見初められたはいいけれど

misomerareta wa iikeredo

見初められたはいいけれど
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神6
  • 萌×29
  • 萌17
  • 中立2
  • しゅみじゃない1

--

レビュー数
12
得点
119
評価数
35
平均
3.5 / 5
神率
17.1%
著者
水原とほる 

作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます

イラスト
ミドリノエバ 
媒体
小説
出版社
徳間書店
レーベル
キャラ文庫
発売日
価格
¥600(税抜)  
ISBN
9784199009792

あらすじ

底辺から這い上がったエリートと、アメリカの大企業の御曹司──正反対の二人が反発しながら歩み寄る、シンデレラ・ストーリー♡

表題作見初められたはいいけれど

ジョッシュ・ブライス、留学準備で来日した御曹司25
桐島澄人、世話役を任されたリーマン、29

その他の収録作品

  • あとがき

レビュー投稿数12

心理描写が丁寧、二人の共通点は「寂しさ」

だいぶ以前の作品は、誰かが突然凌辱されたり、みんな殺されて独りだけ生きのこったり、悲しくて痛い結末を書く作家だと思っていたんですけど、最近、円熟したというか、痛くない作品が増えてます。

この作品は、心理描写が丁寧。
頑張っている人には、ジョッシュの言葉が、自分に言われているように響くかも。

●ジョッシュ・ブライス:25才
表紙の座っている黒髪、留学準備で来日したアメリカの大企業の御曹司 
母は元トップモデルの日本人。
神話学、【心理学】を専攻。22才で修士課程を終えた秀才・・24才で大学に戻り、博士号を目指す。
日本の国立大学院に留学。
プロファイルの達人故に、沢山知り合いはいるけれど、友人は居ない。←ここ、孤独のポイント。

●桐島澄人:29才
表紙のスーツ男子。10才で、両親を事故で失う。
苦学して二年遅れで二流私大学を卒業。他人の負担にならないように生きてきた苦労人。
生きる事に必死で、周囲の人間の感情に無頓着。
一年前、NCTホールディングス、ガス開発関連事業部に入社
一流国立大卒が多い部内で、容姿の件もあって、「うちの社の珍獣」と浮いた存在。
社命を受けて、取引先の御曹司世話役に就く。

苦労人の澄人は、初対面でプロファイルの達人の御曹司のお気に入りになる。
澄人は孤児で人の顔色を窺いながら必死で生きてきたので、愛され方を知らない。

痛い目にあうのか?、と構えて読んだので、平穏な結末に拍子抜け。
でも、読後感は最高に良い。
これから二人はどうなるのか?という場面で終わるので、萌2よりの萌です。

癒される言葉を沢山ジョッシュが出すので、読んでみて。

1

攻めが素敵ぃ〜!

取引先の御曹司ジョッシュのお目付け役を任命された澄人が主人公です。
どうせしょーもない金持ちのボンボンなんだろ……と思ってたら、ジョッシュは意外性の連続なんですよ。

すっごい知性の持ち主で。
柔らかい人好きのする笑みをたたえながら、飄々としてて。
甘え上手で懐っこいのに、聡いがゆえの孤独を心に抱えている……。

くぅぅ〜たまらん!
私なら秒で落ちてるわ!!

おまけに世界中を放浪して見てきたものを詩情溢れる言葉で語ってくれるとか、そういう人大好きすぎる。

そしてジョッシュの醸し出す大型ワンコ感がたまらん。(基本お行儀が良いんだけど、ときどき強引)
おまけになんでも手に入る御曹司ジョッシュが「ほしいのは、ただ僕を見ていてくれる人なんだけどな‥‥‥」と呟く姿とか、もう胸がきゅきゅ〜ん!としちゃって仕方ない。

受けの澄人は幼い時に事故で両親を亡くして以来、苦労続きの人生を送ってきた人。
だから二人の育ってきた環境は真逆と言っていい。
だけど「知り合いは多いけど友達は多くない」というジョッシュと、生きていくのに精一杯で人間関係の軋轢なんかで悩みたくないからと人を寄せ付けなかった澄人は似ているんですよね。
そんな二人が交差する。

なんていうか頑なにジョッシュを跳ね除けている澄人を見てると、たまらない気持ちになるんですよ。
「人並みの生活」を得るために、心に鎧をまとって生きてこなくてはいけなかったのがわかるので。
でもその堅牢なガードの隙間から、しなやかなジョッシュ成分が染み込んでくるんですよね。

