お買い得商品、セール品、中古品も随時開催中
kodomo no hitomi
作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます
木原小説を読む場合、もう何が来ても驚かない覚悟はできてるつもりだったのに、これは驚きました。
え、まさかまさか…まじでやっちゃうの…ああ、やっぱりか!みたいな。
インモラルのパラダイス銀河です。
でも、主人公の息子の六歳の城太郎くんのおかげで、作品全体の空気感はほのぼのしたムード。
城太郎くんの副担任の先生を主人公にした二作目は、ただただ切ないです。
私はもう、木原作品に何が来ても驚かないと誓います。一生ついてゆきます。
妻に先立たれ息子と二人暮らしの岬の元へ
記憶喪失になって6歳まで記憶が後退してしまった
絶縁状態の兄の仁がやってくる。
相思相愛とはいえ、近親相姦。
体はオトナだけど心は6歳児。
息子と同じような精神状態の兄とセックスする弟ってどうよ?
不道徳極まりない設定ですがするする読めました。
セックスの描写も挿絵も、嫌悪感なくみれたのは
木原音瀬さんの筆力と街子マドカさんの画力のマジック。
兄のほうは、記憶喪失中につき自分が体のおっきい6歳児と信じて疑わないw
自分が突っ込んでる“お兄ちゃん”が、自分の弟だとはわかってない。
弟は、兄と認識して6歳の心を持った兄に抱かれるわけです。
記憶が戻ったときは
今度は、きちんと兄が“お兄ちゃん”として弟を抱く。
しかも“お兄ちゃん”と呼べって強要w
ずっと“お兄ちゃん”が逆転してたわけですよね。
逆転してたからこそ、弟には見えなかった“お兄ちゃん”の視点がわかったと思うし
兄にも、弟の視点がわかったのではないでしょうか?
父と伯父が愛しあうことになんのてらいもなく受け止める小学生の城太郎に救われる。
それでも読者は、城太郎の行く末について心配しちゃいます。
そんな一抹の不安は書下ろしで読むことができるのですが
やっぱし、城太郎大変そう・・・。
「こどもの瞳2」と題して城太郎と副担任の男性教師との
淡い恋愛が描かれ、一番多感な時期は、すっぱり抜けてます。
それでも城太郎が強くたくましく育っている様を、ちらっと垣間見れて良かった。
なんでしょうね。
兄と弟ですが、そこに“愛”があれば、それは忌み嫌うものではないんじゃね?
なんかね世間体やタブーを気にして好きなものを我慢したり
好きなのに嫌いとかいうほうが不純で、つまんない気がしてきた今日この頃。
木原先生の作品を読むようになってからは、心の垣根をとっぱらって
そこにある、愛のカタチを素直に受け入れてみることができるようになってきましたよ。
絶縁状態だった兄が突然目の前に現れた。
はじめは、疎ましく、迷惑そうにしていた岬。
事故で記憶を失い、子供に戻ってしまった仁。
兄×弟ですね。
はじまりから、終わりまでの間にある、岬の気持ちの変動が面白いです。
なんども言いますが、岬は兄が嫌いだったんです。
絶縁状態だったんです。
会いたくも無かったんです。
そんな兄が突然現れた。
幼児化して、岬の名前ばかり呼ぶから連れてきたと。
子供にもどってしまっている仁は岬に好かれようとがんばるんです。
その優しい気持ちにほだされていく~という流れ。
可愛くて、無邪気な子供らしい仕草なんですが、実際をみると、身体は成人した大人なわけで。
岬よりももちろん大きいわけで。
子作りとかww
カワイスギルww
事実、やられてる方は、穏やかな気分でもないでしょうが(苦笑
設定含めて、凄く面白い作品でした。
幼児化した兄に攻められるという、メンタル面でちょっと痛いかも・・・という部分はありますが、最終的に二人がOKならいいのですよ。そう、いいのです。
やっぱり兄弟ものの醍醐味は「お兄ちゃん・・」ですからね!!
