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itsuka anata ni aetanara
不器用と健気の話。
屋敷の中だけで織り成される、閉鎖的な舞台だが、展開にマンネリを感じない。
二人が体を重ねるシーンは、二人の声と衣擦れの音だけが響いてるのが想像出来るくらい、静かな空気が伝わってくる。
ずっと屋敷の中で暮らしていた蒼生が、ラストでは外の世界で律たちと一緒に社会に出る。
はっきり恋人になる、って明言されてないのもまた良い。
電子限定ショートストーリーも、じっくり読み味わえる。
律の嫉妬も素直正直な蒼生を前にすると、一瞬でなくなるのがかわいい。
こんな時代にそんな事有り得るのか、って言ってる人が居ますが、この作品に限らず、商業BLの9.9割のBL小説漫画はフィクションなんですが。
人身売買といっても内臓ではなくそのままの肉体を売っているだけだし。
隠蔽だってできる。リークされなきゃバレない。死体だって簡単に見つからない。
ちなみにこれはミステリーでもサスペンスでもないし。フィクションを楽しみましょう。
カバーイラストのあまりの美しさに、あらすじ未確認のまま購入。
前時代耽美小説の受けと、ベンチャー起業する現代人の攻めが、時空の歪みのような実在感のない屋敷とその庭園の中ですれ違うお話。
この現代に、いきなり人身売買だの娼館だのが政治家絡みでなんやかんやして、否応なく一緒に暮らすことになった二人。
この設定が、お話としてはすごく整合性と説得力はあるけど、いっそ何かァンタジー要素でもぶちこんあった方が馴染みがあって落ち着けるというか楽というか、
他にも登場キャラたちの言動ににじみ出る雰囲気とかなんとか、
作者さんについての情報が全くないので的外れかもしれないけど、小説にも違う世代の書き手さんが現れた感がありました。
それはさておき、一途な受けの切ないお話がお好きな方におススメです。
Yocoさんが挿絵を受けた作品を集めているので、購入。表紙の絵が、本当にきれい。神秘的な満開の白薔薇が咲く庭に、たたずむ蒼生。
この作品は、著書の初商業本。
「初本」だから仕方ないと諦めるべきなのか、挿絵に随分助けてもらっているように感じた読後感。
庭の情景は、バーネットの「秘密の花園」を連想する描写。
花屋を営んでいた父。
両親と住んでいた家は、瀟洒な洋館で、白い蔓バラが咲く美しい庭。
律は一人息子。美しく、無学で、料理もできない母はただ優しい人だった。
母が父の言いつけで温室で花を育てていた、その温室に父の秘密があった。
ある日、勉強が嫌で逃げ出した律は、温室で同じ年ごろの美しい少年・蒼生と出会う。
蒼生と一緒に隠れた律は、蒼生を探しに来た男に見つかり、父に酷く叱られ、律が蒼生と二度と会うことが無かった。
父が首吊り自殺をして、父の遺産を引き継いだ律は、戸籍が無い「父の商品だった少年」と引き合わされる。
父の裏稼業を知った律は、父を許せない。父への怒りを律は、父の商品だった蒼生にぶつけて虐待に等しい態度をとる。
・・律の行動は凄く幼い。本来なら、被害者の蒼生が律を咎めるのが道理。でも蒼生は逆らわない
美しい洋館の庭、謎の火事、謎の母の死、謎の父の死、謎の美少年蒼生、
・・といったミステリアスな出だし。
蒼生と再会した後の律の非常識な行動は、ある日を境に突然変わる。
蒼生を思い切り不憫に仕立てて、無理やりハピエンに決着する構成も不自然。
未熟な構成をyocoさんの挿絵の補完で救われた作品だと思います。
Yocoさんの絵を評価して萌2。
もしかなうなら、もう一度加筆修正して素敵な作品に仕立て直してほしい。
受けが幼い頃売春させられていたという可哀想な設定だから、じゃないですよ。設定に矛盾や穴が多くて途中引っかかりすぎたからです。せっかく売春させていた男の息子×その被害者である元少年というキャッチーな設定とyocoさんの美しい表紙とイラストがあっただけにもうちょっと話の細かい部分まで練っていたらリアリティが出せて良かったのに、と残念です。