幸せそうに寄り添う二人の姿を早く見たい!
そんな気持ちにさせられる一冊でした。

4

結局セレブは羨ましい

愛を知らない頑なな男が、年下のセレブに愛されて、心の殻を破っていく…
…というようないい話だと思ったんだけど…

2人の恋がどうもピンとこなかった…
特にセレブのジョッシュがいつ/なんではねのける澄人に運命まで感じたのか?
澄人もあれほど反発してたのに寝たら急に?みたいな展開で。

主人公は桐島澄人。
子供の頃に両親が事故死し、その後理不尽で不公平な人生。ひとり努力と我慢と信念で今の自分を作り上げてきた男。
この澄人の造形は良かったと思います。すごいな、偉いな、大変だったな、と思う。
だからタイトルの「見初められた〜」というのがアラブもの的に御曹司に甘々に甘やかされて幸せほっこり、みたいなものを期待してた。
思ってたのとちょっと違って、この御曹司が中途半端に自分本位のところがイヤな感じに思えてしまって…
誰も逆らえない!って言うほどの御曹司パワーは無い。なのにジョッシュに振り回されることで澄人の今の地位や生活は脅かされてしまう…っていうのが読んでてモヤった。
シンデレラものとしてひねりはあるので、私の好みの筋立てではなかったけれど面白い!と感じる人もたくさんいることでしょう。

4

ネタバレかもしれません…

キャラバースデーフェアで書店で購入しました。
イラスト、とても素敵でした。
雰囲気も良く、イラストの持つパワーを感じました!

内容ははじめは面白いかなーと、思ったのですが
お互いに惹かれた理由があまり分からなかったです…
特にジョッシュ…。どこでそんなにのめり込む程に惹かれたのか…読解力が足りないのでしょうか…。説得力に欠けたところが自分はトキメキに足りず…でした。
が…シンデレラストーリーなので、ストレスなく読めると思います。

2

孤独なふたり

女癖の悪いと評判の取引先の御曹司・ジョッシュ(攻め)の世話係を命じられた澄人(受け)の苦労

たくさんレビューがあるので感想だけ。

両親を早くに亡くし親戚も頼れず養護施設で育った澄人の生い立ちには凄く胸がつまります。
その生い立ちから、人とかかわることを避け、必要以上に普通の生活を送ること
に固執し、そのための努力を怠らない姿勢は感心しましたが、大手企業に勤めそこそこの給料を得るようになっても学生時代からのボロアパートに住み続け節約している姿は痛々しく感じました。

資産家の家に生まれ、将来を約束されたジョッシュもまた持つものゆえの孤独でした。
正反対の生い立ちにもかかわらず、親しい人がおらず孤独なところが同じなのです。
澄人にしたら初めは何を甘えたことをといった気持ちだったのでしょうが、面倒を見るうちに少しづつ自分と同じものを抱えていることに気づかされていき、ジョッシュを受け入れていく過程がすごく自然でした。
気が付いたら好きになっていたというのがすごくよく表現されていたと思いました。


生活に余裕がなく恋の一つもしたことのなかった澄人が、今の職を失っても構わないそれでもジョッシュと一緒にいたいと思ったことは、人並みの生活をすることにあれほど固執していた澄人にとってすごい変化で、何事も熱を感じさせなかった澄人がちゃんと人らしくなったことがすごくうれしく感じました。

やっと二人で生きていくというところで終わったのがちょっと残念でした。
幸いクビにはならなかったようですが、もう少し二人が同棲してからの話を読みたかったです。
これからも、二人で穏やかな生活を送ってほしいですね。

5

小さな幸せに気付けるか

かなり久しぶりに触れた水原とほる先生作品でした。
水原先生といえば痛い系作品が多いというイメージがあったので、作風の変化にまず驚き。
ヒューマンドラマのようなラブストーリーでした。

海外大企業の御曹司・ジョッシュと、そのお目付役に選ばれた天涯孤独の会社員・澄人。
正反対の境遇で生きて来た2人がひょんな事から出会い、関わり合っていく内に徐々に心惹かれていく。