ハァハァ'`ァ,、ァ(*´Д`*)'`ァ,、ァ
プラス
街子まどか先生の
挿絵が
すばらしくカオスなので、挿絵のためだけにでも購入の価値ありですぞww
まさに名探偵コナ○の逆バージョンだったわけですが(笑)
実兄弟もので兄×弟。
久しぶりに再会した兄は事故で6歳の子供にかえっていました。
ちなみに岬と仁の両親は幼い頃に亡くなっていて、2人は離ればなれになってます。
大人になって一度会ったことはありますが、兄の態度は冷たく、岬は兄が嫌いになります。
なのに事故で6歳になった兄を預かることになった岬。
見た目も体も30の男だけど知能もしゃべり方も記憶も6歳になってしまった兄。
初めは泣いてばっかでしたねー
そのたんびに岬が怒鳴ってました。
でも岬の息子・城太郎君が仁のいい遊び相手になってくれてw2人の会話は聞いてて可愛かったですw
しかし6歳になってしまったからといっても体は大人。
性に対することは一切知らない子供は、岬を好きだ好きだといい、ついには体を繋げてしまいます。
最後にはちゃんと記憶も戻ってハッピーエンドです!
しかし記憶が戻ったときと6歳のときの兄のギャップがすごいw
記憶が戻ったときのエチが一番萌えました(*´Д`)
特に兄が岬に「お兄ちゃん」って呼ばせるあたり・・・萌えました!
そして書き下ろしの『こどもの瞳2』はそれからの話ですが、城太郎の通う小学校の先生視点の話です。
城太郎も絡んできます。
岬と仁は相変わらずラブラブのようですが、「岬は俺より仁が好きなんだ!」というセリフはちょっと切なくなりましたね。城太郎も寂しかったんだろうなあ(´・ω・`)
そんな城太郎に本気で恋をしてしまった先生ですが、やはり小学生とじゃ無理ですよね・・・
こちらは切ない話でした。
街子マドカさんのイラストも良かったし、兄弟萌えたし、城太郎可愛かったし満足です!
この度も電子書籍化されている木原先生の未読作品の中からセレクト。タイトル&表紙イラストに惹かれて。ですが挿絵イラストは拝めずそこは残念でした (T_T)
目次
こどもの瞳(柏原岬・受け視点)75%
こどもの瞳2(堂本広喜視点)25%
どちらのお話もとても良かったです!長さから言ってもメインは当然1話目。血のつながりのある実の兄弟のお話です。2話目は書き下ろし。小学校の先生と生徒のお話です。どちらも同じタイトルですがCPが異なります。しかし2話目を読むことにより、1話目でCPとなった二人のその後の幸せをも垣間見ることが出来ます。
まず1話目ですが「実の兄弟」もの。これだけでダメな方はダメかもしれません。「実の兄弟」という響きには何やら淫靡で、卑猥で、タブーなイメージがあります。「地雷」として眉をひそめる方も多いことでしょう。また2話目も「ショタコン」もの。きっと嫌いな方は嫌いでしょう。バッドエンドですし…。でもハピエンだったら犯罪だし…切ない。それゆえラストは涙腺崩壊! (つд-。)
ガチ兄弟に対する私の見解は以下の通りです。
聖書では同性愛をタブーとして禁じております。理由は子孫繁栄に繋がらないから。子孫の繁栄に直結しない性愛行動は神さまの御心に反します。同じ理由でオナニーも禁止。近親相姦は奇形児が生まれる可能性が高いという理由から禁止。同性愛も、オナニーも、近親相姦も、元を正せばタブー視される理由は全て同じ。「子孫繫栄に繋がらない」この1点に尽きます。
でもBLは男同士の恋愛に寛容なジャンル。タブーなど取っ払っている世界。であれば実兄弟ものもOKと言うのでなければ矛盾するような気が致します。奇形児が生まれるわけではないし、BLを好きになってしまった時点で私自身は無問題と考えております。
もちろん人にはそれぞれ考え方があり、生理的に嫌と言うものを押し付けるつもりはありません。かく言う私も数年前まではBLを気持ち悪いと敬遠しておりました。けれども今では偏見&食わず嫌いだったと反省しきり。よって「気持ち悪い」とか、「地雷」とか、「鬼門」などはさて置き、試しに読んでみて頂けると嬉しいです (-人-)
