コゴロシムラ

kogoroshimura

コゴロシムラ
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神20
  • 萌×22
  • 萌4
  • 中立0
  • しゅみじゃない0

--

レビュー数
6
得点
120
評価数
26
平均
4.6 / 5
神率
76.9%
著者
木原音瀬 

作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます

イラスト
中村明日美子 
媒体
小説
出版社
講談社
レーベル
発売日
価格
¥1,400(税抜)  
ISBN
9784065170953

あらすじ

かつて産婆が赤子を何人も殺した村で、尋常ならざる夜が始まったーー。祟りと因縁が渦巻く、新境地ホラーミステリー。

カメラマンの仁科は、雑誌の取材のため、ライターの原田と山深い神社を訪れた。が、雨が降りそぼる夕暮れ、携帯が繋がらない山道で迷い、おまけに原田は足を捻挫してしまう。ようやく古い民家に辿り着き、老婆の好意で泊めてもらうことになったが……。仁科は、コゴロシムラと呼ばれるその村で、出口のない恐怖に晒される。

人間同士の切なさもどかしさを描いて並ぶ者なし、の名手がホラーミステリーに挑む!

表題作コゴロシムラ

レビュー投稿数6

ホラーじないよ

タイトルと明日美子先生の雰囲気ある表紙で読むの躊躇っていました。
文庫化で先生の、怖くないです、のコメントに引かれ読み始めたら面白いのなんの!!

木原作品は心に痛いところがある登場人物が、まま出てきます。それの料理の仕方が見事で読後なんとも言えない味が舌に残ります。
今作も、体に欠損のある兄弟が、、、となると差別とか偏見とかのテーマしか凡人の私には思い浮かびません。
カメラマンで、兄弟の弟、新を支える仁科もそんな悩みに囚われますが新に、なにがいけんの?、なにがいけんの?、と問われます。
枯葉剤問題や閉鎖的な小村問題が絡み、物語にグイグイ引き込まれて最後の方は、
そうだよな、なにがいけないの、みんな同じなんて気持ち悪いよな、と思いつけました。

魅力的な登場人物、タイトルからは思いもよらないお話、寝食忘れて一気読み!気持ち良かった!

今後の仁科と新、アメリカでの珍道中も覗き見したいです。

1

自己肯定感と美しさ

内容的なネタバレは無いと思いますが一応つけました。

ホラー部分のオブジェクトは笑ってしまうほどベタで、だからこそ想像しやすく、怖がりにはウッときます。日本家屋、道に迷う、雨で立ち往生、暗闇に人、老人、繋がらない電話など。
恐れ多い言い方ですが、ページ数の問題かと思うほど、掘り下げは浅い気がします。中心人物である仁科ですらどんな顔でどんな性格なのかいまいち想像出来ませんし、環境や政治、その村の歴史や問題性ももっと語ってほしかったような(あったらあったで、長ったらしいと思うのでしょうか)。
いつもよりも情景描写や地理の詳細が細かく、一般文芸ぽさにワクワクしました。

事件解決後気を緩めてしまっていましたが、読み終わる残り数ページで、ぐぐぐぐっ!!と惹き込まれました。流石木原さんの描くお話は最後まで気を許せないのでした。
新!彼の存在感が神々しく、鳥肌が立ちました。隣にいる仁科と気持ちが同期したかと思うくらいに。

これは環境問題や社会批判ではなく、コンプレックスと自己肯定感のお話だったのではないでしょうか。
人と比べて自分が欠けていることに劣等感を感じることは誰でもあります。でもどうして劣等感を感じなければならないのでしょうか。
新は明らかに欠損していて普通の人間生活を送れませんが、それでこそ自分が神だと信じて疑わない。人と違う自分が綺麗だと言い張れる。彼はきっと巷の批判よりミロのヴィーナスを信じ味方につけるのでしょう。
彼のように無条件で罪悪感なく、自分の美しさ素晴らしさを感じられたらどれだけ気持ちが良いことでしょう。誰になんと言われようと、気にする必要はあるのでしょうか。
それがメッセージだとしたら、何て優しいお話でしょうか。

