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souhen no ou wa hanayome wo seifukusuru
幼い頃に、馬を並べて共に走ると約束した相手。
運命の悪戯により、再会した二人は敵国の王と人質となりー。
という、モンゴル風ファンタジーになります。
で、こちら、もうめちゃくちゃ切なくもあるんだけど、面白かったしとにかく萌えましたよ!
夢乃先生では多いパターンなんですけど、受けがかなり不憫だし過酷な目にも遇うんですよね。
もう、攻めの仕打ちにムカつきましたよ。
腹が立って腹が立って仕方なかったですよ!
ただそんな中でも、ひたすら真っ直ぐ攻めを想い続ける姿に心を打たれると言うか。
えーと、表紙だと女の子みたいに見える受けなんですけど、誇り高い草原の男なんですよ。
ただただ運命に流されるのでは無く、自分で信じる道を切り拓いてゆく。
もう、めっちゃ尊い!
この受け、めっちゃ尊い・・・!
攻めにはさ、受けのこの強さをちょっとは見習って欲しいですね。
まぁ、彼は彼でなかなか過酷な人生を歩んできてと、気の毒な男ではあるんですけど。
これ、弱く見える受けの方が、精神的にはずっと強いパターンですよね。
出会えた事により、攻めが救われるパターンですよね。
ザックリした内容です。
草原の民で、族長の末息子であるセルーン。
幼い頃に短い間を一緒に過ごした少年・ソリルと「馬を並べる」約束をかわすんですね。
そして10年後ー。
攻め込んできた敵の大将として、ソリルと再会するセルーン。
一族の人質として差し出される事になりますがー・・・と言うものです。
まずこちら、時系列順に、二人の出会いから大人になっての再会、スレ違いを経て二人が心を通わせ、攻めが草原の統一を成し遂げるまでが語られます。
で、二人の出会い時ですが、実はソリルは他部族の人質だったんですよね。
草原ではたくさんの部族が土地をめぐって争っており、勝った部族は負けた部族から人質をとる事で勝利の証としていた。
まぁそんなワケで、人質と族長の息子と言う複雑な立場で出会った二人ですが、特別な時間を共有する事で、確かな絆を作る。
草原の民である彼等は、男同士で一対一の強い絆を持つ事を「馬を並べる関係」と言い表しますが、二人は将来「馬を並べる」事を約束したりして。
で、ここから、今度は王と人質、以前とは逆の立場で再会を果たす二人。
こちら、終始セルーン視点で進むんですね。
10年もの間、ずっとソリルを忘れられなかったセルーン。
再会したソリルが冷たい態度と、自分を覚えていなかった事に傷つく。
また、人質として、男でありながらキリルに抱かれる・・・。
これ、女性の人質と同じ扱いでして、とても屈辱的な事だったりします。
また、初めての行為の直後に何日にも渡る行軍だったりを、周囲から揶揄の目で見られながらこなす。
この、攻めが最初は冷たいパターン。
夢乃ファンには想定内ではあるのです。
想定内ではあるのですが、如何せん、腹が立って仕方ない。
ちょっ! あまりに冷たすぎるよ!と。
受けがあまりに不憫で、切なくて切なくて仕方ないじゃないか。
で、上手いのがここから。
笑顔を無くし別人になってしまったかのようなキリル。
彼がそうなってしまった理由。
また、押さえきれずに不意に見せる感情の吐露だったり、不器用な思いやり。
少しずつ本当の姿が分かってくる。
そして、ただ人質として与えられた環境で安穏と過ごすのでは無く、自身に出来る事を真摯を行い、自分の居場所を作って行くセルーン。
彼が周囲に受け入れられてゆきと、状況が少しずつ良い方に変化して行く。
いやね、セルーンが本当にいい子なんですよ。
どれほど辛い時でも、無様な真似は出来ないししてはいけないと歯を食いしばる。
そして、人質としての自分の役割を真摯に果たそうとする。
この後、セルーンの部族に攻め込みと、一見、残虐に思えるキリル。
彼が真に目指すものが分かります。
そして、ソリルの成し遂げようとしている事を、側で見ていたいと決意するセルーン。