1話目の主人公は25歳の柏原岬(受)です。2年前に妻を亡くし男やもめで6歳の息子・城太郎を育てています。岬には幼い頃離れ離れとなった兄・榎本仁(攻)がおり、今や大企業の社長です。17年も音信不通でしたが、妻の病気でお金の遣り繰りが困難になった時会いに行ったことがあります。ところが兄・仁は冷たく、怒った岬はお金を借りることを断念。その場を去りました。もう二度と会わない。そう思っていた岬の元に、事故に遭い記憶喪失のため6歳児に退行した仁が訪れ同居することになります。
このお話は設定が最高に面白かったです。思わずクスリとなるシーンが何度もありました。Hなシーンも満載で、「6歳児の脳」恐るべしと思いました。また6歳児の脳の仁と、ホントの6歳児の城太郎が、体格の差をものともせず「仲良し」なのが微笑ましかったです。あと記憶が戻ったばかりの仁の、意外にも激しい口づけ。これにはめちゃくちゃドキリとさせられました。これからは二人の関係は変わる、そんな予感めいたものを感じさせるシーンでした。大好きな作品です。
さて書き下ろしですが泣かされましたー。こちらもショタコンと言われ禁断もの。24歳の小学校の先生・堂本と、1話目に登場していた受けの息子・10歳になった城太郎のお話しです。切なくて、苦しくて、辛かった…。でもそれだけにめちゃくちゃ心に沁みました。
数ページ読んだだけで、「あ、悲恋ものだ」と分かりました。堂本先生が転職をし塾講師の面接を受けるところから物語が始まるからです。だから覚悟をしながら読みました。途中、楽しいシーンがあっても逆にウルっと来てしまい、鼻の奥がツーンと痛みました。覚悟はしていたものの最後はやっぱり悲しくて、すすり泣きが積乱雲のように湧きあがりました。
実は1話目のラストは意外なところで唐突にお仕舞いとなりました。二人はハッピーエンドで結ばれたのです。でもまだまだ問題は山積しており、今後の新たな展開を楽しみに頁をめくりました。ところが急転直下、物語は終わりを告げるのです。「えーっっっ、ここでお仕舞い?」「うっそー!」と読者にはちょっと残念なラスト。
それは2話目にも言えること。冒頭で堂本先生は愛する城太郎の未来を想い、別れを決心しました。その後7年経って、彼の成長した姿を偶然見かけるのです。もちろん城太郎は気が付きません。でも堂本先生は遠目で見守り「ようやく本当の意味で城太郎にお別れが出来た」と涙一つで見送るのです。この余韻がもう!何とも言えません。涙、涙、涙。だって!体の関係こそないものの二人は両想いだったのです。恋人同士だったのです!城太郎のこんな言葉やあんな言葉が忘れられません。
「先生が俺のこと好きっていったら、付き合ってあげてもいいよ」
付き合ってあげてもいいなんて…!めちゃくちゃ傲慢で強引な城太郎の言葉。大人が口にしたら小憎らしく妖艶なセリフも、小学生の城太郎が口にするから可愛い。こんなキュートで愛らしい子、堂本先生ならずとも好きにならずにいられません。私も大好き!きっと城太郎のこの性格は攻めに違いない!などと一人勝手に思ってしまいました。でもラストは城太郎に気づかれないまま最後まで堂本先生の視点で終わります。こみ上げてくる悲しい思いを抑えきれずにボロボロ泣きました。泣いて、泣いて、泣いて。そして涙にはものすごいデトックス効果があるということを実感しました。思いっきり泣いたあと気持ちがスッキリしましたもん (゚ー゚。)
今でもふらっと読み返したくなって、目を通してしまいます。
この文庫版が2005年出版なので、もうかれこれ15年弱か…と思うと、個人的にも感慨深い作品です。
木原作品には独特の「痛さ」があって、それがクセになってしまう(と勝手に思っている)わけですが、その「痛さ」が合う・合わないは、本当に個人の趣味嗜好の話になってくると思います。
この『こどもの瞳』も例に漏れず、記憶喪失、兄の幼児退行、近親相姦とまあ多分にその要素がちりばめられているのですが、街子マドカ先生のイラストの柔らかさもあってか、私にはほどよい~やや刺激的くらいの「痛さ」でした。