最後の最後でその強引なポジティブさが眩しく強烈でした。
その自尊心が羨ましい。彼の笑顔を見ていたい。その前向きさをあやかりたい。友達にはなりたくないけど…
暗いお話の中でも眩しく光る新。読み終わった後も彼の個性が後を引き、他の作品には彼が存在ないことに寂しく感じました。

5

ホラーのちミステリー、そして匂い…

あれ?BLじゃないはずなのにデータベースあるな!と見つけてしまったのでレビューします。
すごくすごく面白かったです!!!本当に木原先生凄いです…。

”ホラーミステリー”をうたってますが、そーでもないです。”ミステリー”ではありますが、”ホラー”で躊躇されている方がいたら勿体ないです。そして、最終的には”萌え”があります♪
オカルトや呪いなど、さまざまなホラー要素より、むしろ一番怖いものは…だなぁと読みながら考えさせられる展開が神だなぁと思いました。

あと、この物語の中心となる”仁科”というカメラマンが以前恋人に”欠損萌えなんじゃ”と指摘されるエピソードが出てくるのですが、これがその後の展開の一つのキーでもあります。自分のもつ”美しさ”のイメージってだいぶ既成概念にとらわれているかもなと改めて意識してしまいました。
ふたつの視点で物語が展開されており、ひとつは”仁科”、もうひとつは土佐弁のミューズ”山王新”ちゃんです。新パートは、ひらがな表記多用のため読みにくいと感じる方がいらっしゃるかもしれません。仁科を巻き込み、魅了していく美しい新、、その超絶個性的なキャラクターに読者も虜になるでせう!
新ちゃんのエピソードをもっと読みたいなぁと思ってしまいました。(BLレーベルで)

3

怖くはないけれど

う~ん、面白かった!
個人的にホラーというよりミステリー部分の方が気になりました…!
気になることをやめられずホイホイ読み進められる本です。

きっちりまとめてくださっているのでモヤりもないですよ!


表紙の人物の圧倒的存在感…!!!
ぶれることなく自分をもちつづけられるその姿はある意味とても眩しく…惹きつけられました。

どんなジャンルでも満足させてくれる…さすが先生の本です。

でもこの帯の誘い文句はどうなんでしょうかね。
ホラーが全面に出ているお話ではないと思います。

4

ノンストップ

読めるかなとドキドキしながら手に取りましたが、まあ面白いこと。ページを繰る手を止められず、とうとう最後まで一気読みです。私はメンタルには響かなかったですが、とにかく面白くて読むのを止められなくなる可能性はあるので、読み始める時間にはご注意いただいた方がよいかもしれません。
BLではありませんが、BL臭は少々。色っぽいお話もありませんのでお知らせしておきます。

ライターと一緒にパワースポットという噂のある神社を取材した後、そこから秘湯へ歩いて移動していた仁科。途中で雨が降り始め、原田は足を滑らせて捻挫し間もなく日も暮れ、おそらく何も見えなくなるに違いなく、電波も届かずかなりヤバイ状態。仕方なく途中で道を尋ねた家を再び訪れ、電話を貸してもらってタクシーを呼んだが、今後はがけ崩れで行けなくなったと連絡が入り・・と続きます。もう序盤からどきどき。

登場人物はまあまあ多め。
仁科:アラフォー、雑誌のカメラマン。
原田:28歳、ライター。
飛山:雑誌編集長。
おばあちゃん:山王の家の管理人。
新:かみさまと言われてきた人。両親不明。
武田春世:山王の血筋。
朝霞:ジャーナリスト。嫁が喫茶店経営。
等々。まだもう少しいますが、書いちゃうと面白くないので、書きません。

**のめりこんだところ

最初はホラーかと。そしたら違って。なんという分類になるのか、正直よく分からないです、ノンストップものとでも表現すれば伝わるかな。

主人公の一人、新は特殊な育ち方をしたので、とてもピュア。他人から自分がどう見えるかということに一切気を配らない。何がいけなくて何が好ましいかなども考えない。自分を誰とも比較しない。

新の在り方がいいなと思うところもあれば、いやごめん、それは出来ないわと思うところもあって、とても難しく、でも自分が出来ないなと思うからこそ惹かれるのか?
とにかく目が離せないキャラクターです!!!!