まず最初の4分の1程読んで攻めの律が大嫌いになりました。ただの理不尽な癇癪持ちなんだもの。受けの蒼生や他の可哀想な少年達が辛い思いをして稼いだお金で中高一貫の全寮制学校や大学院まで出ておいて(多分何千万円もかかっている)あの態度はない。まるで自分の方が被害者面なんだもの。院まで出てそれ位の想像力や教養もないのか。後で改心してもこの人は好きになれないと思いました。
受けが小学校にも行けず、家からも一切出してもらえず本の知識だけで美味しい料理作ったり荒れ果てた庭を1年位で立派な庭園にしたり…天才で魔法使いか!あと攻めの母親が薬で死んだことを隠す為に庭で焼いて息子には事後報告って…現代日本でそんな事できるの?事件にならないの?そもそも薄い関係の友人に少年売春とか売買してたという家の恥部をペラペラ話していいの?父みたいに消されないの?てか戸籍のない蒼生が普通真っ先に消されるんじゃない?とか色々ツッコミが止まりません。
もう少し時代設定を昔にするとかファンタジーにするとかマフィアの一族にするとかだった方が良かったかも。大体受けの可哀想な設定も上っ面だけで清潔感溢れる人過ぎてあまり悲壮感が伝わってこない。ヒヒジジイに少年が囲われるような話は山藍紫姫子さん、水原とほるさん、いとう由貴さんなどが名作色々書かれてるのでもっと読まれた方がいいかと思います。このご時世少年のあんな生々しい性行為は書けないかもしれませんが雰囲気を読むだけでも。本当の悲壮感とはああいう事さ。
すごい辛口ですみません。設定には興味を引かれたし、攻めが胸糞悪いのは心に残りました。「攻めがクズ・ヒトデナシ系」ジャンルは確かにありますしね。
気になっていたのです(表紙が…)、設定(人身売買)という重さから、
なかなか読み始められなかったんですが…読んでしまいました。
前半、受けの生い立ちというか境遇がひどすぎるとゆーのと、攻めの態度がひどすぎるというのでしんどかったです。ただ、薄幸健気受けが好きなので、この境遇から、絶対最後には幸せなラストが~と励ましながら(とYoco先生の美麗なイラストで)読み進めることができました。情景描写がきれいですよね。お庭の様子が目に浮かぶようでした。
全体的な流れは好きなテンプレだと思ったのですが、、攻めの気持ちの変化が読み取りづらかったかなぁと。ちょっと急に(嫌悪→愛)に転じる印象がありました。弱いものに劣情をおぼえるというのは理解できますけど、そこから”守ってやりたい”まで昇華する過程はもう少し説明がほしかったかも。ハーブティー1杯で人格まで変わってしまったような唐突さはぬぐえず…。とはいえ、そこからの展開は佳きでした!
好き嫌いが分かれる作品だと思いました。
こんな時代にそんな事があるのかなとの印象でした。人身売買なんて無理があるだろうと。政治家がバレそうになって律の父親が自殺して、売買する子どもを施設に移して寄付して隠蔽?
そんな政治家の力なんて今の時代にあるわけないし。
まあBLはファンタジーなので我慢しました。
序盤は律の蒼生を拒否する態度があまりにも酷くて、読むのがしんどかったです。こんなんで2人はくっ付くのだろうかと…。
仕事仲間の裏切りに合い憂さ晴らしをする為に、蒼生を無理矢理抱きます。その次の日からいきなり自省しだす律にビックリしました。意地張りすぎだろうと。
裏切った仕事仲間に蒼生の秘密をバラされそうになった時は、あれだけ代理人に秘密と言われてたのに仕事仲間になんで本当のことを言ってたのかも疑問でした。
最後にあっさり仕事が上手くいって、蒼生は戸籍を手に入れて律の会社で働いてました。
蒼生は自分の意思で館に残ってたわけですが、だったら政治家が戸籍だけでも与えとけよと思いました。
ハッピーエンドは好きですが、もう少しどうにかならなかったんですかね?
yoko先生の表紙に惹かれて買ったものの、読まずに積んでいた本;
表紙がねー、ホント素敵♡
本編中にも花いっぱいの庭園が出てきて、イメージとぴったり!