そこに、草原の国を配下に置こうと企む東の国が攻め込んで来て・・・と言う流れ。
実はこの時点で、まだ二人はスレ違ったままなんですよね。
少し素のままの感情を見せてくれたかと思うと、ささいな出来事でまた壁を作りと、相変わらず心を許そうとしないソリル。
ただそれでも、昔のソリルが確かにいると確信し、彼と共に居る事を選ぶセルーン。
もうさ、めちゃくちゃ健気なんですよ。
ソリルの側にいたい。
彼が永遠に同じ想いを返してくれる事が無くても・・・。
みたいな。
また、共に戦い、ソリルを守りと、すごく格好よくもあって。
そう、彼は誇り高き草原の男なのです。
戦い方にも色々あると思うんですよね。
彼は彼の方法で、守るべきものの為に戦うのがシビれるんですよ。
男だね!と。
あとですね、最高に滾ったのが、誤解が解けて二人の心が通じあう瞬間。
人質としての任を解き、セルーンを故郷に戻そうとするソリル。
それが、セルーンの為だと思ってるんですよね。
そこで初めて、ソリルに対して怒りをあらわにし、馬を並べる誓いを破った事を詰るセルーン。
セルーンはソリルが過去の事を忘れていると思っていましたが、実は・・・。
と、萌えまくる展開。
もう、互いが互いに誤解してたワケですが、何てこったい!しか出て来ない。
いやね、王でなければ、人質でなければ、ただのソリルとセルーンなら。
ここまで手痛いスレ違いにはならなかっただろうに!
それでも、ちゃんとこうして間に合って、本当に良かったねぇと。
いや、この場合はソリルが、九割くらいで悪いとは思うけど。
と、そんな感じで、とにかく萌えまくる作品でした。
最初は攻めがかなり冷たいですし、受けもすごく不憫。
だからこそ、そんな二人がこうして結ばれる事に熱く感動してしまう。
ちなみに、最初のエッチは人質としてなんですけど、そこまで痛い感じでは無いのでご安心を。
結局、徹底的には冷たく出来ない男・ソリル。って感じで。
草原の統一と、壮大なストーリーも素晴らしかったです。
あとがきによると、このシリーズは「民族BL」なのだそう。
草原の民の部族が2話。
1.草原の王は花嫁を征服する ソリルとセルーン
2.恋人たちは草原を駆ける夢をみる オーリとハワル
「草原の王は花嫁を征服する」でソリルが草原の王となって、部族の統合をはじめます。そして「恋人たちは草原を駆ける夢をみる」でも、ソリル王が登場。東の国の軍隊にオーリが密偵として入り、草原の部族の統合をやっと果たします。
神々を信仰する秘境の遊牧民が1話。
3.転生の神王妃 ~夜に抱かれる少年~ シグマとニュイマ
「転生の・・」は、「草原シリーズ」と重なる部分はないけれど、遊牧民出身のキャラが主人公。乗馬シーンがあるので、関連本として読みました。
どれもエロス度低いけれど、ストーリー性が高い読み物として面白かった。
夢乃さんがあとがきで書いているんですよ。
『これは「民族BL」というくくりになるのかな、と思います』って。
そうなの。その『民族』の部分が面白いの。
モンゴルを想定したファンタジーとのことですが、草原や幕屋などの描写が素敵なのに加えて、遊牧民の文化が下敷きになっているため「ああ、だからソリルは同じ文化を持つ『遊牧民の国』を作りたいと考えるわけね」とか「下働きをしていてもセルーンがみじめったらしい感じにならないのは、族長の子どもでも小さい頃から何らかの仕事を役割としてやってきたからなのね」とか、とても納得できるつくりになっていると思ったんです。
文体が良いのです、実に。
『セルーンが幼い頃、戦に負けたため自分の部族の人質になっていた少年(ソリル)との淡い交流があって、長じてから今度は自分がソリルの国の人質になる。ずっと気になっていたソリルは自分を一切覚えておらず、セルーンは人質としてソリルに凌辱されてしまう。それでもセルーンはソリルの笑った顔を見たいが故に、彼の使用人として側にい続ける』なんていう非常にウェットな展開なのですけれども、文章はドライなんです。
草原に吹く風の様に乾いているんですよ。
これが描かれる風景にマッチしていて、雰囲気をもりあげるんですよぉ!