木原先生はやはりさすがの筆致で、いたたまれなさやチリッとした罪悪感は気持ち良いほどに感じさせてくれるのに、なぜか嫌悪感はそれほど覚えずに読み進められるという…まさに神の名に相応しい作品ではないかと思います。
なんというか、読んでいて「あいたたたっ、いたい…!」という感じなんだけど、それが妙に気持ちよくて、定期的にそれが欲しくなるんですよね…
先入観なしで読んだ初読時が、やはり一番刺激的でしたけれど(笑)
文庫版には、こどもの瞳とこどもの瞳2が収録されていますが、私が読み返すことが多いのは無印のほうです。
兄弟BLを求めて購入した作品です。久々に読みたくなったので再読しました。
初見ではいろいろと驚かされた作品ですが、今回は純粋に楽しめました。やっぱり好きです。
まずは「こどもの瞳」の感想です。
二年前のある出来事で兄・仁を心底嫌いになっていた弟・岬の元に、事故による記憶喪失で六歳児になってしまった仁がやってくるという設定がすごいのですが、実年齢三十歳の男が六歳の振る舞いをするのは破壊力がすごすぎます。慣れると愛らしいですけどね。
岬は仁を憎んでいたので当然のことながら厄介者扱いをして、六歳の仁は当然のことながら泣き喚いて、それに対して岬は当然のことながらさらに怒って……の悪循環が続く序盤は双方の気持ちが分かるだけに読んでいて辛かったです。城太郎がいてくれて本当に良かった。
祖母も仁に口止めされていたとはいえ、こっそり岬に真実を話してくれていたら岬はもっと仁に優しくできただろうに、と思わずにはいられません。
両親が健在で、かわいい弟である岬を守るために大きくなりたいと思っていた年頃の記憶に戻ってしまうのがまた切ないです。きっと過酷な人生を送ってきた仁にとって、その頃が一番幸せだったのでしょう。
記憶が戻った仁は、幼児化した時のことを忘れたいと言っていました。弟と恋人関係になってしまったという禁忌的な意味合いよりも、弟の岬に甘えていたことが嫌な様子です。だけど、私は仁の記憶が残っていて良かったと思います。
仁は命の危険を感じるほど苛烈な環境で育ったせいで抑圧的な性格になってしまっているので、祖父の死後に事故がなかった状態で二年前の件で二人がすんなり和解するのは難しかったのではないでしょうか。岬も意地っ張りな性格ですしね。
抑圧的な大人の仁は、嫌われて当然のことをしたからと、岬との和解へ向けて積極的に動けなかったのではないか。そもそも心の拠り所にしていたであろう岬に嫌われてからの二年間、どんな気持ちで生きていたのか。そんな考えばかりが浮かんで胸がしめつけられるんです。
仁が子供の頃に大きくなりたいと思ったのは岬を守りたかったからだし、どれだけ祖父に折檻されて辛い目にあっても岬が祖父に育てられなくて良かったと岬の幸せを願っていたし、幼児化して家族に置いていかれたと誤解していた時も自分は兄だからと我慢するような健気な人です。子供でも大人でも、岬を大事に思う気持ちは一貫しているんですよ。
「お兄ちゃん」の正体に気付いてなかったけど、幼児化した仁は岬に恋をします。この恋心は幼さゆえに芽生えたのか、それとも昔から潜在的にあったものなのか。どちらにせよ、仁の魂は岬だけを求めていたのです。
だから、幼児化によって抑圧的だった大人の仁の心を解放できたことは、子供の頃の孤独だった仁を愛で救うために必要だったと思います。
岬に甘えたことを仁は「兄だから」なかったことにしたいようですが、岬と城太郎と感情豊かに暮らした半年間は、長年飢えていた家族との絆を取り戻すための貴重な時間だったのです。岬にとってもそうでした。
ただ、記憶が戻ると、岬が今の自分ではなく六歳の自分を愛していたというのは何とも複雑ですね。でも純度百パーセントのひたむきな愛情を注がれる心地よさを知ってしまえば、岬が六歳の仁を忘れられなくなるのは仕方のないことです。
子供の自分との記憶を追い払えと言う仁に対して、岬は「思い出」は忘れずに、今の仁を知ることから始めたいという結論にたどり着きます。