澄人のバックボーンが重たく、1人で生きていくために毎日必死で余裕が無かったという描写がとても多いです。
平穏な普通の生活を送りながら、強く生きなければならないと思っていたのでしょうね。
自分は「世の中は不条理で不平等で、貧乏くじを引くのにも慣れている」と、いっそ頑固なくらいに思っていた澄人。
自分とは違った柔軟な考えのジョッシュとのやり取りによって、今まで見えていなかったものが見えるようになったり、自身の不幸さばかりを数えて生きて来た事にやっと気付けて本当に良かった。
両親からのプレゼントだったゲーム機と再会するシーンには涙が出ます。

一方のジョッシュは大企業の御曹司と、世の中で言う「恵まれた人間」なのですが、持てる者故の苦悩というか…
知り合いは多いけれど友達は少ないという言葉が非常に重たい。
父親からは会社を継げと言われていますし、自分の人生を自由に選べそうで選べない息苦しさ。
うーん、どちらも内容は違えどしんどい。
そんな、生まれ育った立場や境遇も性格も違う2人だけれど、心にはぽっかりと同じような孤独を抱えていたんですね。
同じ孤独が分かるからこそ惹かれ合い、お互いを深く理解し愛し合い、支え合って共に生きていこうと第3の人生を歩み出そうとしている澄人…というところでお話は終わりです。

しかしながら、見初められたはいいけれど…
ジョッシュの実家とのあれこれや、お金のために様々な人間と寝ていた過去を持つ澄人と御曹司の組み合わせは後々実家関係で揉めない?等、気になる点が多々あります。
このまま?続編はあるのでしょうか?

全体の空気は湿っぽくなりすぎず、良いなと思うシーンもあったものの、何故かなかなかページをめくる手が進まず…すっきりとしないまま読み終えてしまいました。
シンプルかつ柔軟な考え方で、ストレートな物言いをするジョッシュのキャラクターは好きだったのですが、ちょっと2人の未来が見えなかったです。

5

苦労人の受けが初めて愛を知る話

水原さんと言えば前は受けが不憫で可哀想すぎてイタタタタ!なお話が多かったですが、最近は自立した大人のおしゃれなラブストーリーみたいなのが多いイメージです。今回もスタイリッシュなイラストなのでそっち系なのかと思っていました。

しかし意外と受けの過去が重かった所が昔の水原作品っぽかったです。その辺あまり生々しくはなかったですが。受けの澄人は幼少時に両親を失い、思春期・青年期に過酷な苦労をして大学を出て一流企業で働いている美形の29歳。人の何倍も苦しい思いをしてきたために人間らしい感情を失ってしまったような悲しい人でもあります。

そんな受けの前に現れたのは4歳年下の受けの会社社長の御曹司ジョッシュ。まだ学生だけど頭も容姿も良くて富もあり全てを持っている人でありながら心を許せる本当の友人は少なく孤独な部分も持っている人。しかし両親や祖父母に愛されて育ったので心は温かい人で澄人に惹かれて彼の頑なな心を少しずつ溶かしていきます。

心を殺して生きてきて涙も抑え込んできたような澄人が29歳で初めて人を愛し涙を流せるようになってきた所に感動しました。これから恋人の前で泣いたり笑ったりもっともっと表情豊かになれるといいなと思いました。澄人の会社の先輩が陰険で性悪だったのに何の報いも受けなかったのは少し残念でした。失脚すれば良かったのに。

4

先行き不安だけど

タイトル通りのお話しでした。

御曹司に見初められたはいいけれど、前途多難って感じです。

ジョシュは天才だけど実家を継ぐ気はゼロで、後継者にしたい父親と揉めています。最後もまだ和解しないまま日本に戻って来ていました。前妻との間に兄がいるのに、父親はその子には財産を渡したく無いって流石はアメリカの大富豪だと思いました。