「この表現、とっても好きだなぁ」と印象に残っているのは『馬をならべる関係』というもの。『互いを特別な相手として選び、体を重ね、実の兄弟よりも優先する相手』なのだそうですけれども。
遊牧の民にとって馬に乗るということは日常であると共に、不可欠なことなわけですから、この表現、2人の関係を表すものとしてかなり痺れました。激萌。
雄大な草原の中で繰り広げられる『民族を守ろうとするひとりの英雄』と、その志を理解しながらも『志のために自らの感情を捨て去る様な生き方をさせたくない、と願い続ける人質』との物語。
このお話の醸し出す雰囲気に触れて、私の心は大草原に飛んで行きました。
実に爽やかな読後感です。
「誤解・思い込み」「すれ違い」ものが読みたいって人にはピッタリだと思います。
人質だったソリル(攻め)と、幼いセルーン(受け)は出会って、ひとときを過ごし、「馬を並べる」約束をした仲だった。
ところが月日が流れ10年後に再会した時、ソリルはすっかり自分のことは忘れているようで、その事に傷つくセルーン。
おまけに、ソリルはすっかり冷え冷えとした瞳を持つ男になっていて、セルーンに酷い仕打ちを…ってなわけで、なんか読んでて心が痛かったです。
少しは自分のことを覚えていてくれるのではないか?という期待はすぐに裏切られ、それどころか女のように抱かれてしまうセルーンが可哀想すぎて。
再会ものは大好きなんだけど、忘れられない相手から、お前は誰だ?扱いされてしまう再会モノって読んでて辛いですねぇ。
初めてこういうパターン読みました。
これなら、相手が実は記憶喪失にでもなっててくれたほうがよっぽど納得いくし、マシだわ。
セルーンが本当にめちゃくちゃ健気でした。
そばに居たい一心で、ひたむきに尽くします。
なのに時折苛立つ様子を見せ、拒絶するソリル。
セルーンが「お捧げします、心を」と嘘偽りなく述べているのに、その言葉に激怒するソリルの姿に、正直難儀なやつ……と思ってしまいました。
ソリルの「地雷ポイント」がどこにあるのか、セルーンにも私にもわからない……。
その後、泣いてはいけない……と思いつつも、抑えきれぬ涙をポタポタ落とすセルーンの姿に胸がぎゅーっとなります。
で、なぜソリルがこんな笑わない男になってしまったのか、ソリルは何を目指しているのか、そういったものを知るうちにセルーンも強くなっていくんですよね、元々気高い草原の子なんだけど、さらに強く。
ただただソリルが好きだから側にいたい、だけではなく、ソリルが目指す理想の世界を自分も見たい、そして自分自身もソリルの支えや力になりたいと決意する。
けっしてマッチョではないんだけど、セルーン自身も立派な戦士。
そこが草原の民の、しかも族長の息子っぽくて魅力的でした。
で、誤解・思い込み部分ですが、なんじゃそりゃあああああ!!!となった。
あぁぁ、ソリルが少しは目をちょびっっっっとでも見張るとか、おっ?みたいな動作をしてくれればなぁ……。
あの場の雰囲気、そして勝者と敗者であり人質という立場での再会じゃなければ……とは思うけど。
それにしてもその後も冷たすぎたし、もう少し何か透けて見えるものが……と思わざるを得ない。
でも自己嫌悪も充分してるし反省もしてるし、何よりもセルーンが許してるのでまぁいいか……ってなったけど。
「馬を並べる」という表現も素敵だったし、終始広大で、乾いた草原の香りが感じられるような舞台、そこがとても良かったです。
再読はするかなぁ?
すでに裏事情は知った神視点で読めるけど、それでも攻めのあまりの塩対応ぶりに、チッ……!とか思ってしまいそう。
良いお話でした。
草原に生きる人々や景色など想像して楽しめました。
なんというか、言い方!!
言い方を直せばすぐ通じたのに!まあそれを言っちゃあおしまいよなんですがね。
だってお互いずっと忘れられずせっかく再会できたのに、お互いが自分とのことを覚えてないと思い込んで…。
人質だから義務だからって言い方でセルーンはソリルを傷つけ想いは通じず、ますますソリルを頑なにさせて。
ソリルもついむきになって抱いてしまったことで後悔して自分を責め、セルーンに尽くされてもますます苛立ち。
やっと最後の50ページくらいで、えっ?おぼえてたの?となり…。
ソリルと馬を並べて走りたい、笑顔が見たいとのセルーンの願いが叶いましたね。
一時はもう傍にいられなくても気配を感じられる場所でソリルの夢の実現を見届けたいと思ってたのに(泣)
まさか馬を並べて走りたいにそんな意味があったとは!