さっそく体の関係から始まった二人ですが、その場面がとても好みです。他の方も書いていますが、「お兄ちゃん」と呼ばせたところが一番萌えました。あくまでも自分が岬を甘やかして守りたいのだという「兄」の執念がひしひしと伝わって最高でした。
このお話は、妻を亡くした寂しさ、仁への憎しみが愛しさに変わる過程、禁忌に対する罪悪感が薄れていく過程、仁の記憶が戻ったことへの喪失感、抗えない性欲など、岬の心情がとてもリアルなので、追体験したような読後感でした。
欲を言えば、岬と城太郎が仁の家へ引っ越してからのお話をじっくり見たかったです。
続きまして「こどもの瞳2」です。
副担任の堂本と小学四年生の城太郎が恋人になるというなかなかな問題作ですが、切ないお話でした。
結論としては、堂本は英断でしたね。
倫理観は完全に無視しますが、大人と身も心も子供との恋は、どうしても大人が譲歩する以外には成り立たないし、城太郎もまだ子供なので堂本の複雑な心情なんて察することはできません。
だけど、城太郎も子供特有の恋多き男ではあるものの、二番目でもいいと思い詰めてしまうくらい本当に堂本のことが好きでした。岬が仁と一緒に寝ることで、一人で寝なきゃいけなくなった人肌恋しさも堂本に執着する原因のひとつだったのかもしれません。この件は城太郎がかわいそうなので、岬たちに少なからず萌えてしまったことが後ろめたいです。
堂本の選択は正しかったとはいえ、あんな一方的な別れ方をされた城太郎はかなり傷ついたのではないでしょうか。
ボクシングも、きっと堂本の助言通りに一年間は勉強をがんばり、ジムに通えたら堂本に再会できると期待していたのかな、と切ない想像をしてしまいます。
十七歳の城太郎について、私は過去の失恋によって影と色気を持ち合わせた少年を想像しましたが、あとがきを読んで城太郎には無限の可能性があると確信しました。
本来、ここから二人は再会して再び恋をするのが王道なのですが、堂本は昔の面影を失った城太郎を見たことで長い恋を終わらせてしまいました。ここが岬と仁のお話との対比になっていて切なさが増します。
短編なのにとても印象に残ったお話でした。
唯一残念な点は、電子で買ったので挿絵がなかったことです。紙も欲しくなります。
本作は一応年上攻めですが、ある意味究極の年下攻めを楽しめる作品だと思います。
2話収録されてますが、どちらもラスト・・・けっこう泣けました。
就職したての頃、貧乏で生活が困難な時期があったもので・・・や、ワタシの話ですスミマセン。
そのトラウマがあり、どうも貧乏ネタは読むのがものすごく辛いので、今回もアチャー(ノД`)と思っていましたが、生活苦から抜け出せた主人公岬にホッと胸をなでおろし、そこからの展開がまた面白くて、ぐぐいっと引き込まれて一気読みでした。
子供の頃生き別れになった兄は、大企業の社長となっていたが、事故で6歳以降の記憶をなくし、頭の中身が6歳に逆戻りしてしまっている。
もうその設定だけで、まんまと食いついちゃってましたが、いくら見た目は大人でも、本人すっかり6歳なわけですから、やることなすことヘマばかり。
それなのに岬は、以前兄にひどい仕打ちを受けたことに恨みを持っていて、きつくあたるんですよね~それはもう、かの「おしん」も凌ぐほど。いや、おしんは見たことないですけど。
6歳児にそれはないだろうって、ほんとに嫌な気分になりました。こういうの容赦ないですよね木原作品。
インモラルだったり、ご都合主義だと感じる部分も多い内容なんですけど、現実的なお話だと思えてしまい、岬に激しくシンクロしてしまうってのも、木原マジックの成せる技だなあ。毎度やられてます。
2話目は、岬の息子を主人公にしたお話ですが、こっちもせつなくて胸が苦しくなり、最後には1話目からすべてを締めくくるような結び方で、うまい!と唸るばかりでした。
欲を言うなら、これはこれで別の1冊にしてもっと長いお話にしてほしかったな~。
どちらも物足りない!
