、ずっと幸せな二人であって欲しいなと思いました。
運命的な出会いをしたふたりがトントン拍子にうまくいくお話、という感じでした。
いろんな事がうまい具合に起きるBLの世界でも
なかなかない程の偶然だったりトラブルだったり。
そこに萌えもあったけれど、うまくいき過ぎると戸惑ってしまうものなのだなと感じました。
恵は仕事に対して熱い思いがあり、恋愛に積極的で容姿はふわっと中性的っぽく可愛らしい感じ…というのは伝わってきたのですが
なんだかチグハグだな、という印象で。
23歳にしてはとっても落ち着いていて、計算し尽くしたその行動がまるで手練れのハンターのようだな、と(笑)
ノンケの大岸とは恋愛に発展することはないかもしれないと何度も思いながらもジリジリと距離を詰めていく。
相手にはどんな振る舞いをするのが効くか、瞬時に頭で考えながら。
その様子はすごいな、とただその一言に尽きるものでした。
とても幸せなところに着地したのは良かったけれど、恵によって作り上げられた恋愛という気がしてしまう部分はありました。