ここまで読者を引っ張る文章というか筆力にさすがです。焦れったくもうこのまますれ違い続けるの?と思ったら!
これからもソリルの優しいところを教えてあげてね。
モンゴル風「民族B L」というなかなか心惹かれるテーマの作品です^^
本作はすれ違い・勘違いラブでして、
いつの世のどんな国でもあるあるなんだな〜なんて思いました。
人質・ソリルと長の末息子・セルーンが出会い、
再会するところから展開していくストーリーです。
10年後一国の王となったソリルは、
今度はセルーンを人質として迎えーー…
幼い頃に出会い、その優しさを忘れられないまま成長した二人。
お互いに意識していて〝覚えてる?〟と聞きたいのに聞けない^^;
なんだ、覚えてないのか…的な勘違いをしたまま時は過ぎます。
とってももどかしい!
近付いたと思ってもまた離れていってもどかしい(˚ ˃̣̣̥⌓˂̣̣̥ )
終始、勘違い・すれ違いの連続です。
セルーンは早々にソリルに抱かれてしまうのですが、
それは決して傷跡にはならない。
そのくらいソリルのことが好きだし、とても気高い!
人質となりながらも恥じることなく、
それでいて慣れることなく献身的にソリルに尽くします。
ソリルは言葉少なくて気持ちが分かりにくいのですが、
時々垣間見られる優しさにキュンとします♡
セルーンに対しては力で屈して媚びていると思っており、
このあたりでかなりすれ違いが生じましたね(^^;;
草原の民をまとめて強国から民を守りたいソリル。
人伝に聞いたセルーンも共感し、
ソリルの未来を見守りたいと思うようになります。
こういう大事なとこね、言わないのがソリルらしいんだけど、
真面目で不器用なんだろうなと思いました。
最後はセルーンの国とも和解し、
ソリルのやってきたことが報われつつある事に胸アツです。
セルーンとソリルもやっと気持ちを確かめ合い、
ラストは一気にラブラブへ♡
セルーンを甘やかすソリルがいいです!
彼は間違いなく溺愛攻めになります( ✧Д✧) カッ!!
国を世襲制にしなかった理由にも深く納得。
比較的あっさり読めました。
ちょっと意地悪な側近がいたりなんかして、
そのあたりも小姑の嫁いじり的に楽しめます^^
夢乃先生らしい民族もので、キャラは今一つ惹かれなかったですが読後感が良かったので萌にしました。最近でた「恋人たちは草原を駆ける夢をみる」の元作品です。本編250P弱+あとがき。民族ものがお好きな方でしたら是非。
草原の1部族の族長三男坊として生まれたセル―ン。ある日、一人で羊を牧草地に連れて行ったら、見知らぬ男が馬で駆けてきて「狼を見た!」と助けてくれます。彼は人質としてセルーンの部族に来ていた他部族の族長長子で・・と続きます。
攻め受け以外の登場人物は
ザーダル(攻めの右腕)、ナラン(攻めの側室、人質)、攻めの師父、受けの家族ぐらいかな。
++攻め受けについて
攻めさんは厳しい感じだなあ。溺愛とか激甘とかはなくって、草原を一つにまとめるべくキリキリ働く厳しめ王様という感じ。その彼が唯一心を託すってことで、萌えを感じる方もいるのかも。
受けさんは穏やかに密やかにひたすら忍耐づよく粘りづよく、攻めさんの側に仕え、攻めさんを支える方と感じました。自分がなれるとしたら一番なりたい役柄!ただ若いので、一生懸命攻めを想うという一点張りなので、そんなに惹かれなかったでした。若いからしょがないか。
お話としては草原の民をまとめあげていくというストーリーなので、面白いのですが、攻め受けに超入れ込むということなく、あんまり残らないかもなと思った一冊でした。国を作り上げるというところは面白いんだけどなあ。