ただですね、ストーリーが若干陳腐。
人身売買され、性奴隷として売られてきた少年たち……
その中の一人、蒼生が主人公。
まず、蒼生の生い立ちが辛すぎる。
学校も行かずに性技だけを仕込まれ、男たちに奉仕してきた不憫な子。
飼い主が死に、のちに再会した主人の息子・律からは蔑まれ、酷い扱いを受けます、
あまりに酷い……
だって、蒼生の落ち度はひとつもないんだから。
律の会社の共同経営者・達海が本作の良心。
むしろ、達海と結ばれる流れでも良かったんじゃないかと思うほど、律が嫌なやつでした。
そんな律が改心するポイントがあるのですが、そこがどうにも納得いかない。
そんな急に?という感じ。
だから、そっから好意全開の溺愛ぶりも腑に落ちないのです。
戸籍もない蒼生は屋敷に囲われ、一歩も外に出たことがない。
なのに、ラストは戸籍を得て律の会社の事務員に?!
なら初めから戸籍作ってやれよ!と、思わずにはいられませんでした;
雰囲気は良く、不幸な蒼生が幸せを掴んでいく姿は素敵です。
時代背景がもっと昔とか、どこか架空の国の話だとか、もう一捻りあると良かったかな。
現代社会の設定の中では、リアリティを全く感じられませんでした。
表紙がとてもとても素敵でずっと眺めていられます。
堂々とレジに持っていけるBL小説(笑)まぁ書店員はレーベルで察するんですけどね。
お話の中でももちろんこの庭園は出てきます。
まるで童話の中のようなその空間を容易に想像できました。良い気持ち。
攻め受けに関しては…これは好み分かれそうなんですけど、序盤の二人はどちゃくそ好みでした(笑)
嫌悪する父のお気に入りだと厄介者扱いする攻めがなかなかに容赦なくあふれるクズみ…
受けはまるで世界名作劇場の主人公のよう。
強制される不幸な毎日を過ごし続けてもどうしてこう清く優しく健気でいられるんだ。
だけど攻めの役に立ちたいというところは譲れず冷たくされても萎縮せず何度も訴え続けていたところは印象的でした。
彼の世界は屋敷の敷地内だけで…。それが当たり前すぎて、自由になりたい、ではなく外に出るのが怖い…というのはなかなかグッときました。
しかしストーリーに関しては…うーん。
これは方向性次第で凄く良作になった気がする。
もっと心に刺さるような山谷あっても良かったと思うんですよね。
そもそも決定打なく攻めのために死を選ぼうとした受けにもついていけませんでした。
もっと話の流れに起伏あれば盛り上がったと思うけど…。
お決まりの濡れ場は必須かもしれませんが望まぬ娼婦をやっていたという設定だともっと気を遣ってほしいなー、って思っちゃいます。
一つの台詞が長くて所々説明されている気分になってしまった。
一番消化不良なのはラストでした。
この受けが外に出ること、当たり前な一般的生活を送ることって全てが真新しくそれこそまるで生まれ変わるような変化だと思うのですがサラッと書かれていて。
気付けば会社がハッピー、そしてエンド…ってイメージが強くて。
あれそこに落ち着くのー!!??ってかんじでした。
受けの未来に関わったりするのであればまだしもこんなに仕事にスポット当てる必要があったのかな。
後半は攻めに手を繋いでもらいながら当たり前な普通という自由を取り戻していく受けをじっくり見たかった気がしちゃいます。
でも醸し出される雰囲気はとても素敵でした。
中立寄りです。
前々からカバーイラストに惹かれていつか読みたいと思っていた作品。最近、新作が刊行されたので思い出し、試し読みをしたらなにこれすごく好きそうとそのまま正規購入して最後まで一気に読み終えました。
一番の魅力は文章でしたね。物語のモチーフが庭というのもとてもロマンティックだし、テーマも退廃的かつ無垢な魂最強説がベースにあって、最後はハッピーエンドとBL的には満足でした。
でもやっぱり、史実的な裏付けは欲しい。うーん、このご時世、日本で子供の人身売買なんて闇が深すぎる案件、週刊誌が取り上げるようなレベルでしょうか?フィクションであってもファンタジーじゃないかぎり、ある程度リアリティがないと読者は読む気がそがれてしまいます…。