そして土佐弁を喋るんです。すっごく可愛い・・・んだけど、時折「ニタァ」という表現で笑っていることを記載されていて、ええ・・・・魔性じゃないっすか・・・?と感じてとても怖い部分も。
捉えどころのない何とも魅力的なキャラクターでした。やはりある種の神です。コワイ。

もう一人の主人公、仁科は・・・私的には超一般人、常識人。新(=神)に吸い寄せられる一般人という印象でした。際立ってイケメンとかスーパーマン的活躍をするとかでもなく、でも全くの赤の他人の新のために、すごく一生懸命動いてくれて・・・最初っから新に囚われていたのかもしれないですね。

面白かった。色々書いてしまうと面白さ半減してしまうと思うので、できるだけ書かないようにしたつもりです、すいません。とにかく新が面白かったので、色事ないお話ですが気になった方は是非手にとってください!メンタル攻撃力は低い方だと思います。私はとても前向きな気分で読み終えました!是非是非!

7

ホラーとみせかけて・・・

カメラマンの仁科は雑誌の取材のため、同僚と共に山奥の寂れた小谷西村を訪れた。
電波の届かない山で道に迷い、雨に降られた仁科たちは山の中の古い民家で一晩過ごすことに。
民家に住むのは無愛想な老婆一人。
しかし、その晩、仁科の身に次々と不可解な現象が降りかかる。
その家には彼ら以外の〝何か〟がいた。

はじめの章を読んだ時点で既に鳥肌が止まらず、もう続きが読めそうもないと諦めかけた。
それでも、その後が気になりなんとか読み続けると、意外にもこの物語が単なるホラーではないことがわかってきた。

奇妙な出来事の後、仁科はどこか世間離れした、美しい異形の青年〝新〟と出会う。
とある事件の被害者である新、彼を狙った犯人は?狙われた理由とは?
小谷西村で起きた事件の真相は?その土地で囁かれる〝呪い〟とは?
そして、新の謎に包まれた生い立ち、彼は一体何者なのか?
読めば読むほどに知りたいことが増えてゆく、妖しげな世界に魅了されてゆく。
こうなってはもう読むことを止められなかった。

全ての謎が行きつく先は〝人間〟だ。
呪いという言葉に目隠しされ、目の前の真実から目をそらしてしまいそうになる。
しかし、人が思い、人が考え、人が行い、その結果をもたらしたのもまた人だ。
本当に怖いのは人間だと思い知った。

唯一の救いは新が閉鎖的な世界で育ったゆえに無知であり、子どものように無邪気であったことかもしれない。
知らないからこそ、見えない、気がつかない、理解しないことがある。
外の世界を知ることで向き合わなければならない辛い現実が彼にはないから。
いつかは知らなければならないのかもしれない、けれど、今は知らなくてもいいのだと思う。
新の傍らに仁科がいるうちは。
美しく無垢な子どもが放つ甘美なまでの妖しさは彼の心を惹きつける。
仁科はもう新から離れることはできないのだろうな・・・。
閉じられた二人だけの世界で生きてゆく。
たとえ新が求めるのが兄の代わりだとしても。
願わくば、いつかは新が仁科自身を望みますように。

恋とも家族愛ともいえない二人の不思議な関係性、仁科が新に抱く仄暗い劣情、新の仁科に囁く甘く蠱惑的な誘い、読み終えた後もそれらが頭の片隅でちらついています。
謎は全て解決されたものの、決して後味のよい読後感でもないにもかかわらず、尾を引く読み心地。
このなんともいえない〝妖しさ〟を求めてきっとこの先また何度も読み返してしまうのだろうなあ・・・。

6

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