妻を病気で亡くした柏原岬は、自動車修理工場で働きながら6歳の息子・城太郎を育てていました。そんなある日、大会社の社長をしていたはずの兄が事故で記憶を失い、岬は兄の世話をすることになってしまいます。兄と岬は小さい頃に両親を亡くし母方の祖母と暮らしていましたが、兄は父方の祖父に強引に引き取られ、会社の後継者となっていました。数年前、妻の手術代を借りるため兄に会いに行った岬は、兄の冷たい態度に腹が立ち、金を受け取らずに帰った経緯がありました。しかし、6歳の子どもに戻った兄は怯えて泣くばかり。岬を苛立たせますが、息子の城太郎が優しく接するうちに心を開き、やがて岬も、子どもの兄には何の罪もないのだと過去の怒りを水に流します。
城太郎の耳の手術代を借りるため、兄を連れて祖母を訪ねた岬は、祖母から兄の祖父宅での辛い暮らしと、数年前の岬への冷たい態度の真実を聞き、愕然とします。
心は子供でも、体は大人の兄。岬が性欲処理の方法を教えると、兄の無邪気な性欲は岬に向かってしまいます。自分の寂しさ、子供の兄への愛しさから、岬は兄を受け入れ、二人は愛し合うようになります。
城太郎が退院し、岬が三人で暮らす幸せをかみしめていたある日、突然記憶が戻った兄は姿を消してしまい…。
兄弟ものは苦手なのですが、兄・仁の悲しい過去を考えると、仕方ないような気がしてしまいます。
仁は、祖父から激しい折檻を受け監視され、恋愛すら許されなかった。性欲を処理する女性をあてがわれる屈辱的な暮らし。初めて好きになってセックスしたのが、弟の岬だったのでしょう。だけど弟が好きになったのは、子供の自分。子供の瞳の自分だと知っていたから、記憶が戻っても、なかなか連絡を取ることが出来なくて。タイトルの「こどもの瞳」が、とても悲しいです。
岬は仁の愛に飲まれてしまったのかもしれません。偉そうな話し方で、好きだ、子供の自分を忘れてほしい、という告白を聞いたときに、岬はもう半分以上、仁に捕らわれていたように思うのです。そうでなければ、夜、仁の部屋を訪ねたりはしなかったでしょう。仁から渡されたダウンジャケットに忍ばせてあったメモと家の鍵。仁の不器用な愛情を岬が感じていることがうかがえました。
昔奪われた兄弟の情愛を、今はもう恋愛の形でしか埋められない二人が、とても切ないと思いました。
「こどもの瞳2」は、小学生になった城太郎と副担任・堂本(隠れゲイ)の恋の話。
城太郎に目をかけるうちに、素直で真っ直ぐな城太郎に惹かれていく堂本。城太郎も堂本を好きになり、二人は言葉だけの恋人になります。しかし、堂本は小学生の城太郎相手に恋心が募っていくことが怖くなり、一方的に別れを切り出し学校を去ります。七年後、偶然観戦したボクシングの試合で、堂本は、夢をかなえてボクサーとなった城太郎を目にします。強く精悍な姿に、自分の愛した子供がもういないことを知り、堂本はやっと昔の恋を手放せたのでした。
短編ながら、こちらもとても切ない話でした。城太郎はもう大人の恋愛をできる年齢になりましたが、堂本はきっと城太郎には会わないのでしょう。自分が愛したのは子供の城太郎だったから。離れていた年月、体の関係がなかったことが、仁と岬の場合とは違っていましたが、それだけでなく、恋そのものが失われてしまったように感じました。
恋は不思議で、儚い。二つの物語を読み、そう思いました。
表題作、同時収録作(スピンオフ)合わせて、木原音瀬さんは世のタブーに挑戦することを命題としているのかな、と思わせる一冊でした。
これを面白いと感じる自分、どうなの?と思いつつ迷いに迷って「萌x2」にしました。まあモラルだなんだと言い出すとBL界隈ではキリがないので、ラブコメと思って読めば(ガチ兄弟が地雷という方以外は)楽しめる作品だと思います…。街子マドカさんのイラストで背徳的な雰囲気がかなり中和されて、テーマの割にサクサク読めました。