そして桐島はジョシュに何らかの影響を与えたのではないかと、世話係を解任されました。

他者と関わる事を避けて来た桐島は寂しい人でしたが、富豪と天才故に孤独だったジョシュに初めて共感を覚えるんです。

ジョシュは留学を学費が掛からないのに申請し直して、更には投資で稼いだお金で2人で同棲しようと言うところで終わってました。

桐山は幼い頃に親を亡くして、やっとここまで努力して現在の会社にいます。ジョシュと付き合っている事がバレたら左遷されるかもしれません。

御曹司のジョシュと恋人同士になって、時期社長とお金に困らないシンデレラストーリーじゃない点が面白かったです。

3

”素直なひねくれ者”同士

2020年刊。
初期のヤクザもの痛い系インパクトの強さから、既に様々なトーンにシフトチェンジしている感のある水原さん作品。

攻めのジョシュアがセレブ両親の権威を笠に着ずとも、飛び級する程の秀才でふらりと世界各国の旅に出られる行動力の持ち主だというのに好感を覚える。
会社命令とはいえ、世話する相手、得意先オーナーのお坊ちゃんがいくら切れ者だろうが振り回されるのは御免だと思っていたお目付け役リーマン・澄人も懐にスルリと入ってきたジョシュアを振り切る事は出来なかった。

澄人の頑なな性格は、早くに両親を亡くし、周囲の顔色を伺い空気を読む必要があって伸び伸び出来なかった境遇からくるものだと分かる。
そのせいか、ジョシュアとの関係よりも職場での立ち位置を気にする辺りは仕方がないかも知れない。
とはいえ、結果ジョシュアに絆された訳だが。
そんな生い立ちもあるせいか、澄人が開き直ってジョシュアに本音を吐けるようになってからのほうが可愛げが滲み出ている。

この話はジョシュアが生まれ育った環境からくる不自由さと、澄人が育ってきた境遇からの儘ならなさが噛み合う感覚が鍵なのだろうと感じるのだが、自分にはちょっとピンとこなかったかな…
薀蓄や叙情描写ばかりか、癖の無さにも少し驚きがあった、かも。
ただ、作中でジョシュアの事を”素直なひねくれ者”と称していたのは言い得ている。
この言葉ってそのまま澄人にも当てはまって、正に”素直なひねくれ者”同士なカップルだと思う。

4

朝起きた時に隣にいるのは嬉しい

「名前も知らずに・・」が好きだったので購入。じわっと来たけど万人にクルか?というと?なので萌2より萌にしました。現代日本舞台で年下大型わんこ攻め、しっとりじわっとくるタイプのお話が好きな方には超絶おススメしたい。本編230P+あとがき。

10歳の時に両親に先立たれ、苦労して大学を卒業、一流企業に就職した澄人。ある朝部長から呼ばれて頼まれたのが、「超優良顧客企業の御曹司ジョッシュが日本の大学院に留学する、ついてはそのフォローをしてやってほしい」というもの。しぶしぶジョッシュのマンションに挨拶に行ってみると、出てきたのは、超ハッピーな格好の女子、そして中はパーティ状態で・・と続きます。

攻め受け以外の登場人物は
相原、谷内、部長(受けの同僚、上司)、ランディ(攻めの幼馴染)、受けの叔父夫婦ぐらいかな。

**良かったところ

10歳で両親を亡くし、叔父のところに引き取られたものの経済的理由から養護施設へ行き、2年働いて学費をためて大学に行ったという、ほんとの頑張り屋さん。世の中は不平等で不条理であふれているので貧乏くじを引くのは慣れている、とにかく普通に食べて普通に生活できる生活を手に入れられれば良くって、他の事には目をくれる余裕が無かったんだと思う澄人。あー分かる。分かるよ・・とめちゃシンクロ。頼れる人いないもんね、全てに備えてミスなく生きていくしかないもんねえ・・・

片やジョッシュ。大富豪の家に生まれ、親からは事業を継ぐことを望まれ、魅力ある人たらし能力で、放っておいても誰かが寄ってくる。目立ちたくなくても勝手に目立つ。それもまた人となりに合っていなければ生きにくい人生。自分の呼吸のしやすい生き方って何だろうと模索していたんだと思うんです。

そんな二人が出会って、一緒に生きていこうとするまでのお話で、受けの人生の余裕の無さにシンクロし、攻めの「ラブラドールレトリバーか!」と思わせる、人の心にするっと入り込む誑し能力、甘え方の上手さにクラっとしました・・一緒に暮らそうと口説くセリフもこれまた誑し力満点。(タイトルはそのセリフの一部)

叔父さんところで、思い出のゲーム機再発見できたエピソード(泣)や、最後の一文もまた余韻ある文章で好きだった。あー読んで良かった。残るようで残らないかなと思って萌にしましたが、レビュー書くために読み返したらやっぱり萌再燃。激的な何かがあるかと言われると無い気がするのですが、とにかくジワるお話だと思います。良い。

2

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