律にあまり魅力がなかったのも残念かなぁ。おそらくお育ちからしてエリートくんなんだと思うけど、いきなり男抱けるのか?と引っかかってしまいました。(彼の男女関係や性的指向について言及がない。)腹いせのように蒼生を犯したのはもちろん、蒼生に対する気持ちの変化がいまいち掴めず、2度目も悶々としながらそーなるか…と。もうちょっと律側の心の動きが知りたかったです。
蒼生には好感が持てました。でもエッチの時の喘ぎ声のギャップに引きました。想像とちょっと違いましたね笑
物語に幻想的な雰囲気を醸し出したかったのなら、成功しているかもしれません。もちろんyoco先生のイラスト込みで!これほどマッチしたイラストはないなぁと思いました。
戸籍も無く、ずっと屋敷で客相手の性的奉仕をさせられと、「商品」として生きてきた受け。
そして、そんな父親の遺産である彼を、受け継ぐ事になった攻め。
二人の痛いスレ違いと、それを乗り越えての心の交流を描いた作品になります。
えーと、こちらですね、とにかく受けである蒼生が不憫なのです。
律の父親ですが、幼い子供達を小児性愛者に「商品」として売る、人身売買を行ってたんですね。
で、蒼生ですが、特別に手元に置かれて、屋敷を訪れる「客」相手の接待をやらされてきた。
また、大きくなって商品として需要が無くなると、屋敷で父親の世話をする役割を与えられた。
この後、父親が自殺し、蒼生を引き受ける事になったのが、攻めである律なんですね。
これ、萌え処ですが、やっぱり不憫な受けが報われると言う部分だと思うんですね。
蒼生は非常に健気な上に一途で、過去のとある出来事から、ただただ律に恩返しがしたい。
少しでも役に立ちたいと、そればかり願ってます。
二人は当初、かなりのスレ違いなのです。
それが、蒼生の一途でひたすら健気な行動が、律の頑なな心を溶かしてゆくー。
個人的に、こういうエピソードやストーリーは大好きです。
この部分はとても良かった。
ただこれ、もう好みの問題なんですけど、攻めがクズすぎー!
いや、そんな攻めの後半での変化が、萌え処だと分かっちゃいるのです。
分かっちゃいるけど、その後半での萌えでは巻き返せない、あまりの酷さ。
こう、娼婦であり、父親と性的な関係であったであろうと蒼生を嫌悪していて、ひどい侮蔑を向けるのですよ。
無能な人間だと頭からバカにして、そもそも人として最低限の礼節も向けないんですよ。
事ある毎に「娼婦」だの、蒼生が傷つく言葉をわざわざ言うんですよ。
もう、あまりに性格が悪すぎる。
てか、幼稚すぎる。
あの~、蒼生は明らかにお前の父親の被害者じゃん?
逆に息子として、誠心誠意謝って、彼が人生を取り戻せるよう尽くすべきなんじゃん?
えーと、ちゃんと律には律の事情がありと、蒼生に怒りを向けちゃう理由もあるのです。
あるけど、あまりに器がちっさ!
いやね、後半での彼の変化が、なんか手のひら返しにしか見えてこないのです。
これ、彼の態度の変化が急すぎるんですよ。
少しずつ少しずつ歩み寄るみたいな感じで、ここは丁寧に書いて欲しい。
あと、これ、受けの蒼生ですが。
あまりに自己卑下が過ぎて、なんかイラッと来ます。
自分の事をですね、やたら「僕なんかが・・・」的に言うのが、ちょっとウンザリしてくると言うか。
う~ん。
健気受けは好きですが、度を越した健気アピールが逆効果になっちゃうと言うか。
あと、あれもこれもと申し訳ないんですけど、色々詰めが甘いです。
律の共同経営者である人物の顛末といい、ラストのご都合主義的展開といい。
共同経営者なんて、信頼しあう仲間だったはずなのに、なんか変わり過ぎですよ。
昔から一緒にやってきて分かりあえる仲間だった男が、そんな行動をとるかと違和感がありますよ。
う~ん・・・。
萌え処もしっかりあるため、決して面白くない作品では無いんですけど。
もう少し心情の変化なんかを丁寧に書いてもらうか、ここまでの急な変化なら攻めザマァみたいな変わらざるを得ないエピソードを入れて貰えると、納得しやすいんですけど。
ただ、健気不憫受けが報われるお話が好きで、クズ攻めがそんな受けにほだされるのがお好きなら、萌える作品だと思います。
あと、タイトルとか作品全体の空気感とかも、センスを感じさせて素敵だと思います。